トリップLog Baseはダイレクトカーズが2022年ジャパンキャンピングカーショーで発表した、カムロードをベース車にするキャブコンキャンピングカー。
同社は2020年に初のカムロードキャブコン「トリップ」を発表してから、2021年には「トリップⅡ」と「トリップⅢ」を発表している。また、5m未満の全長を持つ「伊勢志摩」と、2022年には新たに「江の島」もラインアップに加わった。
この「トリップ Log Base」は「トリップ」をベースにし、レイアウトは同じながらインテリアを同社のリトリートシリーズバンコンで好評のリアルウッドにしたモデル。ログハウスのようなインテリアが魅力だ。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
コンセプト
カムロードをベース車にした5m超のフルサイズキャブコン。後部に縦置きダブルベッドを持つトリップシリーズ第1号の「トリップ」をベースにし、同じレイアウトながら、同社のリトリートシリーズで採用しているリアルウッドのインテリアとしている。
装備はトリップとほぼ同じで、セパレートクーラーやリチウムイオンバッテリーはもちろん、同社特有の瞬間湯沸かしの温水シャワーや32型大型テレビも標準装備されている。
アピールポイント
・リアルウッドを貼り詰めたログハウスのような室内
・セパレートクーラー(CoolStar)標準装備
・100Ah x4個(=400Ah)のリチウムイオンバッテリーを標準装備
・瞬間湯沸かしの温水シャワー標準装備
・32型大画面テレビ標準装備
・540Wソーラーシステム標準装備
・C-TEK昇圧走行充電システム標準装備
・148L2ドア大型冷蔵庫標準装備
・縦置きローポジションダブルベッド
・サンルーフ標準装備
エクステリア
トリップ Log Baseのエクステリア
ベース車はトヨタ カムロードで、新型の2.8Lディーゼルターボのワイドトレッドダブルタイヤ、6AT仕様。新型から全車ダブルタイヤとなった。また2WD、4WDともダブルタイヤとなる。
展示車は専用のボディ塗装がされており、これはオプションで要相談となっている。塗装以外は従来の「トリップ」とほとんど変わらない。
インテリア
ログハウスのようなインテリア
トリップ Log Baseの最もアピールする点はインテリアで、上の写真の通り、リアルウッドを貼り詰めた、ログハウスのような室内になっている。
これは同社のリトリートシリーズでおなじみのインテリアで、これをキャブコンに展開したカタチだ。
レイアウト
レイアウトは「トリップ」とほぼ同じとなっている。前部に対座ダイネット、後部に縦置きダブルベッドとサニタリールーム、左側中央にギャレーを配置している。このレイアウトは珍しいもので、「トリップ」以外他に見当たらない。
このレイアウトの特徴は、ローポジションの縦置きダブルベッドで、確かに2段ベッドのようにスペース効率は良くないが、高いところに上がるのを避けたい年配のユーザーには使いやすいレイアウトだ。
乗車定員は3-2-2で計7名。運転席、助手席と補助席、それに2列目シートの計5名が前向き乗車できる。ただし補助席は通常使わないので、4名が前向き乗車できる。就寝人数は後部ベッドで2名、バンクベッドで2名が就寝でき大人が4名就寝できる。
ダイネット
ファミリーで対座できるダイネット
2列目と3列目のシートは、それぞれ後ろ向きと前向きで固定されており、計4名でテーブルを囲むことができる。
ダイネットには大きなアクリル2重窓があり、またサンルーフもあるので明るく快適に寛ぐことができる。
ベッド
後部常設ベッドはセミダブルベッドの幅
後部常設ベッドは1800x1170mmの大きさ。家庭用ではほぼセミダブルベッドの幅(1200mm)に相当する。このベッドの特徴は、縦置きローポジションであること。2段ベッドやバンクベッドのように、ラダーで高いところに上がる必要が無い。
