ハピリーレジェントはキャンピングカープラザ東京が製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社は主にアネックスのモデルを取り扱っているが、ハピリーレジェントはキャンピングカープラザ東京オリジナルのモデル。
下は同社の代表取締役 木村 元一氏による詳細説明。コンセプトから内部の構成まで詳しく語られている。(47分)なお、YouTubeの説明欄では、各項目に直接飛べるようになっている。
ハピリーは10年以上前にアネックスがグランドハイエースをベース車にして製作していたモデル。やはり2段ベッドを持つレイアウトで冷蔵庫や電子レンジも搭載する先進のバンコンだった。
グランドハイエースベースだったハピリー
ハピリーレジェントはこのコンセプトを踏襲し、現代のキャンピングカーの製作水準でリバイバルした先進のバンコンモデルだ。
(記事中の価格は全て税込です)
コンセプト
縦置き2段ベッドと2名対座のダイネットの組み合わせは、もともとハピリーで採用していたもので、これを現代のハイエーススーパーロングの広い室内に展開した。もちろん多目的ルームも用意されている。
また、現代における最先端の装備、即ち家庭用セパレートエアコン、リチウムイオンバッテリー、ソーラーシステムも標準装備されている。更に必需品は標準装備とするというコンセプトで、冷蔵庫と電子レンジはもちろん、FFヒーターやインバーター、外部電源入力と充電機能も標準装備となっている。
エクステリア
ハピリーレジェントのエクステリア
ベース車はハイエーススーパーロングを使用。ボディ外側への架装は無いので、見た目は普通のハイエースに見える。普段使いでも特に目立つことは無い。
特装車の運転席周り
ベース車はキャンパー特装車なので、センターコンソールやオートエアコンが標準装備され、商用車臭さが軽減されている。またパワースライドドア、LEDヘットランプ、リアヒーターも標準装備される。
インテリア
リアルウッドのようなインテリア
展示車は上の写真のような家具色とシート色。家具はリアルウッドのように見えるが、樹脂シートを貼った合板。しかし凹凸のある質感と色合いで、まさにリアルウッドと見間違うほど。エッジの処理も美しく仕上がっており、高級感のある室内に仕上がっている。
レイアウト
前部にギャレー、後部に2段ベッドと2名対座のダイネット、最後部に多目的ルームのレイアウトを採用。2列目に横幅の広いマルチモードシートを置かず、前後の動線が寸断されないレイアウトで、二人旅にもファミリーにも使用できる。
ただし、ハピリーレジェントはどちらかというと二人旅を想定しており、そのため4人就寝までは追い求めていない。(希望があれば、下段ベッドとダイネットベッドの間を埋めるベッドマットもオプションで可能)
また同種のレイアウトを持つ他モデルと異なる点は、2段ベッドが最後部にまで達していること。従って、最後部の多目的ルームは半分の広さになっている。
しかし、ベッドが後部にシフトした分ベッドの前にスペースができ、ハピリーレジェントではここに大きなクローゼットを配置した。トイレルームは狭くなったが、代わりに大きなクローゼットが可能となった。
なお、2列目シートを前向きにすると、運転席、助手席、3列目シートと合わせて計4名が前向き乗車できる。二人旅の場合でも、パートナーは助手席ではなく前向きにした2列目シートに座ると、より快適な乗車ができる。
ダイネット
2名対座とロングシートのダイネット
二人旅の場合は単座のダイネットシートで対座でき、コンパクトなダイネットとして使用できる。ファミリーの場合は、上段ベッドのベッドボードを外して下段のシートバックにするとロングシートができ上がり、ここに2名程度が座れる。
ベッド
ダイネットベッドを加えると計3名就寝できる
2段ベッドは上下段とも1900x700mmの大きさで、縦置きのため身長方向も十分な長さが取れている。幅は家庭用のセミシングルに相当し、シングルベッドよりは狭いが、キャンピングカーの大人用ベッドの規定である500mmは十分に満たしており、寝返りもうてる。
また、ダイネットシートも展開すると一人用ベッドになる。ただしこちらは1850x500mmの大きさ。十分大きいとは言えないが、大人が就寝できる規定値をクリアしている。またヘッドレストを付けたままベッド状態にできるので、身長方向は更に長くなる。
2段ベッドには各段に読書灯とUSBコンセントが備わる
2段ベッドの各段には、照射方向を自由に変えられる読書灯が設置されており、パートナーが寝てしまった後も読書することができる。2段ベッドはダブルベッドと異なり、自分の時間が持てるプライベート感の高いベッドだ。
なお、読書灯の台座にはUSBコネクタが付いており、スマートフォンの充電をすることができる。
ギャレー
広く取られたギャレーセクション
ギャレーはエントランスの対面にあり、ギャレー前には広いスペースがあるので、立って調理できる。ギャレーカウンターは比較的広く、シンクとフォーセットがビルトインされている。シンクは中皿程度なら洗える大きさだ。
8ナンバー取得のための調理器具としては電子レンジがあるので、コンロは標準装備されておらず、ポータブルカセットガスコンロを使用する。
カトラリーやボトルの収納ができる縦長引き出し収納
シンクの下には各20Lの給排水タンクが収納されている。エントランスの対面なので、タンクの出し入れは比較的楽にできる。また、引き出し式の縦長収納があり、ここにはカトラリーやワインボトルなどの収納ができるようになっている。
冷蔵庫/電子レンジ
