ファミリーワゴンSS-ERはアネックスが製作する、日産NV200バネットをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社はリバティ52DBやリバティ52SPのキャブコンが人気だが、ハイエースベースのリコルソやウィズ、あるいはファミリーワゴンと言ったバンコンもラインアップしている。
今回紹介するファミリーワゴンSS-ERは、ハイエースベースからもう一ランクコンパクトにしたNV200バネットをベースに、ポップアップルーフを架装したモデル。
2021年モデルは、新設計されたポップアップルーフを採用している。
(記事中の価格は全て税込です)
コンセプト
いわゆるコンパクトバンコンと言われるカテゴリーで、ハイエースでは大きすぎ、もっとミニバンライクに運転できるコンパクトなバンコンを望むユーザー層に向けたモデル。
コンパクトなので、ミニバンのように買い物や通勤など日常用途にも違和感なく使え、休日にはファミリーで車中泊できるキャンピングカーとして使用できる。
ポップアップルーフが無い「ファミリーワゴンSS」も選択でき、こちらはワゴンベースで5ナンバー登録となっている。ポップアップルーフを持つファミリーワゴンSS-ERは8ナンバー登録。
エクステリア
ファミリーワゴンSS-ERのエクステリア
ベース車はNV200バネットのバンが使用されている。前モデルはワゴンだったが、バンに4WDが設定されたことから、ベース車はバンに変更された。ERはエレベーティングルーフの意味で、いわゆるポップアップルーフが標準で架装される。またエマージェンシーブレーキも標準装備される。
ルーフを上げると室内高は2260mmにもなるが、ルーフを閉じると車高は1950mm(4WDは1980mm)となり、ほとんどの高さ制限のある駐車場にも入っていける。ルーフを下げた場合は見た目も通常のNV200バネットとあまり変わらないので、日常使用にも違和感なく使用できる。
なお、リアゲートのウインドウはオプションでアクリルウインドウに変更できるほか、後部両側の窓もオプションで窓埋めし、収納スペースにすることができる。
インテリア
インテリアカラーはオプションで変更できる
展示車は標準カラーのインテリアだが、オプションでインテリアカラーの変更が可能。またバンの場合は基本的に鉄板がむき出しのままだが、後部ウインドウ周りはトリムされている。ただし、ドアウインドウ周りとリアゲート周りはボディカラーが出てしまうので、インテリアを選択する場合は、ボディカラーも考慮したい。
レイアウト
2列目に1200mm3人掛けのREVOシートを配置、前向きにして5名乗車、後ろ向きにして後部簡易シートとで対座ダイネットを形成する。前向き時は運転席、助手席を含め4名が3点式シートベルトを使用できる。
また後部にシンクを埋め込んだギャレーを持ち、テーブルを利用した調理台にカセットガスコンロを設置して調理もできる。
シートをフラットにするとダイネット展開ベッドになり2名が就寝できるほか、ポップアップルーフのルーフベッドでも2名が就寝できるので、計大人4名が就寝できる。
従って、ファミリーでの前向き乗車と車中泊に対応できる。二人で使用する場合は、ルーフベッドで就寝すればダイネットをそのままにして就寝できる。もちろんダイネットをベッド展開すると、上下段でそれぞれ就寝できる。
ダイネット
後部シートはリクライニングできる
2列目シートを後ろ向きにすると3列目シートとで対座ダイネットになる。3列目シートは多段階のリクライニング機構が付いているのが特徴。2列目シートをフラットにすると、足を投げ出してリクライニングシートでリラックスすることができる。
またペットや小さな子供がいる場合は、ベッド状態にしておくと広いフラットフロアダイネットになる。なおシンクがすぐ横にあるので、手を洗ったり食器を洗ったりするのに便利だ。
ベッド
シートをフラットにしたダイネットベッド
2列目シートを含め全てのシートをフラットにすると、1950x1000mmのベッドになる。このベッド幅は家庭用のシングルベッドよりも多少広い程度なので大人2名だと少し窮屈かもしれないが、大人と子供各1名なら多少余裕をもって就寝できる。
ベッド展開は、2列目シートの展開で多少労力が必要だが、就寝直前にベッド展開するのが負担なら、早めにベッド展開してフラットフロアで寛ぐとすぐに就寝できる。
ルーフベッドでも2名が就寝できる
ポップアップルーフを上げてできるルーフベッドは1900x1000mmの大きさで、これも家庭用シングルベッドより多少広いベッド幅なので、同様に大人と子供各1名が就寝すると良いだろう。もちろんキャンピングカー要件では、大人2名が就寝できるベッド幅となっている。
ギャレー
テーブルをセットするとL字型のキッチンができる
ファミリーワゴンSS-ERにはギャレーが標準装備されており、丸型シンクとシャワーフォーセットが設置されている。下には各10Lの給排水タンクが収納されている。ビデオにもあるように、ベッド状態でも扉を開けることができる。
またシャワーヘッドは伸縮でき、車外でシャワーを使うこともできる。ペットの足を洗ったりするのに便利だ。
