MocⅡポップアップはカーショップスリーセブンが製作する、スズキエブリィバンをベース車にした軽バンコン。ポップアップルーフを架装するが、ノーマルルーフのMocⅡも選択できる。
従来のMocはサブバッテリーシステムはオプションだったが、MocⅡでは標準装備になった。また後部の引き出し収納、テーブル等も標準装備になりグレードアップしている。
MocⅡにはTypeSも用意されており、こちらは家具がローボードタイプになる。収納スペースは減るが、シンプル装備で低価格となっている。
コンセプト
MocⅡの特徴は天然木の家具と畳敷きのフロアを採用した室内。和風で落ち着いた雰囲気の室内はMocⅡならでは。ポップアップルーフで圧迫感が無く、軽バンコンながら寛げる室内になっている。
畳敷きと言えば岡モータースの「ミニチュアクルーズ遍路バージョン」という和室を意識した軽キャンパーがあるが、MocⅡはそこまでの和風化はしていない。しかし何か落ち着く室内だ。
エクステリア
MocⅡポップアップのエクステリア
ポップアップルーフのユニットがルーフ全体を覆っており、この部分の色をシルバーにし、あえて目立たせているのが特徴的。黒のボディと相性がよく、精悍な外観になっている。
ベース車はスズキエブリイバンで、これにポップアップルーフを架装している。全高は1980mm。エブリイのハイルーフが1895mmなのでポップアップルーフを下げた状態でも、85mm高いことになる。ただし高さ制限のある2100mmの一般的な駐車場には入れる。
インテリア
和紙畳と天然木を採用したインテリア
MocⅡのインテリアは畳敷きのフロアが特徴。使用されている畳は「和紙畳」と言われるもので、畳表にい草表を使用せず、和紙表を使っている。褪色し難く、摩耗に強く汚れにくいという特徴があり、ペットがいても手入れが楽だ。
なお、クッションフロアを選択することもできる。また、天然木(タモ材)を使用した家具を使用していることも特筆でき、高級感のあるインテリアになっている。色は5色から選択することができる。
レイアウト
フラットフロアと後部両側に収納家具を設置した一般的なレイアウトを採用している。エブリイの2列目シートは折り畳んでフロア下に収納されているので、これを立ち上げると4名が乗車でき、日常使用にも使える。
就寝は、フロアとポップアップルーフで各2名が就寝できるので計4名が就寝でき、ファミリーでもドライブし、車中泊することができる。もちろん成人4名では窮屈で、大人2名と子供2名のファミリーが限界だろう。
ダイネット
畳敷きのダイネット
畳敷きの場合は、ちゃぶ台の和室スタイルで寛げる。後部の家具にテーブル台を渡すと書斎のようになり、パソコンを置いたり、趣味の作業をすることができる。一人旅なら十分な広さのダイネットだ。
ベッド
2段ベッドには各段に読書灯と小型トレイが備わる
ベッドではなく和室で寝る感覚。ダイネットがそのままベッドになるが、ベッドマットではないので畳の床は固い。従って、寝るにはマットレスのようなクッションが必要だろう。畳を選択するユーザーはふとん派かもしれないが、マットレスと布団を積んでおく必要があるかもしれない。
ギャレー
オプションのギャレー(写真:カーショップスリーセブン)
オプションでミニギャレーが用意されている(税別38,000円)。オプションには各5Lの給排水タンクも付属しており、シンクの下に収納される。長期旅ユーザーには付けておきたい装備だ。
冷蔵庫/電子レンジ
ポータブル冷蔵庫がオプション設定されている
冷蔵庫を設置するスペースは用意されていないが、展示車にはエンゲルの14Lポータブル冷蔵庫が助手席に置かれていた。一人旅の場合はこれで良いが、二人の場合は運転中は後部のどこかに、停泊時は助手席に置くといった使い方になるだろう。
なおポータブル冷蔵庫を持ち込む場合は、12V電源が必要になる。シガーライターからも取れるが、バッテリー上がりを避けるため後部右側ラックに付けられた12Vコネクタから取ることをお勧めする。あるいはポータブルリチウムイオンバッテリーがあると、どこにでも置ける。
展示車には12Vで動作する電子レンジWaveboxが後部右側の収納ラックに置かれていた。オプションだが、長期旅で簡単に食事を作る場合便利だ。
なお電子レンジを多用する場合は標準の52Ahのサブバッテリーをオプションの104Ahに交換しておくと良いだろう。またやはりオプションの1500Wインバーターを装備し、家庭用100V仕様の電子レンジを付けると短時間で調理することができる。
