カントリークラブは、レクビィが製作する、ハイエーススーパーロングをベース車に使用したバンコンキャンピングカー。同社は主にハイエースベースのバンコンをラインアップしており、ハイグレードの品質と洗練されたインテリアは定評がある。
カントリークラブは同社のハイエンドバンコンの代表的モデルで、二人旅にもファミリーにも適するレイアウトと、後部に設置された完全防水のシャワールームは大きな特長でもある。
コンセプト
二人旅を意識した2名対座のダイネットは、常設2段ベッドとの組み合わせで二人旅に適している。また、2列目シートを前向きにすると4名が前向き乗車でき、ベッドをフル展開すると4名が就寝できる。二人旅にもファミリーにも適したレイアウトを持つ。
後部には完全防水されたシャワールームを持ち、オプションで温水装置も設置できる。
標準仕様とSuperior仕様が選択でき、Superior仕様にはFFヒーター、電子レンジ、ツインサブバッテリー、1500Wインバーター、215Wソーラーパネル、19型テレビが標準装備される。
更にSuperior仕様にはA/C仕様が用意されており、家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーが装備できる。
エクステリア
外観は通常のハイエースと変わらない
エクステリアへの架装は無く、通常のハイエースと変わらない。日常使用でも、キャンピングカーとして目立つことはないので、違和感なく通勤や送り迎えに使用できる。
ベース車はハイエーススーパーロングキャンパー特装車。なお、スーパーハイルーフをベース車に使用するカントリークラブALT(アルト)も選択できる。これは室内高が通常のハイルーフよりも145mm高い1840mmあり、より余裕のある室内高が得られる。
インテリア
洗練された「和モダン」のインテリア
インテリアのコンセプトは「和モダン」。陶器製(織部焼)のシンクに代表されるように、和テイストが織り込まれている。
家具のクォリティーやインテリアの洗練度は極めて高く、期待を裏切らない室内になっている。
フォールディングラックに施された「金襴」
インテリアデザインは2020年に更新され、フォールディングラックに施された「金襴」やシートにウェーブラインが加えられるなど、洗練度が増している。
レイアウト
カントリークラブの大きな特長はそのレイアウトにある。「二人旅にもファミリーにも対応できる」と謳うレイアウトは多々あるが、どちらにも満足できるレイアウトは少ない。
しかしカントリークラブのレイアウトは、二人旅なら二人対座のダイネットと二人用の常設2段ベッドを持ち、あたかも二人旅用に作られたレイアウトでありながら、2段ベッドを展開してロングソファにするとファミリーでテーブルを囲むダイネットになり、ベッドもフルベッド展開すると4名が就寝できるようになる。
計4名が前向き着座してドライブできる
更に、2列目シートを前向きにすると計4名が前向きに座ってドライブできるのでファミリーでの長距離旅も可能だ。2列目シートはレッグレストを付けることもできる。
即ち、ファミリーでも問題なく使えるレイアウトでありながら、二人旅で使う場合はあたかも二人旅専用に作られたかのように無駄や制限が生じない。極めて秀逸なレイアウトのひとつと言える。
ダイネット
二人対座ダイネットとロングシートでファミリーでも寛げる
二人旅の場合は2段ベッドは常設しておき、2名対座のダイネットで寛ぐことができる。単座シートは大柄なユーザーには多少窮屈かもしれないが、その場合は上段ベッドをシートバックにするとロングソファになる。
ファミリーの場合はロングソファ状態で3名程度座れるので、2名対座シートと合わせて大勢でテーブルを囲むことができる。ベッドからソファへの展開は、両側の金具を外すだけですぐにできる。
ベッド
ロングソファにもなる常設2段ベッド
常設2段ベッドは、上段が1830x680mm、下段が1830x800mmの大きさ。家庭用シングルベッドは970mmの幅がなので、これと比べると狭いようだが、輸入モーターホームのツインベッドサイズでも800mm程度が一般的だ。
フルベッド状態では4名が就寝できる
また、対座ダイネットをフラットにして、下段ベッドとの間をベッドマットで埋めるとフルベッド展開になり、この場合は下段は1830x1730mmの大きさになる。これは家庭用のクイーンサイズよりも広い。
ギャレー
織部焼のシンクが設置されたギャレー
カントリークラブのギャレーはL形で前部にあり、エントランスの対面になるので、立ち位置も広く使いやすい。
また、ここには織部焼の丸形シンクが埋め込まれており、コンロはポータブルカセットコンロを使用する。冷蔵庫や電子レンジもギャレーコンソールに収納でき、機能的なキッチンだ。
シンクの下には各16Lの給排水タンクが収納されている。エントランスに近く車外からのアクセスもしやすい。
冷蔵庫/電子レンジ
49L冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は49Lの横開き式冷凍冷蔵庫が標準装備される。製氷室があり、冷蔵しながら製氷もできる。また電子レンジはSuperior仕様に標準装備され、ギャレーコンソールの蛇腹のスライド扉の部分に収納される。
ユーティリティールーム
完全防水されたシャワールーム
