クオッカは三島ダイハツが製作する軽バンコン。ダイハツハイゼットトラックパネルバンを使用し、内装のみ架装しているが、パネルバンなので、まるでシェルを架装した軽キャブコンのように見える。
三島ダイハツはもちろんダイハツのディーラーだが、クオッカは同社のオリジナルモデルで、ダイハツが製作しているわけではない。従って、クオッカは三島ダイハツに行かないと購入できない。
なお「クオッカ」とは、オーストラリアのロットネスト島に生息する”世界一幸せな動物”といわれる動物の名前。ちなみに動物の方はこちらに行かないと見ることはできない。
コンセプト
ダイハツハイゼットパネルバンを使用し、バンコンながら広い室内を持つ。また、4個の「トランスフォーメーションボックス」を様々に使うことで、車外にダイネットを作ったり、ベッドや収納として使える。
ベース車だけではなく、インテリアやレイアウトもまったく新しい考え方を取り入れ、更に軽バンコンでは珍しいリチウムイオンバッテリーをオプション設定するなど意欲的なモデルだ。
エクステリア
ベース車はハイゼットパネルバン
ベース車はダイハツハイゼットパネルバンという、ダイハツのカーラインアップでも「特装車」というカテゴリーに分類されているもの。キャンピングカーのベース車としては今までにないものだ。
パネルバンの特徴は、シェルを架装する必要なく広い室内を実現できること。クオッカも室内の架装のみで仕上がっている。ただし、パネルバン自体は窓がないので、窓の部分は切り抜かれている。この部分にはオプションでアクリルウインドウが用意されている。
また、パネルバンのオリジナル仕様では、運転席、助手席のあるキャブ部と荷室はつながっていないので、クオッカでは貫通させてある。
オプションのアクリルウインドウ
また、クオッカには標準ルーフとハイルーフ仕様が選択できるが、展示車に使われていたのはハイルーフ。ハイルーフは15万円高になるが、運転席頭上に余裕がある。
なお、パネルバン仕様のカラーはホワイトしかない。従って特別にオーダーしない限り、クオッカもホワイトのみと思われる。
インテリア
「富士ひのき」を使ったインテリア
オールウッド仕上げで山小屋風のインテリアとなっている。使われているのは地元静岡産の「富士ひのき」。火山灰の土壌で育ち、耐久性、調質性、保温性に優れる最高木材としている。
キャンピングカーで求められる要素を持った木材ということだ。特に保温性に関しては一般的なシェルに使われている断熱材の代わりを、この富士ひのきが果たしている。ただし、断熱材も別途オプションで用意されている。
レイアウト
レイアウトが柔軟に変更できるのもクオッカの特徴だ。基本はコの字型シート配列とテーブルだが、テーブルの足を短くするとベッドになる。
車外でも使えるテーブルとトランスフォーメーションボックス
ギミックは4個のトランスフォーメーションボックスで、これを椅子や収納など様々に使うことができる。テーブルとこれらのボックスで車外にダイネットを作ることもできる。
ダイネット
木製のコの字型ダイネットとテーブル
ダイネットはテーブルとコの字型シート(左右両側と前方)で構成され、5名程度が座れるが、乗車定員は2名なので、二人旅ならゆったり座れる。テーブルは大きく、食事はもちろん、ちょっとした作業や仕事もできるだろう。
ベッド
テーブルを中央に置いたベッド
テーブルの脚を短くして中央に置くだけでベッドが完成する。ベッドサイズは1830x1290mm。家庭用ベッドならセミダブルとレギュラーダブルサイズの中間の幅に相当する。
クオッカのベッドはフラットではあるが木の板そのままなので、昼間は収納しておけるマットレスがあるとよいだろう。
ギャレー
クオッカにギャレーは装備されていない。従って火を使って調理したり、手や顔を洗ったり、食器を洗ったりすることはできない。
しかし、オプションで冷蔵庫や電子レンジは搭載することができるので、使い捨ての食器などを使うと、水を使わないで食事ができる。
冷蔵庫/電子レンジ
16L引き出し式冷蔵庫(OP)
