アレグロはカーショップスリーセブンが製作する、日産NV200バネットをベース車にするバンコンキャンピングカー。
同社はN-CAMやMOC Ⅱといった軽バンコンを主にラインアップしているが、アレグロは同社初のNV200バネットベースのバンコンとなる。軽バンコンでは狭すぎるが、ハイエースでは大きすぎるというユーザーに適している。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
日産NV200バネット バンをベース車にするバンコンで、ポップアップルーフは、あり、なし、どちらも選択することができる。
2列目にマルチモードシートを設置し、4名が前向き乗車可能なので、ポップアップルーフモデルを選ぶとファミリーでの車中泊も可能。ギャレーも装備された8ナンバーキャンピング車。
最大の特徴は、車載用セパレートクーラーと大容量のポータブル電源が標準装備されること。FFヒーターもオプションで装備できるので、年間を通して快適に過ごせる。
アピールポイント
・運転しやすいコンパクトなサイズ
・日常使用でも目立たず、通勤や買い物に使える
・ポップアップルーフモデルではファミリーでの車中泊が可能
・クーラーと大容量ポータブル電源を標準装備
・ギャレーが標準装備された8ナンバーモデル
ベース車とエクステリア
アレグロのエクステリア
ベース車は日産NV200バネット バン。日産ノート(4,045x1,695mm)とほぼ同じボディサイズ(4400x1690mm)なので、街中での取り回しも楽に行える。高さも1,965mm(ノーマルルーフは1,850mm)なので、立体駐車場や地下駐車場にも駐車できる。
ポップアップルーフは前方がアップし、3方向に窓がある。それぞれの窓にはメッシュ(網戸)とシェードが用意されており、ファスナーでセットできる。2WD
FRの他4WDも選択できる。
インテリア
ウッド調の壁紙のインテリア
展示車はウッド調の壁紙と、オレンジを基調にしたシート、濃い木目調の家具で構成されていたが、シート地や家具の色は選択できる。
窓枠とロールカーテン
インテリアは特別高級というわけではないが、お洒落な作りで、特に左後部の窓は窓枠が作られロールカーテンが付けられているところなどは楽しい演出だ。
レイアウト
2列目にマルチモードシートを設置し、前向きにすると、運転席、助手席と合わせて計4名が前向き乗車できる。2列目シートでは左側の乗員のみ3点式シートベルトが装着できる。
ベッドはダイネットを展開するベッドで2名、ルーフベッドで2名で、計4名が就寝できる。後部右側にギャレーキャビネットを置き、シンクをビルトインするほか、ポータブル電源を収納している。
ダイネット
コの字型のダイネット
2列目シートを後ろ向きにすると、後部の簡易シートとでコの字型のダイネットになる。実質的には大人2名と子供2名が座れる程度の広さだ。
2名なら、後部をベッドモードにして足を投げ出して寛ぐことができる。4名でも、子供がルーフベッドで寝てしまえば同様に寛ぐことができるだろう。
ベッド
ダイネットベッド
ダイネットベッドの大きさは明記されていないが、2列目シートは900ミリと思われるので、前部は幅900mm、後部はベッドマットを入れて1000ミリを確保し、2名就寝が可能としているようだ。
実質的には大人2名では窮屈で、大人1名と子供1名が妥当なところだ。
2名が就寝できるルーフベッド
ルーフベッドのサイズは2200x1030mm。キャンピングカー要件では1名につき500mm幅があれば良いので、2名が就寝できることになる。しかし、家庭用シングルベッドの幅(970mm)よりも多少広い程度なので、やはり大人1名+子供1名が妥当なところだろう。
ギャレー
広い天板のギャレーセクション
右側のキャビネットには、シンクとフォーセットが装備されている。このベース車を使用する他車では一般的に薄型のキャビネットを採用している。しかしアレグロでは奥行きがあり、シンクも実用的な大きさだ。調理台も広く取られている。
ただしダイネットが隣接しているので立って調理することはできず、あまり使いやすいギャレーではない。ポータブル電源の奥行きがキャビネットを薄型にできない要因と思われるが、そのためベッド幅が狭くなったのは残念なところだ。
シンクの下の給排水タンク
キャビネットの下には各10Lの給排水タンクが収納されている。右側エントランス横なので、車外から直接出し入れできる。
冷蔵庫/電子レンジ
14Lのポータブル冷蔵庫(OP)
14Lのポータブル冷蔵庫が、右側エントランスに置かれていた。ここは「正式な」置き場所ではないようだが、車外からもアクセスできるので、結果的に妥当な置き場所となっている
