ハピリーレジェントはキャンピングカープラザ東京が製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。「華美にあらがう上質さ」がコンセプトになっており、上質感のある洗練されたインテリアが特長。
同社は主にアネックスのモデルを取り扱っているが、ハピリーレジェントはキャンピングカープラザ東京オリジナルのモデル。2021年に発表され好評を博しているが、2025年に電装系のアップグレードが予定されている。
下は同社の代表取締役 木村 元一氏による詳細説明。コンセプトから内部の構成まで詳しく語られている。(47分)なお、YouTubeの説明欄では、各項目に直接飛べるようになっている。(記事中の価格は全て税込です)
概要
ハイエーススーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。縦置き2段ベッドと2名対座のダイネット、トイレルームにもなる多目的ルームを備え、上質感のあるインテリアをコンセプトとしている。
2025年1/31-2/3に開催されるジャパンキャンピングカーショー2025で、400Ahのリチウムイオンバッテリーと3000Wの正弦波インバーターを搭載した、電装系のアップグレードモデルを発表予定。
上質な二人旅が期待できるモデルだが、電装系の強化で、更に快適なクルマ旅が実現する。
アピールポイント
・ハイエーススーパーロングで余裕のある室内空間
・縦置きで1900mmの長さを実現した常設2段ベッド
・シングルベッドにもなる2名対座ダイネットとロングシート
・単座の前向きシートになる、レッグレスト付きの単座マルチモードシート
・トイレルームにもなる多目的ルーム
・家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーを標準装備
エクステリア
ハピリーレジェントのエクステリア
ベース車はハイエーススーパーロング特装車を使用。ボディ外側への架装は無いので、見た目は普通のハイエースに見える。普段使いでも特に目立つことは無い。HAPPILY
LEGENDのデカールは標準装備される。
ハイエースの車体本体には、LEDヘッドランプ、パワースライドドア、寒冷地仕様、ヒーテッドドアミラーなどが標準装備される。
ハピリーレジェントの運転席周り
ベース車はキャンパー特装車なので、センターコンソールやオートエアコンが標準装備され、商用車臭さが軽減されている。またパワースライドドア、LEDヘットランプ、リアヒーターも標準装備される。
インテリア
リアルウッドのようなインテリア
上の写真のような家具色とシート色を採用。家具色の選択はできないが、凹凸をつけた質感は、まさにリアルウッドと見間違うほど。エッジの処理も美しく仕上がっており、高級感のある室内に仕上がっている。
レイアウト
前部にギャレー、後部に縦置き常設2段ベッドと2名対座のダイネット、最後部に多目的ルームのレイアウトを採用。2列目に横幅の広いマルチモードシートを置かず、前後の動線が寸断されないレイアウトで広々感があり、二人旅に最適なレイアウトとなっている。
前向き乗車ができる2列目シート
2列目の単座シートと3列目シートにも前向き乗車可能で、4名が前向き乗車できる(ロングシートに2名乗車できるので乗車定員は6名)。2名対座ダイネットを展開すると1名分のシングルベッドになる。即ち、計3名が就寝できる。更に、希望があれば、下段ベッドとダイネットベッドの間を埋めるベッドマットもオプションで製作可能。
収納も充実しているが、特にハピリーレジェントでは大きなクローゼットが特長。最後部には多目的ルームも設置されており、トイレルームとして使用できる。
ダイネット
2名対座とロングシートのダイネット
二人旅の場合は単座のダイネットシートで対座でき、コンパクトなダイネットとして使用できる。上段ベッドのベッドボードを外して下段のシートバックにするとロングシートができ上がり、ここに2名程度が座れるので、4名でもテーブルを囲むことができる。
ベッド
計3名就寝できる
縦置き常設2段ベッドは上下段とも1900x700mmの大きさで、縦置きのため身長方向も十分な長さが取れている。幅は家庭用のシングルベッドよりは狭いが、キャンピングカーの大人用ベッドの規定である500mmは十分に満たしており、寝返りもうてる。
ダイネットシートも展開すると一人用ベッドになる。ただしこちらは1850x500mmの大きさ。十分な幅とは言えないが、大人が就寝できる規定値をクリアしている。またヘッドレストを付けたままベッド状態にでき、身長方向は更に長くなる。
各段に読書灯とUSBコンセントが備わる
2段ベッドの各段には、照射方向を自由に変えられる読書灯が設置されており、パートナーが寝てしまった後も読書することができる。2段ベッドはダブルベッドと異なり、自分の時間が持てるプライベート感の高いベッドだ。
なお、読書灯の台座にはUSBコネクタが付いており、スマートフォンの充電をすることができる。
ギャレー
広く取られたギャレーセクション
ギャレーはエントランスの対面にあり、ギャレー前には広いスペースがあるので、立って調理できる。ギャレーカウンターは比較的広く、シンクとフォーセットがビルトインされている。シンクは中皿程度なら洗える大きさだ。
8ナンバー取得のための調理器具としては電子レンジがあるので、コンロは標準装備されておらず、オプションのポータブルカセットコンロを使用する。調理をしたいユーザーは常設コンロが欲しいところではある。
