リトリート ミニはダイレクトカーズが製作する、ホンダN-VANをベース車にした軽バンコン。
同社は2019年にハイエースベースの「リトリート」シリーズを発売、以来、標準ボディを使用した「リトリート」、スーパーロングベースの「リトリートスーパーロング」、サイドロングベースの「リトリート ワイドミドル」がラインアップされている。
そして今回発表されたのが、ホンダN-VANをベースにした軽バンコン「リトリート ミニ」。木のぬくもりを大切にしたインテリアは、全てのモデルに共通している。
リトリートミニの室内(写真:ダイレクトカーズ)
コンセプト:リトリートミニは、主に一人旅を想定した軽バンコン。2列目シートを排して一人旅用に特化したことにより、余裕のある室内と十分な収納を確保している。
車外にセットできるテーブルは同社の多くのモデルに共通するアイテム。車外も車内の延長に見立てている。
エクステリア:外装への架装は無く、外観は通常のN-VANと変わらない。従って、日常用途にも目立つことなく使用できる。なお、リトリートシリーズに共通するデカールはオプションで用意されている。
リアルウッドを張り詰めたインテリア
インテリア:リトリートシリーズに共通する、リアルウッドを張り巡らしたインテリアは、木の温かみを演出する。ルーフ中央にはハンギングチェーンが備えられており、ランタンなどを吊るせるようになっている。
また、後部両サイドのパネルもリアルウッドになっているが、パネルの交換ができるので、気軽に押しピンなどで好きなものを張り付けたり吊るしたりすることができる。
乗車定員は2名
レイアウト:2列目のシートを取り去り、ここを収納スペースとしている。そのため乗車定員は運転席と助手席の2名のみ。しかし一人での使用と割り切っているので、むしろスペース効率は良く、広い室内と大きな収納を確保している。
ダイネット:フラットなベッドがそのままちゃぶ台スタイルのダイネットになる。折り畳み式のテーブルを別途ホームセンターなどで購入すれば、フラットフロア全体がダイネットになる。
車外で食事ができるテーブル
また、車外にテーブルをセットでき、オプションのオーニングを広げれば、そこが車外のダイネットになる。
ベッド:2列目シートを無くしたため、この部分は常にフラットにしておける。即ち後部は常設ベッドとなり、ベッド展開は不要。N-VANは助手席もフラットになるため、助手席側の身長方向は実に2130mmの長さ。これなら相当身長が高いユーザーでものびのび就寝できる。助手席側は1450mmなので子供用か荷物の置き場所として使用できる。幅は最大1150mmでセミダブルベッドより少し狭い。また足元は両側にわずかだが出っ張りがあるので、少し斜めになって就寝すれば、窮屈感なく就寝できる。
ギャレー:リトリートミニにはギャレーは装備されていない。しかしこれはマイナスポイントではない。ギャレーが必要な使い方はもともとターゲットにされておらず、フラットなスペースと収納を最大限に優先した結果だ。
冷蔵庫/電子レンジ:このモデルのコンセプトから言えば、電子レンジは対象外なので、そのオプション設定が無いのは理解できる。ただ冷蔵庫については、ポータブル冷蔵庫を積んでおきたいユーザーはそれなりに存在すると思われる。
従って、ポータブル冷蔵庫の設置場所は欲しいところ。一人使用に割り切っているので、思い切って助手席周りに電源と冷蔵庫が固定できる設置スペースがあっても良いかもしれない。
後部のベッド下収納
収納:軽バンコンながら、収納スペースは豊富に用意されている。まず最後部のベッド下が最も大きな収納スペースで、幅860mm、奥行き880mm。高さ制限はあるものの、大きなバッグやキャンプ道具なども収納できる。
中央のベッド下収納(写真:ダイレクトカーズ)
また、2列目シートを取り除いた後にできた収納スペースは1080x460mmの大きさ。ここには車外テーブルを収納できるが、まだまだ余裕がある。
更に、ルーフ近くには左右両側に棚を設置しており、ここにはシュラフなどが収納できる。
ルーフサイドに用意された棚
空調:FFヒーターをはじめ空調関係のオプションは設定されていない。FFヒーターを装備するためにはサブバッテリーなどの電装系も必要になり、どんどん重装備になってしまう。
もちろん寒さ対策は欲しいところだが、電気毛布とポータブル電源などで凌ぐと良いだろう。
電装系:リトリートミニとしての電装系は想定されていない。ただし、単独のポータブル電源が多く発売されているので、好みのものを持ち込むと良いだろう。ポータブル電源は車外に持ち出して使えるので、アウトドアで便利なアイテムになる。
価格:2WD CVTで229万円~。N-VANベースのモデルは200万円~300万円台が多いので、安価な方に入る。
必要性が高いオプションは特にないが、サイドオーニング(145,000円:税別)とルーフキャリア(サイドオーニングを取り付ける場合必要:40,000円:同)があれば、リトリートミニの特徴の車外テーブルが日陰になり、過ごしやすくなる。
リトリートミニ(写真:ダイレクトカーズ)
他車:N-VANベースのモデルは各社から発売されている(N-VANベースキャンパー比較記事も参照いただきたい)が、多くは快適性を求めた重装備のモデルが多く、リトリートミニに直接競合するモデルは見当たらない。
ベース車をエブリイバンやハイゼットに広げると、カーショップスリーセブンのMOCのように天然木を多用したモデルもあるが、やはりコンセプトは異なる。
まとめ:リトリートシリーズは「リトリート=隠れ家」という意味があり、まさに自分のための移動する隠れ家だ。リアルウッドに囲まれた車内もそれを演出している。
ただ、これまでのラインアップはハイエースベースで、もっと気軽に出かけたいというユーザーには少し大きすぎる場合があった。リトリート ミニはこの要求を満たし、ハイエースベースのリトリートのエッセンスを残しながら、見事に小型化したスモールバンライフモデルだ。
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