40L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は40L横開き式が標準装備される。もちろん製氷室付きなので、冷蔵と冷凍が同時にできる。なお冷蔵庫はエンゲル(澤藤電機)製なので日本で一般的な2Lのペットボトルが扉側に収納できる(写真上)。
電子レンジも標準装備される
また電子レンジも標準装備。1500Wインバーターも標準装備されているので、外部電源はもちろん、サブバッテリーでも使うことができる。
多目的ルーム
ポータブルトイレを置くとトイレルームとして使用できる
最後部左側が完全な個室になり、ポータブルトイレを置くとトイレルームとして使用できる。日本はトイレがどこにでもあるとの理由でトイレルーム不要論もあるが、雨の日やキャンプ場の遠いトイレに、夜に起きだして行くのは苦痛以外何物でもない。年配のユーザーにとってトイレルームは欠かせない。
収納
左側のオーバーヘッド収納
2段ベッドがあるため、オーバーヘッド収納は限られてしまうが、それでも左右両側にオーバーヘッド収納が設けられている。食品や食器、あるいはタオルなど、シート下の収納には入れたくないものを清潔に収納できる。
大きなクローゼット
ハピリーレジェントの特長の一つが、大きなクローゼット。これだけ大きなクローゼットを持つ国産バンコンは珍しく、長めのコートなども余裕で収納しておける。衣類は(特に寒い時期は)かさばりがちで、車内が煩雑になる大きな原因だが、このクローゼットがあればそのような心配は無い。
クローゼット下の引き出し収納
更にクローゼット下には引き出し収納が2段用意されており、特に下側は大きいため、大きめの鍋など調理用具を収納しておくことができる。
下段ベッド下の収納
大きなバッグなどは下段ベッド下に収納することができる。上部からアクセスできるが、リアゲートを開けると車外からも出し入れできる。
空調
家庭用エアコンが標準装備される
暖房はFFヒーター、冷房は家庭用エアコンが、どちらも標準装備される。快適なクルマ旅には冷暖房は必需品なので、これは嬉しい設定だ。家庭用エアコンの室内機はダイネット上に設置され、室外機は後部床下に設置されている。
更にベンチレーター(MAXFAN)も標準装備される。ちょっとした換気や調理時に重宝する。
テレビ/ナビ
19型のテレビはオプション
19型のテレビがオプション設定されている。またSDナビもオプション設定されている。もちろん好みのナビを指定して取り付けてもらうこともできる。
電装系
200Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される。もちろんリチウムイオンバッテリー対応の走行充電機能も標準装備。更に外部100V電源入力と充電機能も標準装備される。そして更に150Wソーラーシステムも標準装備されている。即ち、電装系は完璧だ。
価格(2021年6月現在:千円台切り上げ:税込)
現在ハイエーススーパーロング特装車、ガソリン4WD/6AT寒冷地仕様のみの価格が発表されており、873万円~となっている。必需品として追加しなければならないオプションは無いので(ナビ関連を除く)、上記価格はほぼ実質的な車両価格になる。
他モデル
このレイアウトを採用しているハイエーススーパーロングモデルは、オーエムシーの「銀河」とレクビィの「カントリークラブ」「プラスDD」が挙げられる。ただし先にも書いたように、ハピリーレジェントでは最後部の多目的ルームが狭くなる代わりに大きなクローゼットが付くところが異なる。
銀河はガソリン4WDで564万円~。エアコンセットには家庭用エアコンと200Ahリチウムイオンバッテリーが含まれており、価格は約100万円、FFヒーターやLEDヘッドランプ、ソーラーシステムなどで60万円程度とすると、720万円程度になる。
カントリークラブはSuperior+A/C仕様の4WDで808万円~。家庭用エアコン、200Ahリチウムイオンバッテリー、FFヒーター、215Wソーラーシステム、外部電源入力と充電機能、1500Wインバーター、電子レンジ、19型テレビなどが標準装備される。
プラスDDはガソリン4WD、Superior+A/C仕様で745万円~。家庭用エアコン、電子レンジ、ディープサイクルサブバッテリー(115Ah
x3)、走行充電(CTEK強化型)、
外部電源入力と充電機能、1500Wインバーター、215Wソーラーシステムが標準装備される。ただしFFヒーター(244,200円)はオプション。
ハピリーレジェンドは、更にLEDヘッドランプ、寒冷地仕様、ドアミラーヒーター、パワースライドドアなどの装備が標準となる。ハピリーレジェントの価格が最も高価に見えるが、上記の価格はすべて同一条件ではないので、その点は留意いただきたい。
まとめ
ハピリーレジェントは、二人旅に最適なレイアウトを持ち、家庭用エアコンやリチウムイオンバッテリー、ソーラーシステム、FFヒーターなどほぼ全ての先進装備を標準装備する、ハイスペックフルパッケージモデルだ。
同社は多少のカスタマイズにも対応するが、ハピリーレジェントに関しては完成度が高く、ほとんど変更や追加をする必要はないだろう。(自分独自のインテリアを希望する場合は、同社に相談いただきたい)
ただし、これだけの装備や高級感のあるインテリアなので、クラス的にはハイエンドバンコンになり、従って価格もハイエンドレベルだ。最高のものを求めるユーザーにはアピールするが、価格を重視する場合は対象ではないかもしれない。
しかし、「優雅な二人旅」というキーワードに最もフィットするモデルの一つには違いない。現在手に入る最高級バンコンの一台だ。
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