トリップログベースプレミアムエディションはダイレクトカーズが製作する、カムロードをベース車にするキャブコンキャンピングカー。
同社は三重県鈴鹿市と神奈川県厚木市に直営店を持つ大手総合ビルダーで、トリップシリーズは2020年に発表された「トリップ」を皮切りに、トリップⅡ、トリップⅢ、トリップログベース、トリップブラックエディションなど、多くのラインアップを誇る。
全長5mを切るモデルでは、伊勢志摩、江の島、リーサ、ログハウスと言ったラインアップをそろえている。また、バンコンではハイエースを中心に数多くのレイアウトを用意し、2024年にはリトリートプレミアムエディションを発表した。
また2024年にはトリップシリーズとは異なるシェルを持つ、5mを超えるカムロードキャブコンの新モデル「ニンジャ」を発表した。更にハイラックスをベース車にしたBR75シリーズも展開している。
トリップログベースプレミアムエディションは、5mを超えるカムロードキャブコンの中では初めてのリアエントランスを採用。これに合わせ、日本では珍しいスライドアウト機構を搭載している。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
トヨタカムロードをベース車にした、5mを超える全長のキャブコンキャンピングカー。同社では初のリアエントランスと、日本では珍しいスライドアウト機構を搭載する。これにより、広いダイネットを実現している。
トリップシリーズでは共通の瞬間湯沸かしができる温水シャワーや32型大型ディスプレイも標準装備される。
電装系では、同社では最大級の600Ah相当のリチウムイオンバッテリーを標準装備。増大する電気需要に対応している。
アピールポイント
・リアエントランスで広いダイネット
・スライドアウト機構によりダイネットを拡張
・スライドアウトした状態ではツインベッドも可能
・バンクベッド上の大型スカイルーフウインドウを標準装備
・ダイネット上にもサンルーフを標準装備
・瞬間湯沸かしの温水シャワー
・135Lの大型冷蔵庫を標準装備
・35インチの大画面テレビを標準装備
・600Ah相当のリチウムイオンバッテリーを標準装備
・355Wのソーラーシステムを標準装備
ベース車とエクステリア
スライドアウト
ベース車は、トヨタカムロード。これにトリップシリーズ共通のFRPパネルのシェルを架装する。全長は5150mm、全幅は2075mmで5mを越す全長を持つ。2WDと4WDが選択できる。
トリップログベースプレミアムエディションの大きな特長が、スライドアウト機構。右サイドのダイネット部が電動で約500mmせり出す。
インテリア
リアルウッドのインテリア
ログベースの車名の通り、リアルウッドを多用したログハウスのようなインテリアが特長。一方、ギャレーキャビネットやサニタリールームは白と黒でコーディネートされ、ナチュラルな木部との対比が美しい。
照明はLEDバーライトと間接光を取り入れた斬新なデザインで、夜のインテリアを豪華なものにする。
レイアウト
リアエントランスのレイアウトを採用したことにより、前部は広いダイネットとなっている。そのダイネットはスライドアウトにより更に広大なダイネットになる。4名対座シートとベンチシートが設置されているが、スライドアウトするのは対座ダイネット部。
後部にはギャレーとサニタリールームが配置される。乗車定員は、フロントシートに3名と4名の対座ダイネットで、計7名、就寝人数は、バンクベッドに2名とダイネット展開ベッドに3名で計5名となっている。
ダイネット
スライドアウトを出した状態のダイネット
トリップログベースプレミアムエディションの最大の特徴は、やはりこの広いダイネットだろう。リアエントランスなのでそのままでも対座ダイネットとベンチシートの広いダイネットだが、スライドアウトすることにより驚くほど広いスぺースになる。
ベッド
バンクベッド
バンクベッドは使用しない場合は手前を跳ね上げた状態になり、32型のテレビを観ることができる(テレビについては後述)。就寝時はテレビの設置されている手前のベッドボードを下すことにより、1980x1360mmの大きさのバンクベッドになる。
1360mmの幅は、家庭用のレギュラーダブルベッドの幅(1400mm)に近く、大人2名が就寝できる。また、大きなスカイルーフウインドウも標準装備される。星空を見ながら就寝でき、シェードも組み込まれているのでプライバシーも確保できる。
ダイネットベッド
ダイネットをベッド展開するとベッドになるが、この場合、スライドアウトを開けた状態でのツインベッドと、スライドアウトを少し閉じて二つのベッドをドッキングさせたダブルベッドの二つのモードが選択できる。
それぞれのベッドサイズは現在不明だが、分かり次第記事を更新する予定。
ギャレー
IHコンロがあるギャレー
最後部のギャレーキャビネットには、IHコンロとシンク、シャワーフォーセットが設置されている。IHコンロはトリップ以来採用されているもので、火を使わないので特にキャンピングカーでは安全性の面で有用だ。
もちろんIHコンロは大きな電力を必要とするので、サブバッテリーは大容量、高出力のものが必要となるが、トリップシリーズでは全てリチウムイオンバッテリーが標準装備されているので、電力の心配はない。
シンクの下の135L給水タンク
