イゾラ(ISOLA)はレクビィが製作する、NV350キャラバン標準幅スーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社はハイエースベースのバンコンを多数ラインアップしているが、NV350キャラバンベースはこのイゾラのみ。その理由は、このボディサイズがハイエースに存在しないから。セレナなどのミニバンとほぼ同じ車幅ながら、全長は標準ボディが4,690mmに対し5,080mmと約390mm長い。
(記事中の価格は全て税別です)
【訂正】動画に「家庭用エアコンはSuperiorにオプション設定」とありますが、正しくは「A/C仕様に標準装備」です。
コンセプト
標準幅ながら全長に余裕があるNV350キャラバンをベース車にし、このサイズでハイエース標準ボディハイルーフをベース車にしたプラスLV+1のレイアウトを展開。更に最後部に同社のカントリークラブのような防水処理されたユーティリティールームを持つ。
レイアウトは3名が前向き乗車できるファミリー対応。もちろん二人旅にも適するレイアウトで、2名対座ダイネットとロングソファ-による広いダイネットが魅力だ。
イゾラにはベース仕様のほか、冷蔵庫、ベンチレーター、外部AC100V電源入力と充電機能、19型テレビ、カーテンが標準装備されたSuperior仕様と、さらにSuperior仕様の装備に加えて家庭用エアコン、電子レンジ、インバーター、リチウムイオンバッテリー、ソーラーシステムが標準装備されるA/C仕様が用意されている。
なおA/C仕様については、正式には「Superior+A/C仕様」となっているが、ここではA/C仕様としている。A/C仕様にはSuperior仕様の全ての装備が含まれている。
エクステリア

イゾラのエクステリア
ベース車は日産NV350キャラバン標準幅スーパーロング。このボディサイズはハイエースに無いサイズを狙ったもので、標準幅が良いがもう少し全長が欲しいという需要に応えたもの。
ボディ外側への架装は無く、見た目はノーマル車と変わらないので、外観からはキャンピングカーと分からない。
なお、イゾラにはキャンパー特装車が使われる。NV350キャラバンのキャンパー特装車の場合、助手席SRSエアバック、スライドサイドウィンド(右2か所)、リアプライバシーガラス、フロントフォグランプ、プッシュエンジンスターターなどはオプションになる。しかしハイエースと異なり特装車にも自動ブレーキが装備される。
インテリア

イゾラのインテリア
イゾラのインテリアは、同社の「プラス」シリーズと似ているが、家具のデザインはプラスシリーズに共通して使われている網代(あじろ)仕立てではなく、光沢のあるモダンな感じの仕上げになっている。
レイアウト
前部にギャレー、後部にダイネット、最後部にユーティリティールームを配置している。ちょうどプラスLV+1の最後部にユーティリティールームを追加した格好で、このベース車の特徴を生かしたレイアウトだ。
このレイアウトはファミリー向けにも対応できるが、幅の広い2列目シートが無いので前後の動線が途切れることが無く、前から後ろまで無理なく移動できる。
なお、NV350標準ボディスーパーロングの室内高は、ハイエース標準ボディハイルーフより50mm高く1640mmあるので、高さ的にも更に余裕がある。

レッグレストが付く2列目シート
乗車定員は、フロントシートに2名、2列目シートに1名、ロングシートに3名で計6名が乗車できる。3列目の単座シートには移動中乗車できない。なお2列目シートにはレッグレストが付き、移動時のファーストシートになる。また単座のため、展開は2~3人掛けのマルチモードシートに比べると非常に楽に行える。
ダイネット

2名対座にロングシートを加えたダイネット
2列目単座シートを後ろ向きにすると3列目シートとで2名が対座できる。またロングソファに3~4名程度座ることができるので、5~6名でテーブルを囲むことができる。
また、3列目シートだけフラットにすると、2列目シートがカウチシートになり、足を伸ばして寛ぐことができる。
ベッド

ベッドモードでは大人3名が就寝できる
ベッド展開は多少の作業は必要だが、先述のように2列目シートが単座で軽量なことと、ロングシートのシートバックを中央に移動するだけなので、比較的楽に行える。
でき上がったベッドは、1830x1500mmの大きさで、このベッド幅は家庭用ベッドではレギュラーダブルベッドとクィーンベッドの中間に相当する。就寝定員は3名だが、現実的には大人が2名がゆったり就寝できるサイズだ。
ギャレー

前部に設置されたギャレー(写真:レクビィ)
ギャレーは前部に配置されおり、左にシンク、右に冷蔵庫が収納されるコンソールと分かれており、中央はフロントシートから後部へ移動するための通路になっている。跳ね上げ式の調理台が用意されており、これが通路部分に渡され広い調理スペースとなる。
カセット式のポータブルガスコンロが標準で用意されており、これを置いても十分な広さの調理スペースが確保されている
シンクの下には各16Lの給排水タンクが収納されており、これは車外から直接出し入れできる用配慮されている。
冷蔵庫/電子レンジ