レクビィのモデルの特長は、後部にバンコンでは他に類を見ない完全防水のFRP製シャワールームを持つこと。現在フラグシップのシャングリラをはじめ、ファイブスター、ファイブスターセプト、イゾラ、そしてこのカントリークラブ/ALTに装備されている。
温水設備もシャングリラを除きオプションで取り付けることができる(シャングリラは標準装備)。シャワールームには専用の手洗いとシャワーヘッドが備えられており、キャビネットの中に19Lの給排水タンクと温水装置(OP)が収納される。温水はラジエーターの熱交換で沸かすことができる。
収納
ダイネット上のオーバーヘッド収納
ダイネットの上にオーバーヘッド収納が設置される。また、ギャレー上にも小型だがオーバーヘッド収納があり、食器など小物を入れておける。
下段ベッドの下は広い収納になっており、大きな荷物はここに入れておくことができる。ダンパーが付いているので、ベッドを持ち上げるのに力はあまり必要なく、開いた状態を保持できるのは非常に便利だ。
その他シャワールームは非常に広いので、一角を区切って収納にすることもできるだろう。
空調
家庭用エアコンがSuperiorにオプション設定されている(写真はALT)
FFヒーターはSuperior仕様に標準装備される。またベンチレーターは全てに標準装備される。冷房に関しては、Superior仕様に用意されているA/C仕様を選択すると家庭用エアコンが装備できる。
A/C仕様ではエアコンと同時に200Ah(100Ah x2)のリチウムイオンバッテリーも装備されるため、エアコンを実用的に使うことができる。なお、エアコンの室外機は後部床下に設置される。
テレビ/ナビ
Superior仕様に19型のテレビが装備される。ナビはオプション。テレビの設置場所は冷蔵庫の上の壁面だが、ステーを操作してダイネットから観ることができる。
電装系
標準仕様には115Ahのディープサイクルサブバッテリーが1個、Superior仕様には2個標準装備される。走行充電ももちろん標準装備され、全車にCTEKの強化型充電システムが標準装備される。
また外部電源入力と、これによるサブバッテリーの充電機能も標準装備されるが、標準仕様では12A、Superior仕様では25Aで充電される。Superior仕様ではサブバッテリーが2個なので、2倍の電流で充電する。
インバーターはSuperior仕様に1500W(正弦波)のものが標準装備される。正弦波対応なのでパソコンなど精密機器にも使用できる。標準仕様ではインバーターがオプションなので、そのままでは車内で100V家電品を使うことはできない。
またソーラーシステムもSuperior仕様には215Wのものが標準装備されるが、標準仕様ではオプションとなる。
なお、Superior仕様に設定されているA/C仕様を選ぶと、家庭用エアコンとともに200Ahのリチウムイオンバッテリーとリチウムイオン対応の走行充電システムが装備される。外気温にもよるが、エアコンの消費電力を500Wとすると4~5時間使える計算になる。
価格(千円台切り上げ:税別)
標準仕様はガソリン2WD/6ATで552万円~。Superior仕様は同じく612万円~で、その差は60万円。この差額でFFヒーター、電子レンジ、ツインサブバッテリー、1500W正弦波インバーター
、215Wソーラーシステム、19型テレビが付くので、特別な理由がない限りSuperior仕様を選ぶべきだ。
更に、A/C仕様は707万円~で、95万円高になる。高額なので躊躇するかもしれないが、やはりエアコンがあると夏場の快適さが違う、というか、エアコンが無いと夏場に出かける気にはならないだろう。
ちなみにALT仕様はオプション設定となっており、87万円高となっている。
他モデル
ハイエーススーパーロングベースでファミリー向けにも、二人旅用にとしても優れたレイアウトで、温水シャワーまで装備できるモデルは、ワンオフモデルを除いて他にない。
なお、ワイドロングベースでハイルーフを架装したロータスRV販売のイースピリット(価格不明)は、後部にFRPシャワールームを設置でき、温水ボイラーも追加できる。
温水シャワーは不要という場合、最も近いレイアウトを持つモデルは、レクビィの「プラスDD」(485万円~)とオーエムシーの「銀河」(469万円~)が挙げられる。どちらも家庭用エアコンが装備できる。
まとめ
カントリークラブは二人旅にもファミリーにも制約なく対応でき、エアコンや温水シャワーなど極めて高い水準で完結したキャンピングカーで、間違いなくハイエンドバンコンのひとつと言える。
ただし、当然価格も高価になり、エアコンを装備すると700万円(税別)を超える。これも間違いなく、最も高価な部類に入るバンコンキャンピングカーだ。しかしそのクオリティーと装備に価値を見出すユーザーには満足度の高いモデルと言える。
カントリークラブは全てにおいて高い水準にあるが、あえて希望を言うと、温水システムはシャングリラと同じ仕様が選べるようにして欲しい。シャングリラは60Lの湯量があり、二人旅では十分な量だが、カントリークラブでは19Lでしかない。これではファミリーはもちろん、二人でも不足する。
カントリークラブにはこのシャワールームに魅力を感じるユーザーも多いと思われるので、やはりシャワーは充実したものが望まれる。必要に応じて相談すると良いだろう。
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