ファイブスターセプトはレクビィが製作する、ハイエーススーパーロングベースのバンコン キャンピングカー。同社の人気モデル「ファイブスター」(レビュー記事はこちら)のレイアウトバリエーションモデルで、前向き3列目シートが新設され、7名が前向き乗車できるようになった。標準仕様と、FFヒーターや電子レンジ、電装系が強化されたSuperior仕様が選べる。
コンセプト:従来のファイブスターは、運転席と助手席、2列目シートに3名、下段ベッドが横座りシートになっており、ここに3名で、計8名が乗車定員だった。しかし、前向き乗車は5名に留まっていた。ファイブスターセプトでは、人数の多いファミリー向けに、7名が前向き乗車できるようにした。「セプト=7」はここからきている。なお、ファイブスターセプトでは横座り着座は廃止されており、乗車定員は計7名となっている。
エクステリア:ハイエーススーパーロングをベース車に使用している。外装への架装は無く、外見は通常のハイエースと見分けがつかない。なお、オプションで4ヵ所の2重窓化ができる。
高級感のあるインテリア
インテリア:ファイブスターと基本的に同じトーンだが、レザー部分が黒から茶色に変更されている。家具色とも相まって全体的に落ち着いたトーンで、同社らしい高級感があり、洗練されたインテリアとなっている。
なお、カラーバリエーションは基本的に設定されておらず、変更したい場合は特注となる。
レイアウト:前部にダイネット、中央にギャレー、後部右側に縦置き2段ベッド、最後部に完全防水のユーティリティールームが配置されている。2列目シートがあるので直線的に後部に行けないが、ワイドボディなので動線は十分に確保されている。
ファイブスターからの大きな変更点は、2段ベッドの前端をトランスフォームして3列目シートを形成できること。
また、2段ベッドの下段とダイネットベッドが一続きになったこと。もう一つはギャレーコンソールとサニタリールームの間にあったタワー収納ラックがなくなり、ギャレーコンソールが広くなったことの3点だ。
運転席、助手席を後ろ向きに利用したダイネット
ダイネット:ファイブスターセプトでは2パターンのダイネットが作れる。一つは従来通り、運転席、助手席のシートバックを使用した後ろ向きの席と、2列目シートを前向きにして対座するダイネット。もう一つのパターンは、新設された3列目シートと後ろ向きにした2列目シートで作る対座ダイネットだ。
現実的には運転席、助手席を後ろ向きにセットして形成するダイネットのほうが多少広い。
大人3名+子供2名が就寝できるベッドモード
ベッド:ファイブスターの就寝定員は大人2名と子供3名だったが、ファイブスターセプトでは大人3名と子供2名となった。その内訳は、2列目シート+3列目シート部+ギャレー前スペースを使って2名が就寝、もう1名は上段ベッドとなる。子供は下段ベッドの後部に2名就寝できる。ファイブスターではデッドスペースだったギャレー前のベッドボードを有効活用した格好だ。もちろん誰がどこで寝ても良いのだが、大人3名+子供2名というのは、このように想定されている。
ベッドサイズは上段が1,850x750mm、2列目シート+3列目シート+ギャレー前スペースを合わせた大人2名用のベッドサイズが1,850x1,200mm。ベッドの最前部から最後部までの長さは3,400mmなので下段後部の子供用ベッドスペースは1,550x800mmということになる。
豊富な収納を持つギャレーコンソール
ギャレー:ギャレーコンソールにはファイブスター同様丸形シンクが埋め込まれているが、大きく変わったのは、冷蔵庫がビルトインされていたタワー収納が無くなり、ギャレーコンソールがサニタリールームまで延長されたこと。冷蔵庫は上蓋式に変更されており、そのためギャレーコンソールは広々としている。
冷蔵庫/電子レンジ:ファイブスターの冷蔵庫は49L横開き式だったが、ファイブスターセプトでは上蓋式に変更された。製氷機能はあるが、上蓋式なので横開き式のように製氷室と冷蔵室は分かれていない。また、電子レンジはシンクの下に移り、Superiorでは標準でビルトインされる。なお、ファイブスターでシンクの下にあった給排水タンクはエントランス横に移動し、車外から取り出しやすくなった。
