クオッカジャパンディは三島ダイハツが製作する、ダイハツハイゼットパネルバンをベース車にした、軽バンコンキャンピングカー。
同社は静岡県駿東郡にあるダイハツ車の販売店だが、キャンピングカーの販売も行っており、こちらは他車モデルも含め静岡県裾野市のキャンピングカーガーデンを拠点に取り扱っている。
クオッカシリーズは同社のオリジナルモデルで、2020年に第1弾の「クオッカ」を発表。富士ひのきを採用した山小屋風のインテリアと、ボックスを組み合わせることによる多様なレイアウトを提案した。
第2段は2022年に発表された「クオッカ ワナビー」。これはボックスではなくパレットを使用したモデルで、しかしコンセプトは同様にパレットの組み合わせでレイアウトを変更できるモデルとしている。
2024年に発表された「クオッカ ジャパンディ」は第3段のモデルで、前モデルと同様にダイハツ ハイゼットのパネルバンを使用し、富士ひのきを採用したインテリアだが、レイアウトは固定とし、オプションで初めてギャレーが搭載できるモデルとしている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ダイハツ ハイゼットのパネルバンをベース車に使用した軽バンコン。富士ひのきとホタテ漆喰ペイントを組み合わせたインテリアは明るく、清潔感がある。ベンチシートとギャレーキャビネット(ギャレーはオプション)のレイアウトを採用。
車載用セパレートクーラーと200Ahのリチウムイオンバッテリーもオプションで装備できる。ベッドサイズを考えると、二人での就寝は多少窮屈だが、一人での車中泊や趣味や仕事のスペースとして適している。
アピールポイント
・パネルバンを使用した広い室内
・富士ひのきとホタテ漆喰ペイントのインテリア
・シンクとフォーセットを設置可能(OP)
・車載用セパレートクーラーと200Ahリチウムイオンバッテリーを搭載可能(Op)
ベース車とエクステリア

クオッカ ジャパンディのエクステリア
ベース車はダイハツ ハイゼット パネルバン。 このベース車を使用しているキャンピングカーは、現在のところ他に見当たらない。このベース車の特長は、スクエアでスペース効率の良いスタイル。バンより広い室内が確保できる。
ただし、そのままでは運転席、助手席から後部への移動ができないし、荷室部両側に窓が無いので、ベース車の加工が必要になる。クオッカシリーズの各モデルでは、両側とリアゲートにアクリル2重窓を架装している。
ベース車は2WDと4WD、5MTとCVTの組み合わせで、4種類から選択できる。
インテリア

クオッカ ジャパンディのインテリア
クオッカシリーズに共通する富士ひのきを採用。クオッカ ジャパンディには加えて、壁と天井にホタテ漆喰ペイントと名付けられた塗装を施している。ホタテ漆喰ペイントは湿度の調整効果があり、カビが発生しにくいと謳っている。
レイアウト
前2モデルでは、ボックスやパレットを使用して、ユーザーがレイアウトを多少変えたり、車外にダイネットを作ったりということができたが、クオッカ ジャパンディではこのコンセプトではなく、固定式のレイアウトを採用している。
レイアウトは右側にベンチシート、左側にキャビネットの構成。キャビネットの扉を跳ね上げると、テーブルになる。なお、上の写真は2024年2月のジャパンキャンピングカーショー時のもの。量産車は多少変更されている。
ダイネット

クオッカ ジャパンディのダイネット
ダイネットはベンチシートとキャビネットの跳ね上げ式テーブルの組み合わせ。テーブルは比較的大きく、食事時の食器をおくこともできるだろう。
ベッド

ベッドモード
ベッド展開はクオッカ ジャパンディの特長のひとつと言える。ベンチシート部分2か所を横にスライドさせるだけで、フラットなベッドになる。就寝前にベッド展開の労力は最低限で済む。(ベッド展開の動画はこちら)
ベッドサイズは1840x1060mm。1060mmの幅は、家庭用ではシングルベッドの幅(970mm)よりも少し広いだけなので、2名が就寝する場合は、多少窮屈感があるだろう。キャンピングカー要件では1名あたり500mmあれば良いので、一応2名が就寝できることになる。
なお、クオッカ ジャパンディでは厚さ30mmの「ファイバーマット」を採用し、快適な寝心地が期待できる。
ギャレー

ギャレーはオプション
左側のキャビネットの後部に、オプションでシンクとフォーセットを設置できる。クオッカシリーズでは初めての装備で、より「キャンピングカーらしさ」が増している。

