UTONE(ウトネ)500はアネックスが製作する、ハイエースワイドミドルルーフをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
UTONEは2022年10月に発表された、RIWに代わる新ブランド。ハイエースワイドミドルベースのUTONE500と、2023年2月に発表された、日産NV200をベース車にするUTONE200の2モデルがラインアップされている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエースワイドミドルルーフをベース車にしたバンコンキャンピングカー。NR(ノーマルルーフ)バージョンと、ポップアップルーフを架装したER(エレベーティングルーフ)バージョンを選択できる。
UTONEシリーズはRIWのコンセプトを継承し、更にコンテナボックスによる収納を新しいコンセプトとして採用している。
2列目と3列目にバタフライシートを配置し、対座ダイネット、リラックスモード、走行モード、ベッドモード、カーゴモードと使用目的により多様に対応できる。
アピールポイント
・ハイグレード感のあるスーパーGLグレードをベース車に採用
・ポップアップルーフにより圧迫感のない室内(ER仕様)
・リアルウッドを使用したフロア(OP)
・コンテナボックスによる新しい収納コンセプト
・6名乗車、4名+子供3名が就寝できファミリーにも対応できる(ER仕様)
・2列目と3列目にバタフライシートを採用し、多彩なシートアレンジが可能
・シートを畳んで前方に移動すると後部は大きなカーゴスペースになる
・子供用上段ベッドを設置可能
・リアゲートの窓をアクリル2重窓に変更可能(OP)
・常設コンロを標準装備
ベース車とエクステリア
UTONE500のエクステリア
ベース車はハイエースワイドミドルルーフ バン スーパーGL。ノーマルルーフとポップアップルーフを選択できる。ルーフ以外の架装は無いので、ルーフを下すとノーマルのハイエースと変わらない。
なお、オプションでリアゲートの窓をアクリル2重窓にすることができる(220,000円)。アクリル2重窓には網戸とシェードが組み込まれているほか、リアゲートを開けなくても通気性を高めることができるという利便性がある。
塗装オプションも用意されており、3種類の全塗装色が用意されている。
インテリア
UTONE500のインテリア
展示車はリアルウッドの床(OP)、アルミフレームの家具、アイボリーのシート地の組み合わせのインテリアとなっていた。照明は調光できるスポットライトと両サイドのラインLEDライトでお洒落に仕上がっている
リアルウッドの床(OP)
後部右側には有孔ボード(OP:55,000円)が設置でき、インテリアの一部として存在感を出している。また、ハンガーはコラボしているアウトドアグッズ専門店のYUDAI OUTDOOR GARAGE.製作のものを使用し、コーディネートしている。
レイアウト
計6名が前向き乗車できる
2列目と3列目にバタフライシートを配置し、床に設置されたレールで前後にスライドできる。2列目シートを前向きにすると、運転席、助手席と合わせて計6名が前向き乗車できる。
就寝はダイネットベッドで大人2名、上段ベッドでは子供3名、ルーフベッド(HR仕様)で大人2名が就寝でき、NR仕様では大人2名と子供3名、ER仕様では大人4名と子供3名が就寝できる。
更に、バタフライシートを畳んで前にスライドすると、後部は大きな荷室になり、大きな荷物を積むことができる。上段ベッドボードを外せば自転車も積み込むことができる。
また、右サイドにはアルミ製の軽量キャビネットが配置され、シンクとコンロを持つギャレーと収納になっている。
前部の大きなフリースペース
バタフライシートを後部に畳み込むと前部は広いスペースになり、ギャレー前に立って調理できる。このRIWのコンセプトを受け継ぎ、車内で調理し、車外のテーブルに運ぶといった使い方も可能だ。
ダイネット
4名が着座できるダイネット
テーブルを囲んで4名が着座できる。シート幅は900mmなので大人4名が座ると多少窮屈だが、大人2名と子供2名程度ならゆったり座れる。テーブルは4名が食事をするのに十分な大きさだ。
足を伸ばしてリクライニングするリラックスモード
テーブルを外して3列目シートをフラットにすると足を伸ばしてリクライニングするリラックスモードになる。後部にテレビを設置すると楽な姿勢でテレビが観られる。これは同様のレイアウトを持つモデルならどれでも可能だが、不思議とあまり紹介されていない。(ビデオはこちら)
ベッド
2名が就寝できるダイネットベッド
シートを全てフラットにすると、2名が就寝できるダイネットベッドになる。ベッドサイズは1900x1200mm。家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当する。(ベッド展開のビデオはこちら)
子供3名が就寝できる上段ベッド
上段ベッドは標準装備のベッドボード4枚を並べてセットする。ベッドサイズは1670x1630mmで、身長方向に1800mmを持たしていないため、子供用ベッドにカウントされ、ここでは子供3名が就寝できる。
大人が2名就寝できるルーフベッド
ルーフベッドをセットすると、ここでも大人が2名就寝できる。ベッドボードは繋がっており、ベッドのセッティングは比較的簡単にできる。ポップアップルーフには網戸とシェードがあり、ファスナーでシェードの着脱ができる。
ギャレー
1口常設コンロが一体になったコンビネーションシンク
ギャレーは右サイドに配置されている。1口常設コンロとシンクが一体になったコンビネーションシンクで、コンパクトながら実用的なものだ。RIW350ではポータブルコンロをいちいちセットする必要があったので、UTONE500のギャレーは使いやすくなった。
給排水タンクを車外から取り出せる
右側のスライドドアを開けると、ギャレーキャビネットの裏にアクセスでき、各10Lの給排水タンクを車外から直接取り出すことができる。
冷蔵庫/電子レンジ
