RISA(リーサ)はダイレクトカーズが製作する、トヨタカムロードをベース車にする全長5m未満のキャブ・コンバージョン キャンピングカー。
同社は、三重県鈴鹿市と神奈川県厚木市に直営ショールームを持つビルダーで、フルサイズのキャブコンのトリップシリーズから軽キャンパーまでラインアップする総合ビルダーだ。
全長5m未満のカムロードベースのキャブコンは、2021年に発表された「伊勢志摩」、2022年に発表された「江の島」がある。リーサは2024年のジャパンキャンピングカーショーで、「NINJA(ニンジャ)」や「ログハウス」とともに発表された。
他の5m未満のカムロードキャブコンが比較的特徴のあるレイアウトや機能を有しているのに対し、リーサはシンプルでベーシックな機能やレイアウトを採用している。価格的にも比較的手ごろで、シンプルなキャブコンを求めるユーザーやエントリーユーザーに適している。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
全長5mを切る、カムロードベースのキャブコン。前部に対座ダイネット、後部に横置きダブルベッドのレイアウトで、多目的ルームは持たない。シンプルな装備とレイアウトを採用し、「ザ・ベーシックカムロードキャブコン」とも言えるモデルとなっている。
しかし、インテリアや装備のクオリティは手を抜いておらず、リチウムイオンバッテリーを標準装備したり、間接光を多用したインテリアは豪華にも見える。
シンプルな装備を好むユーザーやキャブコンのエントリーユーザーに適したモデルとなっている。ただし、車幅は2mを超えるため、最近各社から発売されている車幅2m未満のカテゴリーには属さない。
アピールポイント
・シンプルなレイアウト
・比較的安価な価格設定
・リチウムイオンバッテリーを標準装備
・洗練されたインテリアと照明
・車載用セパレートエアコンをオプション設定
・32型の大画面テレビを設置可能(OP)
ベース車とエクステリア
リーサのエクステリア
ベース車はカムロードワイドトレッド。これにFRPパネルのシェルを架装している。ダイレクトカーズはNINJAでシェルを一新したが、リーサのシェルの形状は伊勢志摩や江の島のシェルと同形状と思われる。
全長は4,990mmで5mを切るカムロードカテゴリーに属するが、全幅は2,130mmで、ナッツRVのジープニーやアネックスのリバティ50DBのように2m未満の全幅を目指したものではない。
インテリア
リーサのインテリア
ベースカラーはホワイトあるいはアイボリー系でカジュアルで明るい印象。これに濃い色のシートやベッド地を組み合わせている。
リーサの照明
特に照明は凝ったもので、シーリングボードに埋め込んだダウンライトと間接光をふんだんに使用した豪華なものだ。しかも、ベッドルームにはもう一つ別のシーリングボードが設置されている。
レイアウト
前部に対座ダイネット、後部にダブルベッド、中央にギャレーを配置するが、多目的ルームは無い。5m未満の全長で後部にダブルベッドを持つモデルの場合、多目的ルームを持つモデルは無い。むしろ、多目的ルームはいらないが広いベッドが欲しいという要求に応えたレイアウトだ。
乗車定員はダイネットの4名と運転席、助手席を合わせた6名となっている。
ダイネット
リーサのダイネット
ダイネットには4名が対座できる。幅は1000mmなので大人が4名座ると多少窮屈感があるが、大人2名、子供2名のファミリーなら問題なく着座できる。テーブルは中央のハンドルを回すと高さが調整できるため、子供のいるファミリーには使いやすいダイネットだ。
ベッド
ベッドは、後部ダブルベッド、バンクベッド、ダイネット展開ベッドの3か所がある。就寝人数は、後部のダブルベッドに2名、バンクベッドに2名、ダイネットを展開したベッドに子供2名が就寝できるので、4名+子供2名となる。
後部のダブルベッド
まず、後部の常設ダブルベッドは1970x1200mmの大きさ。1200mmの幅は家庭用セミダブルベッドの幅に相当する。身長方向は1900mm以上あるので、長身のユーザーでも足や頭がつかえることなく、足を伸ばして就寝できるだろう。
バンクベッド
バンクベッドのサイズは1960x1370mm。1370mmは家庭用のレギュラーダブルベッドの幅(1400mm)に近く、ここでも大人が2名就寝できる。
バンクベッドは跳ね上げて収納
なお、使用しない場合は、ベッドエンドを跳ね上げると、収納されているものが走行中に落下することはない。またトリップシリーズと同様に、跳ね上げる部分の裏側にオプションで32型の大型ディスプレイを搭載することができる。(写真はテレビの項参照)
ダイネットベッドは子供用
3つ目はダイネットを展開するダイネットベッドで、これは1700x1000mmの大きさ。長さ方向が1800mmに達していないので、子供用のベッドの位置付けとなる。子供が2名就寝できる。
ギャレー
ギャレーセクション
ギャレーキャビネットには丸形のシンクとフォーセットがビルトインされている。フォーセットは固定タイプで、引き伸ばして車外で使えるものではない。その代わり、ガラス蓋を閉じるとフォーセットはシンク内に収納され、ギャレートップは大きなカウンターとして使用できる。
シンクの下の給排水タンクと収納
シンクの下には、各10Lの給排水タンクが収納されている。車外から直接出し入れすることは難しいが、エントランスのすぐ横なので出し入れに苦労することはない。