最後部の完全防水されたサニタリールーム
シャワールーム:最後部にはファイブスター同様、完全防水のシャワールームが設置されている。オプションのポータブルトイレを置くとトイレルームとしても使える。
シャワーが装備されるが、温水装置はオプション。19Lのエンジン熱交換式ヒートエクスチェンジャーで41~42°に加熱し、水と混合して温度を調整する。水量から考えても、シャングリラ(60L)のような本格的な温水シャワーではないが、湯が使えるのは大きなメリットだ。
ベッド下の大きな収納スペース
収納:ダイネット上、ギャレー上にオーバーヘッド収納を設置している。また、ギャレーコンソールには箸やスプーンを収納しておけるカトラリー的な引き出しも追加された。
なお、後部のハッチを開けると、ファイブスターでは右側のベッド部は全面板張りでベッドにアクセスできなかったが、ファイブスターセプトではこの板が無くなり、ベッド下の収納スペースに直接荷物を積み込めるようになった。ベッドボードはダンパーでサポートされているので軽く跳ね上げることができる。
空調:Superior仕様ではFFヒーターが標準装備される。冷房はファイブスター同様SuperiorにA/C仕様が用意されており、これには家庭用エアコンが搭載される。なお、ベンチレーターは標準仕様にも標準装備される。
電装系:標準仕様には115Ahのサブバッテリーが1個、Superior仕様には2個標準装備される。またSuperior仕様には走行充電、外部AC100
V入力と充電機能、1500Wインバーター、215Wソーラーシステムも標準装備される。
なお、A/C使用には200Ah(100Ah x2個)のリチウムイオンバッテリーが搭載される。
価格:価格は標準仕様が552万円~(2WD/6AT:税別)、Superior仕様は615万円~(同)。A/C仕様は95万円(税別)のオプションとしてSuperiorに設定されている。
競合:7名が前向き乗車できるハイエーススーパーロングベースのモデルは下のように多数ある。
ウインピュアシェルラ(549万円~:税別)M.Y.Sミスティック
ツインズエース(465万円~:同) オーエムシー
ツインズフォー(480万円~:同) オーエムシー (レビューはこちら)
ロードセレクトSL(451万円~:同) カスタムセレクト
ダーウィンQ3(560万円~:同) デルタリンク (レビューはこちら)
バーデン(565万円~:同) トイファクトリー(レビューはこちら)
GT(565万円~:同) トイファクトリー(レビューはこちら)
リークⅡ(488万円~:同) ナッツRV(レビューはこちら)
トップセイル(490万円~:同) レクビィ(レビューはこちら)
しかし、これらはトップセイルを除き全て横置き2段ベッドか、ハイマウントダブルベッド仕様。縦置き2段ベッドを持ち、前向きで7名が乗車できるモデルはトップセイルとファイブスターセプトだけだ。そしてファイブスターセプトはユーティリティールームも備えている。
縦置き2段ベッドや横置きダブルベッドは、スペース効率やベッド下収納の面で有利な点はあるが、身長方向の余裕は縦置きベッドが優っている。特に身長の高いユーザーは、比べてみることをお勧めする。
まとめ:7名前向き乗車が特に条件でないなら、ファイブスターの方が使いやすいかもしれない。また、ファイブスターの方が10万円程度安価だ。もちろん二人旅がメインのユーザーにはファイブスターやファイブスターセプトよりもカントリークラブ(レビュー記事はこちら)の方が適している。ファイブスターセプトはファイブスターに比べ、その名の通り、前向きに7名着座できるというところに意義があるモデルだ。
もちろん、大人2名+子供3名の5名のファミリーでも、ファイブスターよりゆったり前向き乗車できる点でファイブスターセプトがお勧めだ。
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ファイブスター | トップセイル | カントリークラブ |
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