リバティ52SP:アネックス


リバティ52SPは、アネックスが製作する、トヨタカムロードをベース車にしたキャブコンキャンピングカー。2020年2月のジャパンキャンピングカーショーで発表された。
同社は昨年リバティ52DB(レビューはこちら)を発売しており、リバティ52SPはこのレイアウトバリエーションモデル。

コンセプト:52DBでは後部の常設ベッドが2段ベッドなのに対し、52SPではハイマウントダブルベッドが採用され、二人旅を想定したレイアウトとしている。リバティ52DB同様、床暖房や瞬間温水シャワーなどが標準装備され、国産モーターホームと呼ぶに相応しいモデルに仕上がっている。

 スタイリッシュな外観を持つキャブコンバージョン

エクステリア:外観やサイズはリバティ52DBと同様で、独特のスタイリッシュなシルエットはそのまま。バンクを持ちながら美しいシルエットのシェルは、バンクレスのデザイン性とバンク付きの実用性を両立したデザインだ。全長は5,230mmのスタンダードキャブコンで、余裕のある室内空間を持つ。

インテリア:家具やシートのデザインは52DBを踏襲しており、ナチュラルなトーンでまとめられている。特に間接照明を多用し、洗練されたインテリアの室内は美しく機能的。

レイアウト:52DBとの大きな相違点は、2段ベッドからハイマウントダブルベッドに変更された後部の常設ベッド。ベッドが前に広がったため、ギャレー横にあったタワー収納や家庭用エアコンの位置が変更されている。
乗車人数と就寝人数は、52DBの8名/5名に対し、52SPでは7名/3名+1名(子供)となっている。

 対座シートを持つダイネット

ダイネット:対座スタイルは変更ないが、ダイネットはベッド展開を想定していないため、テーブルが昇降式から着脱式に変更された。前後の位置調整も可能となった。また、運転席、助手席から後部への移動がし易いように、2列目シートのシートバックが倒れるようになっている。

 広い後部の常設ダブルベッド

ベッド:後部のダブルベッドは1,900x1,400mmで、家庭用ではレギュラーのダブルベッドに相当する。52DBと同じウッドスプリングを採用しているが、52SPでは二人ともこの上質な寝心地の恩恵を受けられるのが大きな利点だ。
バンクベッドは52DBより小さくなっており、大人1名と子供1名が就寝できる。

 90L冷蔵庫や電子レンジがビルトインされたギャレー

ギャレー:52DBと同じように二口コンロとシンクがビルトインされ、旅先でも調理が楽しめるギャレーだ。52DBから大きく変わったのは、ギャレーに向かって左側の収納タワーが省略された点。ここにあった冷蔵庫はギャレーコンソールの下、電子レンジ(OP)はベッドの下に移設された。そのため、52DBではギャレー下にあった収納スペースが多少縮小されているが、ベッドマット下に新たに収納スペースが設けられた。カトラリー収納もここにある。
ベッドマットはダンパーで軽く持ち上がるので支障は無いが、ベッド下の食器収納は多少違和感があるかもしれない。しかし考えようによっては、ベッドマットを上げたままにすれば調理道具などが取り出しやすく、むしろ便利かもしれない。

冷蔵庫/電子レンジ:冷蔵庫は、52DBと同じ90L横開き式のものが標準装備される。ただし、電子レンジはオプション。電子レンジの需要は高く、1500Wインバーターも標準装備なので、電子レンジも標準装備にして欲しいところ。

 瞬間温水シャワーや専用手洗いのあるサニタリールーム

サニタリールーム:電動カセットトイレと温水シャワー、それに専用の手洗いが標準装備される。特筆されるのは温水シャワーで、これはヒートエクスチェンジャーの中に水を通して瞬間的に湯にする。即ち、必要なだけすぐに湯が使えるわけだ。清水タンクは80Lあり、女性が髪を洗っても十分足りるだろう。ボイラーで沸かしたり、タンクの水全部を湯にする方式ではなく、必要な時に必要なだけ、待つことなくシャワーが使える理想的な温水システムと言える。もちろん、湯はギャレーでも使える。

 収納スペースになるバンクベッド

収納:ダイネット上とギャレー上にオーバーヘッド収納が用意されている。また、ベッドルームやサニタリールームにも独立した収納スペースが用意されており、小物の収納に便利だ。更に、二人で使用する場合はバンクベッド部は大きな収納スペースになる。手前を跳ね上げると扉のようになり、荷物が落下するのを防ぐ。
後部のハイマウントダブルベッドのメリットは、その下に広大な収納スペースが確保できること。リバティ52SPでは、ボディ左サイドと後部からアクセスできる。キャンプ道具など余裕で収納できるだろう。
更に、外部収納はその他にもあり、後部両サイド下には、濡れたものや生ごみなどを入れておける防水対応の収納スペースも用意されている。ペット連れの場合は、ペットのウンチ袋を一時入れておくにも便利だ。

