ホビクル タウンランダーは、レクビィが製作する、トヨタ タウンエースをベース車にしたコンパクトバンコンキャンピングカー。
同社は愛知県瀬戸市に拠点を置くビルダーで、バンコンを中心にラインアップしている。2024年2月のジャパンキャンピングカーショーでは、同社初のタウンエースベースのバンコン、コットとホビクル タウンランダーを発表した。
ホビクル タウンランダーは同社のRBL(RECVEE BLUE LINE)というカテゴリーに属しており、ユーザーが使用目的に応じて車内をアレンジし、よりアクティブなアウトドアライフを楽しめるモデルとしている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
トヨタタウンエースバンをベース車にするバンコンキャンピングカー。2列目に3人掛けのマルチモードシートを設置し、5名が前向き乗車できる。2列目シートを後ろ向きにすると5名が対座できるダイネットになる。
ダイネットを展開するダイネットベッドと、子供用の上段ベッドを設置でき、大人2名と小さな子供なら1名が就寝できる。小さな子供がいるファミリーにも対応できる。
後部に、着脱できるコンパクトなギャレーキャビネットを設置する。標準では電装系を持たず、オプションで入出力コネクタを設置してポータブル電源を接続できる。
装備はシンプルで、日常用途に使用しながら休日はキャンプやドライブに行くといった使い方に適している。
アピールポイント
・コンパクトなボディサイズで取り回しが楽
・5名乗車でき、日常用途にも使用できる
・上段ベッドで小さな子供なら就寝可能
・必要に応じてポータブル電源を電装系に使用
・着脱できるギャレーキャビネット
ベース車とエクステリア
ホビクル タウンランダーのエクステリア
ベース車はトヨタ タウンエース バンGL。GLグレードなので、ボディ同色バンパーや電動格納式ミラー、パワーウインドウ、リモコンキーなどが標準装備される。2WDと4WDが選択できる。
外観は基本的にはノーマルのタウンエースと同じだが、後部左右ウインドウにカッティングシートが施されており、窓は塞がれている。また、オプションでハーフ塗装とデカールが可能で、お洒落な外観になる。
インテリア
ホビクルタウンランダーのインテリア
家具や腰板には、コットやソランと同様の、明るい木目の木材を使用し、カジュアルなインテリアとしている。シート地は、かわいらしさを出したコットと異なり、落ち着いたベージュ系のシートを採用している。
シーリングボードとダウンライト
照明はシーリングボードに6個のダウンライトが埋め込まれており、個々のダウンライトは独自にオンオフと調光ができる。
アレンジして楽しめる
後部左右のウインドウの内側にはモールシステムボードが設置されており、収納としてあるいは好みのものを飾ってインテリアの一部として楽しめる。
レイアウト
ドライブモード
2列目に3人掛けのマルチモードシートを配置し、乗車定員5名で全員が前向き乗車できる。3点式シートベルトは2列目シートの両端と運転席、助手席で、4名が着用できる。
後部のレイアウト
後部は大きな荷室として使用でき、キャンプ用具など大きな荷物も積み込むことができる。最後部左側には着脱できるギャレーキャビネットを設置している。
ダイネット
5名が対座できるダイネット
2列目シートを後ろ向きにすると、5名が着座できる対座ダイネットになる。後部のシートはベッドボードを使用した簡易シートで背もたれは無い。
後部にベッドボードを敷き詰めて2列目シートをリクライニングさせると足を伸ばして寛ぐことができる。
ベッド
上下段のベッド
ダイネットをベッド展開すると、1830x1200mmのベッドになる。1200mmの幅は、家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当する。
上段ベッドは左右に設置されたベッドレールエクステンションラダーという金具を引き出してセットする。このシステムは、通常は邪魔にならないように収納されているが、上段ベッドをセットする場合引き出し、オプションのベッドマットを追加するとベッドサイズを拡張することができる。
上段ベッドのサイズは標準では1420x1360mmで、小さな子供用、あるいは就寝時の荷物置き場として利用できる。
ギャレー
各10Lの給排水タンクが収納されている
