リバティ52シリーズはアネックスが製作する、カムロードをベース車にした5m超のキャブコンキャンピングカー。後部に横置き2段ベッドを持つリバティ52DBと、横置きダブルベッドのリバティ52SPがある。
2018年に発表されたリバティ52DB、2020年に発表されたリバティ52SPは、今までに無かった流麗なスタイリングと豪華なインテリアで瞬く間に人気モデルとなった。その後ベース車のカムロードがモデルチェンジしたこともあり、今回は、新ベース車になって追加された機能と装備を紹介する。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
カムロードをベース車にする5m超のキャブコンで、センターエントランスのFRP一体成型シェルを架装する。後部に横置き2段ベッドを持つリバティ52DBと、横置きダブルベッドのリバティ52SPが選択できる。
豪華で洗練されたインテリアに加え、家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーはもちろん、瞬間湯沸かし温水シャワーや床暖房までも標準装備する。
2023年モデルではサイドオーニングと電子レンジが標準装備になった他、リチウムイオンバッテリーが2個標準となった。その他オプションも追加されている。以下文章中のアンダーライン部分は追加された機能。
アピールポイント
・5m超の余裕ある室内スペース
・豪華で洗練されたインテリア
・冷蔵庫と電子レンジを標準装備
・常設2口コンロを標準装備
・FFヒーター/床暖房を標準装備
・カセットトイレ標準装備
・温水シャワー標準装備
・家庭用エアコンを標準装備
・計480Ahの大容量リチウムイオンバッテリーを標準装備
ベース車とエクステリア
リバティ52DBのエクステリア
ベース車はトヨタ カムロード ワイドトレッドダブルタイヤ。新型カムロードは全車ダブルタイヤになる。これにFRP一体型のスタイリッシュななシェルを架装している。なお、ダブルタイヤになり積載量が変わったため、準中型免許が必要になる。ただし2017年(平成29年)3月10日以前に免許を取得してる人はそのまま運転できる。
新型のカムロードでは、TSS(トヨタセーフティセンス)が標準装備される。バンパー部とフロントウインドウ上部のセンサーで、衝突被害軽減ブレーキなどの安全機能が装備される。
LEDヘッドライトとウォッシャー
また、ヘッドライトがLEDになった他、ライトウォッシャーも4WDに標準装備される。なお2WDでは寒冷地仕様にセットオプションとなる。
断熱はアネックス伝統の工法を採用し、ルーフパネル、サイドパネルおよびフロアパネルにXPS断熱材を、また車体コーナーのアール部分には独立発泡断熱材を貼り込んでいる。
2023年モデルでは、サイドオーニングが標準装備となった。このサイドオーニングはルーフの曲面部に取り付けられているため、車幅からはみ出ることが無く、運転のしやすさにも貢献している。
運転席から収納できる電動ステップ
また、電動ステップも標準装備されるが、キャンピングカープラザ東京で開発された、運転席から収納できる機能(ボタン)がオプションで選択できる。本来は電動ステップはエントランスにあるスイッチで収納するが、これを運転席からでも収納できるようにした。安全のため収納のみで、出すことはできないようになっている。
タイヤ灯をオプション設定
もう一つ、やはりキャンピングカープラザ東京で開発されたタイヤ灯もオプションで選択できるようになった。夜間走行時やトンネル内、あるいはバック時に、車両後部を確認しやすくなっている。これらはキャンピングカープラザ東京で取り付けることができる。
インテリア
間接照明が美しいインテリア
リバティ52シリーズのインテリアは、国産モデルの中でもトップクラスの洗練度と言える。洗練されたインテリアと言えば輸入車が思い浮かぶが、輸入車モーターホームと同等以上の美しさだ。
特に間接照明は美しく、夜の室内をムーディーに演出する。もちろん、調光や部分的なオンオフも、タッチパネルからコントロールできる。
フロントフロアカーペットとエントランスマットがオプションで選択できる
