J cabin H:MYSミスティック


JキャビンHMYSミスティックが製作する、トヨタハイラックスをベース車にしたトラックキャンパー(トラキャン)。

同社はカムロードキャブコンから軽キャンパーまでラインアップする総合ビルダーだが、特にトラックキャンパーのラインアップが充実しているのが特徴。

トラックキャンパーは、軽トラックをベースにした「J cabin Mini」や「Mini Pop」から、米国産ピックアップトラックに対応したシェルまで、豊富なラインアップを揃える国内有数のビルダー。

J cabin Hは2020年8月にマイナーチェンジされたトヨタハイラックス専用に作られたシェル。ハイラックス用にはこのJ cabin Hと、装備が充実したJ cabin HNがある。ただし、カスタマイズの自由度は高く、各ユーザー好みのインテリアが作れる。

(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)


コンセプト

2020年8月にマイナーチェンジされたトヨタハイラックス専用に作られたシェルを積載するトラックキャンパー。シェルは荷物とみなされるため、車検や税金の対象ではない。

シェルとベース車は切り離すことができ、シェルを下しているときはハイラックス単体で日常使用できる。もちろん荷台はトラックと同様に荷物を積載することができるので、シェルを積まない場合はバイクなどの他の荷物の輸送にも使える。


アピールポイント

・ハイラックスと融和した美しいエクステリア
・ベース車と切り離すとベース車だけで使用できる
・大人5名が就寝できる広い室内
・ウインドウクーラーを装備可能
・インテリアやレイアウトのカスタマイズが可能


エクステリア

 J cabin Hのエクステリア

ベース車はトヨタ ハイラックス。このクルマはピックアップトラックと言うカテゴリーのもので、北米などでは一般のユーザーに人気があるが、日本ではマイナーなカテゴリーに入る。

それでもトヨタは2017年9月に13年ぶりに日本市場に投入し、2020年8月にマイナーチェンジを受けている。

 5名が乗車できるハイラックスの車内

車内は5名乗車でき、後部には荷台がある。登録は1ナンバーで、税金は多少安くなるが、毎年車検を受ける必要がある。一方、シェルは荷物として扱われるため、車検や税金は(消費税を除いて)必要ない。

トラックキャンパーのメリットは、シェルを下すと、ベース車だけで使用できること。日常はシェルを下しておいて、ベース車だけを使用し、クルマ旅ではシェルを乗せてキャンピングカーとして使用できる。

毎日積み下ろしをするなら駐車スペースは1台で良いが、それは非現実的なので、事実上は保管しておくスペースがもう1台分必要となる。また運転中はシェルに乗車することはできず、ベース車とシェルは車内で行き来できないため、雨の日でも一度車外に出る必要がある。

このように使用上はあまり便利とは言えない形態だが、そのようなマイナス要素は、あまり意味をなさない。即ち、そのカッコ良さが全ての判断基準となる。特に新型ハイラックスとJ cabin Hの融和したデザインは実に美しい。


インテリア

 インテリアは素材や色を選択できる

展示車のインテリアは上の写真のようなもので、特別に豪華であったり、間接光で演出されたものではない。家具も一般的な作りのものだ。ただし、同社はカスタマイズに柔軟で、選択肢の中から好みの色や生地、あるいは家具色を選択できる。


レイアウト

同社のトラックキャンパーはほとんどが同じレイアウトで、横座りの対座ベンチシートとバンクベッド、それにギャレーセクションから構成される。ハイラックスには5名が乗車できるが、目的地に着けば5名でダイネットのテーブルを囲み、5名が就寝できる。

後部左側にギャレーセクションが置かれているが、ベンチシートなので前後の移動は全く問題なくスムースに移動できる。室内高は1820mmあるので、ほとんどのユーザーは頭が天井に着くことは無いだろう。


ダイネット

 5名がベンチシートで対座できるダイネット

比較的大きなテーブルを挟んで、両側のベンチシートに対座できる。もちろんベッドモードにしてちゃぶ台スタイルで寛ぐこともできる。

ダイネットの各背面にはガラスのスライドウインドウが採用されている。網戸も組み込まれているので、夏場も安心して窓を開けられる。スライド窓なので、跳ね上げ式アクリル2重窓のように、隣のクルマや通行人に接触するトラブルの心配がない。

なお、オプションでスライド式アクリル2重窓にすることができる。


ベッド

 ダイネットベッドでは大人が2名就寝できる

ダイネットを展開してできるベッドは1800x1770mm(一部1200mm)の大きさ。ただし、左側はギャレーキャビネットがあるので、実質的なベッド幅は1200mmしかない。

これは家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当するので、2名で就寝する場合は「ゆったり」には少し届かない。

 大人が3名就寝できるバンクベッド

一方、バンクベッドは広大で、1800x1770mmの大きさ。家庭用ではキングサイズ(1800mm幅)に近く、大人が3名就寝できる。バンクベッド部でも高さは十分あり、大人が座れるほどだ。


ギャレー

 最後部に配置されたギャレーセクション

ギャレーセクションは後部左側に配置される。なお、J cabin Hではシンクセットとしてオプションになっている。また、2口コンロが一体になったシンクもオプションで選択できる。またレンジフードもオプションで用意されている。

シンクの下には各16Lの給排水タンク(J cabin HはOP)が収納されている。エントランスに近いので、タンクの出し入れは比較的楽だ。


冷蔵庫/電子レンジ

 40L冷蔵庫がオプションで装備できる

冷蔵庫は40L横開き式がオプション設定されており、右側後部のキャビネットに収納される。

 電子レンジもオプション設定されている

また電子レンジもオプション設定されている。なお、冷蔵庫、電子レンジ、2000W正弦波インバーターは「特別オプションコンビパック」としてオプション設定されている。


多目的ルーム

J cabin Hには多目的ルームは無い。ポータブルトイレを積んでおくことはできるが、隠すところは無さそうだ。ただ、積んであっても、実際に使用できるのは小さな子供だけだろう。