電子レンジはA/C仕様に標準装備される
冷蔵庫は49L横開き式冷蔵庫が、Superior仕様とA/C仕様に標準装備される。また電子レンジはA/C仕様に標準装備され、冷蔵庫の上部にビルトインされる。なお、ベース仕様とSuperior仕様では電子レンジ、1500Wインバーターともにオプションなので、電子レンジをサブバッテリーで使う場合はインバーターも設置する必要がある。
ユーティリティールーム

防水処理されたユーティリティールーム。
イゾラの最も特徴的な装備がこの防水処理されたユーティリティールームだろう。ここには専用の手洗いとシャワーヘッドが標準装備されており、シャワーを使うことができる。
各19Lの給排水タンクが用意されているが、温水装置(128,000円)をオプションで付けることもできる。この場合はラジエーターの熱交換で湯を沸かし温水用の19Lのタンクに貯め、水と混合して使用する。
ポータブルトイレを置くとトイレルームとしても使用できる。シャワールーム用の換気扇(36,000円)がオプション設定されているので、トイレルームとしてのみ使う場合でも換気扇を付けておくと良いだろう。
収納

右側のオーバーヘッド収納
ハイルーフだけあって、オーバーヘッド収納は両側に設置されており、大きな収納力がある。また、ギャレーには引き出し収納があり、カトラリーの収納に便利だ。

3列目シート下の収納スペース
さらに、3列目シートの下も収納スペースになっている。もちろん、ベッドモードにした場合は、ベッド下が大きな収納スペースになる。
空調

家庭用エアコンがA/C仕様に標準装備される
暖房はFFヒーターがオプション設定される。また冷房はA/C仕様として家庭用エアコン搭載車が用意されている。A/C仕様にはリチウムイオンバッテリーも標準装備されるので更に長時間の運転が可能になる。
テレビ/ナビ
19型のテレビがSuperior仕様とA/C仕様に標準装備される。ナビは専用、汎用を含め取り付けできる。
電装系

リチウムイオンバッテリーを搭載したAC仕様の電装系
ベース仕様とSuperior仕様には115Ahのディープサイクルバッテリーが1個標準装備され、オプションでもう1個追加できる。また外部100V電源入力と充電機能はSuperior仕様に標準装備される。1500Wインバーターや215Wソーラーシステムもオプション設定される。
一方、A/C仕様にはこれらが全て標準装備されるほか、サブバッテリーは200Ahのリチウムイオンバッテリーが標準搭載される。即ち、エアコンが搭載されないベース仕様とSuperior仕様では、ディープサイクルバッテリー2個まで、エアコンが搭載されるAC仕様は全てリチウムイオンバッテリーが搭載される。
価格(2021年3月現在:千円台切り上げ:税別)
ベースグレードはガソリン 2WD/5ATで470万円~、Superior仕様は同500万円~、A/C仕様は同635万円~となっている。
付けておきたいオプション装備は、A/C仕様ではFFヒーター(222,000円)が挙げられる。Superior仕様ではFFヒーターのほか、必要に応じて電子レンジ(40,000円)と1500Wインバーター(148,000円)、バッテリー追加(25,000円)が挙げられる。
他モデル
NV350標準幅スーパーロングをベース車にするモデルは15モデルほど存在するが、エアコンが搭載できるモデルはイゾラしかない。またユーティリティールームを持つモデルもイゾラしかない。
レイアウト的に最も近いのは、日産ピーズフィールドクラフトの「T-7」(408万円~)があるが、ユーティリティールームは持たない。
まとめ
イゾラはNV350キャラバンをベース車にしたモデルというより、プラスLV+1の拡張版と考えた方が分かりやすい。即ち、プラスLV+1にユーティリティールームを追加したモデルだ。
逆に言えば、シャワールームが不要なユーザーはプラスLV+1の方がコンパクトで運転しやすいということになる。
イゾラのポイントは、このシャワールームをどう使うか、だろう。水しか出ないシャワールームでは、おそらく海水浴の後でシャワーを使うくらいしか用途が無いと思われる。
しかし温水装置をオプションで装備すると、一気に様相が変わる。温水シャワーがあれば、毎日銭湯や温泉を探さなくてもよく、停泊地に直行してシャワーの後ですぐに冷たいビールが飲める。
なお、湯はラジエーターの熱交換で沸かすので、本来捨てる熱を有効利用する。即ち、走っている間に湯が沸いている。
確かに、毎日の排水と給水は手間だが、ガソリンスタンドで給油のついでに給排水させてもらえば、それほど面倒な話ではない。
欧州バンコンなら当たり前についているシャワールームだが、国産バンコンでは同社のカントリークラブやファイブスターセプト、シャングリラがあるだけで非常に希少だ。イゾラはその中でもシャワールームを持つ最小クラスのバンコンだ。
しかも今回家庭用エアコンが搭載され、国産の最もコンパクトなモーターホームに近いモデルとなった。
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