アストラーレ CH1 mars(マーズ)はバンテックが製作する、ハイエースワイドロングをベース車に使用したキャブコンキャンピングカー。
同社は、埼玉県所沢市に本拠を置くビルダーで、有名なジルシリーズやコルドシリーズのカムロードベースのキャブコンを中心にラインアップしているキャブコン専門の老舗ビルダー。
アストラーレブランドは、従来の同社のイメージから離れたもう一つのイメージブランドの位置付け。2021年にアストラーレ CC1を発表、2024年にはアストラーレGX4を追加、そして今回はトリアス480、バンコンのNS-SEARTとともにこのCH1 marsを発表し、ラインアップを充実させている。
なお、アストラーレブランドのモデルは、秋田県大仙市にあるファーストカスタムが製作している。CH1 marsの車体にバンテックのロゴはなく、FirstCustomのロゴが入っている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエースワイドロングをベース車にした全長5mを切るキャブコンキャンピングカー。エントランスにスライドドアを採用し、リアの大きなゲートが特徴。
レイアウトは前部に対座ダイネット、中央にギャレー、後部に横置きダブルベッドを配置するが、ハイエースベースのキャブコンでこのレイアウトを持つモデルは他にない。
家庭用エアコンと200Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備する。
アピールポイント
・ハイエースベースでトラックのイメージを払拭
・スライド式のイージークローザー付きエントランスドア
・大きなイージークローザー付きリアゲート
・多目的ルームを持たないため、広々とした室内
・後部に広いダブルベッドを採用
・家庭用エアコン戸200Ahリチウムイオンバッテリーを標準装備
ベース車とエクステリア

アストラーレ CH1 marsのエクステリア
ベース車はハイエースワイドロング バン GLパッケージ。ガソリン4WD/6ATのみ設定されている。
これに、FRP一体成型のシェルを架装しているが、補強のための鋼製スペースフレームを立てて剛性を確保している。
エクステリアの特徴は、エントランスドアにスライドドアを採用したこと。狭い場所でもドアを開けることができる。また、大きなリアゲートも外観上の特徴となっている。
インテリア

CH1 marsのインテリア
アイボリー系のシート色と濃い木目の家具のコンビネーションだが、シート色は2種類から、家具色は3種類から選択できる。
レイアウト
前部に対座ダイネット、中央にギャレー、後部にハイマウントダブルベッドの組み合わせ。ハイエースをベース車にするキャブコン自体が多くないが、この組み合わせはハイエースワイドボディをベース車にするキャブコンでは他にない。
このレイアウトの特長は後部の広いベッドにある。横置き2段ベッドにするとスペース効率は良いが、ベッドの幅が十分に取れないという短所もある。
ダイネット

5名が対座できるダイネット
2列目の後ろ向きシートに2名、3列目の前向きシートに3名が着座できるので、5名でテーブルを囲むことができる。ただし、大人5名だとかなり窮屈感はある。大人2名と子供2~3名が現実的だろう。
運転席、助手席を入れて、乗車定員は7名となっている。2列目のシートは2点式シートベルトだが、3列目は3名とも3点式シートベルトが装着できるため、5名が3点式を装着できることになる。
ベッド
ベッドは、後部の横置きダブルベッド、バンクベッド、ダイネットを展開するダイネットベッドの3か所にあり、就寝定員は6名となっている。

後部ベッド
まず、後部のハイマウント横置きダブルベッドは、1920x1250mmの大きさ。1250mmは、家庭用ではセミダブルベッドの幅(1200mm)以上の幅がある。ここでは大人が2名就寝できる。

バンクベッド
バンクベッドは固定式で、1920x1200mmの大きさ。1200mmは家庭用のセミダブルベッドの幅と同等。ここでも大人が車幅方向に2名就寝できる。
3つ目はダイネットを展開するダイネットベッド。残念ながら写真が無いが、大きさは1820x1200mmの大きさ。これもセミダブルベッド相当の幅があるが、足元は冷蔵庫のキャビネットがあるため、1050mmと多少狭くなる。
ベッド展開はカムロードベースのキャブコンで良くある背もたれを中央に移動する方法ではなく、3列目のマルチモードシートのため座面と背もたれを回転させてベッド展開するため、多少手間がかかる。
ギャレー

ギャレーセクション
ギャレーキャビネットの天板には、大型の丸形シンクとシャワーフォーセットが設置されている。シャワーフォーセットは引き伸ばして車外で使うことができる。

