クオッカ ワナビーはミシマダイハツが製作する、ハイゼットパネルバンをベース車に使用した、軽バンコンキャンピングカー。
同社はダイハツの販売店だが、キャンピングカーも扱っており、2020年には同社初のオリジナルモデル「クオッカ」を発売した。クオッカはキャンピングカーとしては初のハイゼットパネルバンをベース車に使用した軽キャンパーだ。(レビュー記事はこちら)
「富士ひのき」を使用した無垢の木のぬくもりをが魅力的な軽キャンパーで、「トランスフォーメーションボックス」と名付けられた4個の木製のボックスを自由に並べて好みのレイアウトにするという発想が新しかった。
2022年には、クオッカの第2弾として「クオッカ ワナビー」を発売した。クオッカ ワナビーは「ボックス」を「パレット」に変更し、ユーザーは同様にパレットを並べて自由にレイアウトを作ることができる。
更に、クオッカとクオッカ ワナビー共通のオプションとして車載用12Vセパレートクーラーをオプション設定した。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
クオッカシリーズの第2弾として登場した、ハイゼットパネルバンをベース車にした軽バンコンキャンピングカー。クオッカより多少シンプルな構成になっているが価格は同じ。
「富士ひのき」をインテリアに使用し、無垢の木のぬくもりが特徴の室内を持つ。クオッカが木製のボックスを並べてレイアウトを組み立てるのとは異なり、クオッカ
ワナビーはパレットを並べる方法で、ベッドやワーキングデスクを形作ることができる。
クオッカにはオプション設定されている冷蔵庫や電子レンジは装備できないが、新たにオプション設定された12Vセパレートクーラーとリチウムイオンバッテリーはクオッカ同様装備することができる。
アピールポイント
・パネルバンを使用したユニークなエクステリア
・「富士ひのき」を採用した木の温もりが感じられるインテリア
・パレットを並べて好みのレイアウトを構築できる
・12Vセパレートクーラー(OP)設置可能
・200Ahリチウムイオンバッテリー(OP)装備可能
・CTEK走行充電システム搭載可能(OP)
・175Wソーラーシステム(OP)装備可能
ベース車とエクステリア
クオッカ ワナビーのエクステリア
ベース車はダイハツ ハイゼットパネルバン。このクルマをベース車にするキャンピングカーは他にない。オリジナルのハイゼットパネルバンは運転席と荷室の行き来はできないが、クオッカやクオッカ
ワナビーでは貫通処理が施されている。
標準ではボディ外側への架装は無く、そのままでは商用車然としている。ただし、オリジナルのパネルバンでは窓は後部のみだが、クオッカ/ワナビーではオプションで両側にアクリル窓が架装される他、リアゲートにもアクリル窓が架装できる。
これらの窓は外側へ跳ね上げて開くことができ、また窓には網戸とシェードが組み込まれている。これらの窓はオプション(198,000円)となっているが必需品だ。これを付けないと換気ができないし、本当に荷物扱いになってしまう。
また、パネルバンと言うことで気になるのが断熱処理。オプションで床・壁・天井・ドアへの高断熱材が設定されているが、これもほぼ必需装備と言える。価格は44,000円とそれほど高価なものではないので、是非標準装備にして欲しい。
ボディカラーは、オリジナルのパネルバンにはホワイトしか選択肢が無いが、外装塗装は「別途要相談」とされている。実際クオッカの展示車はカーキ色に塗装されていた。(ビデオ参照)
インテリア
「富士ひのき」のインテリア
左右の壁、天井、床には「富士ひのき」の無垢材が張り付けられており、木の感覚を生かした室内になっている。また富士ひのきは強さ・耐久性・保湿性・調質性に優れる最高木材で、その香りは人をリラックスさせる鎮静効果があり、成分は殺菌作用があるとしている。
なお、ドアやリアゲートを開けていると分からないが、ドア内側とリアゲート内側は鉄板がむき出しになる。また、窓が小さいため車内は多少窮屈さを感じるかもしれない。
レイアウト
6枚の「パレット」
6枚の「パレット」と呼ばれるボードと、固定された左サイドのボックスで構成される。左側のボックスは電装系が収納され、半分は収納になっている。
6枚のパレットの置き方を変えることで、デスクになったりベッドになったり変化する。もちろん自分独自の置き方でレイアウトを作っても良い。
なお、クオッカでは専用のテーブルが装備されていたが、クオッカ ワナビーでは専用のテーブルは無い。
ダイネット
ベンチと机のダイネット
ダイネットと言う決まった形は無いが、一例として上の写真のようにパレットを並べると、ベンチと机のダイネットになる。
ベッド
一人用のベッド
これも決まった形は無いが、上の写真のようなパレットの配置が想定されている。この場合のベッドサイズは1850x860mmで一人用のベッドサイズだ。
ギャレー
クオッカ、クオッカ ワナビーともギャレーは付いてない。
冷蔵庫/電子レンジ
