ZOO(ズー)はカトーモーターが製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にしたバン・コンバージョン キャンピングカー。
同社はハイエースをベースにするバンコンを中心に製作しているビルダー。特に断熱と、木の感覚を生かした家具による高級感のあるインテリアが特徴。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエーススーパーロングをベース車にするバンコン。ノーマルボディとボディ左側面にFRPパネルを架装し、キャブコン仕様のドアを組み込んだイルデルフィーノ仕様を選択できる。
同社独自の木の温もりを重視した家具は高級感のあるインテリアを実現しているほか、断熱性能にもこだわっている。
前部に対座ダイネット、左側にギャレー、後部に横置き2段ベッドのレイアウトを採用し、二人旅にもファミリーにも対応する。
アピールポイント
・室内の拡張と断熱性能を向上させるイルデルフィーノ仕様を選択可能
・木の温もりを採用した高級感のあるインテリア
・横開き式冷蔵庫を標準装備
・大きなクローゼット
ベース車とエクステリア
イルデルフィーノ仕様のエクステリア
ベース車はハイエーススーパーロング。特装車はオプションとなっている。ノーマル仕様とイルデルフィーノ仕様を選択できる。イルデルフィーノ仕様は、ボディ左サイドにFRPパネルを架装し、室内を拡張するとともに、キャブコン仕様のドアやアクリル2重窓に変更することにより、断熱性能を向上させている。
ギャレー部分に丸窓あるのが、イルデルフィーノ仕様のエクステリアでのアクセントになっている。イルデルフィーノ仕様では車幅が50mm広くなる。
インテリア
木の温もりのあるインテリア
展示車はオレンジと白のストライプのシートを採用していたが、シート地の選択については記載が無い。可能と思われるが、ビルダーに確認いただきたい。
同社のインテリアの特徴は、高級感のある家具。木の温もりを生かした本格的な家具で、窓枠まで無垢材が使用さtれている。この窓枠は防寒の目的もあり、窓枠の内側にカーテンを付けることにより、冷気の侵入を防いでいる。
間接光のある照明と美しいルーフ
照明は間接照明も含めた温かみのあるLED照明で、夜の室内をムーディーなものにしている。メイン照明は飾りボードに組み込まれており、天井が美しいのも同社のモデルの特徴だ。
レイアウト
対座ダイネットと横置き2段ベッドのレイアウト
2列目にマルチモードシートを配置し、後ろ向きにして3列目の前向きシートとで対座ダイネットを形成する。
6名が前向き乗車できる
また、前向きにすると、2名が前向き乗車でき、計6名が前向き乗車できる。3点式シートベルトは運転席、助手席の他、2列目と3列目の窓際の乗員が装着できる。
最後部には横置き2段ベッドを設置。ただしこれらは大人用の1800mmの要件を満たしていないので、大人の就寝人数にはカウントされない(ベッドサイズはベッドの項参照)。就寝人数はダイネットを展開するベッドで2名と後部のベッドで子供が4名としている。
ダイネット
2列目シートを後ろ向きにしたダイネット
2列目シートを後ろ向きにして対座ダイネットにでき、4~5名でテーブルを囲むことができる。
運転席と助手席のシートバックを利用した簡易シート
運転席と助手席のシートバックを前に倒し、後ろ向きの簡易シートとすることもでき、この場合は前向きにした2列目シートとで対座ダイネットを形成する。ドライブ中の休憩時で、2列目シートを後ろ向きにするのが面倒な場合に便利だ。
ベッド
後部の2段ベッド
後部の2段ベッドは、ノーマルボディの場合は上段が1600x1000mm、下段が1700x1000mmとなっている。イルデルフィーノ仕様では、上段の長さが100mm広くなり、1700x1000mmとなる。
しかし、いずれにしても、キャンピングカーの大人のベッドサイズの要件である1800mmを満たしていないので、子供用にカウントされる。もちろん、可能なら大人が使用しても問題ない。
セミダブルベッドの幅のダイネットベッド
ダイネットベッドの大きさは、1900x1200mm。1200mmは、家庭用ではセミダブルベッドの幅と同じで、大人2名が就寝できる
ギャレー
豪華なギャレーセクション
左サイドには大きく豪華なギャレーキャビネットが置かれている。ここにシンクとフォーセットがビルトインされているが、コンロはポータブルカセットコンロを、使用する度に設置する。
残念ながら、この豪華なギャレーキャビネットに似つかわしくない設備だ。調理をしないユーザーが多いという判断かもしれないが、標準で常設2口コンロは欲しい。よほど不要な場合はレスオプションにすればよいと思うのだが。
シンクの下の給排水タンクと収納
シンクの下には各20Lの給排水タンクが収納されている。この位置はエントランスから遠いので、20Lのタンクを出し入れするのは多少苦労する。冷蔵庫は車外からアクセスしやすいという理由でエントランス横に配置してあるのかもしれないが、それが必要ないユーザーならシンク/給排水タンクと冷蔵庫の位置を入れ替えても良いかもしれない。
