UTONE(ウトネ)300はアネックスが製作する、日産キャラバン標準ボディ標準ルーフをベース車に使用したバン・コンバージョンキャンピングカー。
同社はリバティ52DB等のカムロードキャブコンからカヌレのようなコンパクトバンコンまでラインアップする総合ビルダー。最近では5mを切る全長のリバティ50DBも発表している。
UTONE(ウトネ)シリーズは、2022年10月に発表されたRIWに代わる新ブランド。2022年10月に発表されたハイエースワイドミドルベースのUTONE500と、2023年2月に発表された、日産NV200をベース車にするUTONE200の2モデルがラインアップされている。
UTONE300は、UTONE200とUTONE500間を埋めるモデル。標準ボディ標準ルーフのボディながらハイエースではなく日産キャラバンをベース車にしているのも特徴だ。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
日産キャラバンをベース車にしたバンコンモデル。すでに発売されているUTONE200とUTONE500の間に位置するが、全2モデルのようにポップアップルーフは無く、ノーマルルーフのみとなる。
アルミフレームの家具とスポットライトによるお洒落なインテリアは全2モデルと同様で、趣味性の高いコンセプトが特徴。クルマ旅と言うよりは週末のキャンプなど短期使用に向いている。
アピールポイント
・コンパクトで運転しやすく、かつ広い室内
・アルミフレームのキャビネット
・バタフライシートを採用、後部に広いラゲッジスペースが可能
・オリジナルのTPボックスを活用したレイアウト
・デザインボードとLEDスポットライトを採用したお洒落な照明
・黒アイアンのオリジナル金物
ベース車とエクステリア
UTONE300のエクステリア
ベース車は日産キャラバン標準ボディ標準ルーフ。グレードはDXを使用している。DXはバンパーなどが黒く、一見商用車のように見えるが、このモデルのコンセプトから言うとこのエクステリアの方が似合っているだろう。
ボディ外側への架装はUTONEのロゴを除きノーマルのキャラバンと変わらないので、日常用途でも目立つことは無い。ただ、UTONEのロゴに目が留まるかもしれない。
UTONE300はUTONE200やUTONE500に架装されているポップアップルーフ仕様は無く、ノーマルルーフのみとなる。
ガソリンとディーゼル、2WDと4WDが選択できるが、ガソリン仕様は2WDのみとなっている。4WDはパートタイム。
インテリア
UTONE300のインテリア
ノーマルルーフとなったため、スポットライトがインテリアボードに取り付けられ、間接光の照明も加わり、ゴージャスな室内となった。アルミフレームの家具やベージュ系のシートなどは全2モデルと共通。
オプションで後部右側に有孔ボードを取り付けることができ、好みのアクセサリーを飾っておくことができる。
家具の断面を見せるエッジ処理
テーブルやギャレーキャビネットの天板には、断面の美しい、北海道産の白樺の間伐材を使用した合板を採用。あえて断面をカバーするエッジ処理を行わないことにより、北欧の家具によくみられる素材の美しさを生かしたテイストに仕上げている。
なお、UTONE500とUTONE200のオプションのヒッコリーの天然無垢材の床は、残念ながらUTONE300には設置されていない。このオプションはUTONEシリーズの特徴のひとつなので、UTONE300にも将来設置されることを期待したい。
レイアウト
2列目と3列目に900mm幅のREVOバタフライシートを配置。前向きにすると、計7名が前向き乗車できる。そのうち、運転席、助手席と、各シートの左側の乗員計4名が3点式シートベルトを装着できる。
2列目シートを後ろ向きにすると、4名対座のダイネットになる。シートを全てフラットにすると、ダイネットベッドになるが、上段ベッドも標準で用意されており、上下段合わせて大人が4名就寝できる。
ダイネット
4名対座のダイネット
2列目シートを後ろ向きにすると、3列目シートとで4名が対座できるダイネットになる。シートは床に設置されたレールにより前後に自由にスライドできるので、テーブルとの間隔を好みの位置に移動できる。
ベッド
ベッドはシートをフラットにして作るダイネットベッド(下段)と、両側のキャビネットにベッドボードを渡して作る上段ベッドがある。上段ベッドも標準装備される。
下段ベッド
下段ベッドの大きさは2000x1140mm。家庭用のセミダブルベッドの幅(1200mm)に少し満たないが、大人が2名就寝できる。長さは2000mmあるので、長身のユーザーも窮屈感を感じることは無い。
上段ベッド
上段ベッドはベッドボードを全て並べると、1800x1280mm、最大で1500mmの大きさ。1280mmは家庭用のセミダブルベッド以上の幅で、ここでも大人が2名就寝できる。
