オーロラスタークルーズエヴァンスはケイワークスが製作する、ハイエースワイドミドルルーフをベース車に使用したバンコンキャンピングカー。
同社はハイエースバンコン、「オーロラスタークルーズ」シリーズを中心にバンコンキャンピングカーを専門に製作している他、デリカD:5をベース車にしたミニバンキャンパーや軽キャンパー「NEDOKO」も製作している。
オーロラスタークルーズシリーズは同社のメインラインアップで、ポップアップルーフを得意としており、2020年にはルーフ全体が持ち上がるエレベーションルーフを発表、「オーロラ エクスクルーシブ 5 Star」などにエレベーションルーフバージョンを追加した。
また、高品質感を特徴とするインテリアも特筆され、高圧メラミン素材を使用した家具は高品質感と高耐久性を持つ。更に、同社は早くからリチウムイオンバッテリー化を進め、同社独自のリチウムイオンバッテリーを標準搭載している。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエースワイドミドルルーフをベース車にしたバンコンキャンピングカー。ハイエース標準ボディも選択できる。ポップアップルーフはオプションで架装することができ、その場合、子供2名と大人4名が就寝できる。
2列目にマルチモードシートを配置し、前向きにすると計8名(標準ボディの場合は7名)が前向き乗車できる。また後ろ向きにすると、3列目シートとで対座ダイネットを形成する。
オプションでバタフライシートを選択でき、畳んで最前部にスライドさせると、後部に大きな荷室ができ、自転車等の大きな荷物を積むことができる。
高級感のあるインテリアが特徴で、コンパクトなギャレーを標準装備し、8ナンバー登録となる。 日常はミニバン的に使える、シンプル装備のファミリー対応モデル。
アピールポイント
・ポップアップルーフを架装すると、大人4名、子供2名の就寝が可能
・2列目と3列目にマルチモードシートを配置し、計8名が前向き乗車できる
・高級感のあるインテリア
・バタフライシートを選択すると後部に大きな荷室ができる
ベース車とエクステリア
オーロラスタークルーズエヴァンスのエクステリア
ベース車は5ドアのハイエースワイドミドルルーフ バン スーパーGL。ワゴンも選択でき、4ドアのワゴンGLがベース車となる。
車体外側への架装は無く、見た目はノーマルのハイエースと変わらない。オプションでポップアップルーフを架装できるが、閉じた状態ではほぼノーマルと同じで、日常使用での違和感は全くない。
3方向に大きな窓があるポップアップルーフ
ポップアップルーフは3方向に大きな窓があり、バグネット、シェード、全開が選択できる。また雨に強く耐候性に優れたキャンバス仕様も選択でき、断熱性に優れた防寒インナーもオプションで用意されている。
足回りに関しても考慮されており、KWORKSオリジナルリーフスプリング、ショックアブソーバー交換、強化スタビライザー装着といったオプションが用意されている。
インテリア
高級感があるインテリア
オーロラシリーズのインテリアは高級感があることで知られるが、特に家具は三河の家具職人による手作りで、高圧メラミン素材を使い傷や衝撃に強い高耐久性を誇っている。また、シート地は全て高級な素材を使用し、多くのサンプルから選択できる。
照明は6個のダウンライトで夜のインテリアを演出する。LEDライトは温かみのある電球色と、クリアな昼光色を選べる。
レイアウト
2列目と3列目にREVOシートを配置。2列目は1400mm幅、3列目は1200mm幅で、オプションのシートレールで前後の位置移動も可能。ベッドはシートをフラットにしたダイネットベッドの他、上段ベッドで子供2名が就寝できる。
このレイアウトの特徴は、計8名乗車と、大人2名(ポップアップルーフを付けると大人4名)+子供2名が就寝できファミリーにも対応できること。日常用途でもミニバンと同じように8名が前向きに乗車できる。
また、オプションのバタフライシートを選択すると、シートレールで前方にスライドさせ、後部に広い荷室を作り出せる。自転車やサーフボード、あるいは多くのキャンプ用具と言った大きな積載物を積むことができる。
ダイネット
上段ベッドを設定してもダイネットが使える
2列目シートを後ろ向きにすると、3列目シートとで対座ダイネットを形成する。それぞれリクライニング機構があるので、自由な角度でリクライニングできる。
また、上段ベッドを設定してもダイネットは使えるので、子供が寝てしまっても、大人はダイネットで寛ぐことができる。
足を投げ出してリクライニングできる
更に、3列目シートをフラットにすると、足を投げ出してリクライニングすることができる。ダイネットは食事するだけでなく、寛ぐ場所でもあるので、どのように寛げるかも重要なポイントだ。
ベッド
上下段にベッドをセットできる
2列目と3列目のシートをフラットにすると、2130x1400/1200mmのダイネットベッドになる。1400mm幅は、家庭用ではレギュラーダブルベッドの幅に相当し、大人2名が就寝できる。
ベッドマットには十分な厚さのウレタンフォームが使われており、寝心地にもこだわっている。なお、足元は家具があるため1200mmになり多少狭くなるが、薄型家具を使用しているので、大きな支障はないだろう。
また上段ベッドも標準装備されており、これは1700x1160mmの大きさで子供が2名就寝できる。このベッドボードはサイズをオーダーでき、大人が就寝できるサイズでも製作できる。
大人2名が就寝できるルーフベッド
オプションのポップアップルーフを架装すると、ここでも大人2名が就寝できる。(ベッドサイズは不明)
ギャレー
コンパクトなギャレー
コンパクトなギャレーが左側後部に設置されており、シンクとシャワーフォーセットが備えられている。このギャレーは上段ベッドの下に隠れてしまうので常設ではなく、8ナンバー取得のためと考えた方が良いだろう。