16Lの引出式冷蔵庫と100V仕様電子レンジがオプション設定されており、それぞれ右側シート下、前部シート下にすっきりと収まっている。ダイネットからも車外からもアクセスしやすい。
100V仕様の家庭用電子レンジ(OP)
ただし、フルベッド状態にした場合は、冷蔵庫も電子レンジも使えない。
収納
右側シート下の収納
右側シートの下と前部のシート下が大きな収納スペースになっている。ここには比較的大きなバッグを収納することができる。
前部のオーバーヘッド収納棚
前部にオーバーヘッド収納棚が用意されている。大きさは小物収納に適しているが、扉が欲しいところだ。
空調
FFヒーター(OP)の前部吹き出し口
暖房はFFヒーターがオプション設定されている。暖気の吹き出し口が前部と後部左側に用意されている。ベッド状態にした場合、後部の吹き出し口から出る暖気はベッド下に閉じ込められることになるので、前部の吹き出し口は非常に有用だ。
なおベンチレーターはオプション設定されていない。冷房に関しても設定は無い。従って、夏場は厳しいだろう。ただし両サイドのスライドドアと後部ハッチが大きく開くので、涼しい場所で全開にすると風通しは期待できる。その意味ではバグネットのオプションが欲しいところだ。
テレビ/ナビ
オプションの11.6型フリップダウンモニター
テレビは11.6型フリップダウンモニターがオプション設定されている。ナビはオプション。
電装系
100Ahサブバッテリーと走行充電を標準装備する。外部100V入力とこれによるサブバッテリーの充電機能はオプション。また1500W正弦波インバーターもオプションとなっている。
特筆できるのは、サブバッテリーを100Ahのリチウムイオンバッテリーに交換できること。15万円(税別)と、多少高価ではあるが、ディープサイクルバッテリーのように2~3年で交換する必要がなく大電力に対応できるので、特に電子レンジを装備する場合はお勧めしたい。
154Wのソーラーシステムもオプションで装備できる。自宅の駐車場に100V電源がない場合は、装着しておくと駐車中に充電できる。
なお、展示車にはCTEK充電器が搭載されていた。これは走行充電を強化するのと、ソーラーパネルからの充電をコントロールするもので、リチウムイオンバッテリーを装備する場合は搭載される。
価格(千円台切り上げ:税別)
標準ルーフ2WD/5MTで200万円~、同4ATで209万円~。ハイルーフは15万円高。4WD/55MTは217万円~、4ATは226万円となっている。
車両に付けておきたいオプションは、衝突回避支援ブレーキシステム「スマートアシストⅢt」(45,000円)、省力パック(パワーウインドウ・キーレスエントリー)(
40,000円)。
また、キャンピングカー設備で最低限付けておきたいオプションは、FFヒーター(23万円)、外部100V入力と充電機能(7万円)が挙げられる。
その他、長期旅をするなら冷蔵庫(8万円)、電子レンジ(38,000円)、1500Wインバーター(16万円)は欲しいところだ。
他モデル
そもそもパネルバンを使用したモデルは他にないので、比較対象がない。バンコンでこの広さを持つモデルは存在しないし、キャブコンでは高価になる。
なお、山小屋風のインテリアを持つ軽バンコンでは、ダイレクトカーズのリトリートミニ(229万円~:税別)が挙げられる。またキャブコンではMYSミスティックのレジストロ(320万円~:同)があるが、クオッカに比べるとかなり高価だ。
まとめ
パネルバンをベース車に使用するのは新しい発想で、新規参入ビルダーだからできたのかもしれない。「富士ひのき」を使ったインテリアや、冷蔵庫、電子レンジ、リチウムイオンバッテリーなども軽バンコンでは新鮮な装備だ。
ただしパネルバンの使い勝手はこれから検証されるだろうし、現在はまだ二人乗車しかできないので普段使いには制限がある。その点は軽バンや軽ワゴンを使ったモデルには及ばない。
しかし今後、パネルバンを使った新しいレイアウトやインテリアが開発されることを期待したい。
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