RICH(リチ)はキャンパーアシストが製作する、ハイエーススーパーハイルーフをベース車にするバンコンキャンピングカー。
同社は、リチの他、ハイエースワイドミドルルーフをベース車にした「ホロウ」、軽8バンコンの「キャメル」、タウンエースベースのバンコン「ペコラ」をラインアップしている。
リチは同社のフラグシップで、同社発足当初のモデル。ハイエーススーパーハイルーフをベース車にすることにより、キャブコンにも勝るとも劣らない居住性と装備を合わせ持つ、同社の理想を具現化したモデルとなっている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエーススーパーハイルーフをベース車にし、国産バンコンで最大の室内空間を持つ。室内高も十分あり、大人が立って歩くことができる。
レイアウトは後部にハイマウントダブルベッド、あるいは縦置き2段ベッドを選択できる。ギャレー、横開き式冷蔵庫、オーブンレンジ、トイレルームなどを装備でき、長期のクルマ旅にも対応できる。
家庭用エアコンを標準装備、リチウムイオンバッテリーもオプションで装備でき、更に発電機の装備も想定した強力な電装系も特徴。
アピールポイント
・ハイエーススーパーロングをベース車にした国産バンコン最大級の室内
・ハイマウントダブルベッドと縦置き2段ベッドを選択可能
・バンコンでは希少な、常設2口コンロを標準装備
・ラップポン設置(OP)に対応したトイレルーム
・家庭用エアコン標準装備
・リチウムイオンバッテリー選択可能(OP)
・発電機(ホンダ18i)リモート装備可能(OP)
エクステリア
リチのエクステリア
ベース車はトヨタ ハイエーススーパーハイルーフ。このベース車はスーパーロングの全長、全幅と同じだが、ルーフがさらに高くなっている。救急車用に開発された車体で、もちろん一般には販売されていない。
右サイドにはエクステンションウインドウを標準で架装する。またリアゲートのウインドウとスライドドアのアクリル化はオプション設定されており、装備することにより断熱性が向上する。左後部の丸窓がアクセントになっている。
インテリア
落ち着いたインテリア
展示車はオフホワイトの壁とシートをベースに、濃い木目の家具色の組み合わせで、落ち着いた室内になっている。また、照明は間接照明を使うことなく、一般的なLED照明を使っている。
インテリアカラーがどの程度自由度があるかは不明だが、「ホロウ」も同様のカラーリングなので同社のインテリアコンセプトと思われる。
レイアウト
前部には対座ダイネットを配置するが、後部はハイマウントダブルベッド仕様と縦置き2段ベッド仕様を選択できる。
縦置き2段ベッド仕様が最初に発売されたが、のちにハイマウントダブルベッド仕様が追加された。ハイマウントダブルベッド仕様では、ベッドの下に大きな収納スペースを設けられるのが特徴。キャンプ道具など大きなものを積みたいユーザーに対応している。
一方、縦置き2段ベッド仕様は、就寝時のプライベートを重視したユーザー向けで、就寝前に読書したりスマートファンを見るなど各自のプライベートな時間を持つことができる。夜中にトイレに立つときも、パートナーを起こすことは無い。
また、実用的なギャレーと多目的ルームも配置されており、車内での調理や、特に女性が心配な夜のトイレも安心できる。
ダイネット
前部の対座ダイネット
後ろ向きの2列目シートと前向きの3列目シートとで対座ダイネットを形成する。どちらのシートも固定シートで、バンコンによくあるマルチモードシートではない。2列目シートが前向きになったり、リクライニングしたりできないが、そのため後部のベッドが広くとれている。
なお、3列目シートには3点式シートベルトが装備されており、運転席、助手席と合わせて4名が3点シートを使って前向き乗車できる。
ベッド
ダイネット展開ベッドは子供用
ダイネットを展開するとベッドになる。ただしこのベッドは大人用のサイズを満たしておらず、子供用のサイズとなっている。マルチモードシートではないので、ベッド展開はテーブルを下げてシートバックを並べるだけ。(動画はこちら)
エクステンションウインドウにより拡張されたハイマウントベッド
後部のハイマウントベッドのサイズは不明だが、大人が2名就寝できる。右側に架装されたエクステンションウインドウにより、車幅方向に1800mmを確保しており、大人が車幅方向に就寝できる。
縦置き2段ベッド仕様も選択できる
一方縦置き2段ベッド仕様では、両段に読書灯が用意されており、就寝前のひと時を各自自由に過ごすことができるのが特徴。特にスーパーハイルーフ車なので高さに余裕があり、2段ベッドでも窮屈感が少ない。
ギャレー
二口ガスコンロが装備されるギャレー
左サイド中央に設置されたギャレーには、コンロとシンクがビルトインされている。展示車にはIHコンロが装備されていたが、これはオプション。標準では常設二口ガスコンロが装備される。
常設のガスコンロは、5m未満のキャブコンでも搭載されていないモデルが多く、バンコンでこれが搭載されているのは珍しい。車内で調理するユーザーには嬉しい装備だ。
シンク下の給排水タンク
シンクの下には各19Lの給排水タンクが収納されている。排水タンクはオプションで床下に19Lのステンレス製タンクに変更することもできる。この場合はコックを開けるだけで排水できる。(排水はガソリンスタンドなどで許可を得て行う)
冷蔵庫/電子レンジ
40L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫はエントランス横に40L横開き式が標準装備される。車外から直接アクセスすることもできる。冷凍室が設けられているので、冷凍食品を保存したり製氷することができる。
電子レンジはオプション
電子レンジは家庭用の100V仕様のものがオプション設定されている。ギャレーキャビネットにすっきり収納される。なお1500Wインバーターはオプションなので、外部電源が取れないところで使うためにはインバーターを設置する必要がある。
