TR500ニュートライズ:RVトラスト


TR500ニュートライズは、RVトラストが製作する、ハイエースワイドロングワゴンをベース車にしたキャブコンキャンピングカー。

同社はボレロ V.MAXC-LHなどのハイエースベースのキャブコンを中心に、ハイエースベースのバンコン、ジョインもラインアップする。ラインアップのモデル数は多くないが、高級志向のモデルをラインアップしている。

ニュートライズは同社の第3番目のハイエースワイドロングワゴンベースのキャブコンで、高級志向のフラグシップのボレロV.MAX、ホテルの一室のようなC-LHに続く第3段。


(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)


概要

ハイエースワイドロングワゴンをベース車にしたキャブコンで、全長は5mを切り運転しやすい。対座ダイネットと後部に横置き2段ベッドを持つが、多目的ルームは持たない。そのため、広い2段ベッドと前向きになる2列目シートを得ている。

6名前向き乗車、大人4名+子供2名の就寝を実現しており、ファミリーでのクルマ旅を可能にしている。冷蔵庫や電子レンジ、家庭用クーラーやリチウムイオンバッテリーなど、クルマ旅に必要な装備は全て標準装備している。


アピールポイント

・商用車臭くないハイエースベースのキャブコン
・5mを切る全長で扱いやすいボディサイズ
・2列目にマルチモードシートを配置し、前向き乗車可能
・6名乗車、大人4名+子供2名就寝で、大勢の家族やグループで使用可能
・あえて多目的ルームを無くして、広い2段ベッドを実現
・家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーを標準装備
・常設2口コンロを標準装備
・その他クルマ旅に必需装備をほとんど標準装備


ベース車とエクステリア

 ニュートライズのエクステリア

ベース車はハイエース ワイドロング ワゴンGL。GLグレードなので、運転席周りのグレード感は高い。

これをボディカットしてFRP製のシェルを架装しているが、箱型のボディをカットすると剛性が失われるため、スペースフレームと呼ばれるフレームで補強し、その上にFRPシェルを架装している。

全長は5mを切るが、車幅は2100mmあるので、一般的な5x2mの駐車枠には停めにくいが、隣枠との間に間隔を取ってあるパーキングなら問題ない。


インテリア

 ニュートライズのインテリア

インテリアカラーは写真のような配色だったが、選択肢があるかは不明。ボレロV.MAXやC-LHが、高級感やレイアウトの特異性から高級感のあるインテリアに見えるが、ニュートライズは比較的平凡なインテリアなので特別に高級感は感じられない。しかし、家具の作りなどはしっかりしたものだ。

 スポットライトと間接光を使った照明

照明も凝ったもので、スポットライトと間接光をふんだんに使った豪華な照明だ。


レイアウト

 6名が前向き乗車できる

あえて多目的ルームを無くしたのが、ニュートライズの特徴。5mを切る全長で、多目的ルームを設置すると、どうしてもベッドやダイネットにシワ寄せができてしまう。多目的ルームを無くしたことにより、広い2段ベッドと、2列目のマルチモードシートの採用が可能になった。

これにより、6名が前向き乗車でき、大人4名+子供2名が就寝できる。どちらかと言うと、二人旅よりはファミリーやグループでの使用に適したレイアウトと言える。


ダイネット

 前部の対座ダイネット

2列目シートを後ろ向きにすると、4名がテーブルを囲める対座ダイネットになる。エントランス部に設置できる補助シートのようなオプションがあれば、乗車定員の6名が座れるかもしれない。オプション設定はされていないが、特注で可能かもしれない。


ベッド

ベッドは、後部の横置き2段ベッド、バンクベッド、ダイネット展開ベッドの3か所がある。

 後部の常設横置き2段ベッド

まず、後部の常設横置き2段ベッドは、上下段とも1,900x950mmの大きさ。家庭用のシングルベッドの幅(970mm)とほぼ同じ幅で、これはキャンピングカーのシングルベッドとしては破格の広さだ。

ちなみに、多目的ルームを持つセレンゲティの後部横置き2段ベッドの大きさは、1,920×630mm(最短部は580mm)で、幅はかなり窮屈だ。5mを超える車長のセレンゲティ5256で、1,920×900mm(同850mm)となっている。

