リトリート スーパーロングはダイレクトカーズが製作する、ハイエース スーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。2020年2月のジャパンキャンピングカーショーで発表された。
同社はハイエースベースのバンコンを主に製作するビルダーだが「モビリティホーム」や「トリップ」といったキャブコンもラインアップに加えている。
リトリートは最近ブームのバンライフを意識したバンコンだが、ファミリーでも使用できるようにデザインされている。
2列目にマルチモードシートを配置
コンセプト:バンライフをターゲットにしたバンコンは1~2名での使用を想定して標準ボディを使用したモデルが多いが、リトリートスーパーロングはその名の通りハイエーススーパーロングをベース車にし、ファミリーでも使うことを想定している。リアルウッドで固めたインテリアは車名の通り山小屋風の「隠れ家」となり、趣味の部屋としても使える。
エクステリア:ハイエーススーパーロング特装車をベース車に使用。エクステリアへは右側後部のエクステンションウインドウが架装され、窓埋めされている。これは後述のクーラーを取り付けるためで、内側には室内機が収まっている。ボディ色は特別塗装色やデカールがオプションで選べる。
ルーフまでリアルウッドを使用したインテリア
インテリア:リアルウッドを多用した室内が特徴。家具はもちろん、フロアやルーフにもリアルウッドが張り巡らされている。自分だけの趣味の部屋として、自宅の駐車場でも活用できる。
レイアウト:2列目に1400mm幅のマルチモードシートを採用。このシートには3名が着座でき、前部で5名が前向き着座してドライブできる。このシートは分割式になっており、半分だけフラットにするといった使い方も可能。
後部は上段ベッドボードをセットでき、ダイネット展開ベッドを合わせると大人2名+子供2~3名が就寝できる。
後部上段ベッドを外すと、広い荷室になり、自転車を積み込むこともできる。
なお、運転席、助手席の後ろにキッチンカウンターがあり、シンクが使える。
対座できるダイネット
ダイネット:2列目シートを後ろ向きにすると、3列目の簡易シートとで対座ダイネットが形成される。対座状態でのテーブルは用意されていないが、必要に応じて付けることは可能だろう。
ベッド:2列目シートをフラットにすると、3列目のベッドボードと合わせて1550x1550mm(最大)の下段ベッドができる。キャンピングカーで規定されるベッドサイズに達していないので就寝人数にはカウントされないが、子供なら2~3名が寝られる。なお取り外したヘッドレストは後部両側の家具に収納できる。
後部の上段ベッドは1810x1300mmの広さがあり、こちらは大人が2名就寝できる。
ちなみに、上段ベッドから子供が落ちてこないというメリットがある。
ベッド展開した室内
ギャレー:一見ギャレーは装備されていないように見えるが、2列目シートの前にカウンターがあり、この上板の一部を外すとコンパクトなシンクが現れる。
このシンクは技ありで、車外に引き出して使用できる。ポータブルコンロも収納されているので、ちょっとしたアウトドアライフが手軽に楽しめる。
ただし、コンロは引き出さないと取り出せないので、雨の日に取り出すのが多少面倒。
冷蔵庫/電子レンジ:冷蔵庫や電子レンジはオプション設定されていないが、冷蔵庫はポータブル冷蔵庫を持ち込めば、12V電源は運転席後ろと後部右側に用意されている。
なお、スペースは十分あるので、電子レンジが必要な場合は収納家具を取り付けることも可能だろう。12V対応のWaveBoxならインバーターは必要はない。
収納:後部両側に収納棚が用意されているが、これは棚なので大きなものは収納できない。しかし後部ベッド下は広い収納スペースなので、衣類の入ったバッグやケースはここに置くことになる。
バンライフは車内である程度長期間生活することになるので、むしろ備え付けの家具よりも、自分の生活に合わせてDIYするのが適している。
標準装備されるセパレートエアコンCoolStar
空調:リトリートスーパーロングの大きなアドバンテージがクーラーが標準装備なこと。これはCoolStarという冷房専用のセパレートクーラーだが、冷房専用のため小型化でき、バンコンクラスにも搭載できるようになった。
暖房はFFヒーターを使うので、暖房機能を持つ家庭用エアコンよりむしろ適している。同社のキャブコン「トリップ」にも使われており、冷房能力は家庭用エアコンに劣らない。12V仕様なので大容量インバーターも不要だ。
なお、FFヒーターはオプション。
テレビ/ナビ:どちらもオプション。テレビはハイエース純正のフリップダウンモニターを付けることもできるが、今日テレビはタブレットでも見られる。もっと大きな画面で見たい場合は適当なところに取り付けることができるだろう。300Wインバーターが標準装備されているし、100Vコンセントも室内前後にあるので、特に工事は必要ない。
電装系:サブバッテリー(容量不明)と走行充電、外部100V入力と、これによるサブバッテリーの充電機能、それに300Wのインバーターが標準装備される。従って電装系に必須で追加すべきものは無い。CoolStarは室内が冷えてからの運転電流は10~15Aとされているので、100Ahのサブバッテリー1個でも4~5時間稼働できる計算だ。
ただし炎天下の日中で使うことが多いなら、ツインバッテリーにしておいた方が良いだろう。
価格:ガソリン2WD/6ATで529万円~(税別)。電装系は一通り標準装備なので、選択すべきオプションはFFヒーター(20万円:税別)くらい。先述のように、必要に応じてサブバッテリーの増設も考えられる。
他車:コンセプトで近いものはワークヴォックスのSEDONAシリーズが挙げられる。ただし、こちらはハイエース標準ボディなので、直接の比較対象にはならない。
またアネックスのRIW350(509万円~:税別)も挙げられるが、こちらもNV350標準ボディで、コンセプトは少し異なる。スーパーロングベースでリアルウッドのインテリアは他には無い。
まとめ:バンライフをターゲットにするモデルはハイエースなら標準ボディのようなコンパクトなモデルが多い。これは一人か、多くても二人で使うことを想定しており、取り回しを考えると使いやすいから。
ダイレクトカーズにも一人での使用を想定している標準ボディの「リトリート」が用意されている。
その意味ではリトリートスーパーロングは、二人、あるいはファミリーでの使用にも対応でき、今までのバンライフ対応モデルとは少し違ったマーケットをターゲットにしている。
例えば、家族を持つお父さんが趣味の部屋として使いながら、たまに家族を乗せて車中泊といった使い方が似合っているのかもしれない。
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