N-VAN Compo Pop Cabinはホワイトハウスが製作する、ホンダN-VANベースの軽キャンパー。同社はハイエースバンコンから軽キャンパーまでラインアップしているが、N-VANベースのモデルは初となる。
N-VANは商用車ながら、広いスライドドア開口部や高い室内高、あるいは走りの良さで人気があり、発表直後からキャンピングカーのベース車として注目されていた。
同社は従来より、ホンダのコンパクトカーや軽ワゴンにポップアップルーフ架装を行い、独自のラインアップを作っていたが、今回もN-VANに独自のポップアップルーフを開発し架装している。現在のところ、ポップアップルーフを持つN-VANキャンパーは他に見当たらない。
また、N-VAN Compoシリーズは、ポップアップルーフの有無を選択できるほか、Hot Package とCabinのグレードを選択できる。Hot
Packageは主に電装系のも装備したもの、Cabinはこれに加え、後部両側に収納家具とギャレーが装備される。
また、ポップアップルーフ架装車にはPopグレードがあり、これはポップアップルーフのみ架装される。
今回紹介するN-VAN Compo Pop Cabinは、ポップアップルーフ装着モデルかつ収納家具を持つフラグシップモデルの位置付けになる。
エクステリアは、ポップアップルーフ以外架装はなく、ポップアップルーフも下ろしてしまえば通常のN-VANと変わらない。従って通勤や買い物など日常用途にも目立つことなく使用できる。もちろん、高さ制限のある駐車場でも、通常の軽ワゴンと同じように入ることができる。
収納家具が装備された室内
インテリアはグレーのベッドマットとオフホワイトの家具で、モダンながらも落ち着いた仕上がりとなっている。
後部両側には収納家具が装備されているが、これに連続して両側に棚が作られている。
豪華というのではなく、モダンな感じの仕上がりとなっている。
レイアウトは、軽キャンパーでは一般的なもので、純正のシートを畳んだ上にベッドを備えている。ただし、N-VANでは車内高が高いので、多くのモデルではベッドマット面をかなり持ち上げ、ベッド下は大きな収納庫にしている。N-VAN
Compo Pop Cabinも同様で、ベッド下は大きな収納庫になっている。
なお、右側のベッドマットを取り外すと、後ろ向きにしたドライバーズシートや左側のベッドマットをソファのようにして座ることができる。ただし取り外したベッドステーやマットは結構邪魔になるうえ、フルサイズのベッドは無くなってしまうので、車中泊をする場合には向かない。
反転できる運転席
ダイネットは、多くの軽キャンパーではベッドマットを敷いたままでベッド兼ちゃぶ台スタイルダイネットとして使われるが、N-VAN Compo Pop Cabinでもそれは同様。
なお、後部にちょっとしたテーブルが備え付けられているが、折りたたみ式のテーブルを別途購入して自由な位置で使う方が便利かもしれない。
ひとつ異なるのは回転する運転席。これはオプションだが、運転席が180度回転して後ろ向きになり、足を投げ出してリクライニングすることができる。
また、N-VANは助手席までも折りたたんでフラットになるのでフロアが有効に使える。
ベッドは助手席のシートを畳んでフラットにすると2m以上あるので、長身のユーザーでも窮屈ではない。ただし運転席側はシートが畳めないうえ、足元には収納家具があるので、フロアベッドで大人2名が就寝するのは窮屈かもしれない。
もちろんポップアップルーフでも就寝が可能なので、2名なら上下に分かれて就寝できる。ファミリーなら大人2名と小さい子供に限られるだろう。
ギャレーは標準装備
ギャレーは、後部右側にあり、Cabin仕様ではシンクとフォーセットが標準装備される。シンクの下には清水タンクが収納される。
軽キャンパーにギャレーまで必要ないという意見もあるだろうが、小さな食器を洗ったり、食事の前に手を洗ったり、ペットの足を洗ったりと、やはりあると便利だ。水を出すレバーは後部にあり、車外からでも操作ができる。
冷蔵庫はポータブル冷蔵庫が後部右側のベッド下に収納できる。アクセスしやすいようにベッドマットがその部分だけ独立している。
また電子レンジもオプションで設定されており、これは後部左側の収納家具のスペースにピタリと収まる。
収納は、大きな荷物はベッド下に収納できる。特に左側のスペースは囲われており、荷物が散乱することはない。大きめのバッグも十分収納できる。
後部の収納家具は、電子レンジの収納スペース以外は棚といった感じで、あまり大きなものは収納できない。またルーフサイドに沿って収納が用意されているので、ここにもタオルのようなものを収納しておける。扉があれば、もっと使い勝手が良いのだが。
また、キャブ上部にもちょっとした収納棚が設けられている他、後部左側の家具には引き出し式の収納スペースがあり、箸やフォークなどの小物を収納しておけ、大変便利だ。
その他、後部のハッチを開けると、ベッド下の収納にアクセスでき、車外から長物の収納もできるようになっている。
後部の収納スペース。右はポータブル冷蔵庫
空調はCabinとHot PackageにはFFヒーターが標準装備される。ベンチレーターのオプションは設定されていないが、ポップアップルーフ仕様ならルーフから換気ができる。ポップアップルーフが無い場合は換気に注意が必要だ。
電装系は、サブバッテリーと走行充電が標準装備されるが、外部100V電源入力/充電はオプション。またソーラーシステムもオプションで用意されている。
価格は337万円~(税別)。最も選択されると思われるベース車のグレード「Style FUN」では371万円(同)だ。これに冷蔵庫、電子レンジ、外部電源入力/充電を加えると、約400万円(同)になる。
確かにこれだけの装備だと完璧に近いが、400万円を超えるとポップアップルーフ装備のNV200バネットやタウンエース/ライトエースベースのライトバンコンも視野に入ってくる。長期旅が多いなら、ライトバンコンの方が楽ではある。