なお、キャンピングカープラザ東京オリジナルのフロントフロアカーペットとエントランスマットも新たにオプションとして用意されている。
レイアウト
リバティ52シリーズは、後部に横置き2段ベッドを持つリバティ52DBと、横置きダブルベッドのリバティ52SPが選択できる。どちらも前部に対座ダイネット、左サイドにギャレー、右サイド中央にサニタリールームを配置する。
乗車定員は、リバティ52DBが8名(4WDは7名)、リバティ52SPは7名(4WDは6名)となっている。(4WDは運転席と助手席の間の補助シートが無い)
アクセサリーボードがオプションで設置できる(4WD)
また、4WDではこの部分を利用して、フラットボードが標準装備される。取り外し可能なカーペットやドリンクホルダーが付いている。
また、リバティ52DB、52SPともバンクベッドを持ち、リバティ52DBではバンクベッドに2名、ダイネット展開ベッドに1名で計5名が就寝できるが、リバティ52SPではバンクベッドに大人1名と子供1名、ダイネットベッドはなく、計大人3名+子供1名となっている。
ダイネット
リバティ52DBのダイネット
2列目には後ろ向き固定のシート、3列目には前向き固定のシートが設置されており、4~6名でテーブルを囲むことができる。
ダイネットサイドには大きなアクリル2重窓があり、雄大な車窓を楽しめるとともに、明るい車内にしている。また、このアクリル二重窓には網戸とシェードも内蔵している。
ベッド
リバティ52DBの2段ベッド
後部のベッドはリバティ52DBが横置き2段ベッド、リバティ52SPが横置きハイマウントダブルベッドになっている。
リバティ52DBの2段ベッドは1920x840mmの大きさ。下段にはウッドスプリングが設置されている。各段に読書灯が付いており、先に就寝したパートナーを起こさずに読書をしたり、プライベートな時間を持つことができる。
リバティ52SPのダブルベッド
一方、リバティ52SPでは広いダブルベッドで、1,900x1,400mmの大きさ。家庭用ではレギュラーのダブルベッドに相当する。52DBと同じウッドスプリングを採用しているが、52SPでは二人ともこの上質な寝心地の恩恵を受けられるのが利点だ。
大人が2名就寝できるバンクベッド
バンクベッドは、リバティ52DBでは1940x1740mmで、家庭用ではキングサイズのベッド幅(1800mm)に迫る広さ。高さも一番奥で230mm、手前で730mmと圧迫感が少ない。
リバティ52SPのバンクベッドは52SPより多少小さく、1900x1320mmの大きさ。それでも家庭用ではレギュラーダブルベッドの幅(1400mm)を確保している。ただし高さの関係で、キャンピングカー要件では大人1名+子供1名となっている。
リバティ52DBのダイネットベッド
更にリバティ52DBでは、ダイネットがベッド展開でき、1800x900mmの一人用ベッドになる。
ギャレー
豊富な収納があるギャレーキャビネット
左サイドに設置されたギャレーキャビネットには常設2口コンロとシンクがビルトインされており、旅先で調理する場合などに使いやすいキッチンになっている。
52DBのギャレーキャビネットには引き出し収納が豊富に用意されており、カトラリーや食器、あるいは調理用具を収納しておくことができる。
ギャレー上部のオーバーヘッド収納
ギャレー上部にはオーバーヘッド収納も設置されており、ここにも食器や調理用具が収納できる。
冷蔵庫/電子レンジ
85L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は85L横開き式が標準装備される。二人旅なら十分な容量だし、ファミリー分の食材も保冷できる。もちろん冷凍室があるので、冷凍食品の保存や製氷も可能だ。
電子レンジも標準装備される
従来オプションだった電子レンジは、2023年モデルでは標準装備となった。クルマ旅には電子レンジは必需装備なので、嬉しい変更点だ。インバーターも標準装備されているので、外部電源のないところでもサブバッテリーで使用できる。使用しないときはスライド扉で隠しておけるのもインテリアにこだわった一面だ。
サニタリールーム
洗練されたデザインのサニタリールーム
