Canele(カヌレ)は、アネックスが製作する、日産NV200バネットをベース車にしたバン・コンバージョンキャンピングカー。
同社は、カムロードベースのフルサイズキャブコン「リバティ52DB」や「リバティ52SP」、そして先日発表されたニューモデル「リバティ50DB」のキャブコンから、「ウィズ」や「リコルソ」などのハイエースバンコン、そして「UTONE200」、「UTONE300」、「UTONE500」のバンコンシリーズをラインアップする総合ビルダー。
Canele(カヌレ)は、同社のハイエースベースのファミリーワゴンが廃版になったことから、ファミリーワゴンSSから名称変更したモデルとなっている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
日産NV200バネットをベース車にした8ナンバーバンコンキャンピングカー。従来のファミリーワゴンSSから名称変更されたもので、内容はファミリーワゴンSSほぼ同じ。
ポップアップルーフ仕様も選択でき、ファミリーでの車中泊にも対応する。
2列目にマルチモードシートを配置することにより日常用途では一般のミニバンと同様に使用でき、休日には気軽に車中泊が楽しめる。
ギャレーも装備されているので、簡単な調理も可能。後部の大きなテーブルで趣味の作業やテレワーク等が可能。
アピールポイント
・日常用途にも使用できるコンパクトサイズ
・2列目のマルチモードシートにより、ミニバンと同様に扱える
・ポップアップルーフ仕様も選択できる
・ギャレーを装備する8ナンバー登録
ベース車とエクステリア

カヌレのエクステリア
ベース車は、日産NV200バネット バン GX。展示車はノーマルルーフだが、ポップアップルーフも選択できる。
ボディ外側への架装は無く、見た目は普通のミニバンなので、日常用途で目立つことは無い。ボディサイズもコンパクトカーと変わらないので、街中での運転も苦労することは無い。ポップアップルーフ車でもルーフを下げた状態では1950mm(4WDは1980mm)の車高なので、地下駐車場など高さ制限のある駐車場にも駐車できる。

リアゲートのアクリル2重窓(OP)
リアゲートのウインドウはオプションでアクリル2重窓に変更できる。断熱性の向上も期待できるが、リアゲートを開けなくても換気できるのも便利だ。バグネットとシェードも内蔵されている。
断熱加工はオプション。写真の展示車はオプションのツートーンカラーが施されている。
インテリア

カヌレのインテリア(写真はファミリーワゴンSS)
標準のインテリアカラーは上の写真のようなナチュラル色の家具とグレー系のシート地になっている。同社のモデル全般に共通するが、高品質の家具やシートの作りで、高級感も併せ持っている。

オプションのインテリア
オプションでインテリアカラーを変更でき、写真のカラーは「フォルスター」と名付けられている。鮮やかなオレンジとシックなテーブルトップは新鮮な印象を与えている。ドアの内側にボディ色の鉄板が残るが、後部は専用の樹脂でトリムされており、これも高級感のひとつになっている。
レイアウト
2列目に3人掛けのREVOシートを配置しており、前向きにすると運転席、助手席を含めて計5名が前向き乗車できる。2列目シートの両側の乗員とフロントシートの2名の計4名が3点式シートベルトを着用できる。
2列目シートを後ろ向きにすると、後部の簡易シートとで4~5名がテーブルを挟んで対座できるが、大人2名と子供2名ならゆったり座れる。更にシートを全てフラットにすると、2名が就寝できる。ポップアップルーフ仕様では、ルーフベッドでも2名が就寝できるので、ファミリーでの車中泊にも対応できる。

後部の大きなテーブル
特筆できるのは、後部の大きなテーブル。右側の収納の扉を跳ね上げ、メインテーブルを接続すると、コの字型の大きなテーブルになる。これだけの広さがあれば、趣味の作業やパソコンでの仕事、あるいはテレワークのスペースとして十分使用できる。
ダイネット

カヌレのダイネット
2列目シートを後ろ向きにしてできる対座ダイネットでは、食事や団欒を楽しめる。ギャレーがすぐ横にあるので、手を洗ったり食器を洗うことができる。
特筆できるのは後部の簡易シートで、スライドして前後の位置を調整できる他、多段階のリクライニング機構があり、ベッドモードにすると足を伸ばして寛ぐことができる。
ベッド

ベッドモード
シートを全てフラットにすると、1950x1200mmのベッドになる。1200mmは家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当する。ただし、後部はギャレーキャビネットがあるため、幅が1000mmと多少狭くなる。
ベッド展開はマルチモードシートがあるので多少労力を要するが、慣れれば難しいことは無い。