 リバティ52SP/DBの温水/暖房システム図

空調:リバティ52SP/DBの大きなアドバンテージのひとつが空調だ。家庭用エアコンが標準装備されるが、これは今や当たりまえ。特筆できるのは暖房で、床下暖房と温風ヒーターが標準装備される。専用のクーラントを循環させて温めるが、温風ヒーターは一般的なFFヒーターではなく、クーラントの熱源を使う効率的なヒーターだ。なお、サニタリールームにも温風が来ており、冬場のシャワーも寒くない。更にサニタリールームには専用の換気扇があり、カビなどを防止できる。

電装系:256AhのBMS(バッテリーマネージメントシステム)内蔵リチウムイオンバッテリーを標準装備。100Ahのディープサイクルバッテリーなら4個くらいの実質容量が期待できる。これだけの容量があればエアコンを実用的に使えるし、電子レンジなども気軽に使える。更に外部100Vからの充電はもちろん、走行充電でも50Aで充電できる。単純計算では5時間程度で満充電できることになる。
更に230Wのソーラーシステムも標準装備なので、電装系に関しても死角がない。


価格:リバティ52SPの価格は52DBと同じで、ガソリン2WDシングルタイヤで801万円~(税別)。ディーゼル2WDダブルタイヤも選択でき、こちらは891万円~(同)。瞬間温水シャワー、床暖房システム、家庭用エアコン、ソーラーシステム、リチウムイオンバッテリーなど、これだけの標準装備が搭載されているにもかかわらずこの価格はかなりお買い得と言える。

他モデル:5m超のカムロードベースキャブコンでは、

ジル520 バンテック(814万円~:温水シャワー、エアコン標準装備)
クレア5.3Z Evolution ナッツRV(745万円~:温水シャワーオプション、エアコン標準装備)
トリップ ダイレクトカーズ(869万円~:瞬間温水シャワー、エアコン標準装備:レビュー記事はこちら)、
レガードネオプラス LTキャンパーズ(835万円~:温水シャワー、エアコン標準装備:レビュー記事はこちら

などが上げられる。(いずれもガソリン/シングルタイヤ/2WD:税別価格)

まとめ:リバティ52SPは二人旅向けレイアウトとして想定されているが、二人旅で使うユーザーでも、52DBにするか52SPにするか迷うところかもしれない。なぜなら52DBがあまりに良くまとまっており、二人で使用する場合でも不便が少ないからだ。
しかし寝心地にこだわるなら、またパートナーと同じベッドで寝るのが嫌でなければ、選択は52SPだろう。2段ベッドは確かに独立性が高く、パートナーの行動に影響されずに就寝できるメリットはあるが、高所へ登らなければならないというのは年配のユーザーは避けたい。どちらを取っても、日本のモーターホームと呼ぶに相応しいモデルであることには違いない。

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ジル520 

リバティ52DB 

トリップ


モデル リバティ52SP
ビルダー アネックス
一般  
ナンバー区分 8
乗車人数 7
前向き乗車人数 5
就寝人数 3+1(小)
ベース車 カムロード
ルーフ架装 -
レイアウト  
ダイネット形態 対座
マルチモードシート -
ベッド
ハイマウントダブルベッド
バンクベッド
常設ベッド
ギャレー  
コンロ ○(2口)
シンク
給水タンク ○(80L)
排水タンク ○(80L)
冷蔵庫 ○(90L)
電子レンジ/設置スペース OP/○
サニタリールーム  
カセットトイレ
温水シャワー ○(瞬間湯沸かし)
専用手洗い
専用ヒーターダクト
空調  
ベンチレーター
FFヒーター ○(温風ヒーター)
床暖房
冷房設備 ○(家庭用エアコン)
電装系  
サブバッテリー ○(256Ahリチウムイオン x1)
バッテリー増設 -
走行充電システム ○(50A)
外部100V入力/充電 ○/○
インバーター ○(1500W)
ソーラーシステム ○(230W)
発電機 -
ナビ/テレビ  
ナビシステム OP
テレビ OP
サイズ  
全長(mm) 5,230
全幅(mm) 2,040
全高(mm) 2,880
価格 (税別)  
ガソリン2WDシングルタイヤ 801万円~
ディーゼル2WDシングルタイヤ 851万円~
ディーゼル4WDシングルタイヤ 876万円~
ディーゼル2WDダブルタイヤ 891万円~

2020年2月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税別)

動画はこちら

2020.2.24