 3名が就寝できるバンクベッド

次に、バンクベッドの大きさは1,900x1,900mm。これは、家庭用ではキングサイズのベッド幅(1800mm)以上となる。キャンピングカーの要件では1名あたり500mm幅としているので3名が就寝できることになるが、2名で使用するとゆったり就寝できる。

 ダイネット展開ベッド

最後に、ダイネットを展開するベッド。ベッドサイズは書かれていないが、子供2名が就寝できるとされているので、長さは1800mmに達していないと思われる。


ギャレー

 常設2口コンロがあるギャレー

ギャレーにはシンクと常設2口コンロが標準装備される。常設コンロなので、カセットガスコンロをいちいちセットする手間は不要だ。ギャレー前のスペースも十分あり、また天井高も十分高いので、立って調理できる。

 給排水タンクは車外からも出し入れできる

シンクの下には各10Lの給排水タンクが収納されている。ギャレー前部からも出し入れできるが、車外からアクセスできるように扉が設けられている。この辺りは、ビルダーの気配りが分かるところだ。

ただ、調理をするユーザーの中には、10Lのタンクは小さすぎると感じるユーザーもおられるだろう。キャブコンなので、固定タンクの方が良かったかもしれない。

 跳ね上げ式の調理台

ギャレーキャビネットには跳ね上げ式の調理台も用意されている。広い調理面が得られ、調理しやすい。

 ギャレー上部のレンジフード

ギャレー上部にはレンジフードも標準装備される。調理時のけむりや臭いを排出できるとともに、手元を明るく照らしてくれる。

 ギャレー上部の収納

ギャレー上部にはオーバーヘッド収納が設置されている。食器や調理用具を収納しておける。


冷蔵庫/電子レンジ

 85L横開き式冷蔵庫が標準装備される

冷蔵庫は85L横開き式が標準装備されている。

 電子レンジも標準装備される

家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。1500W正弦波インバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。


多目的ルーム

ニュートライズは多目的ルームを無くしたのが特徴なので、多目的ルームは無い。ただし、小さい子供がいる場合、緊急用にポータブルトイレを後部ベッド下の収納に積んでおくことは可能だ。


収納

 ダイネット上部のオーバーヘッド収納

ダイネット上部にオーバーヘッド収納が設置されている。隣にエアコンの室内機が設置されているため、ダイネット上部全体にオーバーヘッド収納を設置できないのが残念ではある。



ベッドルームにも小ぶりのオーバーヘッド収納が設置されている。もう少し大きな収納が欲しいところではあるが、足元が窮屈になってしまう。

 ベッド下の外部収納

後部ベッド下には大きな外部収納がある。リアのハッチを開けて大きな荷物を車外から積み込むことができる。この収納へは、車内からもアクセスできる


空調

 家庭用のセパレートエアコンを標準装備

家庭用のセパレートエアコンが標準装備される。計200Ahのリチウムイオンバッテリーも標準装備されるので、実用的に使用できる。

また、FFヒーターと、マックスファンベンチレーターも標準装備される


テレビ/ナビ

 19インチのテレビモニターを標準装備

19インチのテレビモニターが標準装備される。設置位置は助手席の後部で、ダイネットから観やすい高さになっている。2列目シートは前向きになるので、走行中に番組を楽しむことができる。なお、オプションで24インチに変更することもできる。


電装系

サブバッテリーは100Ahのリチウムイオンバッテリーが2個(=200Ah)標準装備される。オプションで更に追加することも可能だ。

外部電源有力と充電機能、1500W正弦波インバーター、175Wソーラーシステムも標準装備される。即ち、必要な電装系は全て標準装備される。


価格(2023年7月現在:千円台切り上げ:税込)

同社のウェブサイトにこのモデと価格がアップされていないので、6月の展示会時点の価格だが、ガソリン4WDで1430万円とされていた。(2WDは不明)

ほとんどの必需効能は標準装備されているので、ここから大きく追加費用が発生することはないだろう。


他モデル

 ファンルーチェのセレンゲティ525

5m未満のハイエースワイドロングベースのキャブコンと言えば、ファンルーチェのセレンゲティがすぐに思い浮かぶが、実はそれ以外に5mを切るモデルはない。それ以外のワイドバージョンは全てスーパーロングがベース車になっている。