特に年配のユーザーでは、夜中にトイレに立つような場合、狭い車内で高いところに上がったり下りたりする行為は面倒だし危険でもある。その点、このローポジションのベッドはそのような問題が無い。
大人2名が就寝できるバンクベッド
バンクベッドは2000x1320mmの大きさ。家庭用ではセミダブルとダブルベッドの中間の幅に相当し、ここでも大人が2名就寝できる。
ダイネット展開したベッド(写真はトリップ)
最後に、ダイネットを展開してベッドにすることもできる。これは1400x1050mmの大きさで、キャンピングカーの大人用ベッドの規定である1800mmに達していないので、大人用のベッドにはならない。
また子供用の規定は1500x400mmだが、これにも達していないので、ここはさらに小さい子供のベッドかエマージェンシー用として使うことになる。ベッド展開は簡単で、テーブルは中央のハンドルを回して低くし、シートバックを乗せるだけだ。
ギャレー
2口常設コンロがあるギャレー
ギャレーには二口コンロが一体になったシンクがビルトインされている。2口常設コンロがあるので、調理をするユーザーには便利なキッチンだ。また、調理台も広く、手の込んだ料理を作ることもできる。
瞬間湯沸かしボイラー(左下)
ギャレーコンソールの下にはカセットガスボンベを3本セットできるガスボンベアダプターと瞬間湯沸かしボイラーが収納されている。キャンピングカーの湯沸かしはトルマコンビや熱交換で行うものが多いが、瞬間湯沸かしなら水があればすぐに湯が使え、理想的なシステムだ。
ギャレー奥の収納
もちろんギャレーでも湯が使え、食器を洗う場合も湯で洗うことができる。またギャレー奥にも収納が用意されており、ギャレー上のオーバーヘッド収納とともに、食器やカトラリー、あるいは調理用具を収納しておける。
冷蔵庫/電子レンジ
148Lの2ドア冷蔵庫が標準装備される
トリップには148Lの2ドア冷蔵庫が標準装備されているが、トリップ Log Baseにも同様に装備されている。ファミリー分の食材を保存しておくことができ、毎日買い出しに行かなくても、家庭とほぼ同様の使い方ができる。
また、電子レンジも標準装備され、冷蔵庫の上部に設置されている。もちろん2000Wインバーターも標準装備されているので、外部電源が無いところでも、サブバッテリーで駆動できる。
サニタリールーム
瞬間湯沸かしの温水シャワーが使えるサニタリールーム
サニタリールームは完全防水されており、温水シャワーと専用手洗い、そして室内の小物収納が標準装備される。
先述のように、トリップの大きな利点のひとつが瞬間湯沸かしなので、湯が沸くのを待つことなく、ファミリーが続けてシャワーを使うことができる。給水タンクは135Lと大容量。ただし排水タンクは75Lなので、これを超える場合は別の容器に受ける必要がある。
なお、トイレはオプションとなっており、この点はカセットトイレが標準装備のトリップと異なる。カセットトイレはもちろん設置可能だが、ユーザーによってはポータブルトイレで十分であったり、トイレは不要と言う場合もあるからだ。
収納
右側のオーバーヘッド収納
収納も充実している。まずオーバーヘッド収納は両側に配置されており、特に右側はダイネットからベッドの上まで連続している。左側も冷蔵庫の上からギャレーの上まで設置されている。
後部ベッドの下の収納スペース
また、後部ベッドの下も大きな収納スペースになっており、サイドから、あるいはベッドマットを上げて上部からアクセスすることができる。
右サイドの外部収納
更に外部収納も用意されており、右サイドに大きな開口部がある。
空調
標準装備の車載用セパレートクーラーとベンチレーター
暖房はFFヒーターが標準装備される。また、冷房は車載用セパレートクーラー「CoolStar」が標準装備される。室内機の設置場所はトリップから変更されており、最後部に移動している。
クーラーは外部電源はもちろん、サブバッテリーでも駆動できるので、外部電源が無いところでも快適に過ごすことができる。クーラーの最大出力時は60Aとされており、リチウムイオンバッテリー(後述)は計400Ahなので、単純計算で約6時間運転できることになる。