しかし、シャワーフォーセットは引き伸ばして車外でも使えるので、ペットの足を洗ったりする場合には便利だ。
各10Lの給排水タンク
下には各10Lの給排水タンクが収納されており、リアゲートを開けると車外から直接出し入れできる。10Lなので持ち運びも比較的楽だ。
冷蔵庫/電子レンジ
オーロラスタークルーズはクルマ旅をするためのモデルではない。そのため、装備は比較的シンプルで、冷蔵庫やで電子レンジはオプションで設定されていないし、置くスペースも用意されていない。
ここに12V電源コネクタがある
ただし、ポータブル冷蔵庫を持ち込むことはもちろん可能で、後部のベッド下スペースなどに置くことはできる。ただし、その位置に電源が用意されているわけではないので、左サイドのコントロールパネルにある12V電源コネクタから引いてくる必要がある。
多目的ルーム
オーロラスタークルーズ エヴァンスに多目的ルームは無いが、子供用にポータブルトイレを乗せておくことは可能だ。後部のベッド下に収まれば目につくことは無いし、インテリアをスポイルすることは無い。
収納
右側キャビネットには電装系が収納されている
ハイエースミドルルーフなので、収納はあまり期待できない。後部両側にある右側キャビネットには電装系が収納されているが、少し収納スペースがあるようだ。ただし、小物が収納できるところは他にない。
床下収納
後部キャビネットに挟まれた床には、床下収納が設置されている。ステンレス製で排水口もあり、汚れたものを入れても水洗いできる。
最後部の大きなカーゴスペース
シートを前方にスライドさせると、後部には奥行き1400mm×幅1200mmのカーゴスペースができ、多くのキャンプ用具などを積み込むことができる。
また、シートをバタフライシートに変更した場合は、畳んで前方にスライドすると、後部に大きなスペースが生まれる。大きさは奥行き最大2200mm×幅1200mmなので、自転車やサーフボードも積むことができる。
空調
暖房はFFヒーターがオプションで用意されているが、冷房のオプションは設定されていない。オーロラエクスクルーシブは一体型クーラーを標準装備しているが、オーロラスタークルーズ
エヴァンスはシンプル装備がコンセプトゆえ、用意されていないようだ。
なお、マックスファンもオプションで取り付けることができる。ただし、この場合は全高が変わるので、高さ制限のある駐車場に入る場合などは注意が必要だ。
テレビ/ナビ
フリップダウンモニター
展示車にはサイズが不明だが、フリップダウンモニターが設置されていた。他にも取り付けオプションは選択できるようだ。
電装系
オリジナルのリチウムイオンバッテリー「MEVIUS」
オーロラスタークルーズシリーズにはリチウムイオンバッテリーが標準装備される。100Ahが1個だが、ディープサイクルバッテリーの1.5個分程度に匹敵する。更に経年劣化が少ないので、数年経っても容量が大きく減少することは無い。
ただ、エアコンや電子レンジなど大容量家電があるわけではないので、少しオーバースペックかもしれない。しかし、2~3年ごとにバッテリーを交換する必要が無いので、もちろんメリットは大いにある。
また、C-TEK走行充電、外部100V電源入力と充電機能、1500W正弦波インバーターが標準装備される。その他300Wソーラーシステムがオプションで用意されている。これはポップアップルーフの上に装着できる。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
ワイドミドルルーフ ワゴンGL 2WD/6ATで617万円~、4WDで646万円~。バンS-GKはガソリン2WD/6ATで640万円~、4WDで671万円~、ディーゼル2WDで698万円~となっている。ポップアップルーフを付けるとワゴンGL
2WD/6ATで639万円~となる。
付けておきたい必需オプションは、FFヒーター(225,500円)が挙げられる。
なお必要に応じてポップアップルーフ(1,078,000円)、310Wソーラーシステム(258,500円)などを装備すると良いだろう。価格表とオプションリストはこちら。
他モデル
ハイエースワイドミドルルーフをベース車にしたファミリー向けバンコンは多数存在するがいくつか挙げておくと、アルフレックスのC's NEX(550万円~)、ダイレクトカーズのボンドポップアップ(635万円~)、バンレボのバンレボリューションVR480タイプ2(516万円~:ポップアップルーフは648万円~)、ホワイトハウスのコンパスプロポップ (713万円~)などがある。
C's NEXはポップアップルーフバージョンが無いが、洗練されたインテリアが魅力、ボンドポップアップはバタフライシートが標準で横開き式冷蔵庫や電子レンジを標準装備、バンレボリューションVR480タイプ2はシンプルなバタフライシートモデル、コンパスプロポップはサイドギャレーを持つポップアップルーフ標準装備モデルだ。
まとめ
オーロラスタークルーズ エヴァンスは、オーロラスタークルーズシリーズではシンプルな装備のモデルになるが、ハイグレードなインテリアを持つ。シンプル装備でも、高級感のあるインテリアを望むユーザーにお勧めのモデルだ。
トランポとして使うことを考え、耐久性や傷の付き難い家具素材を使うなど、単に高級感だけを求めていないのも特筆できる。
なお、リチウムイオンバッテリーが標準装備されるのは、通常なら高評価される点ではあるが、シンプルな装備のトランポという用途であれば、高価な固定バッテリーはあまり適さない場合もある。
例えば、ポータブルバッテリーをシステム電源として使用するという方法であれば、安価で車外に持ち出すこともできる。エヴァンスに限っては、リチウムイオンバッテリーはオプションで良いのではないだろうか。
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