KONG(コング)はフィールドライフが製作する、スズキ エブリィをベース車に使用した軽バンコンキャンピングカー。同社はセミフルコンと軽キャンパーという大小両極端ラインアップを持つビルダー。最高峰のセミフルコンの製作技術が軽キャンパーにも生かされている。

オプションの「ブラックカラー」の家具色
コンセプト:2列目にマルチモードシートを採用。軽バンコンでよくある、オリジナルのシートを倒して上にベッドマットを敷く手法と差異化を図っている。長距離旅というよりも、釣りや趣味の基地として、あるいはファミリーでの近場の車中泊が似合っている。
エクステリア: ポップアップルーフとエレベーションルーフを選択できる。ルーフを下ろせば普通のエブリィと変わらないので、日常使用にも違和感がない。ベース車はエブリィの全グレードを選択できる。なお、ルーフのボディ同色ペイントはオプション(60,000円:税別)
インテリア: ビデオの展示車はオプションの「ブラックカラー」の家具を使用しているが、標準色は明るいナチュラルカラー。またシート地も選択できる。

2列目シートはマルチモードシートを搭載
レイアウト:2列目にマルチモードシートを持ち、前向きにセットすると、運転席、助手席を含め4名が前向き乗車できる。後部両側には収納家具を配置し、右側の家具にはコンパクトなギャレーを装備する。

2列目シートを後ろ向きにしたリクライニングモード
ダイネット:マルチモードシートを後ろ向きにすると、後部のベッドマットと連続するので、足を伸ばして寛ぐことができる。ダイネットは長時間過ごす場所なので、実際にどのような体制で寛げるかは重要なポイントだ。意外に、このようなアイデアを盛り込んだモデルは少ない。コングの大きなアドバンテージと言える。

右サイドのギャレーコンソール
ベッド:2列目シートをフラットにすると、後部のベッドマットと合わせて、1,800x900mmのフロアベッドとなる。家庭用のシングルベッドの大きさで、1名ならゆったり就寝できる。
ルーフベッドは1,800x1,000mmの大きさで、ここでも大人1名が就寝できる。二人で使用するなら、上下に分かれるとゆったり就寝できるし、小さい子供のいるファミリーでも車中泊できる。

コンパクトなギャレー 左側に折り畳み式テーブルがある
ギャレー: 後部右側の収納家具がギャレーコンソールになっており、コンパクトなシンクとフォーセットが標準装備される。オプションで引き出し式シャワーにすると、車外に引き延ばして使うことができる。ポータブルカセットコンロも標準装備。
各10Lの給排水タンクは、右側のスライドドアを開けると車外から取り出せる。コンソールの前面には折り畳み式のテーブルも用意されており、調理台に便利。なお、テーブルは2種類の大きさから選べる
冷蔵庫/電子レンジ: 冷蔵庫はポータブル冷蔵庫を持ち込むが、設置場所は特に用意されていない。走行中の固定も含めて、冷蔵庫の設置場所が欲しいところ。電子レンジは想定されていない。

後部右側の収納ラック 下に扉付きの収納スペースがある
収納: ギャレーコンソールの下側に扉付きの収納スペースが用意されている。また、左側にもサイドラックがある。大きな荷物は、後部ベッド下に収納スペースがあるのでバッグなどはここに置ける。
空調: FFヒーターがオプション設定される。なお、ベンチレーターはオプション設定されていない。車内でコンロを使う場合は、換気に注意が必要だ。ポップアップルーフに換気窓があるが、強制換気ができるベンチレーターのオプションが欲しい。なお、冷房のソリューションは用意されていない。
電装系:80Ahのサブバッテリーと走行充電が標準装備される。外部100V入力と、これによるサブバッテリーの充電機能はオプション。ソーラーパネルもオプション設定されている。走行充電だけでは完全な充電ができないので、どちらかのオプションを付けておく必要がある。
350Wのインバーターもオプションで用意されている。車内で100V家電品を使いたい場合は必要。
価格: 224万円~(2WD/5MT:税別)。FFヒーターや外部電源系を追加すると追加で30万円以上必要となる。ポップアップルーフ架装でギャレー付きの軽バンコンは、200万円超が多いので、コングは平均的な価格と言える。
競合:カーショップスリーセブンのMOCIIポップアップ(224万円~:税別)、オートワンの給電くんポップアップルーフ(221万円~:同)、ナッツRVのスピナポップアップ(239万円~:同)(レビュー記事はこちら)などがある。
まとめ:コングの特長は、2列目シートをリクライニングして足を伸ばして寛げること。ダイネットで行儀よく座っているのは辛いし、かといって寝転んでテレビを観るのも楽ではない。室内での過ごし方が提案されているモデルは意外に少ないのだ。
一方、冷蔵庫や電子レンジのソリューションが無いので、長期旅には向かない。車中泊を伴った近場のドライブを気軽に楽しむ、という使い方に適している。