実際は常に最大出力での運転ではないし、ソーラーシステムでの発電もあるので、更に長時間運転できる。
テレビ/ナビ
32型のテレビを標準装備
トリップシリーズの特長のひとつとして、バンクベッドの床にビルトインされた、32型のテレビがある。ベッドボードを起こすと、大画面テレビがダイネットから観られるようになる。
トリップシリーズは車内のエンターテインメントも重視しており、32型と言う大型テレビを導入したのは、他車を見回しても(試作的なものを除いて)例がない。このような大型テレビを長時間観られるのも、大容量リチウムイオンバッテリーの恩恵だ。
またナビは、9型Wi-Fi機能付きナビが標準装備されている。ナビ連動ドライブレコーダーやナビ連動ETCも標準装備されている。
電装系
電装系のコントロールパネル
サブバッテリーは、100Ahのリチウムイオンバッテリーが4個(=400Ah)標準装備される。トリップは2020年の発表当社は100Ahのリチウムイオンバッテリーバッテリーを2個オプション設定していたが、その後「トリップPremium」で3個標準にグレードアップされた。このトリップ
Log Baseでは「トリップⅡ」と同じ4個が標準装備されている。
充電は標準装備の外部100V入力から、あるいは走行充電で行われる。走行充電ではC-TEK昇圧システムも標準装備されている。更に540Wソーラーシステムも標準装備されており、電源環境は完璧と言える。
インバーターは2000Wのものが標準装備されている。クーラーは12Vで駆動されるので、実際に大電力を使うのは電子レンジと冷蔵庫、それに32型テレビくらいだが、これらを同時に使っても問題ない。
価格(2022年2月現在:千円台切り上げ:税込)
2022年2月に開催されたジャパンキャンピングカーショーで表示されていた車両本体価格はディーゼル 2WD/6ATで1395万円~。展示車には足回りや教科ブレーキ、専用ボディ塗装などが含まれており、1484万円となっていた。
トリップ Log Baseは同社のサイトに未だ載っていないので、その他のグレードの価格は不明。
ほとんどの装備が標準なので付けておきたいオプションはほとんど無いが、助手席SRSエアバッグ(27,500円)は付けておきたい。(トヨタがなぜ助手席エアバッグをオプションにしているのか、全く不思議だ)
他モデル
5m超のカムロードキャブコンは、アネックスのリバティ52DB / 52SP(1078万円~)、東和モータース販売のヴォーンEXC(1135万円~)、ナッツRVのクレア/スティングシリーズ(1030万円~)、バンテックのジルシリーズ(1059万円~)など多数存在するが、このレイアウトを持つモデルは同社のトリップを除き、他にない。
また、エアコンは今やこのクラスのほとんどのモデルに装備できるようになったが、リチウムイオンバッテリーはリバティシリーズ、クレア/スティングシリーズ、ヴォーンEXCシリーズが挙げられる。
更に、瞬間湯沸かし機能を持つモデルはトリップシリーズの他には、リバティシリーズのみだ。
まとめ
トリップ Log Baseはインテリアの目新しさが取り上げられることが多いが、同社の先進的な機能や、それが標準装備されていることも大きなポイントだ。特に強力な電装系や充実した収納、あるいは瞬間湯沸かし機能などはトリップシリーズの大きな優位点と言える。
価格的にはリアルウッドのインテリアのコストが上乗せされるため、他のトリップシリーズより高価になっている。もちろんインテリアそのものがプレミアムなので、これは仕方がないだろう。
なお、他のトリップシリーズも上記の他社モデルよりも高価だが、標準装備の充実度を考えれば妥当な価格と言える。Log Baseも含め、好みのレイアウトとインテリアを先進装備で手に入れることができる。
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