40Lの上開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は40Lの上開き式が標準装備される。シンクの横に設置されているので調理する場合も便利だ。また、右側エントランスから近いので、車外から飲み物などを取り出すことができる。
なお電子レンジのオプション設定は無い。冷凍食品を簡単に温めて食べるというケースもあるので、あっても悪くはないのだが、スペースの点や使い方を想定した場合、そこまでは必要ないと判断されたようだ。
多目的ルーム
UTONE500に多目的ルームは無いが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくスペースは十分にある。小さな子供がいる場合などは、急な「おしっこ」に慌てなくてすむ。
収納
コンテナボックスと収納キャビネット
UTONE500で最もこだわりを感じられるのが、後部右側に設置された収納キャビネットとコンテナボックス。キャンプ用具などを機能的に収納できる。
大きいサイズのコンテナボックス
このコンテナボックスは市販のものだが、下のベースは前出のYUDAI OUTDOOR GARAGE.製作のもので、このベースはボックスの中に収納できる。食器や食材などをボックスの中に入れておき、現地に着けば足をセットしてテーブルや物置台として使用できる。(ビデオはこちら)
ボックスのサイズは各種用意されているので、内容物を分類して収納しておくことができる。季節や用途ごとに分類しておけば、行先や目的に応じてコンテナボックスを積み替えるだけで良い。
左側のキャビネット下の収納
左側のキャビネットはベッドボードの一部になっているが、その下は収納になっており、ここにも様々なものを収納しておける。車内ですぐに取り出したいものはコンテナボックスよりこちらの収納の方が便利だ。
空調
左側のキャビネット最下のFFヒーター
暖房はFFヒーターがオプションで用意されている。クーラーなどの冷房装置はオプション設定されていないが、このモデルの性格からはあまり必要ではないかもしれない。
しかし、キャンプ用途だけではなくテレワークや趣味の部屋としても使いたいというユーザーのためには、何らかの冷房手段があっても良いかもしれない。
テレビ/ナビ
テレビやナビに関しての情報は無いが、先述のリラックスモード時に見やすい位置にテレビがあっても良いだろう。また、ナビは好みのものが設置できると思われる。
電装系
標準では80AhのAGMバッテリーが1個と走行充電が装備される。また外部100V電源入力とこれによるサブバッテリーの充電機能はオプション。インバーターは400Wと1500W(いずれも正弦波)のものがオプション設定されている。また、250Wの薄型ソーラーパネルシステムがオプションで設置できる。
なお、オプションで200Ah(100Ah x2)のリチウムイオンバッテリーが用意されているが、クーラーや電子レンジなどが無いので、特に大電力の家電品を使わないなら標準装備のバッテリーで十分だろう。
むしろポータブルバッテリーをプラグインできる機能があれば、容量的にも選択できるし、キャンプ時に車外に持ち出すこともできる。将来のアップデートに期待したい。
価格(2023年6月現在:千円台切り上げ:税込)
2WD/6ATでポップアップルーフモデルが751万円~、ノーマルルーフモデルが641万円~となっている。またディーゼル2WD、ガソリン4WDも選択できる。(価格は下の仕様表をご覧ください)
付けておきたい必需オプションは、外部電源入力と充電機能(標準バッテリー用:52,800円)、インバーター(400W:55,000円、1500W:181,500円)FFヒーター(231,000円)が挙げられる。
また、予算に余裕があれば、マックスファン(99,000円)、リアアクリル2重窓(231,000円)、ソーラーシステム(198,000円)を付けておきたい。
更に、やはりリアルウッドの床(165,000円)は欲しいところだ。コンテナボックスもオプションで用意されている。(大中小 9 個 セットで77,000円)
他モデル
UTONE500と正面から競合するモデルは思いつかないが、「アウトドア」や「バンライフ」というキーワードから考えると、ハイエースワイドミドルボディでは、ダイレクトカーズのリトリートワイドミドル(525万円~:ノーマルルーフ)がある。
また、ハイエースワイドミドルボディでバタフライシートを持つモデルは、バンレボのVR480TypeⅡ(516万円~:ノーマルルーフ/670万円~:ポップアップルーフ)、ケイワークスのオーロラスタークルーズクラシックバン(620万円~:ノーマルルーフ/731万円~:ポップアップルーフ)、ダイレクトカーズのボンドポップアップルーフ(685万円~)が挙げられる。
まとめ
UTONE(ウトネ)はウゴク・トドマル・ネルからネーミングされた。即ち、キャンプ場はもちろん、仕事場やイベント基地、あるいは自宅で、様々な使い方に対応できるとしている。
そのため、使い方や行先によって変わる荷物を、コンテナボックスでパッケージングすることにより効率化している。これがRIWからの進化点だ。RIWはテーブルやチェアを車外に持ち出すことが特徴になっていたが、UTONEではこれに収納機能を追加した。
様々に変化するシートアレンジとレイアウトはファミリーで使うのも良し、一人で趣味の部屋として使うのも良し、もちろん二人での使用にも適している。
このモデルはリコルソのようなラグジュアリー志向ではない。従ってクーラーのプライオリティは高くないだろう。しかし、今日ではキャンピングカーをキャンプだけではなく、様々な使い方をしたいという要望があるし、UTONEもそれを謳っている。
であれば、UTONEのようなアウトドア志向のモデルであっても、クーラーのオプションが必要になってくるかもしれない。折角リチウムイオンバッテリーのオプションがあるので、今後クーラーのソリューションも期待したい。
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