アストラーレ GX4はバンテックが製作する、トヨタハイラックスをベース車にしたクロスカントリーキャンパー。2024年7月の東京キャンピングカーショーで発表された。
同社は埼玉県所沢市の本拠を置くビルダーで、ジルシリーズやコルドシリーズなどカムロードキャブコンを主にラインアップしているが、クロスカントリーキャンパーは同社では初のカテゴリーとなる。
今回発表されたモデルはプロトタイプのため、最終的に決定されていない部分もあるが、完成度は非常に高いものとなっている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
トヨタハイラックスをベース車にし、FRP製のシェルを架装したキャブコンキャンピングカー。形態はキャブコンだが、特に走破性を特徴としているため、クロスカントリーキャンパーというカテゴリーとなる。
シェルにはバンクがあるがバランスが良く、精悍で洗練されたエクステリアが魅力。エントランスはバックにあり、横座り対座ダイネットとギャレー、サニタリールームを配置する。
アピールポイント
・ハイラックスをベース車に持つ走破性
・精悍で洗練されたエクステリア
・間接照明やグラスケースなど、豪華で優雅なインテリア
・大型スカイルーフ設置可能(OP)
・展開してもダイネットが使えるバンクベッド
・冷蔵庫と電子レンジを装備可能
・ECOFLOW WAVE2ポータブルエアコンを標準装備
・ECOFLOW3.6KWhのポータブル電源を標準装備
・シャワーと専用手洗いがあるサニタリールーム
ベース車とエクステリア
アストラーレGX4のエクステリア
ベース車はトヨタ ハイラックス。 これにFRP一体成型のシェルを架装している。シェルはバンクを持つスタイルだがバランスが良く、精悍で美しいスタイリングとなっている。
ハイラックスの荷台部分をカットしてシェルを架装する手法のため、ハイラックスの2列目シート部は残されている。
インテリア
GX4のインテリア
精悍なエクステリアに対し、間接光をふんだんに使った優雅な印象のインテリアとなっている。
ダイネットのグラスケース
特にダイネット前部右側にあるグラスケースは、インテリアの豪華さを引き立たせている。同社のジル ノーブルにも見られるアイテムだ。
レイアウト
エントランスは最後部にあり、バックエントランスのレイアウトとなっている。横座り対座ダイネットを中心に、前部にバンクベッド、後部にギャレーとサニタリールームを配置する。
ハイラックス自体の2列目シートも生かされており、運転席、助手席を含めて4名が前向き乗車できる。ダイネットの横座りシートには乗車できない。
ダイネット
ダイネット
横座り対座スタイルのダイネットを採用。4名がゆったり座れる。展示車にテーブルは無かったが量産車では用意される予定。
左右両側にアクリル2重窓があり、明るいダイネットになっている。
ベッド
バンクベッド
バンクを持つ外観のため、バンクベッドはフロントシートの上部に位置している。このため、バンクベッドを展開してもダイネットが使用できるのがメリット。
ベッド展開はユニークで、ロックを解除して後部に回転するイメージ(動画はこちら)。最初は少し戸惑うかもしれないが、慣れると意外に簡単かもしれない。
ダイネットベッド
ダイネットも展開してベッドになる。こちらの展開方法もユニークで、ダイネットシートの座面より高い位置にベッド上面が設置される。
バンクベッドもダイネットベッドもベッドサイズは未定とのことだが、上下段で大人3名と子供2名が就寝できるとしている。
ギャレー
ギャレーセクション
ギャレーは後部左サイドに配置されており、シンクとフォーセットが設置されている。シンクを開けたままコンロを置くのは難しそうだ。給排水タンクの位置は確認していないが、各60Lの容量を持つ。シャワーを使っても十分な容量だ。
冷蔵庫/電子レンジ
50L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は50L横開き式が標準装備される。製氷・冷凍と冷蔵が同時にできる。エントランスドアを開ければ車外から直接アクセスできる位置に配置されている。
電子レンジも設置できる
家庭用の100V仕様の電子レンジが、ギャレーキャビネットの上部に設置できる。これはまだ標準装備かオプションか未定とのこと。標準装備のポータブル電源から100Vが取れるので、外部電源が無いところでも電子レンジを使用できる。
