N-BOXキャンパーNeoはホワイトハウスが製作する、ホンダN-BOXをベース車にした軽バンコンキャンピングカー。
同社はハイエースベースのバンコンをはじめ、ミニバンや軽自動車ベースのバンコンを主にラインアップしている。現在はコンパスシリーズのハイエースバンコンが同社の代表モデル的存在になっているが、元はホンダ車をベースにしたミニバンベースのバンコンが中心だった。
現在もフリードやステップワゴンなどのミニバンベースのモデルは多数ラインアップしている他、N-VANやN-BOXをベース車にした軽バンコンも製作している。
また、同社はポップアップルーフの架装を得意としており、ほとんどのモデルにポップアップルーフ仕様を用意している。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ホンダN-BOXをベース車にする軽バンコン。軽ミニバンのベース車で商用車では得られない質感の高い運転席周りを持つのが特徴。
POP、Hot Package、POP Hot Packageの3種類の仕様があり、POPはポップアップルーフを架装しただけ、Hot Packageはポップアップルーフは無いが、キャンパー装備を架装、POP
Hot Packageはそれら両方を架装している。
展示車のPOP HOT Package仕様は、ポップアップルーフの他、FFヒーター、42Ahサブバッテリー、走行充電、室内照明等が架装されたフル装備モデル。オプションでベッドボードや運転席回転機能を装備でき、対座ダイネットやベッドが装備できる。
ベース車に商用車ではなく軽自動車を使用することにより、日常使用でも通常の軽乗用車と同じ高い質感を持ちながら、休日にはファミリーでの車中泊も可能にする。
アピールポイント
・商用車では得られない高い質感の運転席周り
・ポップアップルーフを架装することにより4名が就寝可能
・サブバッテリーやFFヒーターを標準装備(HOT Package、POP HOT Package)
・運転席回転機構(OP)により対座ダイネットを形成
・簡単に展開できるベッドボード
・ルーフベッドへFFヒーターの温風を導入(POP HOT Package用OP)
ベース車とエクステリア
N-BOXキャンパーNeoのエクステリア
ベース車はホンダN-BOX。商用車ではないので、日常用途でのグレード感が高い。展示車はEXターボだったが他のグレードでも製作可能。
POPとPOP HOT Packageにはポップアップルーフが標準装備され、開放感のある室内を実現するとともに、就寝人数を2名追加できる。
外観はノーマルのN-BOXと変わらないので、通勤や買い物などの日常使用で目立つことが無い。なお、Honda SENSINGが全車に標準装備される。
インテリア
N-BOXの内装をそのまま使用したインテリア
室内のカラーは基本的にN-BOXの内装をそのまま使用している。軽自動車ベースのため、内側パネルはトリムされ、商用車のように鉄板がむき出しと言ったことは無い。
高い質感の運転席周り
また、運転席周りの質感も高く、N-BOXの各グレードにより、更に高級感のあるインテリアが選択できる。
レイアウト
レイアウトは商用車ベースの軽バンコンによくある、2列目シートを折り畳んで収納した上にベッドボードを乗せるという手法ではなく、2列目シートのシートバックに畳んで括りつけたベッドボードを開いてフラットなベッド面を作る。
運転席シートを後ろ向きにすることができる
また、これもオプションだが、運転席シートを反転して後ろ向きにすることができ、2列目シートと対座ダイネットを形成することができる。展示車では助手席側にベッド、運転席側に対座ダイネットの構成になっていた。
4名が前向き乗車できる
なお、2列目シートを立てると4名が前向き乗車でき、一般の軽自動車と同じように使用することができる。就寝はポップアップルーフのルーフベッドでも2名就寝でき、計4名が就寝できるので、ファミリーでの車中泊が可能だ。
ダイネット
3名が対座できるダイネット
オプションの運転席回転機構を取り付けると、後ろ向きの運転席シートと2列目シートとで3名が対座できるダイネットになる。テーブル(OP)も用意されているので、ちょっとした休憩ができる。
なお、回転できるのは運転席だけで、助手席は回転できない。回転するには車外に出て行う必要があり、またそれなりに労力が必要だ。実際にやってみて使用頻度と照らし合わせて考えると良いだろう。(運転席の回転方法の動画はこちら)
ベッド
ベッドボードを展開してベッドに
ベッドボードは、左右(運転席側と助手席側)それぞれがオプション設定されており、片方だけベッドにすることも可能。また、ポップアップルーフで就寝するので下段ベッドは不要と言う場合は購入する必要はない。
ベッド展開は先述のように、折り畳んで2列目シートのシートバックに括りつけられたベッドボードを展開するだけなので、難しくはない。雨が降って車外に出られない場合でも車内にいて展開することができる。
なお、ベッドサイズの記述は無いが、N-BOXの荷室幅は1120mmなので、家庭用ベッドのセミダブルの幅に満たない。
ルーフベッドでも2名が就寝できる
ポップアップルーフを上げてできるルーフベッドのベッドサイズもデータが無いが、2名が就寝できるとしている。
なお、ルーフ内にFFヒーターの温風を導くダクトがオプションで用意されているのは特筆できる。このようなシンプル装備のモデルながら、車中泊のことがしっかり考慮されている。
ギャレー