なお、電子レンジはWAVE BOXがオプションで用意されている。どこに収納されるのか不明だが、電子レンジがあるとクルマ旅で大変便利だ。折角大容量のポータブル電源があるので、家庭用の電子レンジの方が良かったのではないだろうか?Wave
Boxより小型のものもあるし、何より圧倒的に安価だ。
多目的ルーム
もちろんアレグロに多目的ルームは無いが、小さな子供の緊急用に積んでおけないことはない。夜中や雨天時に「おしっこ」と起こされることが予想される場合は、積んでおくと便利ではある。
収納
ベンチシート下の収納
アレグロで用意されている唯一の収納は左サイドのベンチシート下にある。また、ベッドモードにした場合、ベッド下のスペースは大きな収納になる。
空調
車載用セパレートクーラーを標準装備
前述の通り、車載用の12Vセパレートクーラー「One Cool」が標準装備されており、これがアレグロの最も大きな優位点だ。クーラーはフル出力で600Wなので、標準装備の2000Whポータブル電源で3時間程度使える計算になる。
もちろん連続してフルパワーで運転しないので、実際はもっと長く使用できるし、夜なら更に長く運転できる。FFヒーターとマックスファンベンチレーター(ノーマルルーフのみ)もオプションで設置できる。
テレビ/ナビ
10.2型のフリップダウンモニターがオプションで用意されている。また、ナビもオプション設定されており、好みのものが取り付けられる。
電装系
2000Whのポータブル電源が標準装備される。このポータブル電源は中国のパワーオークグループの「BLUETTI AC200P」というもので、大容量が特徴。固定の100Ahリチウムイオンバッテリーの1.5倍程度の容量がある。
固定リチウムイオンバッテリーと比べると驚くほどの容量ではないが、インバーターや電源コネクタ、あるいはディスプレイがワンパッケージになっているのは便利だ。さらに必要に応じてクルマから降ろして使ったり充電したりできる。
走行充電に関しては情報が無いが、外部電源入力は標準装備されるので、外部電源が取れるところで充電できる。なお、100Wのソーラーシステムがオプション設定されているので、そこから充電することも可能だ。
価格(2023年3月現在:千円台切り上げ:税込)
ポップアップルーフ 2WDは498万円~、4WDは435万円~となっている。ノーマルルーフ仕様は、下の仕様表を参照。
付けておきたい必需オプションは、FFヒーター(254,100円)が挙げられる。(ナビ関連は除く)
予算に余裕があれば、ソーラーシステム(139,000円)を装備しておくと、クルマを使用していない場合でも充電されるので便利。また、必要に応じてWAVE
BOX電子レンジ(44,000円)も挙げられるが、家庭用の電子レンジが設置できるか確認されることをお勧めする。価格表はこちら。
他モデル
NV200バネットベースでポップアップルーフを架装できるファミリー向けのモデルは、アネックスのカヌレ(458万円~)、キャンピングカー広島のポップ・コン キャンパーR(449万円~)、東和モータース販売のツェルトNV(460万円~)、ダイレクトカーズのリトリートNV200Ⅱ(417万円~:4WD)が挙げられる。
これらの中でクーラーが装備できると表記しているモデルはない。アレグロは498万円~なので最も高価だが、クーラーと2000Whのポータブル電源が標準装備であることを考えると納得できる価格と言える。
まとめ
NV200バネットをベース車とし、ファミリーで使用でき、クルマ旅にも対応するモデルを探しているユーザーなら、アレグロは最適なモデルのひとつと言える。冷蔵庫、電子レンジ(どこに収納できるのか不明だが)、実用的なギャレーはクルマ旅に欲しい装備だからだ。
更に、クーラーと強力な電源は他車に大きく差を付けている。クーラーとFFヒーターがあれば、オールシーズンで快適に使用できる。NV200バネットクラスのバンコンにクーラーを標準装備したのは素晴らしい。
アレグロはこのように大変注目度の高いモデルだが、弱点を挙げるとすればベッド幅が狭いことだろう。現実的には大人2名+子供2名のファミリーなら多少窮屈な思いをして就寝することになる。
同社に次に期待したいのは、二人旅を想定したモデルだ。マルチモードシートにとらわれることなく余裕のあるレイアウトで、クーラーが備わったモデルはまだ存在しない。きっとミドルサイズバンコンのスタンダードになるだろう。
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