サニタリールーム
引き出して広くなるサニタリールーム
後部右側にはサニタリールームが配置されている。ここにはギミックがあって、ルームの前面を引き出すことにより、サニタリールームの内部を拡張することができる。スペースの有効活用の面では優れたアイデアだ。
ただし、今後ロック機構などが追加されるかどうかは不明だが、トイレを使用する前に面倒な作業はできるだけ簡単にできることが望まれる。
ラップ式トイレ
展示車にはラップ式トイレが設置してあったが、これは標準装備かオプションかは未定。通常のポータブルトイレを望むユーザーのために、オプション設定でも良いだろう。
シャワーも用意されている
サニタリールームにはシャワーと専用の手洗いも設置されている。ただし、シャワーは残念ながら温水ではなく、冷水になる見込みとのこと。温水ボイラーの設置スペースは厳しいのかもしれない。
収納
ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
ダイネットの両側にオーバーヘッド収納が設置されている。収納スペースは多いほど良いが、特に長期旅の場合は収納が充実していると車内が荷物で煩雑になることはない。
シート下も収納になるのかもしれないが、ここは未確認。ベッドへの展開機構があるので、収納スペースがあるのかどうか今後確認したい。
空調
ポータブルエアコンを標準装備
冷房はECOFLOWのWAVE2というポータブルエアコンを標準装備する。これはヒーターの機能もあるのでクーラーではなくエアコンとされているが、GX4にはFFヒータも標準装備されている。FFヒーターの方が効率が良い。
なおクーラーを使用する場合は、車外に出て吸排気口を開ける必要があるようだ。雨の日や暑い日中に車外に出るのは億劫ではある。ベンチレーターはマックスファンが標準装備される。
テレビ/ナビ
大きさは不明だがテレビ自体はオプションで用意されるだろう。テレビ設置用のステーは標準で設置されている。
電装系
サブバッテリーとして、ECOFLOWの3.6KWhのポータブル電源が標準装備されている。Ahに換算すると、約300Ahに相当するので、クーラーを実用的に運転することができる。
走行充電や、外部電源入力とチャージャーも標準装備される。インバーターはポータブル電源に内蔵されているので、単独のものは不要だ。ソーラーシステムもオプションで搭載できるそうだが容量は未定とのこと。
価格(2024年7月現在:千円台切り上げ:税込)
ディーゼル4WDのみで、東京キャンピングカーショーでの価格表示は1210万円~とされていた。
標準装備が充実しているため、付けておきたい必需オプションはほとんど無いが、電子レンジがオプションになれば、特にクルマ旅では付けておくと便利だ。(ナビ関連は除く)
なお、スカイルーフ(Sky View)は165,000円とされていた。
他モデル
ハイラックスをベース車に、シェルを架装したモデルは、2023年に発表されたダイレクトカーズのBR75シリーズが挙げられる。
ダイレクトカーズBR75-B
ハイラックス Z "GR SPORT"を使用したBR75-G(1245万円~)、ハイラックスZを使用したBR75-Z(1098万円~)、そしてその後追加されたBR75-B(998万円~)がある。
BR75-GとZはリアエントランス、BR75-BはGX4と同じバックエントランスとなっている。
MYSミスティック J-Cabib H
カテゴリーは異なるが、MYSミスティックのJ-Cabin Hも選択肢になるかもしれない。これはハイラックスに搭載できるトラックキャンパーで、シェルは荷台に積み下ろしができる。
シェルは荷物の扱いなので、走行中は乗車できないし、そもそもハイラックスの車内からシェルへは直接行くことはできない。しかし、シェルを下すとハイラックスは元のカタチで使用できるというメリットがある。
まとめ
ダイレクトカーズのBR75シリーズに加え、バンテックからも魅力的なハイラックスベースのクロスカントリーキャンパーが発表された。ユーザーにとっては嬉しい選択肢の出現となる。
どちらを選ぶかは「ハイラックスに乗りたい+キャンピングカーが欲しい」というユーザーには嬉しい悩みとなるが、ハイラックスはそのままのカタチで乗りたいというユーザーはJ-Cabin
Hという選択肢もある。
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