オーロラスタークルーズクラシックバン(以下クラシックバン)は、ケイワークスが製作する、ハイエースワイドミドルバンをベース車に使用したバンコンキャンピングカー。
同社はハイエースベースのバンコンを中心に、軽キャンパーやミニバンベースのモデルまでラインアップしている。
特にハイエースラインアップは「オーロラスタークルーズ」シリーズを銘打ち、多くのモデルを揃えている。同社は特にポップアップルーフの架装を得意としており、最近では水平に全体がポップアップするエレベーションルーフも開発している。
クラシックバンはオーロラスタークルーズシリーズの中でも趣味性が強いモデルで、ノスタルジックなアメリカンをイメージしたインテリアが特徴となっている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
コンセプト
ハイエースワイドミドルバンあるいは標準ボディ標準ルーフをベース車にしたバンコンで、ポップアップルーフを架装できる。ノスタルジックなアメリカンをイメージしたインテリアが特徴で、ギャレーを持つ8ナンバー登録となっている。
2列目にマルチモードシートを配置し、5名が前向き乗車できる他、上段ベッドやポップアップルーフのベッドによりファミリーでの車中泊にも対応している。
ベンチシートを跳ね上げると、後部は広い荷室になり、バイクも積載できるトランポとしても活用できる。
電装系では、同社のモデルには標準となっているリチウムイオンバッテリーを搭載し、CTEK昇圧走行充電システムや1000Wインバーターも標準装備する。
アピールポイント
・ノスタルジックなアメリカンをイメージしたインテリア
・上質で傷に強く経年変化に強い家具とシート
・2列目にマルチモードシートを持ち、ミニバンのように日常使用にも対応
・バタフライシートを畳むとトランポとしても使用できる
・100Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備
エクステリア
クラシックバンのエクステリア
ベース車はハイエースワイドミドルバン、あるいは標準ボディ標準ルーフも選択できる。グレードはスーパーGLが標準となっており、オートエアコンなどが装備され、商用車的ながっかり感は無い。
ポップアップルーフはオプションとなっているが、ポップアップルーフは同社のモデルの特徴でもあり、是非搭載したい。
なお、最近同社のオーロラエクスクルーシブに搭載されたエレベーションルーフが搭載できるかはビルダーに確認いただきたい。(オプションリストには記載されていない)
インテリア
クラシカルなアメリカンをイメージしたインテリア
同社のモデルのインテリアはどれも高級感があるが、クラシックバンのそれはその名の通り、クラシカルなアメリカンをイメージし、同社のラインアップの中では異色のインテリアとなっている。
家具の材質は傷が付き難く、直射日光による経年変化にも強い高圧メラミン材を使用。「10年以上経過しても、経年変化による変色、色褪などはほとんどない」としている。
なお、ダークブラウンオーク木目柄とブラック系高級レザーシートのヨーロピアン仕様のインテリアなど、インテリアのカスタマイズもできる。
レイアウト
2列目に1400mmのREVOバタフライシートを配置。3列目は左側に横座り単座シート、右側には最後部まで連なるベンチシートを配置している。なお2列目シートは、オプションで1500mmに変更することもできる。
2列目シートを前向きにするとフロントシートも合わせて5名が前向きに乗車でき、日常使用ではミニバンのように使用することができる。2列目シートの両側は3点式シートベルトに対応している。
このレイアウトは3列目が横座りになっているので、後部への動線が確保できる。他モデルでは3列目シートもマルチモードシートを配置しているケースが多いが、この場合は前向き乗車人数が多くとれる反面、後部への動線が遮られるのが難点だ。
ダイネット
3列目横座りシートを採用したダイネット
2列目シートを後ろ向きにすると、3列目横座りシートとでコの字型ダイネットになり、大勢で着座することもできる。
テーブルを囲めるダイネット
また、2列目シートをフラットにし、最後部にもシートを作ると、前部に広いフラットスペースと後部にダイネットを作ることができる。小さい子供やペットがいる場合は前部が広い遊び場になる。
ベッド
2列目シートを残したままでベッド展開できる
2列目シートを残したままでベッド展開すると、最大1850x1300mm(足元は1120mm)のベッドができる。即ち、2列目シートを展開せずとも大人が2名就寝できる。
フルベッド状態では大人2名と子供2名が就寝できる
また、2列目シートも展開すると、全長2810mmのベッドになり、前部で子供が2名就寝できるスペースが加わる。もちろん長身のユーザーでもゆったり就寝することができる。
またポップアップルーフを架装した場合は、ルーフベッドでも大人が2名就寝することができる。内側に張り付けられる防寒シートもオプション設定されているので、耐寒性は向上する。
子供用上段ベッドはオプション
更に上段ベッドがオプション設定されており、1700x1160mmの上段ベッドになる。これは大人用ベッドの大きさには達していないので子供用ベッドの位置付けになるが、許容できれば大人が就寝することもできる。
ギャレー
シャワーフォーセットは引き出して車外で使用できる
ギャレーコンソールは後部左側に配置されており、天板は微妙な曲線の造形となっている。縁は金属で補強されており、自転車等を積んだ場合の擦り傷から保護している。
ギャレーコンソールにはシンクとシャワーフォーセットが装備されている。シンクは実用的な大きさで、中皿程度なら洗うことができる。またシャワーフォーセットは引き出して車外で使用することができる。