多目的ルーム
ラップポンが設置された多目的ルーム
左サイド中央には多目的ルームが配置されている。展示車にはオプションのラップポンが設置されていた。同社の「ホロウ」でもラップポンがスマートにビルトインされており、リチでもラップポンの設置を想定した造りになっている。
多目的ルーム自体は防水処理されているわけではなく、温水シャワーのオプション設定は無いが、必要ならば相談すると良いだろう。
収納
ベッドルーム両側にオーバーヘッド収納が設置される
オーバーヘッド収納はベッドルームの両側に設けられている。またギャレーの上にもオーバーヘッド収納があり、調理用品などを収納しておくのに便利だ。
3列目シート下の収納
また3列目シートの下や2列目シート下の一部も収納スペースとして用意されている。
ハイマウントベッド下のカーゴスペース
更にハイマウントベッド仕様では、ベッドの下は大きな収納スペースとして使用できる。リアゲートを開いて、大きなキャンプ用具を積み込むことができる。
空調
ダイキンの薄型エアコン(OP)を選択できる
暖房はFFヒーターがオプションされ、冷房は家庭用エアコンが標準装備される。家庭用エアコンはダイキンの薄型エアコンを選択するときのみオプションで追加費用が発生する。
室外機は後部車体下に設置される。
テレビ/ナビ
テレビは22型がオプションで用意されており、エントランス横の冷蔵庫が収納されているキャビネットの上に設置される。
ナビはアルパイン製がオプションで用意されている。もちろん希望のナビを取り付けることも可能だろう。
電装系
標準ではディープサイクルバッテリー(容量不明)が装備されるが、家庭用エアコンが標準装備されるので、オプションの200Ahリチウムイオンバッテリーの装着がお勧めだ。
高性能のAGMツインバッテリーもオプションで用意されているが、やはりリチウムイオンバッテリーの選択が適切だろう。走行充電も標準装備され、CTEKの昇圧システムも装備される。
外部電源入力は標準装備されるが、これによるサブバッテリーの充電機能はオプション。リチウムイオンバッテリー選択時は80Aで急速充電できる充電器がセットで装備される。
なお1500W正弦波インバーターはオプションとなっているので、これを選択しない場合は、エアコンや電子レンジは外部電源があるところでしか使えない。
ソーラーシステムは100Wのものがオプション設定されている。
ホンダ18i発電機が収納されている
リチで特筆されるのが、ホンダ18i発電機の搭載がオプション設定されていること。しかも改造されており、車内から発動、停止できるので、雨が降っていても車外に出る必要が無い。もちろん車外に持ち出す必要もなく、防音もある程度施されている。
発電機は騒音の問題もあり、またソーラーシステムの普及やリチウムイオンバッテリーなど大容量、大出力のバッテリーが開発されたこともあって、キャンピングカーに搭載されることが少なくなった。
しかし、外部電源が無い場合、消費電気量が大きいと発電電気量が追い付かず、電気不足になってしまうこともある。そのような場合、やはり発電機があると大きな安心感がある。
キャブコンではバンテックがibox(動画はこちら)という発電機用の収納ボックスをオプション設定したり、マックレーは軽キャブコンにも発電機の搭載を想定したりと、発電機の需要は少なからず存在している。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
同社のサイトに価格が表示されていないので、最新の価格は不明だが、2022年2月のジャパンキャンピングカーショー時点の表示価格は681万円~となっていた。また、リチウムイオンバッテリーや電子レンジなどが装備された展示車の価格は1106万円とされていた。
付けておきたい必需オプションは、外部電源による充電機(58,300円)、1500W正弦波インバーター(163,240円)、FFヒーター(256,520円)が挙げられる。
また、必要に応じて、電子レンジ(46,640円)、サイドオーニング(209,880円:電動、163,240円:手動)、22型テレビ(139,920円)などが挙げられる。
更に予算に余裕があれば、リチウムイオンバッテリー(454,740円)、100Wソーラーシステム(116,600円)を挙げておきたい。
他モデル
ハイエーススーパーハイルーフをベース車にするバンコンは、トイファクトリーのバーデンアルタモーダ(779万円~)とGTアルタモーダ(779万円~)、レクビィのシャングリラ(1063万円~)、カントリークラブアルト(946万円~)がある。
このうちシャングリラはエアコンとリチウムイオンバッテリーを標準装備、その他はエアコンはオプションで設置できる。なお、カントリークラブアルトはリチウムイオンバッテリーもオプションで設置できる。
上記のうち、レイアウトがリチに近いのは、縦置き2段ベッドの面ではカントリークラブアルト、ハイマウントダブルベッドの面ではバーデンアルタモーダだが、レイアウトが全く同じではない。
まとめ
リチは国産最大のバンコンベース車を採用し、常設コンロ、横開き式冷蔵庫、電子レンジを搭載でき、ラップポンを想定したトイレルーム、強力な電装系など、一部キャブコンをもしのぐ機能を持つバンコンのひとつだ。
キャブコンのスタイルやカムロードのトラック臭さを敬遠するが、長期旅にも対応できるスタイリッシュなバンコンを望むユーザーに適した1台。
なお、リチがキャブコンに及ばない設備に温水シャワーがある。この点についてはシャングリラやカントリークラブがその機能を持つため、オプション設定が欲しいところだ。ただし、同社は製作の自由度が高いため、カスタムオーダーでの可能性があるかもしれない。
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