ギャレー
右側のキャビネットのギャレー
右側のキャビネットにはコンパクトなシンクとフォーセットが埋め込まれている。シンクはコンパクトだが実用的な大きさで、中皿程度は洗えそうだ。フォーセットはシンクの中に収納でき、ベッドモードではベッドの下に隠れてしまう。
右側キャビネットの収納
右側のキャビネットにはスライドドアのついた収納が用意されている。食器などの収納に使えるだろう。
冷蔵庫/電子レンジ
20L上開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は20L上開き式が標準装備される。クルマ旅には容量が十分ではないかもしれないが、週末のドライブやキャンプで飲み物を冷やしておくには有用だ。なお、電子レンジの想定は無い。これも想定される用途から考えると、なくても問題ないだろう。
多目的ルーム
UTONE300に多目的ルームは無いが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことはできる。小さな子供がいる場合、重宝する。
収納
左側キャビネットの収納
左側のキャビネットは全体が収納になっている。上の蓋を取ってアクセスするが、三つの部分に分かれており、蓋を開けやすくなっている。
後部の収納
後部の上段ベッドの下は大きな収納になっている。ベッドボードを取り外せば背の高い荷物も積むことができる。
大きなカーゴスペースになる(写真はUTONE500)
バタフライシートを畳んで前にスライドさせると、後部はさらに大きな荷室になる。サイズにもよるが自転車を積み込むことも可能だろう。
空調
暖房はFFヒーターがオプションで装備できるが、冷房の想定は無い。キャンプや趣味の用途の場合、クーラーの設置は使用頻度と価格の観点から考えると、あまりコストパフォーマンスは良くないかもしれない。
しかし、暑い夏場のキャンプや趣味の用途でも、クーラーがあれば車内で快適に過ごせる。やはりオプションで用意されていれば理想的なのだが。
テレビ/ナビ
テレビはオプション設定されていない。これもUTONEの用途から考えると、あまり必要ではないかもしれない。ナビは特にオプション設定されていないが、好みのものが装着できるだろう。
電装系
標準ではAGM80Ahのサブバッテリーが1個と走行充電が標準装備される。外部電源入力と充電機、400W、あるいは1500Wインバーター、250W薄型ソーラーシステムはオプションとなっている。
オプションで100Ahのリチウムイオンバッテリーを2個装備できる。ただし、クーラーや電子レンジなど大電力を消費する機器が無いので、これを選択する必要性は少ないだろう。電力的に不安があれば、オプションにはないがAGM80Ahをもう1個追加する程度で十分だ。
価格(2023年10月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WDの車両本体価格は542万円~、ディーゼル2WDは607万円~、ディーゼル4WDは638万円~となっている。
付けておきたい必需オプションは、外部電源入力と充電機能(52,800円)、400Wインバーター(49,500円)が挙げられる。車中泊をするならFFヒーター(231,000円)を挙げておきたい。
他モデル
UTONEシリーズは、UTONE300を含め極めて嗜好性の高いモデルなので、直接の競合は見当たらない。特にUTONE300はキャラバンベースなので似たモデルはほとんど無いが、ハイエースまで含めると、ダイレクトカーズのリトリートナロー(449万円~)、ワークヴォックスのSEDONA TypeIII(490万円~)、ゴードンミラーモータースのGMLVAN V-01(550万円~)あたりが近いかもしれない。
まとめ
キャンピングカーの用途を大きく分けてしまうと、クルマ旅用途と近距離用途に分けられる。近距離用途とは、休日にキャンプ場でキャンプをするとか、釣りなどの趣味で使うとか、遊園地に前夜から車中泊するとか、湖のほとりで寛ぐといったもので、装備的には軽装備で事足りる。
UTONEシリーズは、このような用途に適したモデルだ。4名が前向き乗車、就寝できるので、ファミリーにも対応できる。土足にも耐える床で車内と車外をシームレスに行き来できるといったRIWのコンセプトが受け継がれ、キャンプでは便利に使えるだろう。
UTONE300で唯一残念なのは、UTONE500やUTONE200でオプション設定されているヒッコリーの天然無垢材の床が選択できないこと。このオプションはUTONEシリーズの大きな特徴のひとつなので、今後の対応に期待したい。
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