各13Lの給排水タンク
各13Lの給排水タンクはシンクの直下ではなく、左側後部の キャビネットに収納されている。シンクへのホースは多少長くなるが、この位置にあると、リアゲートを開けて車外から直接給排水タンクを出し入れできる。
冷蔵庫/電子レンジ

65L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は65L横開き式がエントランス横に標準装備される。車外から飲み物などを取り出しやすく、また、スーパーで買い出した食品を冷蔵庫に収納するのにも便利だ。

電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。クルマ旅ではちょっとした温めものや冷凍食品の調理に電子レンジは欠かせない装備のひとつだ。
多目的ルーム
アストラーレ CH1 marsに多目的ルームは無いが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことはできる。後部ベッド下は広いスペースになっているので、子供ならトイレ―ルームとして使うこともできるだろう。
収納

両側にオーバーヘッド収納が設置される
左右両側にオーバーヘッド収納が設置されている。左側は扉付きの収納になっているが、右側はオープンスタイルの収納になっている。

ベッド下の収納
後部のベッド下は大きな収納スペースになっている。ベッドボードを全て取り外せば、自転車等の大きな積載物も積み込むことができる。両側にキャビネットがあるが、独立した収納となっていないのは残念なところではある。
空調

家庭用セパレートクーラーを標準装備
家庭用セパレートクーラーが標準装備される。暖房はFFヒーターが標準装備され、マックスファンベンチレーターも標準装備となっている。
テレビ/ナビ

21.5型のテレビが標準装備される
テレビモニターが左側上部に標準装備される。角度を調整できるアームではなく埋め込み式になっているので角度調整はできないが、ダイネットからもバンクベッドからも観ることができるだろう。ダイネットから観る場合は、少し首が痛いかもしれない。
ナビは、好みのものを取り付けることができるだろう。
電装系
200Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される。エアコンなど通常の使い方なら、200Ahの容量でも大きな問題は無いが、日中にエアコンを長時間使用するとか、電子レンジを頻繁に使用するなどの場合は、もう少し容量があった方が安心ではある。
その他の電装系では、走行充電、外部100V入力とチャージャー、2000W正弦波インバーターが標準装備される。ソーラーシステムは、容量が未確定とのことだが、200W程度がオプションで予定されている。
価格(2025年3月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン 4WD/6ATのみが設定されており、車両本価格は1286万円~。標準装備が充実しているので、付けておきたい必需装備は無いが、できればソーラーシステムを付けておくと、自然に充電されるので便利だ。(ナビ関連は除く)
他モデル
ハイエースワイドボディをベース車にするキャブコンは、ファンルーチェのトリグラフ(1430万円~)、セレンゲティ525(1174万円~)、RVトラストのTR550Lボレロ-V.MAX(1672万円~)、TR500ニュートライズ(1430万円~:4WD)、TR500 C-LH(1210万円~:4WD)、RVビックフットのACS プ ルミエM5.7、セキソーボディのトム バロン(価格不明)、トム タンデム(価格不明)、ダイレクトカーズのモビリティホーム(1168万円~:4WD)などがある。
このうち、全長が5mを切るモデルは、TR500ニュートライズ、TR500 C-LHのみ。TR500 C-LHは多目的ルームを持ち、ホテルのベッドルームのような室内のユニークなモデルとなっている。
まとめ
アストラーレシリーズは、バンテックが従来のオーソドックスなイメーと異なる、現代的なイメージを想定するモデルのラインアップだ。CH1 marsもそれに倣い、洗練された現代的なインテリアが魅力のモデルと言える。
ハイエースワイドロングベースで5mを切る全長のモデルが少ないため、ハイエースベースのキャブコンを考えているユーザーには見落とせないモデルだろう。全長は2m以上あるので、カムロードベースのキャブコンで今流行りのコンパクトキャブコンではないが、その分広い室内が得られる。
あえて気が付いた点を挙げておくと、収納が比較的少ないことが挙げられる。オーバーヘッド収納はあるが後部だけだし、ギャレーキャビネットや後部のベッド下収納にももう少し収納が欲しいと思うユーザーもいるのではないだろうか。
また、調理をするユーザーはやはり常設コンロがあると便利だ。1000万円を超えるモデルのギャレーが、バンコンと同じと言うのは多少がっかりする点ではある。
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