リトリート プレミアムエディションはダイレクトカーズが製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にするバンコンキャンピングカー。
同社は三重県鈴鹿市と神奈川県厚木市に直営店を置くビルダーで、5mを越す全長のカムロードキャブコンからハイエースベースのバンコン、そして軽キャブコンまで幅広いラインアップを誇っている。
リトリートシリーズは同社のバンコンカテゴリーの中核を担うモデル群で、リアルウッドのインテリアを特徴としている。
リトリートプレミアムは、リトリートミニ、リトリートNVポップ、リトリートNV200II、リトリートワイドミドル、リトリートスーパーロング、リトリートアニバーサリー、リトリートアニバーサリーⅡなどに続く、リトリートシリーズの最新モデルとなっている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエーススーパーロングをベース車にするバンコンキャンピングカー。リアルウッドを使用したモダンリビングのようなインテリアが特徴。
2列目に2人掛けのマルチモードシートを配置し、4名が前向き乗車できる。後部に子供用の上段ベッドがあり、大人2名、子供2名が就寝できる。
30Lの引き出し式冷蔵庫や電子レンジを標準装備。また、家庭用エアコンと300Ahのリチウムイオンバッテリーも標準装備され、ファミリーでの快適な車中泊を楽しめる。
アピールポイント
・ハイエーススーパーロングの広い室内
・リアルウッドを使用したモダンリビングのようなインテリア
・2列目のマルチモードシートで、4名が前向き乗車可能
・上段ベッドがあり大人2名と子供2名のファミリーで就寝可能
・家庭用エアコンを標準装備
・300Ahリチウムイオンバッテリー標準装備
ベース車とエクステリア
リトリート プレミアムエディションのエクステリア
ベース車はハイエーススーパーロング特装車。カタログや同社のウェブサイトには角目フェイスキットとツートーンカラーが施されているが、これらはオプションとなっている。
従って、これらのオプションを装着しない場合は、通常のハイエースと見た目は変わらない。ガソリン2WDとガソリン4WDが選択できる。
インテリア
リトリートプレミアムエディションのインテリア
おそらく、このモデルの最大と特徴はインテリアだろう。リアルウッドを使用し温かみのある室内を実現している。ただし、従来のリトリートシリーズが、どちらかと言うと山小屋風であったのに対し、リトリートプレミアムは都会的なインテリアに仕上がっている
特にルーフの前後に続く板張りとLEDライン照明は印象的なデザインだ。窓枠もウッドで形成されており、車内と言うよりはモダンリビングの室内にいるような錯覚に陥る。リアルウッドのインテリアのモデルは他社にもあるが、このようなモダンリビング的に仕上げたインテリアは他にない。
レイアウト
2列目に2人掛けのマルチモードシートを配置。前向きにすると、運転席、助手席を合わせて4名が前向き乗車できる。3点式シートベルトは3名が着用できる。
後部には上段ベッドが常設で設置されているが、これはサイズ的に子供2名用となる。ダイネットを展開したベッドで大人2名が就寝できるので、就寝人数は大人2名+子供2名となっている。
ダイネット
対座できるダイネット
2列目シートを後ろ向きにすると、3列目のシートとで4名が対座できるダイネットになる。ただ、テーブルは無く、食事をする場という感じではない。テーブルを設置することは難しくないと思われるので、必要に応じてオーダーすることは可能だろう。
3列目シートは車外で使用できる
3列目シートは固定されておらず、自由に動かせる。車外に持ち出して使用することも可能だ。
ベッド
ダイネットを展開したベッド
ダイネットを展開したベッドの大きさは2000x1070mm。家庭用のシングルベッドの幅(970mm)より多少広い程度だが、キャンピングカー要件では大人2名が就寝できる幅だ。身長方向は十分にあるので長身のユーザーでも足がつかえることはない。
子供用の上段ベッド
後部の上段ベッドは1700x1300mmの大きさ。身長方向(車幅方向)の長さが1800mmに達していないので、キャンピングカー要件では子供用に分類され、子供2名が就寝できる。
ギャレー
美しいギャレーセクション