リバティ52シリーズは欧州モデルにも負けない洗練されたインテリアが特徴だが、特にそれを感じるのがサニタリールームだ。カセットトイレ、温水シャワーに加え、専用手洗いも用意された美しいデザインのサニタリールームとなっている。
温水シャワーは標準装備されるが、これは同社独自の床暖房と連携した温水システムで、80Lの清水タンクの水を瞬間湯沸かしで給湯できる。なお、80L排水タンクは床下に設置されている。
なお、もちろん夏場では床暖房はオフにして温水設備のみを使うことができる。またFFヒーターの吹き出し口も用意されているので、冬でも寒い思いをすることは無い。
収納
ダイネット上のオーバーヘッド収納
ダイネット上にはオーバーヘッド収納が設置されている。リバティ52DBではここにエアコンの室内機が設置されるので、多少容量が限られるが、52SPでは室内機はベッドルームの最後部に設置されるので、ダイネット上の収納は大きく確保できる。
リバティ52DBのベッド下外部収納
ベッド下は大きな収納スペースになっており、車外からキャンプ用具や大きな荷物を積み込むことができる。またボディサイドにも外部収納が設けられている。汚れ物を入れておくのに便利だ。
空調
家庭用エアコンが標準装備される
暖房は床暖房と連動したFFヒーターが標準装備され、冷房は家庭用エアコンが標準装備される。
エアコンの室外機はここに設置
なお、エアコンの室外機は後部右側に設置されている。エアコンの使用時に特に開閉する必要はなく、また雨の侵入も防ぐことができる。
テレビ/ナビ
テレビは特にオプション設置されていないが、取り付けることは可能だろう。また、ナビは希望のものを取り付けることができる。
電装系
フロントアクセスができるようになった電装系
電装系へのアクセスはサイドからの扉式になり、扉を開けると電装系が一目瞭然になった。
ここには、240Ahのリチウムイオンバッテリーが2個(=480Ah)標準装備されている。これだけの容量があれば、エアコンを実用的に使用できる。エアコンを500W程度で運転したとしても、8~10時間は運転できるだろう。就寝して朝まで連続して使用することもできる。
230Wソーラーシステムを標準装備
走行充電はもちろん、外部100V電源入力と充電機能、1500W正弦波インバーター、230Wソーラーシステムも標準装備される。
インプラグがオプション設定された
キャンピングカープラザ東京のオリジナルオプションとして、インプラグが用意された。これは、外部電源入力コネクタと同じ働きをするものだが、車内に設置されている。ポータブル電源を使用する場合、車内に置いて使用するためのもの。2個付いているのは、一つがエアコン専用のため。
価格(2023年3月現在:千円台切り上げ:税込)
リバティ52DB、52SPとも2WDが1254万円~、4WDが1291万円~となっている。全ての必需装備は標準で付いてくるので、追加で付けておくべき必需装備は無い。
他モデル
5m超のカムロードキャブコンは各社から多数発売されている。例えばダイレクトカーズのトリップシリーズ(1285万円~)、東和モータース販売のヴォーンエクスクルーシブシリーズ(1144万円~)、ナッツRVのクレア/スティングシリーズ(1184万円~)、バンテックのジルシリーズ(1178万円~)、ファンルーチェのヨセミテ(1219万円~:ダブルベッド)、L.Tキャンパーズのレガードネオプラス(1265万円~)等が挙げられる。(価格は2段ベッドのもの)
ヴォーンエクスクルーシブシリーズ、クレア/スティングシリーズは温水シャワーがオプション、レガードネオプラスはエアコンとリチウムイオンバッテリーはオプションとなっており、上記の価格には含まれない。
5m超のカムロードキャブコンの特集記事も参照いただきたい。
まとめ
リバティ52シリーズは、装備やインテリアの内容がかなり充実している割には、価格がそれほど高価ではなく、満足度の高いモデルと言える。特にエクステリア、インテリアデザインにこだわりたいユーザーにはポイントが高いだろう。
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