クオッカには16L引き出し式冷蔵庫が装備できる(OP)
クオッカ ワナビーには冷蔵庫は装備できないが、クオッカにはオプションで16L引き出し式冷蔵庫が装備できる。
クオッカには電子レンジも装備できる(OP)
電子レンジも同様で、クオッカには家庭用の100V仕様の電子レンジがオプションで装備できる。冷蔵庫同様、クオッカ ワナビーには装備できない。
収納
左サイドに置かれたボックスには電装系を収納
左サイドに車長方向に置かれたボックスには電装系が収納されているが、半分は収納スペースに割り当てられている。このボックスは、クオッカとクオッカ
ワナビーに共通して配置されている。
フロントシートすぐ後ろの収納棚
またフロントシートすぐ後ろの上部には収納棚が備えられている。走行中に落ちても大丈夫なものしか乗せることができないので、扉が無いのが残念なところだ。
空調
12Vセパレートクーラーを装備できる(OP)
12V仕様のセパレートクーラーがオプションで設置できるようになった。クオッカが発表された当初はクーラーの選択肢が無かったが、大きな進化と言える。特に軽キャンパーへのクーラー搭載は、他モデルにも影響を及ぼすだろう。
なお、200Ahのリチウムイオンバッテリーもオプションに追加された。外気温にもよるが、6〜8時間の稼働が可能としている。
クーラーが297,000円、リチウムイオンバッテリーが312,400円なので合わせて60万円以上と非常に高価なオプションではあるが、選択肢ができたのはユーザーにとって大きなメリットだ。
なおFFヒーターはオプションで設置できる。クオッカには吹き出し口が2か所付くがクオッカ ワナビーには1か所のみとなる。
テレビ/ナビ
11.6型のカロッツェリア製フリップダウンモニターがオプション設定されている。またナビは各種取り付けできると思われる。
電装系
標準では100Ahのディープサイクルサブバッテリーと走行充電が装備される。サブバッテリーは100Ahのリチウムイオンバッテリーにオプションで交換可能。また、200AhのリチウムイオンバッテリーとCTEK昇圧システムのセットもオプションで用意されている。クーラーを設置しない場合は標準のディープサイクルバッテリーで問題ない。
外部100V電源入力と充電機能(チャージャー)はオプション。1500W正弦波インバーターもオプションとなっている。クオッカ ワナビーには電子レンジが付かないので、ドライヤーや電気ポットなど大電力家電を使わないならインバーターは400W程度のものでも良いだろう。
ソーラーシステムは175Wのフレキシブルタイプがオプションで取り付けられる。家庭の駐車場に100V電源が無い場合は、ソーラーシステムを装備しておくと、常にサブバッテリーに充電されている。
価格(2022年7月現在:千円台切り上げ:税込)
クオッカとクオッカ ワナビーの車両本体価格は同じで、2WD/CVTで272万円~。マニュアルミッションや4WDも選択できる。
クオッカ ワナビーで付けておきたいオプションは、FFヒーター(253,000円)、外部100V電源入力と充電機能(77,000円)、1500W正弦波インバーター(176,000円:400W程度なら安価)、アクリルウインドウパッケージ(198,000円)、高断熱材パーフェクトバリア(44,000円)が挙げられる。
また、予算に余裕があれば、12Vクーラーとリチウムイオンバッテリーは装備しておくと、特に夏場は出かける機会が増え、快適に過ごせる。
他モデル
クオッカやクオッカ ワナビーと直接競合するモデルは無い。そもそもパネルバンをベース車に使用したモデルは他に存在しない。リアルウッドを使ったインテリアという面では、ダイレクトカーズのリトリート ミニ(229万円~)がある。
リトリート ミニはホンダ N-VANをベース車にした軽バンコン。やはり一人使用を想定したコンセプトとなっている。また、リアルウッド「風」のインテリアならMYSミスティックの「レジストロ」もある。ただしこちらは白8ナンバー登録となる。
まとめ
クオッカやクオッカ ワナビーはパネルバンのベース車、リアルウッドのインテリア、ユーザーが自由にセットできるレイアウト、クーラーの設置と話題の多いモデルだ。斬新なアイデアが詰まった新しい提案と言える。
ただしスクエアな車体なので広く見えるが、実際はエブリイバンの方が荷室は広い。また運転席との貫通処理がされているが、荷室との連続性はエブリイバンの方がスムースだ。さらにパネルバンは窓をオプションで付けないと、開放感に欠ける。
ただし窓は小さいので、オプションの高断熱材を付加すると、窓の大きいバンよりも断熱性は高いかもしれない。
クオッカやクオッカ ワナビーは趣味性の強いモデルで、クルマ旅と言うよりは、一人用の趣味の部屋という使い方に向いている。クーラーが付けられるので、テレワーク用の部屋としても活用できる。
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