冷蔵庫/電子レンジ
40L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は40L横開き式が標準装備される。上の写真のように、扉が180度開くので、車外からのアクセスがしやすい。車外でキャンプしている場合、すぐに冷蔵庫の中のものを取り出せるので便利だ。なお、イルデルフィーノ仕様では、開ける角度は90度になる。
電子レンジは展示車に装備されておらず、同社のサイトにも記述されていないので、どこにどのように設置されるのか不明だ。今や電子レンジはクルマ旅ではほぼ必需品なので、展示車にも設置して欲しい。
多目的ルーム
ズーに多目的ルームは設置されていない。緊急用にポータブルトイレを積んでおく場合は、後部2段ベッドの下段を外せば大きな収納スペースになる。
収納
ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
オーバーヘッド収納はギャレーの上に設置されている。食器や調理用具などを収納しておける。
ダイネット上のマガジンラック
ダイネットの上にオーバーヘッド収納は設置されていない。代わりにマガジンラックが設置されているが、ここにオーバーヘッド収納は設置できなかったのだろうか。確かに、ダイネットの上にオーバーヘッド収納があると圧迫感があるという意見はあるが、多くのモデルでは設置されている。
ロングコートを吊るしておけるクローゼット
ズーの収納で特筆できるのが、大きなクローゼット。多目的ルームを設置しなかった代わりに、クローゼットが設置されている。背の高いクローゼットなので、ロングコートを吊るしておくこともできる。
下段ベッド下の引き出し収納
下段ベッド下には引き出し収納が用意されている。リアゲートを開けて車外からアクセスできる。キャンプ用具の小物やペットの遊び動画などを収納しておくと便利だろう。汚れ物の可能性が高いので、水洗いできると良かったのだが。
空調
暖房はFFヒーターがオプションで用意されているが、冷房は記載が無い。今やこのクラスなら、冷房装置は必須のアイテムだ。同社は比較的カスタマイズも可能なので、オーダーすれば何らかの方法があるのかもしれないが、やはりこれも展示車などで確認できれば安心だ。
テレビ/ナビ
テレビはオプションリストにあるのか不明だが、装着することはできるだろう。また、ナビもオプションにはないが、好みのものが付けられる。
電装系
標準では100Ahのディープサイクルサブバッテリーが1個、走行充電、外部100V電源入力が装備される。外部電源による充電、1500W正弦波インバーター、ソーラーシステムはオプション。
クーラーが装備できるなら、リチウムイオンバッテリーも一緒に装備したい。
価格(2023年5月現在:千円台切り上げ:税込)
ノーマルボディ、ガソリン2WD/6ATは671万円~。イルデルフィーノ仕様は同773万円となっている。イルデルフィーノ仕様は102万円高だ。4WDやその他のグレードの価格は不明。
付けておきたい必需オプションは、外部電源による充電機能、1500W正弦波インバーター、FFヒーターが挙げられる。
予算があれば、特装車(242,000円)、ソーラーシステム、追加バッテリー、電子レンジなどが挙げられる(価格はいずれも不明)。
他モデル
ハイエーススーパーロングで後部に横置き2段ベッドを持つモデルは、トイファクトリーのGTと、ダイレクトカーズの山小屋の2モデルがある。どちらもボディ右側にエクステンションウインドウを架装するスタイルで、後部上段ベッドに、GTは2名、山小屋は1名就寝できる。
GTはポータブルトイレを設置できる多目的ルームを持つが、山小屋はクローゼットや物置としての仕様に留めている。また、どちらもダイネット上にオーバーヘッド収納を持つ。
GTはオプションで家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーを設置可能。山小屋はリチウムイオンバッテリーを標準装備するが、クーラーのオプション設定は無い。
冷蔵庫はどちらも上開き式が標準装備される。横開き式が標準装備されるのはズーのみだ。
まとめ
ズーは、木の感覚を生かした高級感のあるインテリアが魅力だ。しかし、ノーマルボディに比べて100万円以上高価なイルデルフィーノ仕様にしても、後部の2段ベッドで大人が就寝できないのは、折角の常設ベッドがもったいない。
イルデルフィーノ仕様のメリットもあるとは思われるが、コストをかけるなら、一般的なエクステンションウインドウの方が有用ではないだろうか。同社は他社のようなエクステンションウインドウを採用していないが、同社のインテリアでエクステンションウインドウがあればさらに魅力的なモデルになるような気がする。
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