収納

 ギャレー上のオーバーヘッド収納

ギャレー上にオーバーヘッド収納があり、食器やカトラリーを収納しておける。

 右側ベンチシート下の収納

また、ギャレーキャビネットや左右のベンチシート下は収納スペースになっており、大きな収納力がある。


空調

暖房はFFヒーターがオプション設定されている。また冷房に関しては、家庭用の100Vウインドウクーラーがオプションで用意されている。設置場所は後部右側と思われるが、具体的な取り付け方法は不明。


テレビ/ナビ

19型のテレビがオプション設定されている。また、ナビは希望の機種を取り付けることができると思われる。


電装系

 リチウムイオンバッテリー(OP)を搭載した電装系

後部左側のギャレーキャビネットの一部に、105Ahのディープサイクルサブバッテリー1個とベース車からの走行充電が標準装備される。また、外部100V電源入力も標準装備される。なお、外部電源による充電機能はオプション。

サブバッテリーの増設もオプションで可能。冷蔵庫や電子レンジがある場合は、1個追加して計2個にしておくことをお勧めする。

インバーターは1500Wのものがオプション設定されている。先述のように、冷蔵庫、電子レンジとのセットオプションも用意されている。1500Wインバーターがあるとサブバッテリーでクーラーを運転できるが、ディープサイクルバッテリー2個では心もとない。

J cabin HNで200Ahのリチウムイオンバッテリーがオプション設定されているので、これを付けられれば実用的にクーラーを使える。

また、ソーラーシステムは100Wがオプション設定されている。


価格(2022年4月現在:千円台切り上げ:税込)

シェルの価格だけで225万円~、J cabin HNは276万円~となっている。

付けておきたいオプションは、FFヒーター(234,080円)、外部電源による充電機能(72,600円)、2000Wインバーター(123,200円)が挙げられる。また、ベース車への取り付け設置費用が必要(132,000円)。

必要に応じて、特別オプションコンビパック(40L横開き式冷蔵庫、電子レンジ、2000W正弦波インバーター:265,100円)、ツインバッテリーに変更 (31,900円)、スライド式アクリル2重窓に変更(両サイド各1箇所:81,400円)、100Wソーラーシステム( 154,000円)、セラミック断熱 (151,800円)を選択できる。

更に、調理をするなら、ツーバーナー付シンクに変更(カセットボンベ3連式:81,950円)とレンジフード(51,920円)もお勧めする。

更に、ウインドウクーラー(165,000円)、200Ahリチウムイオンバッテリーシステム(468,600円)があると、夏場でも快適に暮らせる。


他モデル

J cabin Hと比較検討するモデルは無い。また、これ以上のものは期待すべくもなく、比較検討する必要もないだろう。


まとめ

J cabin H(+ハイラックス)は、かなり趣味性の強い車だ。キャンピングカーの機能は欲しくても、不細工なクルマには乗りたくないという、ある意味キャンピングカーと言うよりもクルマとしての価値を大切にするユーザーに適している。

従って、快適性や機能性の面から評価するのは間違いで、多少不便でも、美しければよいのだ。ただし、一般のユーザーはカッコよいからと言って安易に手を出さない方が良い。

ベース車とシェルを合わせて1000万円近い出費をするなら、キャブコンの方がよほど快適だからだ。雨の中をベース車からシェルに移動し、ベース車に忘れ物をした時の心境を想像すればすぐに分かる。

故障するのは分かっていてもイタリア車に乗るユーザーの心が分かるなら、お勧めしたいモデルだ。眺めているだけでも幸せだろう。



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モデル J cabin H+ハイラックス
ビルダー MYSミスティック
ナンバー区分 1(ベース車)
乗車人数 5(ベース車)
前向き乗車人数 5(ベース車)
就寝人数 5
エクステリア  
ベース車 ハイラックス
シェル アルミパネル
サイドオーニング OP
足回り OP(ベース車)
エントランス バック
アクリルウインドウ OP(引き戸)
サンルーフ -
レイアウト  
ダイネット形態 横座り対座
マルチモードシート -
ベッド
ダイネットベッド
バンクベッド
常設ベッド ○(バンクベッド)
メインベッドサイズ(mm) 1800x1200
バンクベッドサイズ(mm) 1800x1770
ギャレー  
コンロ OP(カセット)
OP(常設2口)
シンク OP
給水タンク OP(16L)
排水タンク OP(16L)
冷蔵庫 OP(40L横開き式)
電子レンジ OP
多目的ルーム  
有無
カセットトイレ -
ポータブルトイレ -
防水処理 -
温水シャワー -
瞬間湯沸かし -
専用手洗い -
空調  
ベンチレーター
FFヒーター OP
冷房設備 OP(ウインドウクーラー)
床暖房 -
電装系  
サブバッテリー ○(105Ah x1)
バッテリー増設 OP
リチウムイオンバッテリー OP(200Ah)
走行充電システム
外部100V入力/充電 ○/OP
インバーター OP(1500W正弦波)
ソーラーシステム OP(100W)
発電機 -
ナビ/テレビ  
ナビシステム OP
テレビ OP(19型)
サイズ(シェルのみ)  
全長(mm) 4,320
全幅(mm) 1,840
全高(mm) 2,130
価格 (シェルのみ:税込)  
J babin H 225万円~
J cabin HN 276万円~

2022年4月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税込)

動画はこちら

2022.4.16