TR500 C-LHフリースペースレイアウト:RVトラスト

TR500 C-LHRVトラストが製作する、ハイエースワイドロングワゴンをベース車にしたキャブコンキャンピングカー。
同社は、現在ではこのTR500 C-LHのみを製作しているが、ホテルの1室をイメージした高級でユニークなレイアウトは他に無く、ユニークな1台。今回は従来のレイアウトに加え、ユーティリティールームを無くしてフリースペースとした新しい提案を発表した。

コンセプト:C-LHはキャブコン-ラグジュアリーホテルの略で、その名前の通りホテルの一室のようなインテリアを持つ。キャンプ用のキャンピングカーではなく、移動する部屋=モーターホームを目指したコンセプトは、他のモデルと大きく異なる。
今回発表された「フリースペースレイアウト」はユーティリティールームを排し、そのスペースを自由に使うことを提案している。

 ユーティリティールームを排した4名乗車レイアウト

エクステリア:ハイエースワイドロングワゴンをベース車にした5mを切るキャブコンで、取り回しが良い。シェルはFRP一体成型だが、内部に鋼製フレームが仕込まれており、安全性にも配慮されている。ドアにはイージークローザーも装備され、隅々まで高級感が感じられる。

 従来のユーティリティールームを持つレイアウト(2名乗車)

インテリア:ホテルをイメージするだけあって、各部の作りは丁寧で高級感がある。ベッドは「耐圧分散と睡眠時姿勢保持を考えられた特殊立体構造のマットを採用」としており、寝心地にもこだわっている。
照明も凝っており、間接照明はもちろん、読書灯のスポットライトもお洒落。家具はダークブラウン、ベッド生地はライトグレーの組み合わせだが、色や生地が選択できるかは不明。

 二人乗車用レイアウトではツインベッドを常設

レイアウト:2名乗車仕様と4名乗車仕様が選択でき、2名乗車仕様ではツインベッドが置かれるが、4名乗車仕様では左側のベッドは2名が横座り着座できるチェアにもなり、シートベルトも用意される。
また、今回発表されたフリースペースモデルでは、従来配置されていたユーティリティールームが排され、このスペースが自由に使えるようになっている。展示車ではペット用のスペースとして提案されている。
従って、乗車人数とユーティリティールームの有無で4種類のレイアウトを選択できる。

 4名乗車仕様では横座りチェアが用意される

ダイネット:二人乗車仕様ではツインベッドが常設され、ベッド間に置かれたナイトテーブルに引き出し式のテーブルが仕込まれており、これを引き出すとベッドに腰掛けてダイネットのように使える。
4名乗車仕様では豪華なチェアとベッドで4名が対座できる。

 4名乗車仕様の横座りチェアを展開するとベッドになる

ベッド:2名乗車仕様ではツインベッドが標準設定になっており、サイズは1900x750mm。家庭用シングルベッド幅は970mmなので、これよりかなり狭い。
4名乗車仕様では、ツインベッドの間を埋めるマットが用意されており、横座りシートを展開してダブルベッドになる。大きさは表記されていないが、1900x1900mm程度あると思われ、家庭用ベッドのキングサイズに相当し3名が就寝できる。

 バンクベッドは1名が車幅方向に就寝する

一方、バンクベッドは、広さは2名分あるが高さが確保できないことから1名就寝となる。従って、4名乗車モデルでは4名、2名乗車モデルでは3名が就寝できる。

 エントランス横に設置されたギャレー

ギャレー:ギャレーはエントランス横に配置され、丸形のシンクとフォーセットが埋め込まれている。電子レンジがあるのでコンロは標準装備されていないが、跳ね上げ式調理台が用意されているのでちょっとした料理もできる。
ギャレーコンソールの下には各10Lの給排水タンクが収納されている。

冷蔵庫/電子レンジ:40L横開き式冷蔵庫と電子レンジが標準装備される。電子レンジは標準では外部100V電源が取れるところでのみ使用できる。サババッテリーで駆動するためにはオプションの1500Wインバーターを装備する必要がある。

 フリースペースモデルでは自由な使い方ができる

ユーティリティールーム:ユーティリティールームを持つ仕様では、ポータブルトイレを置いてトイレルームとすることができる。ただし、防水処理や温水シャワーの設定は無い。
また、ユーティリティールーム無しのフリースペースモデルでは、ここには何も設置されないので、ペットのケージを置くなど自由にスペース利用できる。

 シート下の引き出し収納

収納:オーバーヘッド収納は装備されていない。これはホテルの部屋には似合わないからだろう。その代わり、エアコン室内機の両側にちょっとした収納が用意されている。また、シートの下にも引き出しが用意されている。
その他にはエントランス横にシューズボックスが用意されている程度。
従って、大きめのバッグなどを収納しておくところは無く、収納スペースはあまり多くない。

 エアコンの両側には収納スペースがある

空調:FFヒーターがオプション設定されている。また、ベンチレーターもオプション。冷房設備として家庭用エアコンが標準装備される。ただしこれも外部100V電源が取れる場合のみ使用できる。
サブバッテリーで動かす場合は、1500Wインバーターがオプションで用意されているので、これを装備する必要がある。

