DD（ディーディー）はカトーモーターが製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。同社はハイエースを中心に充実したバンコンラインアップを持つ。また、キャブコンモデルも存在する。

DDは「ダブルデル」スタイルの意味で、クィーンハットと言われるハイルーフと、左右に拡張用のFRPパネルを架装し、同社のバンコンラインアップの中では最も大きな車体を持つ。

なおDDには後部ベッドを2段にし、ダイネットに1脚のキャプテンシートを追加したDDクルーも用意されている。

（記事中の価格は全て税別です）


コンセプト

ハイルーフと左右の拡張パネルで室内空間を最大限にし、同時にエントランスドアもキャブコン仕様に変更することによって断熱性と遮音性を高めている。

レイアウトはダイネットにロングソファを用い、前向き乗車は運転席と助手席のみとした二人旅仕様。バンコンの手軽さとキャブコンの快適性を両立させ、優雅な二人旅を提案している。


エクステリア

　銀河のエクステリア

DDの外観は非常に特徴的だ。まずクィーンハットと呼ばれるFRP製ハイルーフを架装し、天井高を稼いでいる。また、ボディ両側にFRPパネルを架装し、室内を拡張するとともに、断熱性、遮音性を高めている。

エントランスドアもキャブコン仕様に変更されており、ハイエースのスライドドアは取り外され、エントランスも狭くなっている。しかしその分室内の有効エリアが増えている。

ハイエースのエントランスは荷物の積み下ろしのためエントランスが広く開口するようになっているが、キャンピングカーではあまり必要でないため、この変更は有用と言える。


インテリア

　リアルウッドを使用したインテリア

カトーモーターのキャンピングカーでは多くのモデルにリアルウッドが使用されている。それもナラ材の「つき板」が使用されており、格調高い高級感がある。

また窓枠は無垢材でフレーミングされており、さらにカーテンが手前にはみ出さないようになっている。この辺りは同社のこだわりが感じられるところで、長期旅をしていても、車内に戻れば旅の疲れが安らぐインテリアだ。

同社は、建材や接着剤にはホルムアルデヒド放散量の少ない規格品を使用し、化学物質の使用を出来るだけ抑えた、シックハウス症候群の防止にも配慮している。


レイアウト

　二人旅に最適なレイアウト

前部にダイネット、後部にベッドルーム、中央にギャレーとユーティリティールームを配置したレイアウトを持つ。ダイネットは横座りソファタイプなので、前後の移動はスムースに行える。

乗車人数は、運転席、助手席と横座りシートで計5名となっている。ただし、前向き乗車は運転席と助手席の2名なので、長距離旅では二人旅仕様となる。

後部のベッド上部にはロフト状の子供用ベッドが設置されている。二人旅の場合は、これは収納スペースとして利用できる。


ダイネット

　ロングソファスタイルのダイネット

ロングソファのダイネットだが、運転席、助手席のシートバックを前に倒すと、瞬時に後ろ向きシートになる。同社の他のモデルにも採用されている手法で、車内のスペースを効率的に使え、広いダイネットが可能になる。

　運転席、助手席はシートバックを前に倒して後ろ向きシートになる

ダイネットテーブルもリアルウッドが使われており、インテリアにマッチしている。広いテーブルなので、食事の際の食器も余裕で置ける。


ベッド

　後部の横置きダブルベッド

後部の横置き常設ダブルベッドは1900x1400mmの広さ。これは家庭用ベッドではダブルベッドの幅に相当し、2名がゆったり就寝できる。FRPパネルで両側が拡張されているため、通常のワイド幅ハイエースより広くなっている。

　ハイルーフとバンクを持つためバンクベッドも広い

またバンクベッドは2000x1600mm広さ。こちらは家庭用ではクィーンサイズのベッド幅に相当する。奥行きも2mなので長身のユーザーも問題なく就寝できる。バンクベッドを使用しない場合は、手前の部分を跳ね上げると扉になり、走行中に寝具などが落ちてこないようになっている。ベッド展開もこれを開けるだけなので極めて簡単だ。

　後部の子供用ベッド

最後部の上部にはロフト風の子供用ベッドが装備されている。ただ、ここは子供が上り下りするには多少高さがある。ここはむしろ寝具などの収納スペースとして使うと便利だろう。