ギャレーキャビネットの下には135Lの給水タンクが収納されている。サニタリールームで温水シャワーが使えるが、もちろんギャレーでも温水が使用できる。
グラスケース
ギャレー横にはグラスケースが設置されている。 ワイングラスなどを安全に収納できるが、それ以前に美しくお洒落なアイテムとしてインテリアをより豪華にしている。
冷蔵庫/電子レンジ
145L横開き式2ドア冷蔵庫を標準装備
冷蔵庫は2ドアで、上が100Lの冷蔵庫、下が45Lの冷凍庫になっている。これだけの容量があればファミリー分の食材を問題なく保冷しておけるだろう。
電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。2000Wインバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。
サニタリールーム
サニタリールーム
サニタリールームにはカセットトイレ、温水シャワー、専用手洗い、ベンチレーターが標準装備される。給水タンクは135Lと大容量なので、6名程度がシャワーを使うことができる。
瞬間湯沸かし温水ボイラー
また、湯沸かしはカセットガスボンベを使用した瞬間湯沸かしボイラーで行うため、シャワーは連続して使える。ただし、排水タンクは75Lなので、実質的には3~4名分と考えると良いだろう。
収納
左サイドにオーバーヘッド収納が設置される
ギャレー上部と冷蔵庫の上部の他、オーバーヘッド収納が、ダイネット上部左サイドに設置される。右側はスライドアウトのため、オーバーヘッド収納は設置されていない。
クローゼット
サニタリールームと並んでクローゼットも設置されている。コートやジャケットなどかさばる衣類の収納に便利で、皺にならないので重宝する。
空調
車載用セパレートクーラーを標準装備
冷房はオーバーヘッド収納内に車載用セパレートクーラー(CoolStar)の室内機が設置されている。トリップシリーズの各モデルではすべてこの手法が用いられている。使用時は扉を開ける必要があるが、使用していない状況ではインテリアを乱すことはない。
暖房はFFヒーターが標準装備される。また、バンクベッドのスカイルーフウインドウとは別に、ダイネット部のルーフにもルーフウインドウが標準装備されている。
テレビ/ナビ
32型のテレビが標準装備される
同社のトリップシリーズに標準装備される32型の大画面テレビが、このモデルにも標準装備される。バンクベッドのベッドボードを跳ね上げると現れるアイデアは、一貫して続けられている。ナビは特にオプションリストに載っていないが、好みのものを設置できるだろう。
電装系
サブバッテリーは600Ah相当のリチウムイオンバッテリーが標準で搭載される。600Ahは同社の中で最も大容量で、これだけの容量があれば、クーラーをふんだんに使っても余裕があるだろう。
その他の電装系では、走行充電、外部100V電源入力とチャージャー、2000W正弦波インバーター、355Wソーラーシステムが標準装備される。
電装系のコントロール
コントロールはエントランス上部のタッチパネルから集中して行うことができる。
価格(2024年8月現在:千円台切り上げ:税込)
トリップログベースプレミアムエディションは、まだ同社のホームページにアップされていないので現在の価格は不明だが、2024年2月のジャパンキャンピングカーショーでは2WDは1890万円~とされていた。4WDも選択できると思われるが価格は不明。
付けておきたい必需オプションは、標準装備が充実しているため、特にない。ただし車両のオプションとして、運転席+助手席のSRSエアバッグ(27,500円)とオルタネーター強化(60,500円)がある。特にSRSエアバッグは必需装備だ。(ナビ関連は除く)
他モデル
全長が5mを超えるカムロードキャブコンは多数あるが、スライドアウトを持つモデルは、トリップログベースプレミアムエディションの他は、AtoZのACE-G(1067万円~)しかない。
ACE-Gはやはり2024年のジャパンキャンピングカーショーで発表されたモデルで、同様にリアエントランスのレイアウトを持つ。冷蔵庫、電子レンジ、家庭用セパレートエアコン、温水シャワーなど、トリップログベースプレミアムエディションとほぼ同じ装備を持つが、価格がトリップログベースプレミアムエディションと比べて823万円も安価だ。
ただし、ACE-Gのベース車はカムロードの標準トレッドで、リチウムイオンバッテリーはオプションだし、インテリアも特別凝ったものではない。しかし、スライドアウトによる広いダイネットを安価に手に入れられるメリットはある。
まとめ
スライドアウトは北米のキャンピングカーに多く採用されているので、狭い日本ではあまり効果が無いように感じるが、走行中はコンパクトに、停泊中は広くという考えは、むしろ日本のキャンピングカーのインフラに向いているのかもしれない。
もちろん、パーキングエリアや道の駅でスライドアウトは使用できないが、RVパークやキャンプ場などでは広い室内空間を実現できる。
全長5mを超すキャブコンでも、ファミリーでクルマ旅をすると手狭に感じることもあるが、スライドアウトの広い空間は、余裕のあるクルマ旅を実現してくれるだろう。最高峰の国産モデルだ。
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