各13Lの給排水タンク
シンク同様オプションで、シンクの下には各13Lの給排水タンクが収納される。リアゲートを開けると車外から直接出し入れできる。
冷蔵庫/電子レンジ
第1弾のクオッカには16Lの引き出し式冷蔵庫と電子レンジがオプションで設置できたが、残念ながら、クオッカ ジャパンディには冷蔵庫と電子レンジのオプション設定は無い。冷蔵庫が必要な場合は、ポータブル冷蔵庫を持ち込むことになる。
収納

キャビネットの収納
キャビネットに扉付きの収納が用意されている。上の写真の上部の収納の扉はテーブルと兼用になっているので、テーブルを上げた状態では扉が無いことになる。

ベンチシート下の収納
次に、ベンチシート前部の下が収納になっている。ベッドボードを持ち上げてアクセスするが、容易に開閉できる。この部分はベッドにするためのスライド機構があるが、収納に影響を与えないでスライドできるよう工夫されている。

ベッド下収納ペース
常に収納になっているわけではないが、ベッドモードにした場合は、ベッド下が収納になる。就寝時に荷物を収納しておくと、ベッドの上が荷物で煩雑になることはない。
空調

車載用セパレートクーラーを装備できる(OP)
冷房は車載用セパレートクーラーがオプションで設置できる。クーラーの室内機は吹き出し口以外は化粧板で覆われているので、インテリアに溶け込んでいる。
200Ahのリチウムイオンバッテリーもオプションで用意されている。クーラー設置時は同時に搭載することになる。

ベンチレーター(OP)
壁面取り付け用のベンチレーターがオプションで用意されている。クーラーなしでこのベンチレーターのみで夏の暑さを回避するのは無理だが、ドアを閉めた状態で換気したい場合は有用だろう。
暖房用にはFFヒーターがオプションで取り付けられる。
テレビ/ナビ
テレビはオプションリストにないが、必要に応じて設置は可能だろう。ただ、スペースに限りがある車内なので、テレビは付けず、タブレットを使用するという方法もある。ナビは特にオプションリストになないが、好みのものを取り付けられるだろう。
電装系

オプションのリチウムイオンバッテリーが搭載された電装系
標準では100Ahのディープサイクルバッテリー1個と走行充電が装備される。外部電源入力とチャージャーはオプション。インバーターはオプションだが、電子レンジや大電力を必要とする家電品が無い場合は400W程度のものでも良いだろう。
ソーラーシステムは175Wのフレキシブルタイプがオプションで取り付けられる。家庭の駐車場に100V電源が無い場合は、ソーラーシステムを装備しておくと、常にサブバッテリーに充電されている。
価格(2024年7月現在:千円台切り上げ:税込)
2WD/5MTが281万円~、2WD/CVTが295万円~、4WD/5MTが297万円~、4WD/CVTが313万円~となっている。
付けておきたい必需オプションは、外部電源入力とチャージャー(77,000円)、インバーター、FFヒーター(価格不明)、アクリルウインドウパッケージ(209,000円)、クーラー(308,000円)、200Ahリチウムイオンバッテリー(312,400円)が挙げられる。(ナビ関連は除く)
クーラーとリチウムイオンバッテリーは高価だが、今や必需装備と言ってよいだろう。クーラーが無いと、1年のうちで長い期間使用できないことになる。
他モデル
ハイゼットパネルバンをベース車に使用した軽バンコンは、ほかに見当たらないので、直接競合する他の選択肢はないが、ダイレクトカーズのリトリートミニ(249万円~)は、リアルウッドを使用したインテリアと言う意味では選択肢になるかもしれない。
まとめ
クオッカとクオッカ ワナビーはボックスやパレットを並び替えて、自由なレイアウトにできるというコンセプトだったが、クオッカ ジャパンディでは固定となり、一般的なモデルに近づいた。
更に、オプションながらギャレーも装備できるようになったのは、車内で過ごす時間が長いユーザーには便利な進化だ。ただ、折角ギャレーが装備できるのに、クオッカで可能だった冷蔵庫と電子レンジが装備できないのは残念なところだ。
スペース的に難しいのかもしれないが、もしギャレー、冷蔵庫、電子レンジが全て装備できるなら、クルマ旅にも対応できるだろう。
しかし3種類のクオッカシリーズから選択できるようになり、趣味の部屋やテレワークの基地として、あるいは書斎的なスペースとして一人で使用するには快適な居場所となる。
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