ギャレー

　広い天板のギャレーセクション

ギャレーも美しいつき板の天板で、広い上面にはシンクが埋め込まれている。シンクは大き目で中皿も洗える。ただ、コンロはポータブルカセットガスコンロをセットするスタイル。DDくらいのクラスなら長期旅に使用するユーザーも多いと思われるので、常設コンロの選択肢も欲しいところだ。

また、シンクの下には各20Lの給排水タンクが収納されている。エントランスから多少距離があるので、車外への出し入れに多少労力が必要だ。シンクと冷蔵庫の位置は入れ替えた方が使いやすいだろう。


冷蔵庫/電子レンジ

　40L冷蔵庫が標準装備される

冷蔵庫は40L横開き式をエントランス横に標準装備する。製氷室があるので、冷蔵と製氷が同時にできる。

　ギャレー上に収納された電子レンジ

また、電子レンジも標準装備され、ギャレー上部にすっきり収納されている。なおバッテリーで動作させる場合はオプションのインバーターが必要だ。


ユーティリティールーム

　ポータブルトイレを置いてトイレルームにすることもできる

ベッドルームとダイネットの間にユーティリティールームが配置される。ポータブルトイレを置くとトイレルームとして使用できる。トイレルームとして使用する場合は、小型のベンチレーターが欲しいところではある。


収納

　ユーティリティールーム上の収納

ユーティリティールームの上に扉付きの大きな収納が用意されており、食器等を収納しておける。ただし上部にある収納はこれだけで、もう少しオーバーヘッド収納が欲しい気もする。

　ロングソファ下の収納

ロングソファ下に収納が用意されており、大き目のバッグなども収納しておける。なお、蓋になっている座面の裏には足が付いている。これは、ダイネットをベッド展開する場合のものだが、座面を上げて収納にアクセスする場合は多少邪魔になる。

　ベッド下の大きな外部収納

さらにベッド下には広大な外部収納があり、キャンプ用品など大きな荷物を積むことができる。車内からのアクセスも可能だ。


空調

暖房はFFヒーターがオプションで設置できる。冷房に関しては現在オプション設定が無いが、折角の豪華な室内なので今後に期待したい。なお、ベンチレーターは標準で装備されている。


テレビ/ナビ

ナビは持ち込みや希望のものを取り付けることができるだろう。テレビの設定は特にないが、取り付けは可能と思われる。


電装系

100Ahのディープサイクルバッテリーが1個と走行充電が標準装備される。外部電源入力は標準装備されるが、これによる充電機能はオプション。またインバーターなどもオプションと思われるが記載はない。

なお電子レンジが標準装備されているが、インバーター（1500W以上）が装備されていないと、外部電源があるところ以外で使うことができない。インバーターは標準装備が望まれる。

ソーラーシステムについても記載が無いが、装着はできるだろう。


価格（2020年12月現在：千円台切り上げ：税別）

車両本体価格は678万円～。ただしキャンパー特装は別途22万円増とされている。装備しておきたいオプションは、外部電源による充電機能、FFヒーターが挙げられる。（いずれも価格は不明）


他モデル

DDのように左右に拡張され、キャブコン仕様のエントランスドアを持つバンコンモデルは他にない。唯一無二のヘビーデューティーハイエースバンコンだ。なお、スーパーハイルーフを持つモデルなら、レクビィのシャングリラ（891万円～）やカントリークラブALT仕様（639万円～）、あるいはトイファクトリーのアルタモーダ仕様がある。

また、ハイルーフを架装するモデルは、タコスのスーパーRECO（特装：567万円～）やかーいんてりあ高橋のハイファールーフがある。


まとめ

DDはバンコンでもここまでできるという架装を施した、他に類を見ないバンコンで、おそらく最もキャブコンに近いバンコンだろう。リアルウッドで統一した家具や内装は、優雅でリッチな二人旅を約束する。

しかしやはり最も望まれるのは冷房用エアコンだろう。これだけのインテリアと室内空間があるので、車内で過ごす時間も長いと思われる。エアコンは今後必須のアイテムになるだろう。


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