各19Lの給排水タンク
シンクの下には各19Lの給排水タンクが収納されている。蛇腹式のスライド扉が付いており、外側に荷物があっても開けやすい配慮がされている。なお、19Lのポリタンクはかなり重くなるため、持ち運び用のキャリーカートを収納しておくスペースが欲しいところだ。
ギャレーコンソールの収納スペース
また、ギャレーコンソールには、縦長の収納スペースが用意されている。棚を付ければ食器などを整理して収納しておける。
冷蔵庫/電子レンジ
クラシックバンには冷蔵庫や電子レンジは装備されていないし、オプション設定もない。このモデルのコンセプトを考えると、車内で調理することはあまり考えられないので不要との判断かもしれない。
しかし、冷蔵庫の需要はあると思われる。もちろんポータブル冷蔵庫を持ち込めば良いのだが、その置き場所は、電源や中身の取り出しやすさも含めて提案して欲しいところだ。
多目的ルーム
クラシックバンに多目的ルームは無いが、ポータブルトイレを積んでおくことは可能だ。ベッド下に収まる高さのトイレなら目につかない。
収納
後部右側ラック下の収納
クラシックバンにはオーバーヘッド収納が無いため、十分な収納スペースがあるとは言えないが、先述のギャレーコンソールの収納や、後部右側ラック下の収納(写真上)が用意されている。
なお、ベンチシートの下や、ベッド展開した場合のベッド下は大きな収納になる。ただしベンチシート下の収納へのアクセスはシート全体を持ち上げる必要があるので使い勝手は良くない。
ギャレー前の床下収納庫
最後部のギャレー前の床には、床下収納庫が設置されている。これはポップアップルーフ無しの場合、8ナンバー取得のために1600mmの高さをギャレー前に確保するためのもの。もちろん床下収納庫として使用してもかまわない。
なお、ポップアップルーフ架装車の場合は、8ナンバー取得のために床下収納庫の必要性は無いが、標準装備されている。
バイクも積める荷室
ベンチシートを跳ね上げ、2列目のバタフライシートを畳んで最前面に移動すると、全長2500mm程度の最大の積載スペースとなり、写真上のようにバイクも積むことができる。この場合は、就寝するにははポップアップルーフが必須となる。
空調
ポップアップルーフでのベンチレーション
暖房はFFヒーターがオプション設定されている。またクーラーの設定は無い。クラシックバンのユーザーの多くはそこまでの装備を求めないのかもしれない。快適性を求めるなら、オーロラエクスクルーシブが用意されている。
テレビ/ナビ
ナビゲーションセットがオプションで用意されており、フリップダウンモニターもオプション設定されている。
電装系
リチウムイオンバッテリーが標準装備の電装系
横座り単座シートの下には電装系が収納されている。同社の電装系で特徴的なのは、全車にリチウムイオンバッテリーが標準装備されていること。クラシックバンにも100Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備されている。
この他には、CTEK走行充電システム、外部100V電源入力と充電機能、2000Wインバーターが標準装備される。CTEK昇圧システムがあるので、走行充電でもリチウムイオンバッテリーを満充電にすることができる。
ただし、クーラーや電子レンジなど大電力を消費する機器が装備されていないので、リチウムイオンバッテリーの大出力の恩恵はあまり感じられないかもしれない。ポットで湯を沸かしたり、ドライヤーを使ったりする場合は有用だ。
なお、160Wと310Wのソーラーシステムがオプションで用意されている。
価格(2021年11月現在:千円台切り上げ:税込)
ワイドボディスーパーGL、ガソリン2WD/6ATの車両本体価格は580万円~。4WDは611万円~。ワイドボディ用のポップアップルーフは1,078,000円となっている。従ってポップアップルーフモデルは688万円~となる。価格表はこちら。
また標準ボディスーパーGL、ガソリン2WD/6ATの車両本体価格は555万円~。4WDは622万円~、標準ボディ用のポップアップルーフは935,000円だ。それぞれディーゼル2WDも選べる
付けておきたいオプションはFFヒーター(225,500円)くらいだが、断熱施工(143,000円)はオプションとなっている。断熱施工はあるに越したことは無いが、バンコンではガラス面積が大きいため、ボディだけ行ってもあまり効果は無い。
また、予算に余裕があればソーラーシステム(258,500円:ポップアップルーフ用310W)も装備しておきたい。
他モデル
ハイエースワイドミドルをベース車にし、ポップアップルーフを架装するモデルは、ダイレクトカーズのボンドポップアップ (658万円~)、バンレボのVR480p(578万円~)、ディアリオ(689万円~)、ホワイトハウスのコンパス(676万円~)などがある。ベース車はいずれもスーパーGL。
これらはいずれも3列目シートが前向きシートとなり、クラシックバンのようにベンチシートのものは無い。
まとめ
クラシックバンはインテリアに凝った趣味性の強いモデルで、バタフライシートと広い荷室でトランポとしても使うユーザーも多いと思われる。逆に、冷蔵庫や電子レンジの設定は無く、長期旅や滞在型の使用には向かない。
同社のモデルは、ラグジュアリーならエクスクルーシブ、多人数乗車ならエバンス、アウトドアならクラシックバンなど、コンセプトがはっきりしている。自分の用途を間違わなければ、良い選択になるだろう。
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