リトリートNV200Ⅱはダイレクトカーズが製作する、日産NV200バネットをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社は5m超のフルサイズキャブコン「トリップ」から軽キャブコン「アマホ」まで製作する総合ビルダーだが、ハイエースバンコンも多数ラインアップしている。しかしNV200バネットベースのバンコンは2021年に発表された「リトリートNV POP」が初めてのモデルだった。
今回取り上げた「リトリートNV200Ⅱ」はNV200バネットベースの第2段だ。「リトリート」は同社のリアルウッドを使ったインテリアシリーズで、山小屋のような車内が魅力のモデル。
「リトリートNV200Ⅱ」も同様にリアルウッドを使用したインテリアだが、ペットとのクルマ旅をテーマにした「リトリートNV POP」とは異なり、趣味の部屋をテーマにしたレイアウトになっている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
日産NV200バネットをベース車にしたコンパクトバンコン。ポップアップルーフはオプションで架装できる。2列目にREVO製のバタフライシートを配置し、4名が前向き乗車できる。
他のリトリートシリーズのモデル同様、リアルウッドのインテリアで山小屋のような室内を演出。
後部には2台のキャンピングテーブルが積まれており、車内の家具として機能する他、車外に持ち出してアウトドアテーブルとして使用できる。また、これらのテーブルを下し、バタフライシートを畳んで前方にスライドさせると、後部は大きなカーゴスペースになる。
ダイネットベッドでは2名が就寝でき、ポップアップルーフでも2名が就寝できるので、ポップアップルーフを架装すると4名のファミリーでも使用できる。
アピールポイント
・運転しやすいコンパクトサイズ
・ポップアップルーフを架装可能(OP)
・2列目に前向きシートを配置し、日常使用にも使用できる
・リアルウッドを使用した山小屋のようなインテリア
・キャンピングテーブル2台を標準装備、車外でも使用できる
・バタフライシートとレールにより、大きなカーゴスペースが可能
・運転席、助手席が回転し、後ろ向きにして対座ダイネットを形成(OP)
ベース車とエクステリア
リトリートNV200Ⅱのエクステリア
ベース車は日産NV200バネットバン。標準ではポップアップルーフが付かないので、外観はノーマルのNV200バネットと変わらない。オプションでポップアップルーフを架装した場合でも、ルーフを下せば全く違和感がなく目立つことは無い。
バンには4WDも設定されており、選択できる。また全車にインテリジェント エマージェンシーブレーキや標識認知機能を搭載、安全性にも配慮されている。
インテリア
リアルウッドを使ったインテリア
ダイレクトカーズのリトリートシリーズは、リアルウッドを使ったインテリアが共通して使われているが、このリトリートNV200Ⅱもサイドパネルやリアゲートパネルにリアルウッドを張り付けており、山小屋のような車内を実現している。
シートもカジュアルなデザインのものが使用されているが、シート地の選択も可能だろう。
レイアウト
レイアウトはいたってシンプルで、2列目にマルチモードシート(バタフライシート)を配置するが、後部はフラットなフロアになっている。バタフライシートはレールに載っており、畳んで前方にスライドすると、後部は広い荷室になる。
後部にはテーブルを2台標準装備しており、車内では収納棚として使用できる他、ベッドモードではベッドフロアとして使用できる。これらのテーブルは車外に持ち出して、アウトドアテーブルとして使える。
ダイネット
後ろ向きにした運転席、助手席のダイネット
ダイネットは二つのパターンがある。一つは前向きにした2列目シートと、オプションの回転機能を使って後ろ向きにした運転席、助手席とで4名が対座できる。
2列目シートを後ろ向きにしたダイネット
もう一つは2列目シートを後ろ向きにして。足を伸ばして寛ぐスタイル。後部の2台のテーブルを並べるとフラットフロアになるので、広いフロアダイネットができる。
ベッド
2列目シートをフラットにしたフロアベッド
2列目シートをフラットにするとフロアベッドになる。後部は車幅いっぱいに取られているが、2列目シート部分は1000mm幅なので、キャンピングカー要件では2名が就寝できるが、かなり狭い。小さな子供なら一緒に寝ることは可能だろう。
オプションのポップアップルーフ
オプションのポップアップルーフを架装している場合は、ルーフベッドを使うことができる。この大きさは1970x1040mmでここでも大人2名が就寝できる。
ポップアップルーフにはバグネットやシェードも用意されているので、夏の暑い時期でも涼しく過ごすことができる。また就寝時はシェードでプライバシーが守れる。
ギャレー
