Robby(ロビー)はフィールドライフが2022年ジャパンキャンピングカーショーで発表した、ダイハツグランマックス(タウンエースの姉妹車)を使用したバンコンキャンピングカー。
同社はセミフルコンの「シリウス」と、「バロッコ」のような軽キャンパーの両極端のカテゴリーをラインアップしている、ユニークなビルダーだ。
今回発表した「ロビー」はグランマックスをべース車に使用しており、同社としては軽キャンパーの一クラス上の新しいカテゴリーになる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
コンセプト
ダイハツグランマックスをベース車にした、コンパクトながら軽キャンパーよりも余裕のある車体サイズで、運転しやすく、かつ軽バンコンよりも広い室内を持つ。
ギャレーを持たない4ナンバー登録で、2名が就寝できる。ベッドマットを車外に持ち出すと、テーブルと椅子になり、手軽に車外にリビングが完成する。なお、シンクと給排水タンクはオプションで装備できる。
エントランス部の床は防汚、防水になっており、土足のまま車内に入ることができる。キャンプなどでは車外と車内をシームレスに行き来することができる。
アピールポイント
・コンパクトながら軽キャンパーよりも広い室内。
・ベッドボードが車外テーブルと椅子になる車外リビング設計
・防汚、防水のエントランスフロア
・豊富な収納
エクステリア
ロビーのエクステリア
ベース車はダイハツ グランマックスで、グレードはカーゴGL。4WDも選択できる。このクルマはトヨタ タウンエースの姉妹車で、内容は同じもの。軽キャンパーより大きく、ハイエースより小さいサイズで、運転しやすい。
窓埋めと丸窓を装着できる(OP)
なお展示車の最後部両側の窓は窓埋めされていたが、これはオプション(21,000円)。更に、左側には丸窓が付いているがこれも別オプション(48,400円)となっている。
またサイドオーニングもオプション(229,625円)で付けることができる。
インテリア
白と青を組み合わせたインテリア
全体的にシンプルな室内だが、展示車は青いシートと白の家具が美しく調和していた。収納キャビネットの天板とルーフのウッドボードは木目調で、ウッドボードにはLEDのスポットライトが埋め込まれている。インテリアカラーの変更については不明。
防汚防水対応エントランスフロア
特徴的なのがエントランスフロア。防汚、防水対応になっており、土足で車内に上がることができる。ダイネット部のフロアは木目調のクッションフロアで、こちらは靴を脱いで上がる想定。
なお、エントランスフロアは防汚、防水対応ではあるが、汚れたら水を流して洗うというわけにはいかないようだ。
後部両側の窓は窓埋めされているが、内側にはパンチングボードを取り付けることができる(OP:18,700円)。お気に入りのグッズを飾ったり、アクセサリーなどを引っかけておくことができる。
コーディネートされた運転席、助手席のシートカバー
また、運転席、助手席のシートカバーは標準で後部シートと同色にコーディネートすることができる。
レイアウト
前部には移動式のベッドフレームが2脚あり、これらは車外に持ち出してベンチとテーブルとして使える。
車内後部には、右側にベンチシート、左側に収納キャビネットが設置されている。ただし、後部のベンチシートには運転中は乗車できず、乗車定員は運転席と助手席の2名のみ。
また、シートをフラットにすると計2名が就寝できる。即ち、二人使用を対象としたレイアウトになっている。
ダイネット
ベンチシートのダイネット
後部のベンチシートがダイネットシートになるが、前部のベッドフレームももちろんダイネットシートとして使える。テーブルは、収納キャビネットの一番上の引き出しを引き出すと大きなテーブルになる。
ベッド
簡単にセットできるベッド
二つのベッドフレームを並べ、後部ベンチシートのシートバックをベッドボードとして移動すると、1960x1030mmのベッドができる。ベッドセッティングはきわめて簡単にでき、マルチモードシートのように就寝前に一仕事する必要はない。
ベッド長は1960mmあるので長身のユーザーでも足を伸ばして就寝できる。ただし、ベッド幅は家庭用ではシングルベッドの幅(970mm)より多少広い程度なので、二人で就寝すると少し窮屈かもしれない。
ギャレー
展示車にはギャレーが付いていなかったが、オプションで付けられるようだ。どのようなものがどのように設置されるのかは不明だが、電装パックとセットで装備されるようだ。
