Pecora(ペコラ)はキャンパーアシストが製作する、トヨタタウンエースGLをベース車にしたバンコンバージョン キャンピングカー。
同社のオリジナルモデルとしては、ハイエーススーパーハイルーフをベースにした「リチ」、ボンゴベースのキャブコン「ジョクト」に続き第3弾のモデルとなる。
Pecoraは先の2モデルと異なり、コンパクトなベース車を採用。エクステリアもそのままで、日常使用にも問題なく対応でき、気軽に出かけることができる。
二人旅を想定しているが、2列目にはマルチモードシートを使用し、日常使用で5名が前向き着座できるようにしている。
エクステリアは通常のタウンエースと変わらないので、外からはキャンピングカーと分からない。寒冷地仕様車が使われており、一部塩害防止塗装がされている他、メインバッテリーやオルタネーターが強化されている。また「ウール断熱」と称する天井面、壁面、床面の多層構造が取られており、十分な断熱対策がされている。
木の感覚を用いた室内
インテリアは木の感触を生かした家具と、運転席、助手席までデザインが統一されたシートカバーで、落ち着いた感じに仕上がっている。
照明はルーフのメイン照明、両サイドのラック部の丸形照明を含め、4ヵ所にLED照明が設置される。
レイアウトは、2列目にマルチモードシートのFASPを採用。前向き、後ろ向き、フラットとモードが変更できる。
前向きにセットすると、全部で5名が前向き着座してドライブできる。即ち、日常では通常の乗用車やミニバンと同じように使用でき、また停泊時は後ろ向きにしてダイネット、更にフラットにしてベッドとして使用できる。
このレイアウトは一般的なものだが、欠点は運転席、助手席から後部に移動しにくいことと、ベッド展開が面倒なことがあげられる。常に2人で使用することが分かっているなら、縦置きソファタイプのダイネットのほうが便利だろう。
なお、このクルマでリラックスできる姿勢は、2列目シートをリクライニングし、後ろのベッドボードに足を投げ出す、という格好になるだろう。そうすると、後部にフリップダウンモニターが欲しくなる。
大きめのテーブルを囲む対座ダイネット
ダイネットは2列目シートを後ろ向きにし、後部のベッドボードとで対座ダイネットを形成する。大きめのテーブルも使いやすそうだ。
ただ、車中泊が多い場合は、多くのユーザーはベッド状態にしたまま折りたたみテーブルを使用し、ちゃぶ台スタイルで使用する。
ベッドはシートをフラットにすると、2名が就寝できる広さになる。後部両側の家具は薄型なので足元が窮屈になることはない。幅は家庭用のセミダブルベッド程度の広さなので、2名で就寝する場合は「広々」という訳にはいかない。
ギャレーは設置されていないが、左側のラックには18リッターの上蓋式ポータブル冷蔵庫が収納されている。冷蔵庫をオプションで設定していても、置く場所が用意さていないモデルも多いが、Pecoraのようにすっきり収納されていると就寝時に冷蔵庫を移動するなどといった手間がなくなる。
ただし、電子レンジの設定は無い。多少長いクルマ旅に出ると電子レンジがあると助かるが、その意味では近場で短期の車中泊が適しているだろう。
ここにポータブル冷蔵庫を収納
収納は、後部両側のラックに収納スペースがあるが、上部の棚に扉がない。このままでは走行中に落下してしまうし、落下しない程度のものならあまり多く収納できない。片側でもよいので扉が欲しいところだ。
また後部ベッドボード下が広く収納スペースとして使えるので、大きな荷物はここに置いておける。
ベッド下の収納スペース
空調は、FFヒーターがオプション設定されているが、これは装備しておいた方が良いだろう。車中泊できる期間が大きく広がる。
またベンチレーターもオプション設定されている。車内で火を使うことは想定されていないのでオプション設定になっていると思われるが、これも設置しておくと車内の換気だけでなく、多少暑い時期でも涼しく過ごせる。
電装系は、容量の記載は無いがサブバッテリーと走行充電、それに外部100V入力と充電が標準装備される。外部入力での充電は必需品だが、オプション設定のモデルが多い中、これが標準装備されているのは嬉しい。
価格は337万円(2WD/4AT:税別)。ライトエース/タウンエースを使用したバンコンは、200万円半ばのモデルも存在するが、300万円強が多く、その意味では平均的なところ。家具のしっかり感を加味すると、十分納得できる価格だろう。