イゾラ(ISOLA)はレクビィが製作する、日産キャラバン標準幅スーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社はカントリークラブやプラスMRと言ったハイエースベースのバンコンを多数ラインアップしているが、キャラバンベースはこのイゾラのみ。その理由は、スーパーロングながら標準幅と言う、ハイエースに無いボディサイズにある。
セレナなどのミニバンとほぼ同じ車幅ながら、全長は標準ボディが4,690mmに対し5,080mmと約390mm長い。
(記事中の価格は全て税込です)
【訂正】2番目の動画に「家庭用エアコンはSuperiorにオプション設定」とありますが、正しくは「A/C仕様に標準装備」です。またベンチレーターと冷蔵庫は全グレードに標準装備です。
コンセプト
日産キャラバン標準幅スーパーロングをベース車にしたバンコンモデル。取り回しの良さと広い室内を併せ持つ。このサイズでハイエース標準ボディハイルーフをベース車にしたプラスLV+1のレイアウトを展開。更に最後部に同社のカントリークラブのような防水処理されたユーティリティールームを持つ。
レイアウトは3名が前向き乗車できるファミリー対応。もちろん二人旅にも適するレイアウトで、2名対座ダイネットとロングソファ-による広いダイネットが魅力だ。
イゾラにはベース仕様のほか、FFヒーター、電子レンジ、25Aの外部AC100V電源入力と充電機能、19型テレビ、1500W正弦波インバーター、236Wソーラーシステムが標準装備されたSuperior仕様と、さらにSuperior仕様の装備に加えて家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーが標準装備されるSuperior+A/C仕様(以下A/C仕様)が用意されている。
アピールポイント
・キャラバン標準幅スーパーロングボディで運転しやすさと広い室内を両立
・洗練されたインテリア
・2列目単座シートを前向きにして計3名が前向き乗車可能
・レッグレスト付き2列目単座シート(前向き時)
・2名対座と横座りベンチシートで人数に柔軟に対応できる広いダイネット
・横開き式冷蔵庫や電子レンジ(Superior以上に標準)もある充実したギャレー装備
・完全防水ルームと温水シャワー(OP)
・家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーを標準装備(A/C仕様)
エクステリア
イゾラのエクステリア
ベース車は日産キャラバン標準幅スーパーロング。このボディサイズはハイエースに無いサイズで、標準幅が良いがもう少し全長が欲しいという需要に応えたもの。
ボディ外側への架装は無く、見た目はノーマル車と変わらないので、外観からはキャンピングカーと分からない。日常用途にも違和感なく使える。
なお、イゾラにはキャンパー特装車が使われる。キャラバンのキャンパー特装車の場合、運転席/助手席SRSエアバック、インテリジェント エマージェンシ― ブレーキ、アラウンドビューモニター、インテリジェントルームミラー、スライドサイドウインドウ(右2か所)などが標準装備される。
寒冷地仕様、、LEDフロントフォグランプなどはオプションになる。
インテリア
イゾラのインテリア
イゾラのインテリアは、同社の「プラス」シリーズと似ているが、家具のデザインはプラスシリーズに共通して使われている網代(あじろ)仕立てではなく、光沢のあるモダンな感じの仕上げになっている。
また間接照明が効果的に使われており、夜の車内の雰囲気を演出する。
レイアウト
前部にギャレー、後部にダイネット、最後部にサニタリールームを配置している。ちょうどプラスLV+1の最後部にサニタリールームを追加した格好で、このベース車の特徴を生かしたレイアウトだ。
このレイアウトは幅の広い2列目シートが無いので前後の動線が途切れることが無く、前から後ろまで無理なく移動できる。
なお、キャラバン標準幅スーパーロングの室内高は、ハイエース標準ボディハイルーフより50mm高く1640mmあるので、高さ的にも更に余裕がある。
レッグレストが付く2列目シート
乗車定員は、フロントシートに2名、2列目シートに1名、ロングシートに3名で計6名が乗車できる。3列目の単座シートには移動中乗車できない。なお2列目シートにはレッグレストが付き、移動時のファーストシートになる。また単座のため、展開は2~3人掛けのマルチモードシートに比べると非常に楽に行える。(動画はこちら)
計3名が前向き乗車でき3名が就寝できるので、3名までのファミリーでも使用できるが、二人旅に適したレイアウトだ。
ダイネット
2名対座とロングシートのダイネット
2列目単座シートを後ろ向きにすると3列目シートとで2名が対座できる。またロングソファに3~4名程度座ることができるので、5~6名でテーブルを囲むことができる。
また、3列目シートだけフラットにすると、2列目シートがカウチシートになり、足を伸ばして寛ぐことができる。(動画はこちら)
ベッド
ベッドモードでは大人3名が就寝できる
ベッド展開は多少の作業は必要だが、先述のように2列目シートが単座で軽量なことと、ロングシートのシートバックを中央に移動するだけなので、比較的楽に行える。(動画はこちら)
でき上がったベッドは、1830x1500mmの大きさで、このベッド幅は家庭用ベッドではレギュラーダブルベッドとクィーンベッドの中間に相当する。就寝定員は3名だが、現実的には大人が2名がゆったり就寝できるサイズだ。
ギャレー
前部に設置されたギャレー(写真:レクビィ)
ギャレーは前部に配置されおり、左にシンクキャビネット、右に冷蔵庫が収納されているキャビネットに分かれており、中央はフロントシートから後部へ移動するための通路になっている。跳ね上げ式の調理台が用意されており、これが通路部分に渡され広い調理スペースとなる。
