ファヴォライトボックスダックスはパパビルドが製作する、スズキエブリイをベース車にした軽バンコンキャンピングカー。
同社は大阪府豊中市に本拠を置くビルダーで、軽バンコンを中心にラインアップしている。最近では、タウンエースをベース車にしたファヴォライトボックス スクエアを発表、コンパクトバンコンのカテゴリーにも進出している。
同社は、ダイハツ アトレーをベース車にしたファヴォライトボックス ベース クーラーモデルに見るように、軽バンコンにもクーラー搭載を積極的に進めている。ファヴォライトボックス ダックスもその流れに沿ったモデルとなっている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
スズキ エブリィをベース車にした軽4ナンバーの軽バンコン。対座スタイルのダイネットを採用し、テーブルを囲んで4名が着座できる。収納されているエブリィの2列目シートを立てると、運転席、助手席を含めて4名が前向き乗車できる。
ただし就寝は2名なので、車中泊を伴う場合は、基本的に2名仕様となる。車載用セパレートクーラーと200Ahのリチウムイオンバッテリー、200Wのソーラーシステムが標準装備されるのも特筆される。
アピールポイント
・対座スタイルのダイネット
・車載用セパレートクーラーを標準装備
・200Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備
・200Wソーラーシステムを標準装備
・その他充実した電装系
ベース車とエクステリア
ファヴォライトボックス ダックスのエクステリア
ベース車はスズキ エブリィジョインターボ。 2WDと4WDが選択できる。2024年2月のマイナーチェンジにより、5AGS車が廃止され、4ATはCVTへ変更された。また、4WD/CVTには2WD、4WD
AUTO、4WD LOCKの走行モード切り替えスイッチを備えた電子制御式4WDも採用されている。
車体外側への架装は無いので、見た目は普通のエブリィと変わらない。また、エブリィのオリジナルの2列目シートも残されているので、日常用途では通常のエブリィ同様に大人4名が乗車できる。
インテリア
ファヴォライトボックス ダックスのインテリア
インテリアは上の写真のようなもので、落ち着いた配色となっている。インテリアカラーの選択肢については記載が無いが、できないということはないだろう。
ダウンライトと間接光の照明
照明はダウンライトと間接光を採用しており、軽バンコンとしては凝った照明になっている。また、リアゲートの内側にもダウンライトが設置されており、リアゲートを開けた下で作業をしたり、食事をしたりする場合に便利だ。
レイアウト
エブリィのオリジナルの2列目シート
対座スタイルのダイネットと後部両側のキャビネットの組み合わせ。軽4ナンバーなのでギャレーは付いていない。エブリィのオリジナルの2列目シートを立てると、通常のエブリィと同様に4名が乗車できる。
ダイネットを展開すると、ベッドモードになり、2名が就寝できる。もちろん、多くの軽バンコン同様、ベッドモードでちゃぶ台スタイルのダイネットとしても使用できる。
ダイネット
対座スタイルのダイネット
最近は軽バンコンでも対座スタイルのダイネットを採用したモデルが多くなってきたが、ファヴォライトボックスダックスも、対座スタイルのダイネットを採用しており、4名でテーブルを囲める。
テーブルはそれほど広くは無いが、ちょっとした軽食や飲み物を置くといった場合に便利だろう。
ベッド
ベッドモード
ベッド展開(動画はこちら)すると、1900x1250mmのベッドになる。1250mmの幅は、家庭用ではセミダブルベッドの幅(1200mm)以上で、大人2名が就寝できる。身長方向も1900mmあるので、長身のユーザーも足がつかえることはない。
後部に設置したテーブル
ベッドモード時は、テーブルは後部に移動でき、棚として利用できる。就寝時にベッド上の荷物で窮屈になることはない。ちゃぶ台スタイルのダイネット時は、テーブルとして使用できる。
ギャレー
ファヴォライトボックスダックスは軽4ナンバー登録なので、ギャレーは付いていない。
冷蔵庫/電子レンジ
