「Yamagoya（山小屋）」はダイレクトカーズが2022年ジャパンキャンピングカーショーで発表した、ハイエーススーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社はハイエースバンコンの多くのレイアウトをラインアップするが、トリップシリーズに代表されるフルサイズキャブコンまで製作する総合ビルダー。
同社にはリアルウッドの室内を持つ「リトリート」シリーズがあり、この中に「リトリートスーパーロング」がある。YAMAGOYA もリアルウッドの室内を持つスーパーロングバンコンだが、本格的なギャレーや多目的ルームを持つ、より充実装備に振ったモデルの位置付け。
同社独自のリアルウッドインテリアを採用するが、リトリートシリーズがカジュアルな感じに対し、YAMAGOYAはクラシカルな印象だ。
（記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。）
コンセプト
ハイエーススーパーロングを使用したバンコンキャンピングカー。リアルウッドを使用したインテリアは山小屋のような室内を演出している。
2列目と3列目にマルチモードシートを配置し、6名が前向き乗車できるのが特徴。エクステンションウインドウを架装し、後部に横向き2段ベッドを配置、ダイネット展開ベッドを含めて、大人3名と子供2名が就寝できる。
またギャレーや冷蔵庫も標準装備され、比較的充実した装備を持つため、二人旅はもちろんファミリーでの車中泊も可能。
アピールポイント
・山小屋のようなリアルウッドのインテリア
・より高級感のある家具
・リトリートシリーズに比べ、より充実した装備
・6名が前向き乗車可能
・エクステンションウインドウを架装
・リチウムイオンバッテリー標準装備
エクステリア
YAMAGOYAのエクステリア
ベース車はハイエーススーパーロングキャンパー特装車。これにエクステンションウインドウを架装している。これにより、横幅が拡張され、後部横置きダブルベッド上段で大人が就寝できる。
インテリア
リアルウッドのインテリア
このモデルの最大の特徴が、リアルウッドのインテリア。同社のリトリートシリーズもリアルウッドを使用しているが、YAMAGOYAでは色合いがダークになり、更に重厚感と高品質感を増している。
シートは一転して明るい黄緑色を基調としており、重厚な家具と美しい調和を見せる。家具やシートの作りはしっかりしており、特に家具は、オーバーヘッド収納の扉に見られる曲線を使用した美しい形状になっている。
レイアウト
前部に対座ダイネット、最後部に横置き2段ベッド、中央左側に多目的ルーム、中央右側にギャレーを配置する。
このレイアウトは横置き2段ベッドをを採用することにより、スペース効率を上げ、多目的ルームと余裕のある対座ダイネットを両立することができる。
ただし、このレイアウトを持つモデルは意外に少なく、トイファクトリーの「GT」とMYSミスティックの「ウインピュアシェルラ」（現在一時受注停止中）があるのみ。上段ベッドは1800mmを確保しているが、長身のユーザーは多少窮屈な弱点もある。
6名が前向き乗車できる
2列目シートを前向きにすることにより、6名が前向き乗車できる。また、全てのシートをフラットにすると、後部の2段ベッドを含めて大人3名と子供1名が就寝できる。
ダイネット
4名が対座できるダイネット
2列目と3列目に900mm幅のマルチモードシートを持ち、4名が対座できる。両方のシートは自由な角度にリクライニングできるので、楽な姿勢で寛げる。
ダイネットサイドはエクステンションウインドウで出窓風になっており、広々感も得られている。また、ウインドウはアクリル2重窓になっており、結露を防ぐことができる。
ベッド
セミダブルベッド大のダイネットベッド
2列目と3列目のシートをフラットにすると、1860x1160mmのベッドになる。シート幅は900mmだが横スライドさせて奥側にサブマットをはめ込む。1160mmは、家庭用ではほぼセミダブルベッドの幅（1200mm）に相当する。
拡張された上段ベッド
後部の横置き2段ベッドは、上段は1820x860mm、下段は1690x860mmの大きさ。即ち、上段はエクステンションウインドウがあるので1800mm以上とれ、大人が1名就寝できるが、下段は子供用となる。
ギャレー
シンクと冷蔵庫がビルトインされギャレー
左サイド中央にあるギャレーキャビネットには、丸形のシンクと冷蔵庫がビルトインされている。シンクにはキャビネットの蓋があり、閉じるとキャビネット全体がカウンターテーブルになる。
また、開けると調理台として使える。ただし構造的にあまり重いものは乗せられないだろう。
シンクの下の給排水タンク
シンクの下には、給排水タンク（容量不明）が収納されている。扉はエントランスに向いているので、車外から直接給排水タンクを出し入れできる。
冷蔵庫/電子レンジ