テレビ/ナビ:19型テレビが標準装備される。ナビはオプション。

電装系:サブバッテリーは容量が記載されていないが、恐らく105Ah程度のディープサイクルバッテリーと思われる。ただし、これではオプションの1500Wインバーターを搭載してもエアコンを満足に動かすことはできない。サブバッテリーの追加オプションが用意されているので、できれば3個程度欲しいところ。
できればリチウムイオンバッテリーを使用したいところだが、オプション設置されていない。
なお、外部電源入力と、これによるサブバッテリーの充電機能は標準装備されている。


価格:2人乗車仕様はガソリン 2WD/6ATで653万円~(税別)、4人乗車仕様は同じく682万円~(同)。ユーティリティールームレスの場合はそれぞれ13万円安価になる。
装備しておきたいオプションは、FFヒーター(21万円)、追加サブバッテリー(38,500円:1個)、1500Wインバーター(158,000円)、MAXファンベンチレーター(65,000円)があり、ざっくり50万円程度は追加費用が必要となる。

他車:ハイエースワイドロングをベース車にしたキャブコンは多くなく、ファンルーチェのセレンゲティパタゴニアしかない。5m以下の車長に限るとセレンゲティ(732万円~:税別)のみだ。
価格だけで考えるとTR500 C-LHの方がかなり安価で、しかもセレンゲティにはエアコンが付かない。こうしてみると、TR500 C-LHがかなりお買い得なモデルということが分かる。

まとめ:ハイエースワイドロングベースのキャブコンは、ハイエースというプレステージがあり、5m以下に収まり、動力性能も優れている。カムロードベースのキャブコンに比べると洗練された印象があるが、モデル数は上記のように少ない。
その理由は、ベース車が高価なことと、加工工数がかかること(ボディカットが必要)がある。従って、TR500 C-LHの競合はカムロードベースのキャブコンだ。こちらは500万円台から選択できる。(5m以下の最新キャブコン9選を参照)

しかし、TR500 C-LHのようなコンセプトやインテリアを持つモデルは、カムロードベースでも他にない。アネックスのリバティ52DBなどはモーターホーム的なコンセプトを持つが、やはりTR500 C-LHとは異なる。
「キャンピングカー」ではなく「モーターホーム」の快適性を目指したコンセプトは非常に明確だ。海外モデルのように大型でないとモーターホームとは言えないという考えがあるなら、必ずしも当たっていないだろう。

TR500 C-LHは、その意味では電源設備がある整った環境で停泊する使い方が似合っており、エアコンや電子レンジは外部電源で運転するという考えに割り切っても良いのかもしれない。

TR500 C-LHは、優雅な二人旅に最適なモデルのひとつと言える。ただし、4人乗車での長距離旅はあまりお勧めできないし、このモデルのコンセプトからも逸脱しているように感じられる。
横座りシートで長距離移動は決して快適ではない。もちろん、日常使用で4名乗車の機会があるという理由であれば、はその限りではない。

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セレンゲティ525

パタゴニア  

モビリティホーム

     

モデル TR500 C-LH
ビルダー RVトラスト
ナンバー区分 8
乗車人数 2 or 4
前向き乗車人数 2
就寝人数 3 or 4
エクステリア  
ベース車 ハイエースワイドロングワゴンGL
シェル 鋼製フレーム入りFRP一体成形
サイドオーニング OP
足回り OP
エントランス センター
アクリルウインドウ ○(リアはOP)
サンルーフ -
レイアウト  
ダイネット形態 横座り対座
マルチモードシート -
ベッド
ツインベッド(2人仕様)
ダブルベッド(4人仕様)
バンクベッド
メインベッドサイズ(mm) 1900x750(2人仕様)
1900x1900?(4人仕様)
バンクベッドサイズ(mm) ?
ギャレー  
コンロ -
シンク
給水タンク ○(10L)
排水タンク ○(10L)
冷蔵庫 ○(45L横開き式)
電子レンジ
個室  
ユーティリティールーム 有無選択可
カセットトイレ OP(ルーム有の場合)
ポータブルトイレ OP(ルーム有の場合)
防水処理 -
温水シャワー -
瞬間湯沸かし -
専用手洗い -
空調  
ベンチレーター
FFヒーター OP
家庭用エアコン
床暖房 -
電装系  
サブバッテリー ○(105Ah? x1)
バッテリー増設 OP
リチウムイオンバッテリー -
走行充電システム
外部100V入力/充電 ○/○
インバーター OP(1500W正弦波)
ソーラーシステム OP?
発電機 -
ナビ/テレビ  
ナビシステム OP
テレビ ○(19型)
サイズ  
全長(mm) 4,975
全幅(mm) 2,100
全高(mm) 2,830
価格 (税別)  
ガソリン2WD/6AT(2名仕様) 653万円~
ガソリン2WD/6AT(4名仕様) 682万円~

2020年10月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税別)

動画はこちら

2020.10.13