VANTANA(バンタナ)K60 FT DeluxeはドイツのビルダーHobby(ホビー)が製作する、フィアット デュカトをベース車にしたバンコンモーターホーム。日本へはトーザイアテオが輸入販売する。
日本では、Hobbyは従来トラベルトレーラー(キャラバン)で有名なビルダーだったが、最近ではオプティマも輸入され、モーターホームビルダーとしての人気が高まっている。
「VANTANA(バンタナ)」は同社のキャンパーバン(日本で言うバンコン)のブランドネームで、全長5998mmで後部に横置きダブルベッドを持つK60
FTと、全長6363mmで後部に縦置きツインベッドを持つK65 ETの2種類のレイアウトを選択できる。
またインテリアは、今回の展示車のDeluxeと、新しく加わった ONTOUR EDITIONが選択できる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
コンセプト
フィアット デュカトをベース車にした欧州(ドイツ)バンコンで、6m未満の車長は国内でも比較的扱いやすい。K60 FTは後部に横置きダブルベッドを持ち、主に二人旅仕様となっている。
欧州モデルらしく洗練されたインテリアで、特にサニタリールームは温水シャワーとカセットトイレ、専用手洗いを標準装備している。
アピールポイント
・6m未満で、輸入車では比較的運転しやすいサイズ
・欧州車らしい洗練されたインテリア
・バンコンながら温水シャワーやカセットトイレを装備
・GOODSIDE®スプリングとプレミアムコールドフォームマットレスのベッド
・豊富な収納スペース
エクステリア
バンタナK60FT Deluxeのエクステリア
ベース車はフィアット デュカト ディーゼル2300cc 160ps FF 9ATが使用される。デュカトはFFのみで、4WDは存在しない。
全長は5998mmで6mを切っおり、輸入車として比較的運転しやすいサイズとなっている。なお、右ハンドル(440,000円)やエンジンのアップグレード180ps(264,000円)もオプションで選択できる。
また、AEBS(自動ブレーキ:203,500円)、外装色変更(165,000円)、電動ミラー(40,500円)もオプションとなる。なおサイドオーニングが標準装備される。
インテリア
「Deluxe」のインテリア
K60 FT Deluxeのインテリアは欧州モデルらしいナチュラルなトーンの配色で、洗練されたイメージ。家具材などは特別高級な素材ではないが、うまく処理されている。
「ONTOUR EDITION」のインテリア
インテリアは「Deluxe」の他に「ONTOUR EDITION」が新たに追加された。クールなトーンのインテリアだが、これもナチュラルで落ち着いた配色になっている。
なお、最大室内高は1905 mmあり、長身のユーザーでも頭がつかえることは無い。
レイアウト
K60 FTは5990mm、K65 ETは6363mmの全長
K60 FTは前部にダイネット、後部に横置きダブルベッド、中央にギャレーとサニタリールームを配置する。K60 FTは全長6m未満に収まっているが、縦置きツインベッドを持つレイアウトのK65
ETも選択でき、こちらは全長が6363mmとなる。
欧州車の場合、後部のベッドのスタイルが変わるだけで、それ以外はほぼ定番のレイアウトを持つケースが多い。VANTANAも同様で、全長を短くできる横置きダブルベッドと、人気の高い縦置きツインベッドをラインアップしている。
なお、後部が観音開きになっており、ベッドを跳ね上げて自転車等を積むことができる。
オプションでダイネットやフロントシートで就寝できるようになるが、基本的にこのレイアウトは二人旅を想定したものとなっている。
ダイネット
運転席、助手席が反転するダイネット
デュカトベースのベース車ではお決まりの、運転席、助手席が反転して後ろ向きのダイネットシートになる。2列目シートは2名が前向きに着座でき、計4名でテーブルを囲める。
2列目シートは2名が前向き乗車でき、2名とも3点シートベルトが用意されているので、計4名が前向き乗車できる。
大きなサンルーフを設置
ダイネットの上には大きなサンルーフが2か所設置されており、明るい室内になるとともに、外気の導入もできる。どちらもシェードが付いているので、直射日光を遮ることもできる。
ベッド
後部の横置きダブルベッド
K60 FTは後部が横置きダブルベッドで、大きさは1940x1640mm。これは家庭用ではクイーンサイズ以上の幅に相当する。なお日本のキャンピングカーのベッドの規定では一人当たり500mmとされているので、就寝定員は3名となっている。
K65 FEの縦置きツインベッド
なお、K65 ETでは縦置きツインベッドが配置される。ちなみにこちらのベッドサイズは2010x925mmと1810x925mm。家庭用のシングルベッドの幅(970mm)には達していない。
また、ベッド間に通路は無く、事実上縦置きダブルベッドに近い。従って、ツインベッドのプライベート感はあまり感じられない。更に65 ETは6m超になるため、一部のフェリー代金も60
FTより1ランク高価になる。これらを考えると国内では60 FTの方が適しているかもしれない。
ダイネットを展開してベッド(OP)
オプションでダイネットを展開してベッドにできる。また運転席と助手席もオプションでベッドにできる。前者のサイズは1820x580mm、後者は1600x740mmの大きさだが、これらはエマージェンシー用と考えた方が良いだろう。
ギャレー
広いギャレーセクションと収納
エントランスの後部にあるギャレーコンソールには2口コンロ一体型のシンクがビルトインされている。調理面も広く、実用的で機能的なキッチンだ。