カトラリーやボトルの収納ができる縦長引き出し収納
シンクの下には各20Lの給排水タンクが収納されている。エントランスの対面なので、タンクの出し入れは比較的楽にできる。また、引き出し式の縦長収納があり、ここにはカトラリーやワインボトルなどの収納ができるようになっている。
冷蔵庫/電子レンジ
40L横開き式冷蔵庫が標準装備
冷蔵庫は40L横開き式が標準装備される。もちろん製氷室付きなので、冷蔵と冷凍が同時にできる。なお冷蔵庫はエンゲル(澤藤電機)製なので日本で一般的な2Lのペットボトルが扉側に収納できる(写真上)。
電子レンジも標準装備
また電子レンジも標準装備。正弦波インバーターも標準装備されているので、外部電源はもちろん、サブバッテリーでも使うことができる。
多目的ルーム
トイレルームとして使用できる
最後部左側が完全な個室になり、ポータブルトイレやラップ式トイレを置くとトイレルームとして使用できる。雨の日や寒い夜でも車外に出る必要が無く、トイレルームのありがたみが分かる。
収納
ギャレー上のオーバーヘッド収納
2段ベッドがあるため、オーバーヘッド収納は限られてしまうが、それでもダイネット上部とギャレー上部にオーバーヘッド収納が設けられている。食品や食器、あるいはタオルなど、シート下の収納には入れたくないものを清潔に収納できる。
大きなクローゼット
ハピリーレジェントの特長の一つが、大きなクローゼット。これだけ大きなクローゼットを持つ国産バンコンは珍しく、長めのコートやジャケットなども収納しておける。衣類は(特に寒い時期は)かさばりがちで、車内が煩雑になる大きな原因だが、このクローゼットがあればそのような心配は無い。
クローゼット下の引き出し収納
更にクローゼット下には引き出し収納が2段用意されており、特に下側は大きいため、カセットコンロや鍋など調理用具を収納しておくことができる。
下段ベッド下の収納
下段ベッド下は大きな収納になっている。上部からアクセスできるが、リアゲートを開けると車外からも出し入れできる。
空調
家庭用エアコンが標準装備される
暖房はFFヒーター、冷房は家庭用の冷房専用エアコンが、どちらも標準装備される。家庭用エアコンの室内機はダイネット上に設置され、室外機は後部床下に設置されている。
更にマックスファンベンチレーターも標準装備される。ちょっとした換気や調理時に重宝する。
テレビ/ナビ
19型のテレビはオプション
19型のテレビがオプション設定されている。またSDナビもオプション。もちろん好みのナビを指定して取り付けてもらうこともできる。
電装系
400Ahリチウムイオンバッテリー
従来は200Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備されたが、2025年年明けからは400Ahも選択できるようになる。200Ahはオンリースタイル製、400AhはRENOGY製で、いずれもリン酸鉄系だ。
もちろんリチウムイオンバッテリー対応の走行充電機能も標準装備。更に外部100V電源入力と充電機能も標準装備される。正弦波インバーターは、200Ahバージョンには1500W、400Ahバージョンには3000Wが標準装備される。
150Wソーラーシステムも標準装備される。
価格(2024年12月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリンとディーゼルが選択でき、更にそれぞれ2WDと4WDが選択できる。200Ahバージョンの価格は、ガソリン2WDは936万円~、4WDが968万円~、ディーゼル2WDが985万円~、4WDが1016万円~となっている。(400Ahバージョンの価格は未定)
ほとんどの必需装備は標準装備されているので、必需装備として追加するオプションは無い(ナビ関連を除く)。
他モデル
このレイアウトを採用しているハイエーススーパーロングモデルは、オーエムシーの銀河(621万円~)とレクビィのカントリークラブ A/C仕様 (916万円~)、プラスDD Superior+A/C仕様(833万円~)が挙げられる。(いずれもガソリン2WDの価格)
銀河は低価格に見えるが、家庭用エアコンやリチウムイオンバッテリー、FFヒーター、インバーターなどがオプションなので、これらを含めると価格差は小さくなる。上の価格はそれぞれ装備や仕様の条件が異なるので、その点は留意いただきたい。
まとめ
ハピリーレジェントは、二人旅に最適なレイアウトを持ち、家庭用エアコンやリチウムイオンバッテリー、ソーラーシステム、FFヒーターなどほぼ全ての必需装備を標準装備する、ハイスペックフルパッケージモデルだ。
同社は多少のカスタマイズにも対応するが、ハピリーレジェントに関しては完成度が高く、ほとんど変更や追加をする必要はないだろう。
ただし、これだけの装備や高級感のあるインテリアなので、クラス的にはハイエンドバンコンのカテゴリーになり、従って価格もハイエンドレベルだ。最高のものを求めるユーザーにはアピールするが、価格を重視する場合は対象ではないかもしれない。
しかし、「優雅な二人旅」というキーワードに最もフィットするモデルの一つには違いないし、今後電装系のアップグレードも予定されているので、やはり最高級バンコンの一台と言える。
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