トリップブラックエディションはダイレクトカーズが製作する、トヨタカムロードをベース車にするキャブコンキャンピングカー。
同社は三重県鈴鹿市と神奈川県厚木市に直営店を持ち、軽キャンパーからフルサイズのキャブコンまでラインアップしている大手総合ビルダー。
当初はハイエースを中心とするバンコン専門ビルダーだったが、2020年に初のキャブコン「トリップ」を発表。その後、2021年にはトリップII、トリップIIIを発売、その後トリップ ログベースやトリップ ホワイトエディションを発売し、2024年には初のスライドアウトを持つトリップ ログベースプレミアムエディションを発表した。
トリップブラックエディションは、2024年のジャパンキャンピングカーショーで発表されたニューモデルで、ブラックを基調にしたインテリアを持つほか、大きく開口するダイネットとギャレーが特徴となっている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
トヨタ カムロードワイドトレッドをベース車にした、5mを超える全長を持つキャブコンキャンピングカー。
レイアウトは同社のトリップと同様に、対座ダイネットと縦置きダブルベッドの組み合わせだが、ブラックを基調にした精悍なインテリアを持つ。また、ダイネットとギャレーサイドのパネルが大きく開口するのが大きな特徴。車内に居ながらにして、オープンエアの感覚を楽しめる、新しい発想のキャブコンモデルとなっている。
トリップ同様、瞬間湯沸かし器で連続してシャワーが使えるサニタリールームも配置されている。
アピールポイント
・黒を基調にした精悍なインテリア
・大きく開口するダイネットとギャレー
・高いところに上がる必要のないローマウントダブルベッド
・車載用セパレートクーラーを標準装備
・300Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備
・連続して温水シャワーが使える瞬間湯沸かしボイラー
・スカイルーフを標準装備
・460Wソーラーシステム標準
・7インチナビを標準装備
・アウトドアサイドテーブル
・32インチ大型テレビ
・148L大型2ドア冷蔵庫と電子レンジを標準装備
ベース車とエクステリア

トリップブラックエディションのエクステリア
ベース車はカムロードワイドトレッドダブルタイヤを使用し、これにFRPパネルのシェルを架装している。全長は5.15mで5mを超える余裕のあるサイズとなっている。
インテリア

トリップブラックエディションのインテリア
ブラックエディションの名の通り、家具やシート色はブラックで統一されている。ブラックなので暗くなりがちな室内だが、床と天井にはリアルウッドが張られており、室内が暗くなるのを防いでいる。
照明はオーバーヘッド収納の上部に間接光が仕込まれており、夜はムーディな室内を演出する。
レイアウト
レイアウトはオリジナルのトリップと同じで、前部に対座ダイネット、中央にギャレー、後部に縦置きダブルベッドとサニタリールームを配置する。
このレイアウトは比較的珍しいもので、このレイアウトを採用しているカムロードベースの他モデルは見当たらない。しかし、2段ベッドのように高所に上らなくても良く、年配ユーザーには優しいレイアウトだ。
ダイネット

大きく開口するダイネット
トリップブラックエディションの大きな特徴は、大きく開口するダイネットサイドだ。室内に居ながらにして、まるで車外にいるような感覚になる。これだけ大胆な発想は今までになく、キャンピングカーの新しい魅力になるだろう。
ダイネット自体は従来のトリップと同じで、4名が対座できる。テーブルはハンドルを回して高さを調整できる。
ベッド
ベッドは、後部常設縦置きダブルベッド、バンクベッド、ダイネットベッドの3か所がある。

後部ベッド
後部常設縦置きダブルベッドは1850x1100mmの大きさ。家庭用ではセミダブルベッドの幅(1200mm)より少し狭い程度。ベッドはハイマウントではないので、ステップなど必要なく、安全に上ることができる。
ベッドエンドにはちょっとしたテーブルが用意されており、就寝前にひと時の読書などを楽しむことができる。

バンクベッド
バンクベッドは 1980x1360mmの大きさ。1360mmの幅は家庭用ではレギュラーダブルベッドの幅(1400mm)にほぼ相当する。
バンクベッドには大きなサンルーフが設置されている。フルオープンできるので換気はもちろん、星を見ながら就寝できるのが魅力だ。

ダイネットベッド
3つ目はダイネットベッドで、これは1670x1000mmの大きさ。身長方向に1800mmが確保できていないので、子供用ベッドにカウントされる。
ギャレー

IHコンロがあるギャレー
ギャレーキャビネットの天板には深いシンクとIHコンロが標準装備される。IHコンロは火を使わないので安全だ。電気の消費はあるが、300Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備されているので、実用的に使える。

