ハイラックス BR75-Bは、ダイレクトカーズが製作する、トヨタハイラックスをベース車にしたキャブコンキャンピングカー。
同社は軽キャブコンからカムロードベースのフルサイズキャブコンまでラインアップする総合ビルダーで、特にハイエースは多数のレイアウトをラインアップしている。
ハイラックスをベースにしたキャブコンは、2023年2月に開催されたジャパンキャンピングカーショー2023で、「ハイラックス BR75-G」と「ハイラックス BR75-Z」の2モデルを発表している(動画はこちら)。
今回発表された「ハイラックス BR75-B」はこのラインアップの追加モデルの位置付けとなる。ハイラックスベースのキャブコンは今までになく、同社が開拓する新しいカテゴリーとなる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイラックスをベース車にし、シェルを架装したキャブコンキャンピングカー。すでに発売されているハイラックスBR75-GとBR75Zの追加モデルの位置付け。外観のデザイン性、充実した装備、走破性を併せ持つ、新しいカテゴリーのモデルとなる。エントランスはバックに変更されている。シェルにはポップアップルーフを標準装備、圧迫感の少ない室内を可能にしている。
ハイラックスの2列目シートをそのまま使用し、5名が乗車可能。居住部には横座り対座シートのダイネットと後部両側にギャレーキャビネットを配置するが、BR75-GとBR75-Zにある多目的ルームは廃止されている。
上段ベッドが用意されており、下段ベッドと合わせて4~5名が就寝できる。オプションで車外で使えるギャレーも組み込むことができる。
アピールポイント
・ハイラックスをベース車にした精悍な外観と優れた走破性
・ポップアップルーフで圧迫感のない室内
・上段ベッドを持ち、計4~5名が就寝できる
・多目的ルームを持たないレイアウトで、後部両側にギャレーキャビネットを配置
・冷蔵庫、電子レンジなどより充実した装備
・車載用セパレートクーラーを設置可能(OP)
・200Ahリチウムイオンバッテリーを標準装備
・両側にオーバーヘッド収納を設置
ベース車とエクステリア
ハイラックスBR75-Bのエクステリア
ベース車はトヨタ ハイラックスのZグレード。これにポップアップルーフを架装する。すでに発売されているBR75-GとBR75-Zが左側後部のリアエントランスだったのに対し、BR75-Bは最後部にエントランスが移動した。
ボディ色はブラックかホワイトが標準だが、ベージュなど他のカラーの全塗装はオプションとなっている。
インテリア
BR75-Bのインテリア
全体的にシックなインテリアカラーを採用し、精悍さは室内のインテリアにも反映されている。家具色やシート色の変更は設定されていない。
レイアウト
大きな変更点はリアエントランスからバックエントランスに変更されたこと。乗り降りにはラダーが必要になる。室内は横座りの対座ダイネットを中心に、後部両側にギャレーキャビネットを配置する。
もう一つの大きな変更点は、BR75-Z/Gにあった多目的ルームが廃されたこと。その分広々感があり、ギャレーの装備も充実された。
キャブコンなので、運転席、助手席から居住部へは車内で移動できる。ハイラックスの2列目シートはそのまま残されており、計5名が前向き乗車できる。前部には跳ね上げ式の上段ベッドが標準装備されており、下段のダイネットベッドと合わせて4~5名が就寝できる。
ダイネット
横座り対座のダイネット
横座りの対座ベンチシートスタイルのダイネットを採用。6名程度でテーブルを囲むことができる。テーブルは大きく、4名程度で食事をすることもできるだろう。両側には大きなアクリル2重窓があり、明るいダイネットになっている。
ベッド
下段ベッド
テーブルを取り外し、ダイネットシートの背もたれを中央に移動するだけで下段ベッドが完成する。横座りシートなのでダイネットからベッドへの展開は比較的楽に行える。ベッドサイズは不明だが、大人が2~3名就寝できる。
大人が2名就寝できる上段ベッド
上段ベッドもサイズは不明だが、ここでも大人が2名就寝できる。よって就寝人数は4~5名となっている。上段ベッドの設置は多少コツがいるが、それほど労力を必要とするものではない。(動画はこちら)
ギャレー
カバーがスライドできるギャレー
多目的ルームが無くなった代わりに、後部両側にキャビネットが設置されており、左側にはシンクとフォーセットがビルトインされている。このキャビネットは上の写真のようにカバーがスライドでき、天板は調理台として使える。
シンクはコンパクトだが、マグカップなど小さな食器を洗うことができるだろう。ただし、使いやすい位置ではなく、調理に向いたギャレーではない。しかし、このモデルのコンセプトから考えると、調理向きのギャレーはあまり重要ではないだろう。
アウトドアシンク(OP)
