「カントリークラブ アルト Superior+A/C仕様」はレクビィが製作する、ハイエーススーパーハイルーフをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社はハイエースをベース車にするバンコンを中心にラインアップするバンコン専門ビルダーだが、キャラバンベースの「イゾラ」もラインアップしている。
カントリークラブは同社の代表的なハイエーススーパーロングをベース車にしたモデルで、使いやすいレイアウトと高級感のあるインテリアで人気のモデルだが、ALT（アルト）仕様はこのレイアウトをハイエーススーパーハイルーフをベース車で展開している。
またSuperior仕様にはFFヒーター、ツインサブバッテリー、電子レンジ、インバーター、ソーラーシステムなどを標準装備し、更にA/C仕様には家庭用セパレートエアコン、リチウムイオンバッテリーが標準装備となる。
（記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。）
概要
ハイエース スーパーハイルーフをベース車にするバンコンキャンピングカーで、大人が立って歩ける車内高を実現。2名対座ダイネットと縦置き2段ベッドのレイアウトを持ち、二人旅はもちろんファミリーにも対応する。
最後部には防水処理されたシャワールームを配置し、オプションで温水装置も設置できる。
Superior＋A/C仕様では、FFヒーターや電子レンジなどの装備が標準となり、更に家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーも標準装備される。
アピールポイント
・大人が立って歩けるスーパーハイルーフ
・二人旅にもファミリーにも適した2名対座ダイネットと縦置き2段ベッドのレイアウト
・「瀬戸釉」を使った陶器製シンクや高級感のあるインテリア
・最後部に防水処理されたシャワールームを設置（トイレ設置も可）
・温水装置による温水シャワー（OP）も設置できる
ベース車とエクステリア
カントリークラブ アルト Superior+A/C仕様のエクステリア
ベース車はハイエーススーパーハイルーフ。このベース車は元来救急車用に開発されたもので、これをキャンピングカーのベース車として使用している。ルーフが約200mm高くなっており、その分車内高も高くなっている。
通常のスーパーロングでは車内高は1630mm程度で、立ち上がると頭がつかえる場合が多かったが、カントリークラブALTでは室内高1840mmを実現。平均的な身長の大人が立って歩けるようになった。
インテリア
高級感があるインテリア
上の写真のようなブラウン系のインテリアを採用。「瀬戸釉（せとゆう）」を使った陶器製シンクやフォールディングシェルフに施された「金襴（きんらん）」、シートに施されたウェーブラインがインテリアへのこだわりを見せている。
家具やシートの作りは非常に高級感があり、間接LED照明は夜のインテリアを演出する。最高級のバンコンに相応しいインテリアとなっている。
レイアウト
前部にギャレー、後部に2名対座のダイネットと縦置き2段ベッド、最後部に多目的ルームの構成。カントリークラブで従来から使用されているレイアウトで、二人旅にもファミリーにも対応できる。
一般的にファミリーに対応するレイアウトでは、2列目に2～3人掛けのマルチモードシートを採用するケースが多いが、その場合前後の動線が遮られ、二人旅には必ずしも最適ではない。
カントリークラブ/ALTのレイアウトはファミリーにも対応しながら、二人旅でも全く不自然なところが無い極めて優れたレイアウトだ。
4名が前向き乗車できる（写真はカントリークラブ）
更に、2列目シートを前向きにすると、4名が前向き乗車できる。これも重要な点で、特に長距離をドライブする場合、前向き乗車は安全面も含め重視したいポイントだ。
乗車人数は運転席と助手席、2列目と3列目シート、そしてベンチシートに3名で、計7名となっている。また就寝人数は、上段ベッドに1名、下段をフルベッドモードにして3名で計4名が就寝できる。
ダイネット
5名がテーブルを囲むことができる
このレイアウトのギミックは、常設縦置き2段ベッドが、ベンチシートに早変わりする点だ。上段ベッドがシートバックになるが、その展開は数秒でできる。これにより5名がテーブルを囲むことができる
ベッド
縦置き常設2段ベッド
縦置き常設2段ベッドは、上段が1830x680mm、下段が1830x800mmの大きさ。バンコンにおける縦置きベッドの利点は、身長方向に十分な長さが取れる点。横置きではワイドボディでもエクステンションウインドウが必要で、それでも1800mmを確保するのがやっとだ。
ダイネットを展開したフルベッド（写真はカントリークラブ）
また、対座ダイネットをベッド展開し、下段ベッドとの間をベッドマットで埋めると、1830x1730mmの大きなベッドになる。1730mmは家庭用ではキングサイズ（1800mm）に近い幅だ。
ギャレー
L字型のギャレーセクション
ギャレーは前方に設置される。エントランスの前が広く空いているので、立って調理するのも容易だ。調理面はL字型になっており、広い調理スペースが確保されている。
前述のようにシンクは「瀬戸釉」を使った陶器製の豪華なものだが、欲を言えば常設コンロが欲しいところ。常設二口コンロがあれば、実用性だけでなく、キャブコンにも負けないグレード感が得られる。
下には各16Lの給排水タンクが収納されている
シンクの下には各16Lの給排水タンクが収納されている。エントランスが近いので、タンクの出し入れもスムースに行える。
冷蔵庫/電子レンジ
49Lの横開き式冷蔵庫が標準装備される
49Lの横開き式冷蔵庫が標準装備される。もちろん冷凍室と冷蔵室が独立しているので、飲み物を冷やしながら製氷や冷凍食品の保存ができる。