 セキソーボディのトムタンデム

スーパーロングがベース車のモデルは全て5mを超えるが、コンセプト的にニュートライズに近いモデルはセキソーボディのトムタンデムだ。このモデルは2列目シートがマルチモードシートで、後部に横置き2段ベッドを持つ。多目的ルームもある。


まとめ

ニュートライズは全長5mを切るという制約の中で、あえて多目的ルームを排した代わりに、広い2段ベッドとマルチモードシートのレイアウトを得た。有意義な割り切りで、セレンゲティの狭い2段ベッドが問題と感じていたユーザーには一つの解決策となった。

しかし、一方ではやはり多目的ルームは必要とするユーザーは多数存在する。多目的ルームと広い2段ベッドを得るためには5m超のボディサイズを受け入れる必要がある。

まとめると、ファミリー向けには5m未満ならニュートライズ、5m超ならトムタンデム、二人旅向けには5m超になってしまうがセレンゲティ525をお勧めする。2段ベッドのサイズが納得できれば、セレンゲティも選択肢になる。


関連記事

セレンゲティ525

トムタンデム

ハイエースワイドボディベースのキャブコン特集2022

     

モデル ニュートライズ セレンゲティ/525 トムタンデム
ビルダー RVトラスト ファンルーチェ セキソーボディ
ナンバー区分 8 8 8
乗車人数 6 7 7:特装(8:DX)
前向き乗車人数 6 4 7:特装(8:DX)
就寝人数 4+2(小) 5+2(小) 5
エクステリア      
ベース車 ハイエースワイドロングワゴンGL
ハイエースワイドロングバンSGL スーパーロングDX/特装
シェル 鋼製フレーム入りFRP一体成形 鋼製フレーム入りFRP一体成形 アルミパネル
サイドオーニング OP OP OP
足回り ○(強化リーフスプリング) - -
エントランス センター センター センター
アクリルウインドウ
サンルーフ - - -
レイアウト      
ダイネット形態 4名対座 4名対座+横座り単座 5名対座
マルチモードシート ○(2列目シート) -
ベッド リア2段ベッド
ダイネットベッド
バンクベッド
リア2段ベッド
ダイネットベッド
バンクベッド
リア2段ベッド
ダイネットベッド
常設ベッド ○(リア2段ベッド) ○(リア2段ベッド)
リア2段ベッドサイズ(mm) 1900x950 1920x630
1920×900(525)
ダイネットベッドサイズ(mm) ? 1760x950 1800x1360
バンクベッドサイズ(mm) 1900x1900 1900x1900 -
ギャレー      
コンロ ○(常設2口) ○(ポータブルカセット) -
シンク
給水タンク ○(10L) ○(40L) ○(20L)
排水タンク ○(10L) ○(40L) ○(20L)
冷蔵庫 ○(85L横開き式) ○(65L横開き式) ○(65L横開き式)
電子レンジ
多目的ルーム      
有無
カセットトイレ - OP OP?
ポータブルトイレ - OP OP
防水処理 - -
温水シャワー - OP -
瞬間湯沸かし - - -
専用手洗い - - -
空調      
ベンチレーター ○(マックスファン)
FFヒーター OP
冷房装置 ○(家庭用エアコン) ○(家庭用エアコン:525) OP(家庭用エアコン)
床暖房 - - -
電装系      
ディープサイクルバッテリー - ○(115Ah x2) ○(105Ah x1)
リチウムイオンバッテリー ○(100Ah x2) ○(300Ah x1) -
バッテリー増設 OP - OP
走行充電システム
外部100V入力/充電 ○/○ ○/○ OP/OP
インバーター ○(1500W正弦波) ○/○ ○(1500W正弦波)
ソーラーシステム ○(175W) ○(245W) OP(160W)
発電機 - - -
ナビ/テレビ      
ナビシステム OP(7/10型) OP OP
テレビ ○(19型)
OP(24型)
OP(19型) OP?
サイズ      
全長(mm) 4,980 4,975
5,245(525)
5,600
全幅(mm) 2,100 2,100 1,980
全高(mm) 2,830 2,870 2,650
価格 (税込)      
ガソリン2WD/6AT ? 1078万円~
1173万円~(525)

916万円~(特装)
ガソリン4WD/6AT 1430万円~ 1109万円~
1204万円~(525)

947万円~(特装)
ディーゼル2WD/6AT - 1126万円~
1220万円~(525)
-

2023年7月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税込)

動画はこちら

2023.7.8