ギャレーキャビネットはグレーの側面と木目の天板で構成され、美しく仕上がっている。シンクと背の高いフォーセットが設置されており、調理面も広く使いやすそうだ。
冷蔵庫/電子レンジ
30L引き出し式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は30L引き出し式が標準装備される。エントランスの横に設置されているので、車外からもアクセスしやすい。冷凍と冷蔵が同時にできないし、容量的にも大きくないので長期旅には制限があるかもしれないが、キャンプなどで飲み物などを冷やしておくのに便利だろう。
電子レンジも標準装備される
電子レンジも標準装備される。これは8ナンバー取得のための調理用具として、コンロの代わりに設置されている。ギャレーキャビネットにスマートに収納されている。
多目的ルーム
リトリート プレミアムエディションに多目的ルームは無いが、ポータブルトイレを乗せておくことはできる。後部ベッド下には十分なスペースがあるので、子供が急にトイレに行きたいと言い出しても安心だ。
収納
ギャレー上部のオーバーヘッド収納
オーバーヘッド収納がギャレー上部に設置されている。ダイネット上部にもスペースはあるので、ここにもオーバーヘッド収納があっても良かったかもしれない。
後部ベッド下の収納
後部ベッド下は大きな収納スペースになり、リアゲートを開けて車外から直接荷物を積み込むことができる。なお、両側にはキャビネットが用意されている。
空調
家庭用エアコンを標準装備
家庭用エアコンが標準装備される。同社はトリップ以来一貫して車載用セパレートエアコンを採用しているが、リトリート プレミアムエディションは同社初の家庭用エアコン採用モデルとなる。
もちろん家庭用の方が静音で効率が良く、多機能でもあるが、室内機、室外機とも大きくなるのが難点。リトリート プレミアムエディションでは室外機は後部の床下に設置している。
テレビ/ナビ
13型のテレビが設置できる(OP)
13型のフリップダウンモニターがオプションで用意されている。ナビはパナソニックの9インチナビがオプション設定されているが、好みのものを設置できるだろう。
電装系
サブバッテリーは300Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される。大容量なので、家庭用エアコンを長時間使うことができる。
その他の電装系では、走行充電、外部100V入力と充電機能、1500W正弦波インバーターが標準装備される。ソーラーシステムはオプションリストに無いが、設置は可能と思われる。
価格(2024年5月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリンのみ選択可能で、2WDは729万円~、4WDが759万円~となっている。
付けておきたい必需オプションは、FFヒーター(価格不明)が挙げられる。予算に余裕があれば、ソーラーシステムを装備することをお勧めする。(ナビ関連は除く)
他モデル
ハイエーススーパーロングをベース車にし、リアルウッドを使用したインテリアのモデルは、カトーモーターのズー(693万円~)、ワークヴォックスのSEDONA TypeIV(価格不明)、そしてダイレクトカーズのリトリートスーパーロング(639万円~)がある。
このうち、SEDONA TypeIVとリトリートスーパーロングは、どちらかと言うと山小屋風のインテリア、ズーはクラシカルな重厚感を持つインテリアとなっている。リトリートプレミアムは、洗練された都会的なインテリアで、他とは異なる趣を持つ。
家庭用エアコンと大容量(300Ah)リチウムイオンバッテリーを標準装備するのも、他のモデルに対するアドバンテージとなる。
まとめ
リトリートプレミアムエディションは洗練されたモダンリビングのようなインテリアを持つのが特徴だ。従来でもモダンリビングのようなインテリアを持つバンコンは存在するが、リトリートプレミアムエディションのようにリアルウッドで表現したモデルは見当たらない。
冷蔵庫が30Lの引き出し式なのは長期旅では多少使いにくい点かもしれないが、キャンプやイベント、あるいは趣味の部屋として最適なモデルと言える。家庭用エアコンと300Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される点も最新モデルに相応しい。
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