カセット式のポータブルガスコンロが標準で用意されており、これを置いても十分な広さの調理スペースが確保されている
シンクの下には各16Lの給排水タンクが収納されており、これは車外から直接出し入れできるよう配慮されている。
冷蔵庫/電子レンジ
電子レンジはSuperior仕様以上に標準装備される
冷蔵庫は49L横開き式冷蔵庫が標準装備される。また電子レンジはSuperior仕様とA/C仕様に標準装備され、冷蔵庫の上部にビルトインされる。なお、ベース仕様では電子レンジ、1500Wインバーターともにオプションなので、電子レンジをサブバッテリーで使う場合はインバーターも設置する必要がある。
サニタリールーム
防水処理されたサニタリールーム。
イゾラの最も特徴的な装備がこの防水処理されたサニタリールームだろう。ここには専用の手洗いとシャワーヘッドが標準装備されており、シャワーを使うことができる。
各19Lの給排水タンクが専用に用意されているが、温水装置(162,800円)をオプションで付けることもできる。この場合はラジエーターの熱交換で湯を沸かし温水用の19Lのタンクに貯め、水と混合して使用する。
ポータブルトイレを置くとトイレルームとしても使用できる。シャワールーム用の換気扇(47,300円)がオプション設定されているので、トイレルームとしてのみ使う場合でも換気扇を付けておくと良いだろう。
なお、サニタリールームは十分広いためラップポンを置くこともできる。
収納
右側のオーバーヘッド収納
ハイルーフだけあって、オーバーヘッド収納は両側に設置されており、大きな収納力が期待できる。また、ギャレーには引き出し収納があり、カトラリーの収納に便利だ。(ギャレーの写真参照)
右側シート下の収納
また、右側のロングシート下は大きな収納スペースになっている。
3列目シート下の収納スペース
さらに、3列目シートの下も収納スペースになっている。もちろん、ベッドモードにした場合は、ベッド下が大きな収納スペースになる。
空調
家庭用エアコンがA/C仕様に標準装備される
暖房はFFヒーターがSuperior仕様とA/C仕様に標準装備される。また冷房はA/C仕様として家庭用エアコン搭載車が用意されている。A/C仕様には200Ahのリチウムイオンバッテリーも標準装備されるので更に長時間の運転が可能になる。
テレビ/ナビ
19型のテレビがSuperior仕様とA/C仕様に標準装備される。ナビは専用、汎用を含め取り付けできる。
電装系
リチウムイオンバッテリーを搭載したAC仕様の電装系
ベース仕様には115Ahのディープサイクルバッテリーが1個、Superior仕様には2個標準装備される。また外部100V電源入力と充電機能は全仕様に標準装備される(アンペア数が異なる)。1500W正弦波インバーターや236WソーラーシステムもSuperior仕様とA/C仕様にオプション設定される。
一方、A/C仕様にはこれらに加え、サブバッテリーは200Ahのリチウムイオンバッテリーに変更される。即ち、エアコンが搭載されないベース仕様とSuperior仕様では、ディープサイクルバッテリー2個まで、エアコンが搭載されるA/C仕様は全てリチウムイオンバッテリーが搭載される。
価格(2022年3月現在:千円台切り上げ:税込)
ベースグレードはガソリン 2WD/7ATで575万円~、Superior仕様は同654万円~、A/C仕様は同766万円~となっている。4WDやディーゼルの価格は下の仕様表をご覧いただきたい。
付けておきたいオプション装備は、標準仕様ではFFヒーター(253,000円)は付けておきたい。Superior仕様では、家庭用エアコン以外は必需装備はほぼついている。A/C仕様はエアコンも含め、全ての必需装備が付いているので、その他の装備を必要に応じて付けると良いだろう。
また、イゾラの特長の防水シャワールームをフル活用するなら、温水装置(162,800円)も装備しておきたい。
他モデル
キャラバン標準幅スーパーロングをベース車にするモデルは15モデルほど存在するが、エアコンが搭載できるモデルはイゾラしかない。またユーティリティールームを持つモデルもイゾラしかない。
レイアウト的に最も近いのは、日産ピーズフィールドクラフトの「T-7」(481万円~)があるが、ユーティリティールームはない。
まとめ
イゾラはキャラバンをベース車にしたモデルというより、プラスLV+1の拡張版と考えた方が分かりやすい。即ち、プラスLV+1にユーティリティールームを追加したモデルだ。
逆に言えば、シャワールームが不要なユーザーはプラスLV+1の方がコンパクトで運転しやすいということになる。
イゾラのポイントは、このシャワールームをどう使うか、だろう。水しか出ないシャワールームでは、おそらく海水浴の後でシャワーを使うくらいしか用途が無いと思われる。
しかし温水装置をオプションで装備すると、一気に様相が変わる。温水シャワーがあれば、毎日銭湯や温泉を探さなくてもよく、停泊地に直行してシャワーの後ですぐに冷たいビールが飲める。
なお、湯はラジエーターの熱交換で沸かすので、本来捨てる熱を有効利用する。即ち、走っている間に湯が沸いている。確かに、毎日の排水と給水は手間だが、ガソリンスタンドで給油のついでに給排水させてもらえば、それほど面倒ではない。
欧州バンコンなら当たり前についているシャワールームだが、国産バンコンでは同社のカントリークラブやファイブスターセプト、シャングリラがあるだけで非常に希少だ。イゾラはその中でもシャワールームを持つ最小クラスのバンコンだ。
しかも家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーが搭載でき、国産の最もコンパクトなモーターホームと言える。
関連記事