モビリティホーム ダイレクトカーズ


7月20日、21日に東京ビッグサイトで開催された東京キャンピングカーショー2019で、ダイレクトカーズからハイエース スーパーロングをベースにしたキャブ・コンバージョン「モビリティホーム」が発表された。

当サイトでも予告記事をリリースしていたが、ハイエーススーパーロングベースのキャブコンということ以外は推測の範囲を出なかった。今回は展示車両を詳細にレポートする。

 ハイエーススーパーロングをベースにした5m超キャブコン

コンセプトは、ファミリーに向けたフルサイズキャブコン。全長は5,760mm、全幅は2,000mm、全高は2,630mmと、堂々たるサイズだ。ハイエーススーパーロングは5,380mmなので、38cmほどリアタイヤ以後が延長されている。

シェルはFRPで形成されており、バンクを排したスタイリッシュな造形になっている。エクステリアで目を引くのが、大きなリアハッチ。縦長の開口部で、ドアが横に開くので、大きな荷物の積載が容易だ。

 リアビュー。大きな縦長の開口部がユニーク

エクステリアで、もう一つ凝っている点は、車外で使えるギャレー。同社は以前からバンコンでも車外でギャレーを使えるモデルを発表しているが、モビリティホームでは完全に独立した、車外専用のギャレーになっている。

 格納できる、車外専用ギャレー

レイアウトは2列目に3人掛け、3列目に2人掛けのバタフライシートを設置、対座ダイネットになる。なお、2列目シートは前向きにセットできるが、この場合はシートベルトが無いためドライブすることはできない。2列目シートは後ろ向きにセットする場合のみ、着座してドライブできる。
後部には常設2段ベッド、中央にはギャレーとユーティリティールームが配置される。
横置き2段ベッドを採用したため、車長方向のスペース効率が良くなり、ダイネットやユーティリティールームに無理が無く、しかも車長を延長しているため、2段ベッドも広い幅を確保できるのがこのレイアウトのメリットだ。

インテリアは、木の感触を生かした落ち着いた仕上がり。シートはレザー調で高級感があり、照明は間接照明というよりはスポットライトで高級感を出している。

ダイネットは5名が対座できるが、大人が対座しても十分余裕があり、窮屈感はほとんどない。またテーブルは特別に大きなものではないが、ファミリーで食事するには十分だろう。

 ゆったりしたダイネット

ベッドは後部に常設2段ベッドを装備している他、ダイネットを展開すると、ここも広いフロアベッドになる。特筆できるのは2段ベッドの広さ。上下段とも1850x1050mmと家庭用シングルベッドの標準幅よりも広い。キャンピングカーの大人用ベッド幅の規定は500mmなので、上下段とも2名が就寝できることになる。フロアベッドも合わせると、全部で6名が就寝できる。4名のファミリーなら就寝前にダイネットを展開する必要なく就寝できる。
なお、フロアベッドは1900x1200mmでこちらも十分に広い。

 2段ベッドの下段。読書灯があり、プライベートな時間が楽しめる。

ギャレーは2口コンロとシンクが一体になったコンビネーション型。コンパクトではあるが、調理する場合いちいち卓上型コンロを設置する必要はない。最近はキャブコンでもコンロを常設しないモデルが多いが、モビリティホームはコンパクトなコンビネーションタイプでコンロを確保している。シンクの下には各20リッターの給排水タンクを収納している。
冷蔵庫は90リッターの冷凍冷蔵庫を標準装備。また電子レンジも標準装備される。

 調理スペースが広く取られたギャレー。

ユーティリティールームは収納スペースとして使用できるが、ベンチレーターが標準装備されているので、オプションのカセットトイレやポータブルトイレを設置してトイレルームとして使用できる。内部はかなり広く、トイレルームとして利用した場合でも圧迫感は少ないだろう。なお、残念ながら温水シャワーの設定は無い。(要相談)

収納は、ダイネット上、ギャレー上、ベッドルーム上にオーバーヘッド収納が並んでいる。奥行きも十分あるので、収納力は大きい。更にキャブ上にも収納スペースが用意されている。バンクを排しているので大きくは無いが、スペースを有効利用している。
また、ベッド下は大きな収納スペースになっているので、バッグなど大きな荷物も積むことができる。更に、リアゲートが縦長なので、一時的にベッドボードを取り外すと、背の高い荷物も積むことができる。

 ベッド下の収納庫。車内外からアクセスできる。

空調はFFヒーターと家庭用エアコンを標準装備。冷暖房とも完璧だ。なお、エアコンの室外機は後部右側に設置されている。ちょっと気になった点は、室外機の収納部に扉があること。エアコンを使用する場合、いちいち車外に出てこれを開ける必要がある。雨が降っていると、かなり億劫だ。雨が侵入しないような下向きのルーバー式を採用して欲しいところだ。

電装系はサブバッテリーに2400Whのリチウムイオンバッテリーを標準装備。また、2500Wの大容量インバーターも標準装備している。これでエアコンや電子レンジをストレスなく使うことができる。もちろん外部入力充電も標準装備だ。
更に、160Wのソーラーシステムも標準装備している。

価格は848万円(2WD/6AT:税別)。RVビックフットのACSプルミエM5.7特装車が788万円、セキソーボディのトムタンデムが717万円なので、価格だけを比べると高価だが、モビリティホームが家庭用エアコン、2500Wインバーター、リチウムイオンバッテリー、ソーラーシステム、スタビライザー、そして空気圧モニタリングシステムまで標準装備品していることを考えると、特別に高価というわけではない。
このクラスのキャブコンなら家庭用エアコンは欲しい装備だし、これを実用的に動かすにはリチウムイオンバッテリーが欲しくなる。

モビリティホームはもちろん二人旅でも使用できるが、レイアウト的にはやはりファミリー使用の方がよりフィットするだろう。
ハイエースベースでフルサイズの魅力的なキャブコンが加わり、選択肢が増えたのはユーザーにとって喜ばしいことだ。ただ、カムロードベースのキャブコンのモデル数にはまだまだ追いついていない。また温水シャワーが欲しいとなると、カムロードベースが中心になってくる現状もある。今後、モビリティホームもレイアウトや装備面で更なるバリエーション、例えば二人旅に割り切ったレイアウトなどが選べるようになることを期待したい。

 

モデル モビリティホーム
ビルダー ダイレクトカーズ
ベース車 ハイエーススーパーロング特装
形態 キャブコンバージョン
ルーフ架装 -
ナンバー区分 8
乗車人数 7
就寝人数 6
ダイネット形態 対座
ベッド形態 後部常設2段ベッド
ダイネット展開フロアベッド
コンロ ○(2口)
シンク ○(コンロコンビネーション型)
給水タンク ○(20L)
排水タンク ○(20L)
冷蔵庫 ○(90L)
電子レンジ
ユーティリティールーム
ポータブルトイレ OP
カセットトイレ OP
温水シャワー設備 -
ルーフベンチレーター
サンルーフ -
FFヒーター
ルームエアコン
サブバッテリー ○(リチウムイオン x1)
バッテリー増設 -
走行充電システム
外部100V入力/充電
インバーター ○(2500W)
発電機 -
ソーラーシステム
全長(mm) 5,760
全幅(mm) 2,000
全高(mm) 2,630
価格 848万円~(2WD/6AT)

2019年7月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税別)

動画はこちら

2019.7.22