リコルソは、アネックスが製作する、ハイエースワイドミドルルーフをベース車にしたバン・コンバージョン キャンピングカー。リコルソ ホームエアコンモデルは、標準のリコルソに家庭用セパレートエアコン、200Ahリチウムイオンバッテリーなどが含まれるオプションパッケージを追加したモデルとなっている。
同社は徳島県吉野川市を本拠にするビルダーで、スタイリッシュなエクステリアでカムロードキャブコンのイメージを変えたリバティ52シリーズ、ハイエースベースのリコルソやウィズ、NV200バネットベースのカヌレ、新しい使い方の提案をしたウトネシリーズなど多岐に渡るモデルをラインアップしている。
リコルソは同社のハイエースバンコンの一つで、二人旅をテーマにしたレイアウトを採用。同社のモデルに共通する洗練されたインテリアが特徴となっている。従来家庭用のポータブルエアコンを採用していたが、今回家庭用セパレートエアコンを搭載したモデルを発表した。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエースワイドミドルルーフをベース車にするバンコンキャンピングカー。ボディ外側への架装は無く、また高さ制限のある駐車場にも入れる車高のため、日常用途にも使用できる。
ホームエアコンモデルは最新の薄型ルームエアコンと200Ahのリチウムイオンバッテリーを搭載。更に400Ahのリチウムイオンバッテリーも選択できるようになった。
二人旅に適したレイアウトを採用。冷蔵庫や電子レンジを装備でき、クルマ旅にも対応する。洗練されたインテリアを持ち、インテリアカラーは数種類から選択することができる。
アピールポイント
・一般的な5x2mの駐車枠や高さ制限のある駐車場に駐車できる車体サイズ
・洗練されたインテリア
・5種類のインテリアを選択可能
・冷蔵庫を標準装備、電子レンジをオプションで装備可能
・ホームエアコンモデルは家庭用セパレートエアコンを装備
・ホームエアコンモデルは200Ahリチウムイオンバッテリーを装備
・リアゲートのウインドウをアクリル2重窓化(OP)
ベース車とエクステリア
リコルソのエクステリア
ベース車はハイエースワイドミドルルーフ ワゴンGL。全長4840mm、全幅 1880mmで、一般的な5x2mの駐車枠に収まり、また、全高は2105mmなので、高さ制限のある地下駐車場などにも駐車できる可能性が高い。
ボディ外側への架装は無く、見た目は普通のハイエースと変わらない。オプションでリアゲートのウインドウをアクリル2重窓にすることができる
インテリア
リコルソのインテリア(ダーク)
リバティシリーズにもみられるように、同社の洗練されたインテリアには定評がある。リコルソもその例に漏れず、高い質感の室内になっている。ルーフのデザインボード(OP)にはスポットライトが埋め込まれ、間接照明(OP)でムーディーな夜の室内を演出する。
インテリアは、ライト、ブラックライン、ダーク、ファルスタースタイル、アーバンカントリー(ライト以外はOP)の5種類から選択できる。ビデオの展示車はブラックライン。
有効ボード(OP)
右側後部の窓にはオプションで有孔ボードを設置できる。収納として使用したり車内のインテリアとして好みのものを飾ったりできる。
レイアウト
前部にギャレー、後部は横座り対座ダイネットの構成で、二人旅に適したレイアウトだ。同社では両側の横座りシートがそのままツインベッドになると謳っている。もちろんゆったり就寝するにはベッドモードにすると広いべ度になる。
前向きに乗車できるのは運転席と助手席の2名だが、後部にも乗車できるので乗車定員は8名となっている。後部の6名は2点式シートベルトになる。
ダイネット
横座り対座のダイネット
横座り対座シートのダイネットで、計6名が着座できるとされているが、二人旅なら十分な広さがある。ダイネットが広いと車内で過ごす時間が長いクルマ旅でのストレスが軽減される。
このダイネットの特徴は、最後部のシートが多段階にリクライニングできること。足を伸ばして寛ぐことができる。ダイネットはただ座るだけではなく、いかに寛げるかが重要で、このようなリクライニング機構があるのは非常に有用だ。
ベッド
ベッドモード
ダイネットを展開すると1800x1660mmのベッドになる。1660mmは家庭用のクイーンサイズのはば(1600mm)以上で、2名ならゆったり就寝できる。就寝定員は3名となっている。
ベッド展開はいたって簡単で、シートバックを中央に移動するだけ。テーブルを残したままベッドモードにすることもでき、ちゃぶ台スタイルのダイネットにすることもできる。
ギャレー
ギャレーキャビネット
L字型のギャレーが前部に設置されており、ギャレーキャビネットの前は広いスペースになっている。天井高の関係で立って調理することはできないが、電子レンジで簡単な調理をしたり、食器を洗ったりすることができる。
給排水タンクは各10Lで、運転席の後部に設置されている。運転席側から出し入れするので多少扱い難い。
ギャレーキャビネットの収納
ギャレーキャビネットには2か所収納がある。一つはエントランス近くの収納で、上の写真のように開く。