大きく開口するギャレー
ギャレーの壁面もダイネット同様、大きく開口し、キッチンカーのようなスタイルになる。車外にミニテーブルが設けられており、ギャレーで調理した料理を車外で楽しむといった使い方が可能だ。ただし車外でギャレーが使えるわけではない。

ギャレーの収納
ギャレーキャビネットには、引き出し収納と、上の写真のような観音開きの収納がある。食器や調理用具を収納しておくのに便利だ。
冷蔵庫/電子レンジ

冷蔵100L、冷凍48Lの冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は冷蔵100L、冷凍48Lの大型。ファミリー分の食材を十二分に保冷しておくことができる。これだけ冷蔵庫が大きいと毎日買い出しに行く必要が無く、時間的にも余裕が生まれる。

電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。2000Wインバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。
サニタリールーム

温水シャワーも標準装備される
サニタリールームには、温水シャワーと専用手洗いが標準装備される。トイレはカセットトイレやポータブルトイレ、あるいはラップ式トイレが選択できるので、オプションとなっている。
車外から直接アクセスできるドアも付いており、濡れた衣類や用具を入れておくのに便利だ。
収納

前後に連なるオーバーヘッド収納
トリップの収納は非常に充実している。まず、前後に連なるオーバーヘッド収納は圧巻だ。ギャレー上部や冷蔵庫上部にもオーバーヘッド収納が設置されているので、食器や調理用具などの収納も全く問題ない。

ベッド下の収納
ベッド下も大きな収納になっており、一部は車内用、後部の大部分はボディ右側の後部の車外からアクセスできるようになっている。大きなキャンプ用具などを収納する場合に便利だ。
空調

車載用セパレートクーラーを標準装備
最後部のオーバーヘッド収納には車載用のセパレートクーラーが隠されている。使用する場合は扉を開ける必要があるが、使用しない場合は隠されるのでインテリア的にもすっきりしている。
室外機はルーフ後端に取り付けられている。これにより、ベッド下収納のスペースに設置していないので、収納が狭くなってしまうことを避けている。なお、FFヒーターも標準装備される。

スカイルーフとベンチレーター
トリップシリーズにはフルオープンできるスカイルーフとベンチレーターが標準装備される。スカイルーフを開けて置き、ベンチレーターを回すと、効率よく車内の空気を入れ替えることができる。
トリップブラックエディションにはこれに加え、先述のようにバンクベッド部にもう一つスカイルーフが設けられている。
テレビ/ナビ

32型のテレビが標準装備される
同社のトリップシリーズに標準装備される大画面32型のテレビがトリップブラックエディションにも採用されている。設置場所も同じで、バンクベッドのベッドボードに設置されており、跳ね上げるとダイネットや後部ベッドから観ることができる。
電装系
300Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される。大容量のサブバッテリーではあるが、クーラーをはじめ、大型冷蔵庫や大画面テレビがあるので、これくらいのバッテリー容量は必要になる。

460Wのソーラーシステムも標準装備
その他の電装系では、走行充電、2000W正弦波インバーター、外部電源入力と充電機能、460Wソーラーシステムも標準装備される。なお、車外で使う家電品用に100V電源出力コンセントが外部テーブル付近に用意されている。
価格(2024年4月現在:千円台切り上げ:税込)
ディーゼルのダブルタイヤのみが選択可能で、2WDは1590万円~、4WDが1620万円~となっている。
ほぼ全ての装備が標準なので、付けておくべき必需オプションは特にない。ただし、ベース車の装備として、SRSエアバッグがオプション(27,500円)となっているので、これは付けておく必要がある。(ナビ関連は除く)
なお、サイドオーニング(220,000円)はオプションとなってる。
他モデル
5mを超える全長を持つフルサイズのキャブコンは多数存在するが、ダイネットサイドやギャレーサイドが大きく開口するモデルは他にない。この機構が欲しい場合はトリップブラックエディション一択になる。
温水シャワーや専用手洗いが装備され、トリップブラックエディションに対抗できるモデルとしては、アネックスのリバティ52シリーズが挙げられる。インテリアはブラックではないが外装色がブラックになったリバティ52DBiもある。
まとめ
トリップブラックエディションは単に内外装がブラックだということに留まらない。先にも書いたが、大きく開口するダイネットやギャレーサイドは、キャンピングカーに新しい楽しみ方を提案している。
今までになかったこの機能は、他のモデルや、他社のモデルにも発展していくものかもしれない。その意味では、従来のトリップやトリップログベースにもオプションで設定されることを期待したい。
同社は今までにも32型大型テレビをバンクベッド部に埋め込んだり、大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載したり、ハイラックスベースのキャブコンを作ってみたり、超大型の外部収納をNINJAに搭載したりと、今までになかった機能を提案している。同社の発想力の豊かさにはいつも驚かされる。
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