N-BOXキャンパーNeoにはギャレーは付いていない。スペースの問題もあるが、このモデルはギャレーを付けてクルマ旅をしたり車内で調理する目的ではないので、欠点ではない。あくまで、日常使用の延長線上で車中泊ができるようになっているモデルだ。
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫は7Lのポータブル冷蔵庫がオプションで用意されている。設置場所は特に用意されていない。なおサブバッテリーと12V電源コンセントが用意されているので、ここから電源を取ることができる。
電子レンジもポータブルタイプを持ち込むことは不可能ではないが、このモデルは車中で調理するような用途ではないし、持ち込んでも置いておくスペースに困ることになるだろう。
多目的ルーム
もちろん多目的ルームも無いが、荷室にポータブルトイレを積んでおいて子供の急なトイレに対応できる。行楽地でトイレが混んでいたり、車中泊時の子供のおしっこにも便利ではある。ただし、ベッドモード時にポータブルトイレを置いておくスペースを考える必要はある。
収納
N-BOXの2列目シートを倒すと広い荷室になる
収納はN-BOXが本来持っている収納をそのまま使うことになる。架装による収納の追加は無い。
N-BOXの収納としては上の写真の様に2列目シートを倒すと、広い荷室になる。シートは片方だけ倒すこともできるので、柔軟に積載スペースを調整することができる。写真のようにシートを両方とも倒すと自転車も積める。
ポップアップルーフがあるため、この状態でもルーフベッドで大人2名が就寝できる。即ち、2名なら下に荷物を満載しても、ルーフベッドで就寝することができるのだ。
空調
HOT PackageとPOP HOT PackageにはFFヒーターが標準装備される。通常のN-BOXと大きく異なるアドバンテージだ。車中泊をする場合、冬場はもちろん、春先や秋口でも夜は冷える。このような場合、FFヒーターがあると快適に過ごすことができる。
クルマのヒーターがあるからといって、長時間アイドリングするのは避けるべきだし、冬場では雪が降ると排気管が塞がり、排気が車内に入り込んで非常に危険だ。車中泊にはFFヒーターは必需品と考えるべき。
テレビ/ナビ
テレビは特にオプション設定されていないが、狭い車内で19型テレビを設置するのは必ずしも適切ではない。タブレットやスマートフォンでテレビや録画した番組を観られるので、そのような方法を利用した方がよほど快適だろう。
ナビも特に指定されていないので、好みのメーカーのナビが取りつけられる。
電装系
HOT PacageとPOP HOT Packageには42AhのディープサイクルサブバッテリーとCTEKの昇圧型走行充電システムが標準装備される。CTEKにより走行充電でも効率よくサブバッテリーを充電することができる。
なお、外部100V電源入力はHOT PacageとPOP HOT Packageにオプションで設定されている。またPOP HOT Packageにはソーラーシステム(ワット数不明)もオプションで取り付けることができる。
価格(2022年6月現在:千円台切り上げ:税込)
N-BOX Gグレードでの価格は、ノンターボ2WDで、POPが231万円~、HOT Pacageが207万円~、POP HOT Packageが292万円~となっている。4WD
POP HOT Packageは306万円~、ターボ 2WD POP HOT Packageは324万円~、最も高価なターボ 4WD POP
HOT Packageは338万円~となっている。
POP HOT Packageで付けておくべき必需オプションは無いが、予算に余裕があればソーラーシステムを付けておくと、家の駐車場に外部電源が無い場合でも自然に充電できている。キャンピングカーで災害対応を考えている場合にも有用だ。
また、下段で就寝する場合はベッドマットが必要となる。各オプションの価格はこちらを参照いただきたい。
他モデル
N-BOXをベース車にするモデルは、ベッドキットで車中泊車にするといったものは有るが、ポップアップルーフやサブバッテリーを架装する本格的なキャンピングカーは他に存在しない。なお、N-VANベースの軽バンコンなら数モデル存在する。
まとめ
N-BOXで、しっかりしたビルダーが製作するモデルが存在するのは、N-BOXで車中泊をしたいユーザーにとって朗報だ。先述のように、N-BOXをベース車にした本格的なキャンピングカーはN-BOXキャンパーNeoしかなく、これが無ければ選択肢が無いからだ。
もちろん、ベッドキットのような簡易車中泊車はいくらでも作れるし、ユーザーが簡単なDIYで作れてしまうだろうが、車中泊ではFFヒーターやサブバッテリーといった装備は必需品だ。
N-BOXキャンパーNeoは非常によくできたモデルなので、ユーザーの満足度も高いと思われるが、一点期待したいのはポータブルバッテリーの採用だ。ポータブルバッテリーをプラグインすることにより、照明や電源コンセントなどの車内システムが使用できるようになれば、安価なうえバッテリーを車外に持ち出して使うということもできる。
またポータブルバッテリーなら、マンションなどで自宅の駐車場に電源が無い場合でも自宅に持ち帰れば充電できる。最近はこの手法を用いるモデルも見かけるようになったが、シンプル装備のモデルには特に有用と思われる。
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