オプションのポータブル冷蔵庫
冷蔵庫はオプションでポータブル冷蔵庫が用意されている。設置場所は、上の写真のように、助手席の背もたれを倒した平面に置く。
電子レンジはオプションリストには載っていないが、ファヴォライトボックス ベースにはオプションリストにあるので、搭載できるのかもしれない。
収納
右側後部の収納
軽バンコンなので多くの収納は期待できないが、右側後部に大きな扉付き収納が用意されている。
右側後部ベッド下の収納
ベッドの下も収納スペースになっている。この収納へは、リアゲートを開けてアクセスできる他、ベッドボードを持ち上げて上からアクセスすることもできる。なお、左側のベッド下は電装系が収納されており、開けることはできない。
前部のベッド下のスペース
前部のベッドボードの下も収納ができるスペースになっている。ベッドモードにしたときは、ここにも荷物を収納できる。ただし、対座ダイネットモードにすると、収納としては使えない。
空調
車載用セパレートクーラーを標準装備
車載用セパレートクーラーが標準装備される。また、200Ahのリチウムイオンバッテリーも標準装備されるので、クーラーを実用的に使用できる。暖房については、不思議なことにオプションリストに書かれていないが、FFヒーターはオプションで取り付けできるだろう。
4連ファンのベンチレーターもオプションで用意されている。
テレビ/ナビ
標準装備の16型テレビと4連ファンベンチレーター(OP)
16型のテレビも標準装備される。ナビは7インチナビ、バックカメラ、前後ドライブレコーダーも標準装備。ナビはオプションで10インチへの変更も可能だ。これらは多くのモデルではオプションなので、ファヴォライトボックスダックスの大きなアドバンテージになる。
電装系
先にも書いた通り、200Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される。その他の電装系として、走行充電、外部100V電源入力とチャージャー、1000W正弦波インバーター、200Wソーラーシステムも標準装備される。即ち、電装系はほぼ完璧だ。
インバーターはオプションで1500W正弦波のものに変更できる。 クーラーや電装品を同時に使う場合は1500W正弦波のものに変更しておくことをお勧めする。
外部100V電源による充電は、標準では40Aのチャージャーが搭載されているが、オプションで60Aのものに変更できる。即ち、満充電までの時間が短くなる。夜間に充電するなど、特に短時間で充電する必要が無ければ、40Aのもので十分だ。単純計算では5~6時間で満充電になる。
価格(2024年7月現在:千円台切り上げ:税込)
2WDが440万円~、4WDが456万円~となっている。
標準装備が充実しているため、付けておきたい必需オプションは無いが、先述のように1500W正弦波インバーターに変更することをお勧めする。また、(ナビ関連は除く)
他モデル
対座ダイネットを持つ軽バンコンでクーラー、リチウムイオンバッテリーが標準装備されるのは、やはり同社のファヴォライトボックス ベース(448万円~:ダイハツアトレーRS)、stage21のリゾートデュオ タイザプロⅡ(400万円~:ダイハツアトレーRS、378万円~:ハイゼットカーゴクルーズターボ)が挙げられる。
まとめ
ファヴォライトボックスダックスは4ナンバー登録でギャレーは無く、冷蔵庫もオプションと言うことから、どちらかと言えば短期間や短距離での使用を想定しているようだ。
さらに日常での用途、例えば、子供を迎えに行った待ち時間やショッピングの合間に過ごせるプライベートスペースとしても役に立つ。クーラーが付いているので、夏場でも快適な空間となる。
対座スタイルのダイネットはそのようなシチュエーションにマッチしており、ちょっとした飲み物や軽食を置くテーブルを挟んで友人とおしゃべりすることもできる。
ただし、軽バンコンはやはり1名で使用するのが理想だろう。2名で使用することが多いなら、もうワンランク上のファヴォライトボックス スクエアのほうが適している。
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