NINJA(ニンジャ)はダイレクトカーズが製作する、トヨタ カムロードをベース車に使用した5mを越す全長のキャブ・コンバージョン キャンピングカー。
同社は三重県に本拠を置くビルダーで、三重県鈴鹿市と神奈川県厚木市に直営店を持つ。ハイエースバンコンを多数ラインアップするが、現在では多くのキャブコンもラインアップに加え大手総合ビルダーとなっている。
同社のキャブコンは2019年に発売したハイエースベースのモビリティホームで始まったが、2020年にカムロードベースのトリップを発売、その後トリップII、トリップIII、伊勢志摩、江の島などを次々と発売している。
NINJAはトリップ同様5mを越す全長のフルサイズキャブコンだが、トリップシリーズかで使ってきたシェルを一新、全く新しいシェルを架装した初のモデルとなっている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
トヨタ カムロードをベース車にする、5mを超える全長のキャブコンキャンピングカー。従来のトリップシリーズとは異なる、新しい形状のシェルを架装している。同社の5m超キャブコンでは初のリアエントランスレイアウトを採用、前部に広いダイネットを持つのが特徴。
家庭用エアコンやリチウムイオンバッテリーを標準装備するほか、カセットトイレや温水シャワー、床暖房まで標準装備となっている。また、巨大な外部収納を2か所備えているのも特徴となっている。
アピールポイント
・リアエントランスで広いダイネット
・常設2口コンロ
・床暖房を標準装備
・カセットトイレや温水シャワーを標準装備
・巨大な2か所の外部収納
・400Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装
ベース車とエクステリア

NINJAのエクステリア
ベース車はトヨタ カムロードワイドトレッド。これにFRP一体成型のシェルを架装している。従来のトリップのシェルから一新されており、バンク部が盛り上がっていないスマートなバンク部となっている。
後部にはシェル一体のリアスポイラーがあり、外観上のアクセントになっている。しかし最も目を引くのはフロントのフェイスカバー(OP)で、他のカムロードキャブコンとの外観の差異化を図っている。

運転席周りとレカロシート
運転席周りのインテリア変更とレカロシートへの変更もオプションで可能。トラック臭さが軽減され、レカロシートにより乗り心地も改善される。長距離を走る場合には有用なオプションだ。
インテリア

NINJAの間接照明
濃い木目と薄い木目調の家具の組み合わせのインテリアで、奇をてらったところはなく、洗練され、落ち着いた室内になっている。メイン照明は全て間接照明になっているのも特徴的で、夜はムーディーな室内になる。

グラスケース
NINJAのインテリアで目が留まるのが、エントランス横に設置されたグラスケースだ。スペース効率が求められるキャンピングカーでは、こういった遊び心は難しいところがあるが、NINJAではグラスケースを設置することにより、室内の余裕感と高級感を出すことに成功している。
グラスケースを持つキャブコンの例は、他モデルではバンテックのジルノーブルや、ジルのアイランドカウンターがあるが、それ以外には見当たらない。
レイアウト

NINJAの後部レイアウト
リアエントランスのレイアウトを採用。リアエントランスのセオリー通り、前部に広いダイネットを持ち、ギャレーやサニタリールームは後部に集中している。フロアに常設ベッドは無いが、広いバンクベッドがあり、ダイネットを展開するとキングサイズ以上のベッドが出現する。
リアエントランスのレイアウトの特徴は、ファミリーにも二人旅にも適している点で、二人旅ならダイネットを展開せずにバンクベッドで就寝でき、ファミリーなら、ダイネットを展開して大勢でもゆったり就寝できる。
乗車定員は7名、うち運転席、助手席と3列目シートの2名が前向きで3点式シートベルトを着用できる。就寝定員は、バンクベッドに2名、ダイネットベッドに3名で計5名となっている。
ダイネット

NINJAのダイネット
前部のフロアは全てダイネットに充てられており、4~5名が対座できるシートとベンチシートで構成される。二人旅には広すぎると感じるかもしれないが、車内で過ごす時間の長いクルマ旅では、広いダイネットは窮屈感や疲労感を和らげる。
ダイネットの両側には大きなアクリル2重窓を設置できるのもリアエントランスのメリットで、明るく見晴らしの良いダイネットを実現している。3列目の前向きシートには、是面をスライドさせることによる簡易リクライニング機構が備わっている。
ベッド

広いバンクベッド
スリムなバンク形状を採用した割には広いバンクベッドとなっており、圧迫感はあまり感じないだろう。ベッドサイズは1870x1730mmで、家庭用ではキングサイズベッドの幅(1800mm)に迫るベッド幅となっている。

広大なダイネットベッド
ダイネットを展開すると、1800x1700mmのダイネットベッドになる。1700mmは家庭用ではクイーンサイズベッドの幅(1600mm)よりも広く、ここでは3名が就寝できる。
ギャレー

常設2口コンロがあるギャレー
ギャレーは最後部に設置されており、常設2口コンロと、一体になったシンクおよびフォーセットがある。コンロの上部には専用の換気扇も用意されている。ギャレーの前は広く、調理しやすくなっている。