ファミリーワゴンSS-ERのギミックはダイネットテーブルを使ったL型キッチン。ギャレーコンソールの扉を開けて固定し、そこにテーブルをドッキングすると、広いL型キッチンになる。リアゲートを開けて車外から調理することもできる。
冷蔵庫/電子レンジ
フロントシートの間に設置できる7L冷蔵庫
冷蔵庫は7L上開き式の小型冷蔵庫を、運転席と助手席の間に設置できる。それとは別にポータブル冷蔵庫を持ち込むことも可能だ。この場合は12Vの電源コンセントをオプションで設置しておくと冷蔵庫の電源が取れる。ベッドボード下に収まる高さの冷蔵庫を選択すれば邪魔にならない。
電子レンジはオプション設定されていない。
ユーティリティールーム
ファミリーワゴンSS-ERにはもちろんユーティリティールームは無いが、子供用にポータブルトイレを乗せておくことは不可能ではない。ただし、ベッドボード下に入れるのは難しそうだ。
収納
左側家具の収納
コンパクトなベース車なので豊富な収納スペースとはいかないが、上の写真のような収納スペースや小物入れがいくつか用意されている。
後部ベッドボード下の収納スペース
衣類を入れたバッグなどは、後部ベッドボード下のスペースに収納することができる。また停泊中は助手席や運転席も荷物を置くスペースになる。
オプションの「ユニットシェルフ」
また、オプションで後部両側の窓埋めができ、ここに収納スペース(ユニットシェルフ)を設けることができる。片側33,000円なので、設置しておくと便利に使えるだろう。
空調
暖房はFFヒーターがオプション設定されている。設置場所は助手席の下になる。冷房のソリューションは用意されていないが、ビデオにあるようにポップアップルーフを上げると天井高が高くなり、かつベンチレーション効果も高くなる。
テレビ/ナビ
テレビはオプション設定されていないが、今やスマートフォンやパッドでテレビはもちろん、自宅で録画している番組を観ることができるので、その方が便利かもしれない。
ナビは特に指定は無いので、好みのものを持ち込みや指定して取り付けることができる。リアスピーカーもオプションで取り付けることができる。
電装系
AGMバッテリーを搭載した電装系
70AhのAGMバッテリーが1個標準装備される。AGMバッテリーとはAbsorbent glass mat(吸収ガラスマット)の略で、蓄電効率を上げた高性能バッテリー。リチウムイオンバッテリーではないが、通常の鉛バッテリーなら100Ah程度のものと同等の容量が期待できる。
なお、サブバッテリーの他に、走行充電システム、DC12 Vソケット、バッテリーチェッカーなどが標準装備される。また、オプションの外部電源入力と充電機能(52,800円)を装備すると、外部100V電源を取り入れバッテリーを充電できる。
さらにオプションのインバーター(400W:49,500円)を設置すると、バッテリーで100Vの家電品が使えるようになる。
230Wソーラーシステム(198,000円)もオプション設定されているので、自宅のカーポートに100V電源が無い場合は付けておくと、駐車中に充電されている。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
2WDで423万円~、4WDは472万円~となっている。付けておきたいオプションは、外部電源入力と充電機能(52,800円)、FFヒーター(209,000円)、インバーター(400W:49,500円))、必要に応じて230Wソーラーシステム(198,000円)も挙げられる。
他モデル
NV200バネットをベース車にしてポップアップルーフを持ち、4~5名が前向きに乗車できるモデルを挙げると、アネックスのリュウER(価格不明)、キャンピングカー広島のポップ・コン キャンパーR(418万円~)、東和モータースのツェルト NV(427万円~)、フジカーズジャパンのフォックスルソプラスアップ(393万円~)がある。
この中ではコンセプトやレイアウトで最もファミリーワゴンSS-ERに近いのは、ツェルト NVとフォックスルソプラスアップだ。ツェルト NVは価格的にもほぼ同じだが、こちらはワゴンベースになる。従って4WDの選択は無い。また4名乗車、4名就寝となっている。
またフォックスルソプラスアップはギャレーを持たず5ナンバー登録。やはりワゴンをベース車にする。ポップ・コン キャンパーRは対座ダイネットではなく、3列目シートは横座りだが、ギャレーを持つ8ナンバー登録で、バンをベース車にしている。
まとめ
ファミリーワゴンSS-ERは、まず4WDが選択できるのがメリットだ。また3人掛け2列目シートを前向きにすると、計5名が前向き乗車でき、ミニバンのように使える。日常用途にも使いたいユーザーには運転もしやすく、違和感なく使える。
そして休日にはファミリーで車中泊付きのドライブに出かけることができる。イベント会場や遊園地、あるいはキャンプ場に前の夜から乗り付け、次の日は朝から遊ぶといった使い方に適している。
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