ルーフベッド
ポップアップルーフ仕様では、ルーフベッドでの就寝も可能だ。ベッドサイズは1900x1000mmで、ここでも大人が2名就寝できる。1000mmは家庭用ではシングルベッドの幅(970mm)より少し広い程度なので、1名での就寝が現実的だ。
ギャレー

ギャレーセクション
右側のキャビネットにはシンクとシャワーフォーセットが設置されている。8ナンバー登録には必要な設備だが、登録用の形ばかりのものではなく、実用性のあるギャレーになっている。
シャワーフォーセットは引き伸ばして車外で使用することもでき、子供やペットの手足を洗うといった使い方もできる。

シンクの下の給排水タンクと収納
シンクの下には各10Lの給排水タンクが収納されている。少し奥まっているが、スライドドアを開けて車外から直接出し入れすることもできるだろう。10Lなのでそれほど重いこともない。
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫は特にオプション設定が無いが、各種ポータブル冷蔵庫を持ち込むことができる。設置スペースを用意されていないので、適当に後部の荷物スペースに置くと良いだろう。
電子レンジはオプション設定も設置スペースも用意されていないが、クルマ旅向けのモデルではないので、電子レンジの必要性は少ないと思われる。
多目的ルーム
カヌレに多目的ルームは無いが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことはできる。後部ベッドボード下に収まるポータブルトイレがあれば、目につくこともない。
収納

後部の窓部に設置した収納(OP)
後部の窓を埋めて写真のような収納を設置できる(両側の窓に設置可能)。窓は塞がれてしまうが断熱効果は期待できる。

左側キャビネットの収納
左側キャビネットに小物収納が用意されている。手前に開く構造なので、アクセスしやすく、すぐに取り出したい小物などを収納しておくのに便利だ。

ベッド下の収納
ベッドの下は大きな収納スペースとして利用できる。就寝時は更に広くなるので、バッグなどの荷物も収納するとベッドの上が煩雑にならない。

ベッドボードを外すと大きなラゲッジスペースになる
更にベッドボードを外すと、後部は1000x1000mmの大きなラゲッジスペースになる。キャンプ用具などを積み込むのに便利なスペースだ。
空調
暖房はFFヒーターがオプション設定されているが、冷房の備えは無い。最近ではコンパクトなクーラーも開発されているので、今後のオプション設定が望まれる。
テレビ/ナビ
テレビのオプション設定は無いが、タブレットなどで代用できるだろう。ナビも特にオプション設定されていないが、好みのものが装着できる。
電装系
標準では、70AhのAGMバッテリーが1個と走行充電が装備される。外部100V電源入力と充電機能、400W正弦波インバーター、80W/250Wソーラーシステムはオプション。
価格(2023年11月現在:千円台切り上げ:税込)
ノーマルルーフ2WD/4ATは357万円~、ポップアップルーフ仕様は458万円~となっている。4WDはそれぞれ396,000円高。
付けておきたいオプションは、外部100V電源入力と充電機能(52,800円)、400Wインバーター(55,000円)が挙げられる。車中泊をするならFFヒーター(231,000円)は付けておきたい。(ナビ関連は除く)
他モデル
NV200バネットをベース車にするバンコンは多く存在するが、ポップアップルーフも選択できるモデルで2列目にマルチモードシートを持つモデルを挙げると、キャンピングカー広島のポップ・コン キャンパーR(383万円~:ポップアップルーフ/448万円~:ポップアップルーフ)、東和モータース販売のツェルトNV(460万円~:ポップアップルーフのみ)、カーショップスリーセブンのアレグロ(398万円~/498万円~)が挙げられる。
このうち、ポップ・コン キャンパーRはクーラーがオプションで設置でき、アレグロは標準装備される。
まとめ
カヌレは日常用途に違和感なく使え、休日には車中泊も可能だ。一般のワゴン車より多くの荷物を積めるので、キャンプなどには最適のモデルと言える。ポップアップルーフを選択すれば、ファミリーでの車中泊もできる。
クルマ旅を想定したモデルではないので、冷蔵庫や電子レンジなどの重装備はしていないが、比較的近距離のドライブや趣味のスペース、あるいはテレワークの基地として使いやすい内容となっている。
カヌレはファミリーワゴンSSからモデルネームが変更されたが、内容がほとんど変わらないのは少し残念なところ。クーラーのオプション設定の追加などが期待された。今後のバージョンアップに期待したい。
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