電子レンジ下の収納
もう一つは電子レンジ下の引き出し収納。なお、電子レンジはオプションなので、これを選択しない場合は、電子レンジのスペースも収納になる。
冷蔵庫/電子レンジ
30Lの引き出し式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は30L引出し式が標準装備される。エントランスの横に設置されれいるので、車外からもアクセスしやすい。冷凍と冷蔵が同時にできないので、クルマ旅などで冷凍食品を保冷しながら飲み物を冷やしておきたいという要求には応えられないが、短期の出動やシティユースなら特に問題ないだろう。
電子レンジはオプション
家庭用の100V仕様の電子レンジがオプションで用意されている。1500W正弦波インバーターは通常はオプションだが、ホームエアコンモデルを選択すると標準装備される。インバーターがあれば、外部100V電源が取れないところでも、サブバッテリーの電力で電子レンジを使用することができる。
多目的ルーム
リコルソには多目的ルームは設置されていないが、緊急用にポータブルトイレを後部に積んでおくことはできる。ベッドボードの下に収納できるものがあれば、目に触れることなく積んでおくことができる。
収納
シート下の収納
先述のギャレーキャビネットの他に、左側後部のシート下の収納が用意されている。(シート前部は冷蔵庫)シートを跳ね上げて出し入れするが、シートを持ち上げた状態で保持できるのは秀逸。多くの場合、シート下収納はシートを持ち上げるのが困難だったり、持ち上がっても手で押さえておく必要があるが、リコルソのシート下収納は実用的だ。
最後部の収納
最後部にも収納が設けられている。リアゲートを開けてキャンプ用具などを積み込むのに便利だ。ベッド端のリクライニングを立てると、背の高い積載物も積み込むことができる。
リアゲートのスポットライト(OP)
オプションだが、リアゲートにスポットライトを取り付けることができる。夜に荷物の積み下ろしをしたり、車外にテーブルを出して寛ぐと言った場合に便利だ
空調
家庭用エアコンを設置可能
暖房はFFヒーターが標準装備され、冷房は、ホームエアコンモデルにはダイキンの薄型家庭用エアコン”リソラ”が装備される。運転していないときは室内機は最薄になり、圧迫感がない。
テレビ/ナビ
テレビやナビは特にオプション設定されていない。ナビは好みのものを設置できるだろう。
電装系
標準仕様のリコルソでは80AhのAGMバッテリーが標準装備されるが、ホームエアコンモデルでは200Ahのリチウムイオンバッテリーが装備される。更に400Ahのリチウムイオンバッテリーもオプションで選択できる。
その他の電装系では、走行充電、外部100V電源入力と充電機能、1500W正弦波インバーターが標準装備される(ホームエアコンモデル)。250Wソーラーシステムはオプションで装着できる。
価格(2024年3月現在:千円台切り上げ:税込)
リコルソホームエアコンモデルの車両本体価格はガソリン2WD/6ATで653万円~、ガソリン4WDは684万円~となっている。ディーゼルは無い。
リコルソホームエアコンモデルは装備が充実しているので、付けておきたい必需オプションは無いが、予算が許せば250Wソーラーシステム(198,000円)は付けておきたい。リアアクリル2重窓(231,000円)もあるとすぐに換気ができて便利だ。
また、マックスファンベンチレーター(99,000円)も付けたいところだが、付けると車高が高くなるので、高さ制限のある駐車場に入れなくなることには注意いただきたい。
他モデル
ハイエースワイドミドルルーフをベース車にし、二人旅を想定したモデルは、かーいんてりあ高橋のリラックスワゴンLCS SUPER PLUS(658万円~)、キャンピングカー長野のスペースキャンパーCool(価格不明)、レクビィのソランワイド(790万円~)などがある。
これらは全てエアコンやクーラーが装備できるが、装備の充実度やインテリアの洗練度から言うと、ソランワイドが最も近いだろう。ただし価格的にはリコルソホームエアコンモデルがかなり安価だ。
まとめ
静かで機能性のよい家庭用エアコンが搭載できることになり、リコルソを選択する理由が大きくなった。洗練されたインテリアや造りの良さの割に比較的安価なのも魅力だ。
日常用途で使いながら、休日は車中泊を伴う短期のクルマ旅に出かけるといった使い方が適しているだろう。二人での用途であれば、リコルソは極めて有力な選択肢だ。もちろん災害時のシェルターとしての備えにもなる。
あえて短所を挙げると、冷蔵庫は冷凍食品を保冷したり製氷したりしながら飲み物も冷やすということができないので、クルマ旅では多少不便ではある。もちろん飲み物を冷やしておく程度の使い方なら問題はない。
もっとも長期旅に使うことが多いなら、やはり車内で立ち上がることができるボディ形態をお勧めする。ノーマルルーフのバンコンは、日常用途の延長線上でのキャンピング用途を考えるのが良いだろう。
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