SEDONA TypeIVはWORKVOX(ワークヴォックス)が製作する、ハイエーススーパーロングをベース車に使用したバンコンキャンピングカー。
同社はSEDONAシリーズをラインアップしているが、このスーパーロングベースのSEDONA TypeIVの他に、標準ボディ標準ルーフの「SEDONA Lakeside」(記事と動画)と「SEDONATypeIII」もラインアップしている。いずれもリアルウッドを使用したインテリアを特徴としている。
(記事中の価格は全て税込です)
コンセプト
同社の「SEDONA Lakesite」や「SEDONATypeIII」に比べ、同じリアルウッドのインテリアながらハイエーススーパーロングの広い室内を特徴としている。ギャレーは設置されているがシンプルで、基本的にダイネットとベッドが中心のレイアウトとなっている。
エクステリア

SEDONA TypeIVのエクステリア
ベース車はハイエーススーパーロングでグレードはDX。DXは基本グレードだが、あえて黒バンパーのベースグレードでバンらしさを表現している。展示車に施されているデカールはオプション。
後部両サイドの窓は窓埋めされているため、デカールが無いと業務用のパネルバンのように見えてしまうかもしれない。同社のサイトでデカールの有無のイメージが確認できる。
インテリア

リアルウッドをルーフに使ったインテリア
リアルウッドをルーフに張詰め、家具も木材の味を出した素材で統一している。シート地は8色から選択できる。ベッドフレームには黒のアイアン(鉄素材)を使用し、大きなボルトで組み立てることにより、あえて武骨さを出している。
床は木材ではなくフロアシート張になっている。水や汚れに強く、耐久性もあるので土足も可能だ。
なお、ベース車がDXなので、そのままでスライドドアやリアハッチ、あるいは窓まわりに鉄板がむき出しになってしまう。SEDONA TypeIVではスライドドアに木目調のパネルを貼ったり、窓まわりは美しくトリムされている。また、リアハッチには2本のスリットが入ったオプションのウインドウカバ-が用意されており、これを装着すると内側はウッド調のパネルになる。
レイアウト
2列目に3名掛け1200mmのREVOシートを配置し、前向きにすると、フロントの運転席、助手席とその間の席を合わせて、計6名が前向き乗車できる。なお、特装車を選択した場合はフロントの中間席が無いので計5名が前向き乗車できる。
2列目シートを後ろ向きにすると、後部のベッドボードを使用して対座ダイネットになる。後部は折り畳まれたベッドボードを起こすだけで、縦置きのハイマウントダブルベッドになる。
このレイアウトの特長は、縦置きのため身長方向に余裕があり、長身のユーザーに向いていること。二人で使用するならすぐにベッドセットできる。
ダイネット

2列目シートを後ろ向きにした対座ダイネット
ダイネットは2列目シートと後部のベッドボードを使用した簡易シートで対座ダイネットにすることができる。テーブルも標準装備されている。後部の上段ベッドは簡単に後ろに折り畳むことができる(ビデオ参照)。
ベッド

後部の常設縦置きダブルベッド
後部の上段ベッドは常設ベッドで、縦置きダブルベッドだ。即ち車長方向に就寝できるので、長身のユーザーでも窮屈な思いをすることはない。大きさは1900x1700mmで、この幅は家庭用のクイーンベッドとキングベッドの中間に相当する。

2列目シートと延長ラックの下段ベッド
また、2列目シートをフラットにすることもでき、小さな子供なら就寝することができる。なお、オプションの延長ラックをつなげて下段ベッドにすることもできる。
ギャレー

ダイネットサイドのギャレーセクション
ギャレーはダイネットサイドに設置された家具に設置されている。シンクとフォーセットがビルトインされており、ポータブルカセットコンロを置くこともできる。ただし、ダイネットがあるので立って調理することはできず、本格的な調理を想定したダイネットではない。

各19Lの給排水タンク
下には各19Lの給排水タンクが収納されている。ダイネットテーブルの下に位置するので、出し入れは多少面倒だ。特に重いタンクを持ち運ぶ場合は、テーブルを取り去ってから行う必要がある。