リトリートNV200Ⅱはギャレーを持たない。従って車内で調理することは想定されていないが、もちろんポータブルカセットコンロを持ち込むことは可能だ。ただし、ベンチレーターは無いので、換気には十分注意する必要がある。
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫や電子レンジを設置するスペースも想定されていない。ただし、これもポータブル冷蔵庫を持ち込むことはできる。冷蔵庫は12Vの電源が必要なので、シガーソケットから取ることはできるが、これはメインバッテリーを消費するので、エンジンがかからなくなる可能性がある。サブバッテリーを同時に用意すると良いだろう。
多目的ルーム
リトリートNV200Ⅱにはもちろん多目的ルームは無いが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことはできる。ただし、収納するスペースは無いので、常に目に触れることになる。あまり現実的ではないだろう。
収納
2台のテーブルを重ねた収納棚
2台のテーブルを重ねると、収納棚になる。キャンプ用品などを収納するには便利だ。
後部の大きなラゲッジスペース
また、2台のテーブルを下してしまうと、後部は大きなラゲッジスペースになる。バタフライシートはレールに乗っているので、シートを畳んで前方にスライドすると、1610x1220mmの最大ラゲッジスペースを生み出せる。
空調
FFヒーターやクーラーが設置できるかどうかは不明だ。FFヒーターもクーラーも、同じNV200バネットをベース車にしているリトリートNV POPには装備できるので、リトリートNV200Ⅱにも装備できるかもしれない。
しかし、そのためには大容量の電装系が必要となり、リトリートNV200Ⅱのコンセプトではなくなる。リトリートNV200Ⅱはシンプルなことこそが特徴なので、快適な装備を求めるのは正しい方向ではないだろう。
テレビ/ナビ
テレビも設置しようと思えばできるだろう。しかし、今ではスマートフォンやタブレットで自宅に録画した番組やテレビを観られる時代なので、シンプル装備が特徴のリトリートNV200Ⅱにテレビを設置する必要性はあまりないだろう。
なお、ナビは希望のものを装着できるだろう。
電装系
リトリートNV200Ⅱには電装系も装備されていない。レイアウトを見る限り、サブバッテリーや充電システムなどが収納できそうなスペースは無いので、このままでは電装系の搭載は難しいだろう。
しかし、繰り返しになるが、リトリートNV200Ⅱはシンプルを特徴にしているモデルなので、電装系も期待すべきではない。もし必要であれば、ポータブル電源を持ち込むと良いだろう。
価格(2022年6月現在:千円台切り上げ:税込)
バンGXグレード4WD/4ATで417万円~となっている。2WDの価格は表示されていないが、選択は可能だ。
付けておきたい必需オプションは、無い。本来ならFFヒーターや外部電源入力などを挙げるところだが、リトリートNV200Ⅱに関しては、車中泊ができればよい、というコンセプトなので、必需オプションは無しとした。
ただし、いくらフラットなベッドさえあれば良いということでも、冬場はもちろんだが、春先や秋口でもかなり冷える場合がある。車中泊を甘く見ないで、十分な耐寒用具を用意されることをお勧めする。
他モデル
フラットなベッドのみのシンプル装備をコンセプトとしているモデルは多々ある。と言うか、単にベッドキットを乗せただけでも車中泊モデルになってしまう。
しかしリトリートNV200Ⅱは、もちろんそのようなシンプル装備のモデルとは一線を画している。このモデルはリアルウッドのインテリアを持ち、バタフライシートで後部に大きなラゲッジスペースを持てるという付加価値がある。
リトリートNV200Ⅱに最も近いコンセプトのモデルは、ゴードンミラーモータースの「GMLVAN C-01」(440万円~:4WDは473万円~)だろう。このモデルもリアルウッドを使用したシンプル装備モデルだ。
もう一つコンセプトに似たモデルとして、フィールドライフのロビー(カーゴGL 2WD/4AT 352万円~)を挙げておきたい。こちらはタウンエースベースで、リアルウッドを使っているわけでもないが、テーブルを車外に持ち出してアウトドアライフを楽しめるという点は同じだ。
まとめ
リトリートNV200Ⅱはシンプル装備ながら、ポップアップルーフやリアルウッドのインテリア、あるいはスライドレール付きバタフライシートによる広いラゲッジスペースなど魅力的な機能と、車外に持ち出せるテーブルのアイデアなどを満載したモデルだ。
外観は通常のミニバンだしコンパクトなので日常用途にも違和感なく使用でき、休日にはアウトドアライフを満喫できる。単なるミニバンの代わりに購入すると、新しい休日の過ごし方が可能になる。
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