シャングリラはレクビィが製作する、バン・コンバージョンタイプのキャンピングカー。ハイエーススーパーハイルーフをベース車にしている。
同社はハイエースを中心としたバンコンモデルを多数ラインアップしているが、シャングリラはフラグシップモデルに位置し、洗練されたインテリアと温水シャワーまで含む充実した装備を誇っている。
エクステリアは、スーパーハイルーフのため、通常のハイルーフより更に20cmほど高く、当然室内高も高くなっている。
右サイドとリアハッチのウインドウにはエクステンションウインドウが架装され、室内を更に広く見せているほか、アクリルウインドウ化して断熱効果を高めている。
サイドのアクリルウインドウは網戸やシェードが組み込まれた多機能なもので、大きな開口部により明るい室内を実現している。
インテリアは、このクルマの特徴ともなっており、モダンリビング風の洒落たコーディネートがされている。二人旅に特化したレイアウトで制約がなく、優雅なL字型ソファとこれにマッチした三角形のテーブルが与えられている。また、家具の質感も高級感があり、フラグシップモデルに相応しいインテリアに仕上がっている。
レイアウトは、前部にL字型ソファダイネット、その後ろにギャレーや冷蔵庫、そして最後部は完全防水されたシャワールームになっている。対座シートではないので前後の移動が楽なうえ、室内全体が見渡せて実際以上に広く感じる。
「栃木レザー」を使ったダイネット
ダイネットは前出の通りL字型のソファが据え付けられているが、ビデオのクルマは革製品で有名な「栃木レザー」が採用された特別な1台だ。
特筆できるのがBOSEのサウンドシステムを含むAVシステムで、家の駐車場でも独立したホームシアタールームとして使える。
ベッドはダイネットを展開してメーキングする。常にベッド状態にしてちゃぶ台スタイルにしておくとベッド展開の手間は省けるが、やはりこのクルマはインテリアが命なのでそうはしておきたくない。
ただ、マルチモードシートではないのでベッド展開はいたって簡単で、背もたれを外しベッドマットにするだけでよい。
一人なら、テーブルを片付けなくてもベッド展開が可能だ。
L字型ソファなのでベッド展開は比較的簡単にできる
ギャレーはダイネットの奥にあり、陶器製のシンクが使われた情緒ある一角だ。横のスペースに卓上式カセットコンロを置いて調理ができるが、何となく調理をする場ではなく、カクテルカウンターのような雰囲気だ。
下には各19リッターの給排水タンクが収納されているが、この位置から重いタンクの出し入れは多少面倒かもしれない。後述のシャワー用タンクから引けると湯も使えるのだが。また排水も床下の排水タンクが使えると便利だ。
なお、対面には電子レンジも標準装備されている。
高級感あるギャレー
サニタリールームは最後部にあり、ここには女性のためのドレッサーも装備されている。椅子を引き出すとポータブルトイレが収納されているのは見事なアイデア。
特筆できるのは、左側の陶器製手洗いがビルトインされているコンソールで、中には60リッターの貯水タンクが収納されている。この中の水はエンジンの熱で加熱され湯になる。即ち、本来捨ててしまう熱を使った湯沸かし器で、しかも60リッターの湯を使えるので、大人2名なら(しかも女性が髪を洗っても)十分な量だ。バンコンで実用的にシャワーが使えるモデルは少なく、貴重な存在でもある。
完全防水されたシャワールーム
収納は、ダイネット上にオーバーヘッド収納が並んでいるほか、小物入れや引き出し収納が豊富に用意されているので困ることはないだろう。
また、大きなバッグなどはシート下に収納できるが、この開閉はダンパーで軽く持ち上げることができる。
更に、車外右側下に小さいながら外部収納が設けられており、ゴミや濡れたものを入れておくことができる。
ダンパーで軽く開くシート下の収納
空調は、FFヒーターが標準装備されているほか、家庭用セパレートエアコンが標準装備されており、一年中快適な室内を約束する。もちろんベンチレーターも標準装備されている。
電装系は200Ah(100Ah x2)のリチウムイオンバッテリーを標準装備。リチウムイオンバッテリーなので効率が良く、通常の100Ah鉛バッテリー3個弱の容量がある。もちろん1500Wのインバーターも標準装備なので、バッテリーでエアコンや電子レンジが使える。ただ、エアコンや電子レンジを頻繁に使うなら、200Ah程度あったほうが方が良いかもしれない。
価格は880万円~(税別)でさすがに安価な買い物ではないが、家庭用エアコンや温水シャワー、リチウムイオンバッテリーなどが標準装備されたモデルは多くなく、それらのオプションを加えるとはるかに高価になってしまうことを考えると、この価格で手に入るのはむしろ希少価値かもしれない。
シャングリラはフラグシップモデルだけあって、洗練されたインテリアと充実した装備で、他社を含めたハイエンドのバンコンの中でもトップクラスのバリューがある。特に二人旅には最適な1台と言える。
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