ギャレーコンソールには引き出し収納
ギャレーコンソールには収納があるので、小さな食器やカトラリーを収納しておくことができる。ただし、一部の扉は2列目シートをフラットにしないと開けることができないのは少し残念なところ。
冷蔵庫/電子レンジ

18L冷蔵庫を設置することができる
冷蔵庫は18Lのポータブル冷蔵庫がオプション設定されている。ポータブル冷蔵庫なので、車外に持ち出して使うこともできる。設置位置はオプションの下段ベッド延長ラックの下で、アクセスは多少面倒だ。
なお、電子レンジのオプション設定は無い。
ユーティリティールーム
SEDONA TypeIVにユーティリティールームは無いが、ポータブルトイレやラップポンをベッド下に積んでおくことはできる。子供がいる場合は、ポータブルトイレを積んでおくと安心だ。
収納

右側上部に設置される棚
オーバーヘッド収納は無く、代わりに棚が用意されている。残念ながらこれでは乗せておくものに制限があり、収納力は限られている。デザイン優先なのかコスト的な要因か分からないが、オプションで扉付きのオーバーヘッド収納が欲しいところだ。
ベッド下は大きな収納庫として使え、キャンプ用品などを積んでおける。また右側の家具には個別に収納しておける扉付きの収納スペースも用意されている。
空調
暖房はFFヒーターがオプション設定されている。FFヒーターを装着するためには、オプションのサブバッテリーシステムの装着も必要になる。
SEDONA TypeIVのようなシンプルな装備が特徴のモデルの場合、FFヒーターなどの装着は迷うところだが、冬場はもちろん、春先や秋口でも寒い場合がある。できればFFヒーターは装備しておくと快適な車中泊ができる。
なお、エアコンのオプション設定は無い。
テレビ/ナビ
テレビやナビのオプション設定も特にないが、これらは市販の好みのものを装着できる。
電装系
SEDONA TypeIVの電装系はオプションだ。サブバッテリーオプションは100Ahが1個と走行充電などが付く。バッテリー増設は1個追加されデュアルバッテリーになる。また外部100V電源入力と充電機能もオプション。インバーターやソーラーシステムもオプションとなる。
即ち、備え付けの電源システムの必要性はあまり高く想定されておらず、むしろこのモデルのユーザーはポータブルバッテリーを使うと想定されているようだ。ただし、ポータブル電源を室内灯などのシステム電源にプラグインできるようにはなっていない。
サブバッテリーを装着しない場合、標準装備の照明はメインバッテリー(エンジン始動用バッテリー)を使うと思われる。照明や12V電源を使う場合、バッテリー上がりに注意する必要がある。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WD/6ATで464万円~。付けておきたいオプションは、通常ならサブバッテリーを含む電源システムやFFヒーターを挙げるところだが、このクルマのコンセプトから考えると、装備はシンプルな方が良いのかもしれない。
またFFヒーターを使うと乾燥して、天然木に割れやヒビ割れ、あるいは反りが発生する可能性があると書かれているため、この観点からも手放しでお勧めできない。
それでもあえてFFヒーターを装備する場合を考えると、FFヒーター(217,800円)、サブバッテリーと走行充電(130,900円)、外部100V入力と充電機能(72,930円))で、計421,630円が追加費用で必要となる。また車内で100V家電を使いたい場合はインバーターが必要なので、インバーター(350W:63,470円、1500W:137,500円)の費用も追加となる。
他モデル
ハイエーススーパーロングで似たインテリアを持つモデルは、ダイレクトカーズの「リトリートスーパーロング」が挙げられる。リトリートスーパーロングもリアルウッドを多用したモデルだが、こちらはエアコンを標準装備し、価格も582万円~と120万円ほど高価だ。
リアルウッドの室内を持つモデルは増えてきたが、現在のところスーパーロングベースはこの2モデルだけだ。
まとめ
SEDONA TypeIVを検討しているユーザーは恐らくそのリアルウッドを多用したインテリアに魅力を感じているので、比較対象になるのはリトリートスーパーロングのみとなる。しかし、装備と快適性に関しては正反対で、もちろん価格も大きく異なる。
即ちこの2モデルは競合することなく、快適性を求めるならリトリートスーパーロング、価格を求めるならSEDONA TypeIVとなる。もちろんレイアウトも異なるので、自分に合ったモデルを検討いただきたい。
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