後部左サイドに設置されたギャレーキャビネットには、シンクとシャワーフォーセットが設置されている。シャワーフォーセットは引き伸ばして車外で使用できる。キャビネットの下には、各10Lの給排水タンクが収納されている。
ギャレーキャビネットは着脱できる
このギャレーキャビネットのユニークな点は着脱できること。工具不要でネジを外すだけでギャレーが分離され、車外で使うことができる。キャンプ時などで重宝するが、日常用途で多くの荷物を運びたい場合などでもギャレーを外すと更に多くの荷物が積める。
冷蔵庫/電子レンジ
ホビクル タウンランダーには冷蔵庫や電子レンジのオプション設定は無い。このモデルのコンセプトから考えるとこれらはあまり重要な要素ではないが、必要な場合はポータブル冷蔵庫を乗せることはできる。
多目的ルーム
多目的ルームももちろん無いが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくスペースはある。小さい子供がいる場合は重宝する。
収納
後部の広いカーゴスペース
扉の付いた収納は無いが、後部は広いカーゴスペースとなる。先述のように、ギャレーキャビネットを取り外すと、小型の自転車等も積み込むことができる。
空調
暖房はFFヒーターがオプションで設置できる。これはFFヒーターと外部電源入力コンセント、ポータブル電源用の車内の入力コンセント、ポータブルバッテリーを充電用の出力コンセントなどがパッケージになっている。
冷房に関してはオプション設定は無い。コットも同様だが、やはり最近ではクーラーやエアコンは必需品となりつつある。将来オプション設定されることを期待したい。なお、マックスファンベンチレーターがオプション設定されている。
テレビ/ナビ
11.6型のフリップダウンモニターが設置できる(OP)
11.6インチのフリップダウンモニターがオプション設定されている。ナビはオプションで設置できる。
電装系
ホビクルタウンランダーは標準では電装系は装備されていない。必要な場合は、ポータブル電源を持ち込むことになる。その場合は、先述のFFヒーターパッケージを選択する必要がある。
ポータブル電源はユーザーが用意する必要があるが、FFヒーターパッケージを搭載していれば外部電源からの充電が可能だ。
価格(2024年4月現在:千円台切り上げ:税込)
2WDが410万円~、4WDが438万円~となっている。付けておきたい必需オプションは使用目的によって異なるが、車中泊をしたい場合はFFヒーターパッケージを付けておきたい。(ナビ関連は除く)
他モデル
タウンエースをベース車にするバンコンは非常に多く存在する。しかし、ホビクル タウンランダーと全く同じようなレイアウトやコンセプトのモデルは見当たらない。
近いかもしれないと思われるモデルを挙げてみると、キャンパー鹿児島のリベロ(価格不明)、AtoZのアンナ モデルE リフトアップカスタム、フィールドライフのロビー(491万円~)、そしてNV200バネットベースだがアネックスのウトネ200(416万円~)あたりが考えられる。なお、アンナ モデルE リフトアップカスタムは、アンナ モデルEを含め、現在はラインアップから消えている。
まとめ
ホビクル タウンランダーはシンプルな装備だが、その分ユーザーが自分好みに仕立て上げていく自由度が高いモデルだ。同時に発表されたコットはリチウムイオンバッテリーを含む電装系を標準装備し、49L横開き式冷蔵庫も標準装備する。
一方ホビクルタウンランダーは電装系は標準装備ではなく、冷蔵庫も持たない。どちらも日常用途に適している点は同じでも、キャンピングカーとしての方向性が全く異なっている。
クルマ旅を考えているユーザーはタウンランダーは対象外だろうし、シンプルさを求めるユーザーはタウンランダーに魅力を感じるだろう。ただしタウンランダーはシンプルだからといって安っぽいわけではなく、デザインや作りは同社の他のモデルと同等のクオリティを持っている。
従って、冷蔵庫や電装系がないからと言って、それが欠点ということは無い。それがコンセプトだからだ。ただし、クーラーのソリューションは欲しい。シンプルが良いと言っても、夏の暑さは誰にとっても不快だし、危険でもあるからだ。今後のオプション設定に期待したい。
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