上開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は上開き式のものが標準装備される。容量が不明だが40L程度の大きさと思われる。なお電子レンジはオプション設定されていない。スペース的には余裕があるので、希望により設置することは可能と思われる。
3段の引き出し収納
ギャレーキャビネットには3段の引き出し収納が設けられており、カトラリーや調理器具を収納しておくことができる。
多目的ルーム
多目的ルームの下に「棚」が付けられている
左サイド中央、ベッドとダイネットの間には多目的ルームが配置されている。ただしここは「ルーム」として想定されていない。上の写真のように下に「棚」が付けられており、ポータブルトイレを置くようにはできていない。
広さがトイレルームとして十分でないのが理由かもしれないが、トイレが置けないのは残念だ。従って、収納スペースやクローゼットとして使用することになる。
収納
ダイネット上のオーバーヘッド収納
収納は豊富に用意されている。まず、ダイネット上にはオーバーヘッド収納が設置されている。奥行きがあり、容量も十分にある。ギャレーの収納は先述の通り、3段の引き出し収納が用意されているが、上にもオーバーヘッド収納が設置されている。
ベッド下は大きな収納スペース
ベッド下は大きな収納スペースとして使える。また、後部ベッド下には両側に扉付きの収納がある。
左側の収納スぺース
左側は収納スぺースでリアゲートを開ければ車外からもアクセスできる。ペットのリードや散歩グッズを入れておくなど便利に使える。右側は電装系が収まっている。
空調
暖房はFFヒーターが標準装備されるが、冷房のソリューションは用意されていない。リトリートシリーズには車載用のセパレートクーラー「CoolStar」が標準装備されているが、残念ながらYAMAGOYA には装備が無い。
ただ、付けるスペースは十分にあると思われるので、今後設定されるかもしれない。折角のお洒落なインテリアの車内なので、快適性も期待したい。
テレビ/ナビ
テレビもオプション設定が無いが、取り付けは可能だろう。またナビは「お勧めナビセット5点」（参考：220,000円）として用意されている。
電装系
右側の扉付き収納スペース
後部ベッド下右側の扉付き収納スペースには、電装系の一部が収納されている。
サブバッテリーは同社のモデル同様、200Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される。クーラーが無いので多少オーバースペックのようにも思えるが、いずれクーラーが用意される想定かもしれない。
走行充電と外部100V電源入力、および外部電源での充電機能も標準装備される。ソーラーシステムはオプション設定の記述が無いが、設置は可能だろう。
価格（2022年4月現在：千円台切り上げ：税込）
キャンパー特装車ガソリン2WD/6ATで698万円～、同4WDで728万円～となっている。ディーゼル車の設定は無い。
付けておきたい必需オプションは、FFヒーターが挙げられる。また予算に余裕があればソーラーシステムも付けておくと安心ではある。ただし先述のように大電力を使う家電品が無いので、あまり電気の心配をする必要なないかもしれない。
他モデル
ハイエーススーパーロングで同種のレイアウトを持つモデルは、先述の通り、トイファクトリーのGT（651万円～：Casa仕様はこちら）とMYSミスティックのウィンピュアシェルラ（現在一時受注停止中）がある。
GTはサブバッテリーにディープサイクルバッテリーを使っており、リチウムイオンバッテリーではないので、価格にその差が表れている。またGTはクールコンプシステムとして家庭用エアコンをオプションで装着できる。
またインテリア面では同社の「リトリートスーパーロング」とワークヴォックスの「SEDONA TypeIV」がリアルウッドのインテリアを持つ。それぞれレイアウトは異なるが、リアルウッド感ではダイレクトカーズの2モデルが勝っている。
まとめ
YAMAGOYAはリアルウッドの室内が特徴ではあるが、リトリートシリーズのようにアウトドアアクティビティを前面に出したコンセプトではなく、車内で寛ぐことを想定している。
インテリアもリトリートシリーズに比べ高級感があり、落ち着いた感じになっている。2022年のジャパンキャンピングカーショーでは「リトリートスーパーロングⅡ」と表示されていたが、正式には「YAMAGOYA」となり、リトリートシリーズと切り分けられたのは納得できる。
ターゲットユーザー層もリトリートシリーズに比べ多少年齢が上になるだろう。二人旅でおいしいコーヒーを飲んでいるのが似合うモデルだ。横開き式冷蔵庫や電子レンジに重点が置かれていないのは外食を中心にするユーザーを想定しているのかもしれない。
ただ、特に女性は、車中泊でのトイレが欲しいところだ。従ってトイレルームは実現して欲しい。また、折角のお洒落なインテリアなので、汗だくで過ごすのは似合わない。クーラーのオプション設定は是非欲しいところだ。
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