ギャレーまわりの収納は上部のオーバーヘッド収納だけだが、エントランス横のシューズボックスの上部に引き出し収納やオーバーヘッド収納があるので、カトラリーや食器の収納に活用できるだろう。
冷蔵庫/電子レンジ
85L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は85L横開き式が標準装備されている。もちろん、冷凍室があるので、冷凍と冷蔵が同時にできる。
なお、電子レンジはオプション設定が無い。電子レンジはクルマ旅にはほぼ必需装備なので、電子レンジの設定が無いのは困った点だ。ただし、電子レンジはシューズボックスの上部に置いたり、収納したければオーバーヘッド収納の一部を改造して捻出することはできると思われるので、相談すると良いだろう。
多目的ルーム
先述のようにリーサは後部にダブルベッドを採用しているため、多目的ルームのスペースは割愛されている。これはレイアウトのコンセプトなので欠点ではないが、トイレルームは外せないというユーザーの選択肢にはなりえない。
収納
ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
リーサの収納は豊富に用意されている。まずオーバーヘッド収納はダイネットの両側とギャレー上部に大型のものが設置されている。
ベッドルームのオーバーヘッド収納
ベッドルームの両側にも少し小ぶりになるが、オーバーヘッド収納が用意されている。
クローゼット
リーサには多目的ルームは無いが、その位置にクローゼットが用意されている。高さが十分あるので、コートなども吊るしておけるだろう。コートやジャケットなどはかさばるので、クローゼットがあると皺にならず、機能的に収納できる。
クローゼット下の収納
クローゼットの下にも引き出し収納と観音開きの収納が用意されている。
シューズボックスの上の引き出し収納
エントランス横にはシューズボックスが設置されているが、その上部には引き出し収納が用意されている。
後部ベッド下の外部収納
後部のダブルベッド下は大きな外部収納になっている。アクセスは後部からのみなので小物などを端に入れてしまうとアクセスが難しくなってしまう。ただし、ベッドボードを上げると車内からもアクセスができる。
空調
車載用セパレートクーラー(OP)
冷房はオプションで車載用セパレートクーラー(CoolStar)を設置することができ、オーバーヘッド収納内に室内機が設置される。クーラーを使用しない場合は扉を閉じておくと目立つことはない。
暖房はFFヒーターがオプションで用意されており、マックスファンベンチレーターもオプションとなっている。
テレビ/ナビ
32型のテレビを設置できる(写真は江の島)
同社のトリップシリーズや「江の島」には32型の大画面テレビがバンクベッドのベッドボードに設置されており、跳ね上げるとダイネットや後部ベッドから観ることができる。リーサにもオプションだがこれと同じシステムが設置できる。
電装系
同社はリチウムイオンバッテリーが標準装備されるモデルが一般的で、このリーサにも100Ahのリチウムイオンバッテリーが2個(=200Ah)標準装備されている。
その他の電装系では、走行充電、外部100V電源入力とチャージャー、2000W正弦波インバーターが標準装備される。 なお、165Wのソーラーシステムはオプションとなっている。
価格(2024年5月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WD/6ATが728万円、ディーゼル2WD/6ATが798万円~、ディーゼル4WD/6ATが828万円~となっている。カムロードキャブコンとしては最も手頃な価格のモデルのひとつだ。
リーサは上位モデルが採用するワイドトレッドのカムロードをベース車にしているが、標準トレッドのモデルよりも安価なのは特筆できる。ワイドトレッドのクレソンジャーニーは約150万円も高価だ。
付けておきたい必需オプションは、FFヒーター(価格不明)とベンチレーター(55,000円)が挙げられる。できれば車載用セパレートクーラー(418,000円)も装備しておきたい。リチウムイオンバッテリーは標準装備されているので、クーラーは実用的に使用できる。
他モデル
5m未満のカムロードキャブコンで、似たレイアウトを持つモデルはAtoZのアンソニースペンド(735万円~)、ナッツRVのジープニーTypeX(802万円~)、同クレソンジャーニーTypeX(952万円~:ディーゼル2WD)などが挙げられる。
比較して分かるのは、リーサのコストパフォーマンスの高さだろう。クーラーはオプションだが200Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備する。リーサより高価なアンソニースペンドにはクーラーもリチウムイオンバッテリーも標準装備ではない。
まとめ
リーサはカムロードキャブコン(しかもワイドトレッド)の中で最も安価なモデルのひとつと言える。しかし安かろう悪かろうではなく、リチウムイオンバッテリーを標準装備していた李、インテリアはカジュアルで照明は豪華でさえある。実際お買い得なモデルと言えるだろう。
一方、リーサにも改善が望まれる点はいくつかある。その一つが電子レンジだ。電子レンジはクルマ旅にはほぼ必需装備だが、オプション設定が無い。
しかし、この点を除けば、リーサは手頃な価格でカジュアルに使用できるカムロードキャブコンの決定版になるだろう。
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