電子レンジも標準装備される
またSuperior仕様には電子レンジも標準装備される。100Vの家庭用の電子レンジだが、Superior仕様には1500Wインバーターも標準装備されるので、外部電源が無いところでもサブバッテリーで使用できる。
多目的ルーム
防水された多目的ルーム
同社は防水された多目的ルームを持つモデルをラインアップしていることも特徴で、カントリークラブの他にも「シャングリラ」や「ファイブスターセプト」、「イゾラ」もシャワールームを装備している。
多目的ルームにはギャレーとは別にシンクとシャワーフォーセットが設置されており、キャビネットには各19Lの給排水タンクが収納されている。さらに温水装置を設置することも可能で、温水はラジエーターの熱交換（ヒートエクスチェンジャー）で加熱する。
なお、シャワーを使う場合、床下に設置できる排水タンクもオプションで用意されている。
バンコンで温水シャワーが設置できるモデルは極めて少なく、同社のモデルの大きな特徴となっている。
収納
ダイネット上のオーバーヘッド収納
左サイドにはダイネット上にオーバーヘッド収納が設置されている。また右サイドには上段ベッド上に折り畳める棚（フォールディングシェルフ）が設置されている。また、右側ギャレー上にも小さなオーバーヘッド収納が用意されている。
運転席、助手席上部の収納スペース
次に、運転席、助手席上部の空間には大きな収納スペースがある。子供なら寝られそうなスペースだが、ここは収納とされている。ノーマルのハイエースではここにはリアクーラーユニットが設置されているが、これを移設して大きな空間を確保している。
ベッド下の収納スペース（写真はカントリークラブ）
ベッド下も大きな収納スペースになっている。ベッドボードを持ち上げるとアクセスできるが、多目的ルームからもアクセスできる扉が用意されている。
空調
A/C仕様には家庭用セパレートクーラーを標準装備
マックスファンベンチレーターが標準装備され、Superior仕様にはFFヒーターも標準装備となる。また、A/C仕様には家庭用セパレートクーラーが標準装備される。なお、A/C仕様では200Ahのリチウムイオンバッテリーも標準装備されるので、エアコンを実用的に使うことができる。
テレビ/ナビ
19型テレビモニターが標準装備
19型テレビモニターがSuperior仕様に標準装備される。ギャレーキャビネットの端に設置されており、フレキシブルアームでダイネットやベッドからも観ることができる。
電装系
前述の通り、Superior＋A/C仕様には200Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される。また、CTEK昇圧式走行充電、外部100V電源入力と充電機能は全車に標準装備、1500Wインバーター、236WソーラーシステムはSuperior仕様に標準装備される。
200Ahのリチウムイオンバッテリーが搭載されているので、家庭用エアコンを実用的に使用できる。またCTEK昇圧式走行充電により、走行充電でも効率的にサブバッテリーを充電できる。長期旅でも電気の心配をする必要はないだろう。
価格（2021年4月現在：千円台切り上げ：税込）
カントリークラブ アルト Superior+A/C仕様はガソリン2WD/6ATで970万円～、4WD/6ATで1,000万円となっている。
標準装備が充実しているため、付けておきたい必需オプションは無い。（ナビ関連を除く）
必要に応じて、温水装置（140,800円）、床下排水タンク（66,000円）、ポータブルトイレ（33,000円）が挙げられる。
他モデル
ハイエーススーパーハイルーフをベース車にするモデルは多くないが、他に、同社のシャングリラ（1089万円～）、キャンパーアシストの「リチ」（価格不明）、トイファクトリーの「バーデンアルタモーダ」（779万円～）と「GTアルタモーダ」（779万円～）がある。
また、スーパーロングにハイルーフを架装した、カトーモーターの「DD」（834万円～）や、カーインテリア高橋の「ハイファールーフ」（396万円：車体のみ）もある。
ただし、これらは全てカントリークラブ アルトとは異なるレイアウトやコンセプトで、直接競合するものではない。
また、似たレイアウトには同社のプラス DD Superior + A/C仕様（790万円～）、キャンピングカープラザ東京の「ハピリーレジェント」（902万円～）、OMCの銀河（559万円～：エアコンリチウムイオンバッテリーはOP）などがある。ただしこれらはスーパーハイルーフではない。
なお「2段ベッドを持つスーパーロングバンコン特集」も参照いただきたい。
まとめ
カントリークラブ アルト Superior+A/C仕様は、バンコンで温水シャワーを装備できるという極めてプレミアム感のあるバンコンだ。もちろんバンコンのハイエンドに位置するモデルのひとつであることは間違いない。
それは価格にも反映されており、2WDでも1000万円近い価格は他に多くない。また、この価格帯ならカムロードキャブコンに十分手が届くのも事実だ。
しかしスーパーハイルーフを得たボディはもはやキャブコンとバンコンの差を感じさせない。むしろ走行性能やスタイリッシュ感、そしてリアゲートを開けられる開放感に関しては、キャブコンより勝っている。このような理由からあえてハイエンドバンコンを選択するユーザーは少なくないだろう。
即ち、カントリークラブ アルト Superior+A/C仕様のライバルは、バンコンではなくキャブコンなのかもしれない。スーパーロングバージョンとの価格差は110万円だが、このコストをかけてスーパーハイルーフにする価値は十分にあるだろう。
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