ただし、このクルマの使い方として、キャンプ場で車外にベンチシートとテーブルを持ち出して過ごすのであれば、ギャレーはあまり必要でないかもしれない。ギャレーがオプションとなっているのも、そのような意図からと思われる。
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫や電子レンジはオプション設定されていないが、冷蔵庫はポータブル冷蔵庫を持ち込むことは可能だ。電装パック(OP)を装備すれば、電源も確保できる。
多目的ルーム
ロビーには多目的ルームは無いが、ポータブルトイレを積んでおくことは可能だ。常時ベッド状態にして、ベッドの下に置けば目に触れることは無い。ただし一人で使用しているとき以外は使えないだろう。
収納
キャビネットの収納
後部左側にキャビネットが、丸ごと収納になっている。このクルマのサイズにしては他に類をみないほど収納が豊富だ。もちろんこれはギャレーが無いことも関係している。
ベンチシート下の収納
また、これ以外にもベンチシート下は大きな収納になっている。展示車ではここにポータブルバッテリーが設置してあったが、それでも十分広い収納スペースが残されていた。
車外からアクセスできる後部の収納
更に後部左側には、リアハッチを開けると車外からアクセスできる収納も用意されているし、エントランス横にはシューズボックスや傘立ても用意されている。
空調
暖房はFFヒーターがオプションで設定されているが、冷房のソリューションは無い。このクルマのコンセプトは車外にあるので、冷房はあまり意味がないのかもしれない。夏は涼しいキャンプ場で過ごすというのが、お勧めの使い方だろう。
テレビ/ナビ
19型のテレビがオプション設定されている。設置位置は不明だが、収納キャビネットの上あたりが考えられる。
ナビはパナソニック製の7型と9型のSDナビがオプションで用意されている。
電装系
ポータブルバッテリーをシステム電源として使える
電装系は「電装Aパック」、「電装Bパック」、「電装Cパック」としてオプション設定されている。電装AパックはJVCの626Whポータブルバッテリーと走行充電用DCソケット、電装Bパックは105Ahサブバッテリーと走行充電、および外部100V電源による充電、電装Cパックは上記AとBパックに加え、JVCポータブル電源が1000Whに変更される。
どの電装パックが適しているかは使い方次第だが、ポータブルバッテリーがあると車外で使えるので、特にキャンプのシチュエーションでは便利だ。加えてポータブルバッテリーはリチウムイオンバッテリーなので効率も良い。
1泊だけのキャンプならAパックでも十分だろう。またマンション住まいなどで家庭の駐車場で外部100V電源から充電できない場合は、ポータブル電源がお勧めだ。なお、CTEK昇圧システムがオプション設定されている。
更にフレキシブルソーラーシステムもオプションで用意されているが、ワット数は不明。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
2WD/4ATで352万円~、4WDで380万円~となっている。
付けておきたいオプションは、FFヒーター(価格未定)が挙げられるが、FFヒーター装着時は電装BパックかCパックが必要になる。(いずれも価格未定)ベッドだけあればよいという場合でも、多少の追加出費になるがFFヒーターがあると快適に就寝できる。
他モデル
タウンエースやその姉妹車を使用したバンコンは数多くあるが、2名乗車に割り切ったモデルは少ない。
二人旅を想定したモデルはstage21のリゾートデュオルクシオ(344万円~)とフロットモービルのシュピーレン(価格不明)があり、ミニシンクや冷蔵庫、電子レンジが標準装備される。
ただしこれらはロビーとはコンセプトが異なり、装備が充実したクルマ旅を想定したモデルだ。
まとめ
ロビーはクルマ旅を想定したモデルではない。シンクや冷蔵庫、電子レンジなどの装備は省いてシンプルにし、車外もリビングの一部として使い、車外と車内をシームレスに連続させた使い方を想定している。コンセプト的にはアネックスのRIW200(394万円~)に近いかもしれない。
ロビーはベッドボードが車外でベンチシートやテーブルとして使え、車外での楽しみを提案する興味深いコンセプトのモデルだ。マルチモードシートを省いたため二人しか乗車できなく、日常使用で4名乗車はできないが、割り切ったために得られた広々感もある。
二人だけでのキャンプか、あるいはソロキャンプに向いているが、使い方が合致するユーザーなら有力な選択肢だろう。
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