収納
オーバーヘッド収納と棚が両側に用意されている
MocⅡの収納は充実している。後部両側の収納家具にはオーバーヘッド収納が付いているうえ、両側のスライドドアの上には大きな棚が備えられている。ポップアップルーフバージョンが通常のハイルーフバージョンより全高が高くなっているが、ここに生かされている。
収納はベッドボードの下にも用意されており、後部ハッチを開けると、車外からアクセスできる引き出し収納と両サイドに扉を持つ収納が用意されている。これらの収納は他の軽キャンパーに比べて高さがあるが、これもルーフが高くなっているからできることだろう。
空調
暖房はFFヒーターがオプションで用意されている。冷房のソリューションは特に記載されていないが、ポータブルクーラーとポータブルリチウムイオンバッテリーを持ち込むという手もある。
なお、4連のファンがオプション設定されている。これは窓に取り付けるもので、強制換気できる。
テレビ/ナビ
16型モニターがオプション設定されている。展示車では左側のラックに置かれていた。
電装系
先にも書いたが標準では52Ahのディープサイクルバッテリーと走行充電が標準装備されているが、オプションで104Ahにアップグレードできる。電子レンジやFFヒーター、テレビなどを使用する場合はオプションを選択しておくことをお勧めする。
外部100V電源入力が標準装備されるが、これによる充電機能(充電器)はオプション。自宅の駐車場に100Vコンセントがある場合や、キャンプ場など外部電源が取れるところに行く機会が多いなら付けておくと良いだろう。
また60Wのソーラーパネル(キャリア含み税別95,000円)がオプション設定されている(7万円)。
価格(2020年12月現在:千円台切り上げ:税別)
MocⅡポップアップの車両本体価格は224万円~。参考までに、ローボードを架装したMocⅡ TypeSは209万円~だ。また、ポップアップルーフ無しのMocⅡの場合は希望の新車の価格+架装費71万円となっている。
是非付けておきたいオプションは、FFヒーター(20万円)、外部電源による充電器(45,000円)、104Ahサブバッテリー(32,400円)。1500Wインバーター(48,000円)が挙げられる。
他モデル
エブリイをベース車にし、ポップアップルーフを持ち、収納家具を架装したモデルは、オートワンの「給電くんポップアップ」(221万円~)、ナッツRVの「スピナポップアップ」(215万円~:4AT)、フィールドライフの「コング」(266万円:4AT)がある。
ギャレーと電子レンジを搭載できるモデルは、このMocⅡポップアップと給電くんポップアップの2モデルのみとなっている。
またN-VANベースではN-VAN COMPO Cabin、Style one、Style twoがある(いずれも259万円~)。これらもギャレーが装備されており、オプションで電子レンジ(Wavebox)を収納できる。Cabinは更にオプションのポータブル冷蔵庫がすっきり収納できる。
まとめ
軽バンコンを選択する最も大きな理由は、価格が安価ということだろう。従って、軽バンコンでも価格が高くなるポップアップルーフ仕様は主流ではない。発売されているポップアップルーフの軽バンコンが意外に少ないのはそのような理由もある。
しかし、ノーマルルーフの軽バンコンで長期旅をするなら、基本的に一人旅と考えた方が良い。もちろんダイネットベッドで2名就寝できるが窮屈で、二人で何日も車中泊すると疲れてしまう。
二人旅をするならやはりポップアップルーフ付きをお勧めしたい。雨や風が強かったり寒い夜は寝難いが、そうでなければ別々に就寝できるという逃げ場がある。就寝だけでなく、一人で本を読みたいといった場合でも活用できる。余裕があれば旅は楽しくなる。
ただしポップアップルーフは高価だ。給電くんの場合は60万円近く、N-VAN Compoでは86万円もする(MocⅡは不明)。ポップアップルーフの軽バンコンの価格なら、ノーマルルーフのタウンエースやNV200バネットのコンパクトバンコンが視野に入ってくる。難しい選択だが、自分の使用スタイルをよく考えて選択するしかない。
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