輸入モデルのギャレーは実際に調理することを前提に作られているため、機能性は申し分ない。多くの引き出し収納と上部のオーバーヘッド収納があり、カトラリーをはじめ食器や調理用具は全て収納できる。
冷蔵庫/電子レンジ
90L横開き式が標準装備される
冷蔵庫は90L横開き式が標準装備されるが、この冷蔵庫は左右どちらからでも開くことができる。車外で遊んでいて冷たい飲み物を取り出す場合も、いちいち車内に入る必要はない。
輸入モデルで問題になるのが電子レンジで、これは国産のものを日本で取り付けることになる。ただし、もともと設置場所が用意されているわけではないので、収納の一部を潰して収納するなどの工事をディーラーで行う必要がある。
サニタリールーム
温水シャワーとカセットトイレが標準装備
欧州車のサニタリールームはよく「ホテルのような」と形容されるが、バンタナのサニタリールームも体裁よく作られている。ここでは温水シャワーとカセットトイレが標準装備されており、専用の手洗いも備わっている。
温水はトルマコンビで沸かす。10Lの内部の水を60℃程度に加熱し、水と混合して適温にする。清水タンクは95Lなので十分な水量があるが、一度に使える湯量は二人でも厳しい。再度沸かすのに20分程度を要する。
国産モデルにはダイレクトカーズのトリップやアネックスのリバティ52DBや52SPのように瞬間湯沸かし装置を搭載するモデルがあるが、欧州車にも早く瞬間湯沸かし装置を採用して欲しいところだ。
収納
ダイネット上のオーバーヘッド収納
欧州車は一般的にオーバーヘッド収納が充実しているが、バンタナもベッドルーム、ギャレー上、ダイネット上に全てオーバーヘッド収納が設置されている。総合すると非常に大きな収納スペースで、車内が荷物であふれることは無い。
後部に広いカーゴスペースができる
また、後部両側の収納家具にも大きな収納スペースが用意されているほか、ベッド下も収納スペースとして使用できる。更にベッドマットを上げて右側の収納家具の上に固定すると、後部に広いカーゴスペースができ、自転車等の大きなものを積むことができる。
空調
トルマコンビヒーター兼ボイラー
多くの輸入車ではトルマのコンビというヒーター兼ボイラーが使われることが多く、バンタナでも同様にこれを使っている。FF暖房と温水ボイラーの機能を併せ持ち、ガスで運転する。
冷房は本国でルーフエアコンがオプション設定されているが、これは外部100V電源がある場合のみ使用できる。国内で家庭用エアコンや車載用セパレートクーラーを設置できるかはディーラーによる。
テレビ/ナビ
ナビやテレビは特にオプションとしての記載は無いが、ディーラーで国産のものが取り付けできる。
電装系
95AhのAMGサブバッテリーが1個と走行充電が標準装備されるが、オプションでもう1個サブバッテリーを増設することができる。電子レンジを設置した場合は、1500W以上のインバーターとともにデュアルバッテリーにすることをお勧めする。
オプションのソーラーシステム
また、ワット数は不明だが、ソーラーシステムもオプションで用意されている。ソーラーシステム用の配線は工場でされているので、国内で取り付けることができるようだ。
欧州車のエネルギー源は電気よりもガスが中心になっており、バンタナもLPガスボンベを2個搭載する。国内では旅先でのガスの充填が難しいこともあり、この点は輸入車の場合、考慮に入れておかなければならない点だ。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
国内での価格はトーザイアテオのサイトには掲示されていないが、2021年4月の展示会時では車両本体価格は878万円~(オプション含め979万円)となっていた。
付けておきたいオプションは、バッテリー 増設(73,700円)、電動ミラー 40,700円、
FIAT AEBS(レーンデバーチャーウォーニング、衝突被害軽減ブレーキ-他:203,500円)、インバーター(価格不明)が挙げられる。
また、必要に応じて、右ハンドル(440,000円)、ステアリングスイッチ(35,200円)、エンジンアップグレード180ps(264,000円)、電子レンジ(価格不明)が選択できる。
他モデル
輸入バンコンで6m以下のモデルは、アドリアのTwin 600 SPB(911万円~)、サンリビングのV60SP(806万円~)、サンライトのCLIFF540(880万円~)/600(913万円~)/601(924万円~)、ローラーチームのリビングストン5(797万円~)、KJ(758万円~)、K2(758万円~)がある。
このうちサイズやレイアウトが近いのはTwin 600 SPB、V60SP、CLIFF600、リビングストン5がある。セパレートエアコンとリチウムイオンバッテリーが搭載できるのは、Twin
600 SPB、V60SP、リビングストン5が挙げられる。
まとめ
欧州モデルは総じて似たレイアウトのため、レイアウトで選択と言うよりも、インテリアや装備、あるいは価格で選択することになる。
バンタナが持つ突出した特長といったものは無いが、TwinやCLIFF600、リビングストン5より安価で、インテリアのクオリティは同等。バンタナのインテリアが気に入ったら、お買い得だ。
ただしエアコンとリチウムイオンバッテリーが搭載できるかどうかは、国内ディーラーによる。残念ながらバンタナにはこれらの装備は搭載できるという記述はないので、これを望むユーザーには対象外となる。
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