ギャレーの収納
ギャレーキャビネットには2段の大きな引き出し収納があり、食器やカトラリー、調理用具を収納しておける。カセットガスボンベも上段の引き出しに設置されており、引き出しを開けなくてもい前面からガスの開閉ができる。

ギャレー上部のオーバーヘッド収納
ギャレー上部にもオーバーヘッド収納が設置されており、ここにも食器や調理用具を収納しておくことができる。

ギャレーキャビネット下部の収納
ギャレーキャビネットの下部にも扉付きの収納がある。ペットボトルなどの重量物を収納しておくのに便利だろう。

外部ギャレー
同社のモデルには車外で使えるギャレーを持つモデルが多いが、NINJAにも引き出して使えるシンクとフォーセットが備えられている。シャワーフォーセットは引き伸ばしてシャワーを使うことができる。
冷蔵庫/電子レンジ

90L両開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は90L両開き式が標準装備される。両開き式なので、ダイネット側からもギャレー側からも開けることができ、大変便利だ。

電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。1500W正弦波インバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。
サニタリールーム

温水シャワーまで標準装備される
サニタリールームには、カセットトイレ、温水シャワー、手洗い、ベンチレーター、収納、鏡が標準装備される。特に温水シャワーは瞬間湯沸かし式で、81Lの給水タンクの水がある限り連続して使用できる。ただし、排水タンクは62Lとなっている。
FFヒーターの吹き出し口も用意されているので、冬場でも温かく使用できる。車外から直接出入りできるドアも付いており、いちいち車内を通らなくても出入りできるのも便利な点だ。
収納

ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
ダイネット上部両側にオーバーヘッド収納が設置されている。右側にはエアコンの室外機があるので、左側のように全面ではないが、全体的に大きな収納力がある。この他、エントランスの上や冷蔵庫の上部にもオーバーヘッド収納が設置されている。

クローゼット
リアエントランスのレイアウトでは後部右側に冷蔵庫とクローゼットを並べて設置するケースが多いが、NINJAでも大きなクローゼットが用意されている。コートやジャケットはかさばり、収納が難しいが、クローゼットがあればシワにならずに収納しておける。

最後部の大きなカーゴスペース
左サイドと後部に巨大な外部収納が設置されている。大きな外部収納と言えばバンテックのジルを思い出すが、NINJAでは後部にも車幅いっぱいの収納が設置されているのが特徴。スキー板も収納できるとしている。
空調

家庭用エアコンを標準装備
家庭用セパレートエアコンが標準装備される。設置位置はダイネット右側上部で、オーバーヘッド収納と同じデザインのカバーがされている。室外機は右側後部に設置されている。
同社のウェブページには書かれていないが、NINJAには床暖房が標準装備される。更に軽油式のFFヒーターも標準装備される。
サンルーフも標準装備される。爽快感を得られるだけではなく、ベンチレーターと併用して換気効果も得られる。
テレビ/ナビ
トリップのように32型のテレビをバンクベッドに仕込む方式ではなくなったが、19型テレビがオプションで設置できる。ナビは展示車にはサイバーナビがオプションで設定されていたが、好みのものが装着できるだろう。
電装系

400Wのソーラーシステムを標準装備
サブバッテリーは400Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備。これだけの容量があれば、エアコンを電気の心配をすることなく使用できる。その他では、走行充電、外部100V電源入力と充電機能、1500W正弦波インバーター、400Wソーラーシステムが標準装備される。
価格(2024年3月現在:千円台切り上げ:税込)
ディーゼル2WDは1298万円~、4WDが1328万円~となっている。ほとんどの主要装備は標準で付いているので、付けておくべき必需オプションは無い。(ナビ関連は除く)
必要に応じてサイドオーニング(220,000円)やテレビ(163,000円)を取り付けることができる。
他モデル
機能的に最も似たモデルとしては、センターエントランスだが、アネックスのリバティ52シリーズが挙げられる。リバティ52DBは後部常設横置き2段ベッド、リバティ52SPは横置きダブルベッドで、洗練されたインテリア、瞬間湯沸かしの温水シャワー、床暖房など共通点が多い。
5mを超える全長のカムロードキャブコンでリアエントランスのモデルは、バンテックのジルとセキソーボディのプログレスくらいしかない。ジルは高級感のあるインテリアや温水シャワーまで標準装備される。
まとめ
NINJAというモデル名や目を引くフェイスカバーなどから、目立つ外観や奇をてらった装備のイメージを持ってしまうが、内実は正統派の、しかも極めて高級感のある上位モデルであることが分かる。
車名とフェイスカバーを見て、これは自分の求めているモデルではないと思い違いをするユーザーがいるかもしれないが、思い込みは間違った判断をすることになる。その意味では、フェイスカバーが付いていない写真もあった方が良いかもしれない。
はっきり言って、リバティ52シリーズと並び、ほぼ完璧に近いモデルだ。インテリアのセンスも輸入モデルに勝るとも劣らない。瞬間湯沸かしや床暖房、家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリー標準装備などは、輸入モデルに勝るポイントと言える。
欠点を探すのは難しいが、あえて言えば車名とフェイスカバーだろうか。これらは、折角の高級で洗練されたイメージを損なっているように思える。フロントフェイスをデコレートしなくても、エクステリアデザインは十分洗練されたものだ。
関連記事