オプションで車外のギャレーを設置できる。アウトドアシンクと名付けられているもので、右サイド後部のゲートを跳ね上げ、シンクユニットを引き出すとセットできる。
シンクにはシャワーフォーセットも付いており、引き伸ばして高い位置に固定すると、シャワーを使うことができる。車外なので使える場所は限られるが、海水浴のあとなどには便利かもしれない。
なお、このシンクの奥にはボイラー、その横には固定の水タンクが設置されていたので、温水も使用できるようだ。ただし、これらは仕様表に記載されておらず、詳細は不明。
シンクの下の排水タンク
車内のシンクの下には、20Lの排水タンクが収納されている。車外から直接出し入れできるので便利だ。
冷蔵庫/電子レンジ
85Lの両開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は85Lの両開き式が標準装備される。両開き式なので、室内からはもちろん、車外からもアクセスしやすい。なお、仕様表には冷蔵庫は標準装備となっていたが、BR75-Zは冷蔵庫がオプションなので、このあたりはまだ未定なのかもしれない。
電子レンジは標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。電子レンジは8ナンバー取得のための調理器具として、コンロの代わりとして認められており、そのため標準装備になっている。
多目的ルーム
BR75-Bでは、BR75-G/Zにあった多目的ルームは廃されている。多目的ルームは不要と言うユーザーにはBR75-Bが適している。BR75-Bの追加で、多目的ルームの有無の選択ができるようになった。
収納
ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
両側にオーバーヘッド収納が設置されている。BR75-G/Zでは右側は扉付きではなかったが、BR75-Bでは両側とも扉付きになった。ハイラックスをベース車にし、外観もスマートなので、車高はトリップに比べて440mmも低いが、オーバーヘッド収納がしっかり設置されているのは嬉しい。
後部右側のキャビネット下の収納
それ以外には、後部右側のキャビネットの電子レンジの下が収納になっている。これも扉付きなので、食器などを収納しておいても走行中に落下することは無い。
空調
車載用セパレートクーラー(OP)
BR75-G/Zでは家庭用エアコンが採用されていたが、BR75-Bでは12Vの車載用クーラーがオプションで設定されている。室外機は床下に設置される。また暖房はFFヒーターが、これもオプションで用意されている。
テレビ/ナビ
テレビは仕様表に記載されていなかったが、BR75-Zにあるようにオプションで用意されるかもしれない。ナビは好みのものが設置できるだろう。
電装系
青い箱がリチウムイオンバッテリー
200Ahのリチウムイオンバッテリー、CTEK走行充電システム、外部電源入力と充電機能、1500W正弦波インバーターが標準装備される。200Wのソーラーシステムはオプション。
外部で100Vの機器を使えるよう、車外にコンセントが用意されている。
価格(2023年12月現在:千円台切り上げ:税込)
BR75-Bの車両本体価格は998万円~とされていた。BR75-Zが1098万円~、BR75-Gが1245万円~なので、若干安価な値付けとなっている。
付けておきたい必需オプションは、車中泊をするならFFヒーター、クーラーは付けておきたい。また、予算があれば200Wソーラーシステムも付けておきたい装備だ。
他モデル
MYSミスティックのJキャビンH
ハイラックスベースのキャブコンは他にないが、似たコンセプトのモデルとしてMYSミスティックのJキャビンH、HNを挙げておく。これらはトラックキャンパーなのでカテゴリーは異なるが、おそらくレイアウト的に最も近いモデルだろう。
レイアウトは似ているが、最も異なる点は、トラックキャンパーでは運転席、助手席とシェル部との行き来ができない点。シェル部へ移動する場合は一度車外に出る必要がある。
しかしトラックキャンパーでは、シェルの着脱ができ、必要に応じてハイラックスの元の姿で使用できる。価格はHNで309万円~だが、これはシェル部のみ。ベース車のハイラックスZは408万円~なので、合わせて717万円となるが、それでもBR75-Bに比べると安価だ。
まとめ
ハイラックスBR75-Bはキャンピングカーとしては非常にユニークな存在だ。何よりそのカッコよさが購入動機の大きな部分を占めるだろう。また走破性も他のキャンピングカーにない要素で、悪路や雪道を走行する機会が多い場合は安心だ。
ただし、クルマ旅で装備や居住性を求める場合は、やはりトリップシリーズのようなキャブコンが有利だ。その意味ではBR75シリーズはかなりマニアックなユーザーが対象になるだろう。
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